提督。それは異世界から来た高校生   作:屋守 竜

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まだ前回からあまり経っていないのですが……前回長期間投稿していなかったので投稿させていただきます。今回も読んで下さった方、始めて立ち寄ってくださった方も、本当にありがとうございます。


勝負の天秤は

佐世保の艦隊は、長門、日向、蒼龍、飛龍、足柄、時雨で編成された第一艦隊と、妙高、阿賀野、木曽、夕立、白露、島風で編成された第二艦隊とで構成される連合艦隊を組み、江田島と似島の間を通って輸送艦隊を襲撃しようとしていた。対水上序列にて、基本的に高火力な第一艦隊を前方、第二艦隊を後方に置く形だ。第一艦隊は飛龍の偵察機によって既に輸送艦隊を発見しており、戦いの火蓋はまさに切られようとしていた。

 

「 阿賀野、偵察機からの報告はまだですか」

 

第二艦隊の旗艦の妙高は通信機に耳を傾ける阿賀野の方を振り向いた。しかし、阿賀野は首を振った。

 

「 いえ……まだ発見の報はとどいていません。」

 

「 そうですか……」

 

実を言うと、妙高は今回の提督の策にあまり乗り気ではなかった。連合艦隊で出撃するということは、艦隊全体の自由度を下げることになる。各個撃破される可能性は限りなく下がるものの、両方の艦隊を効率よく撃破することは出来ない。また、分隊行動も取りにくいため、地の利のあるあちらが有利になる可能性もある。その可能性を消すためにも、妙高は呉の主力の発見を急いだ。しかし現実はそう上手くは行かない。阿賀野よりも先に、妙高の対空電探が反応を示した。

 

「 対空電探に感あり!」

 

全員が空を見上げる。

 

「 妙高さん!左舷の上空、偵察機っぽい!」

 

夕立が指さす先には三つの黒ごまのような点。低く飛んでいる。近づいてくる姿を見るに、零偵のようだ。

 

「 これは見つかりましたね……全艦対空戦闘

よーい!各自回避行動を取れ!」

 

妙高の鋭い指示が飛ぶ。長十センチ高角砲や二十五ミリ機銃を零偵に向けた艦娘達は一斉に発砲を開始した。零偵はその弾幕を裂けるようにしてUターン、三機とも戻っていった。

 

「 先に見つかってしまいました……これはどう転ぶ

か分かりませんね……提督と長門に報告しておきま

しょう」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

大淀と速吸、第六駆逐隊とで大淀を先頭とした輪形陣を組んで進んでいた輸送部隊は、大淀の偵察機によって敵の艦隊をいち早く見つけ、予想進路から外れることで戦闘を回避しようと考えていた。

 

「 大淀、おかしくないかい?」

 

大淀のすぐ後ろを航行していた響が辺りを見渡して言った。

 

「 どうしたんですか、響さん?」

 

近づいてきた響に大淀が振り向く。

 

「 もう演習も始まって結構経ってるのに……

発砲音が一切聞こえない。主力部隊が砲雷撃戦を

始めていい頃だと思うんだけど……」

 

ハッとして大淀も耳を澄ます。確かにそれらしき音は聞こえない。大黒神島から鎮守府まではそこまで距離はないのだから、戦闘が始まっていてもおかしくない。いや、始まっていないとおかしいのだ。

 

「まさか……やっぱりそう来ましたか……

響さん、相手は連合艦隊です。しかも、こちらを

狙った」

 

響は悔しそうに下唇を噛んでいった。

 

「 司令官の想定外の展開だね……

私もこの手は無いと思ってたんだけど……

これはまずいね……」

 

大淀は響がいつも状況を冷静に見ることの出来る艦娘である事を知っている。だからこそ彼女の言葉を信じている。しかし、今回ばかりは大淀は知っていた。

 

ー今回の演習相手は連合艦隊を使えるのに対して、こっちは必ず二艦隊作らないといけない。相手がそこに勝機を見出しているなら、必ず連合艦隊で出撃してくると思う。大淀、戦闘に支障が出ないレベルで、最大量の偵察機を載せてくれ。もし連合艦隊だったら、俺と加賀さん、金剛、榛名に、ヤエザクラと打電してくれ。それ以外ならサクラだ。 相手が連合艦隊だったら打電を終えたら全力で逃げろ。速吸を除けばみんな三十三ノット出るんだ。ロープで速吸を引っ張って、全力で主力部隊のいる方に逃げてくれー

 

( 提督はこの演習、相手の取れる戦術を全て考えた上で、これを渡してくれたんですね……提督としては使わないのが一番だったんでしょうけど)

 

「 まだ負けてはいません。ここから提督がどうでる

か、私たちがどう動くか、それに尽きます。」

 

「 響さん、これからは提督の指示に従って

次の作戦を展開します。私の指示に従うよう、

後続の皆さんに言ってきてください」

 

大淀はロープを取り出しながら鋭く言った。

 

「 大淀……変わったね。今まではもっと暗い顔

していたのに、今は笑ってるよ。」

 

「 笑っている……ですか……

私もなんだかんだと言って、戦えるのが嬉しい

のかも知れませんね」

 

そう言って響に笑いかけた大淀は提督達に打電し、自らの艤装にロープを結びつけた。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「 連合艦隊だったわね。うまく裏をかかれちゃった

みたい。これは悪い風ね……どうするの?あなた」

 

秘書艦の天津風は既に顔が青ざめて、敗戦を覚悟しているようだった。しかし、提督は笑っていた。

 

「 これは想定内だなあ。むしろそれなりに望んで

いた展開で驚いてるよ。手は打ってある。

艦隊同士の撃ち合いになるだろうから、皆には

痛い思いをさせてしまうかもしれない」

 

「 え?あなた、相手が連合艦隊で来ることを予想

してたの?ミーティングの時は何も言わなかった

じゃない!」

 

天津風は提督に詰め寄るが彼は飄々としている。

 

「 みんながみんな作戦を全て把握することはでき

ない。だから旗艦の子達を中心に追加の作戦を伝

えてある。これからが本当の知恵比べだ。」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「 ヤエザクラ、ね。扶桑、敵は連合艦隊で輸送部隊

を攻撃しています。支援に向かいます。」

 

「 ヤエザクラですね……榛名たちはここで待機

ですね」

 

「 大淀からの電信デース!オー!ヤエザクラ

デース!ミナサーン、榛名たちに合流しマース!

ついてきてくださいネー!」

 

こうして呉の艦隊は動き始めた。加賀の艦載機が空にまい、輸送部隊の方へと消えていった。




中途半端に終わってしまった感がありますね……
次回は演習完結編!になるのかなあ……?
ほどほどにご期待ください。最後に、ご感想ご要望ありましたらお願いします。ありがとうございました。
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