提督。それは異世界から来た高校生   作:屋守 竜

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演習編終わりませんでした……すみません。
書いていたものを投稿するのを忘れてしまい、遅くなってしまいました、すみません。
次回は演習が終わるはず!?


演習はまだ終わらない

佐世保の艦隊は似島から五キロの地点で輸送艦隊を発見した。長門を先頭とする第一艦隊は、最高速力十六・五ノットの速吸に照準を合わせ、砲撃を開始した。

 

「 全艦、輸送艦を狙って撃てええぇぇ!

我々がこちらにいることは既にバレている。

早く撃破するのだ!」

 

連合艦隊総旗艦の長門が声を上げる。空母の二人を除く全艦が速吸めがけて砲撃する。ドゴオオオーンという地を震わせる様な発射音と共に、四十一センチ砲弾や三十六センチ砲弾、二十センチ砲弾が降り注ぐ。砲弾か作り出した水柱が速吸と重なる。

 

「 当たった……か。」

 

しかし、今も速吸は前進していた。放たれた砲弾は全て速吸の後方に落下し、水柱を作っていたのだった。

 

「 おかしい。速力はきちんと合わせたし、距離も

大きく外れてはいないはずだ。

それなのに心なしか距離が開いているような気

すらする。妙高、どう見る?」

 

長門は第二艦隊の旗艦妙高に問いかけた。妙高は長門の横に来ると、自分のレーダーと測距儀で距離と速力を測った。

 

「 距離は開いてますね……

それに速力は三十ノットほどは出ています。

測距儀にもレーダーにも故障はありません。」

 

「 どういう事だ?速吸は三十ノットで航行する

ことは出来ない。しかし目の前ではそうなって

いる。どうなっているんだ……」

 

「 長門、少しいいかな?」

 

そう言って二人の隣に並んだのは時雨だった。彼女は第一艦隊唯一の駆逐艦で、幸運艦と呼ばれ、重宝されている。また、頭の回転も早く、状況判断力がとても高い。

 

 

「 速吸が今殿にいるんだよね。」

 

「 あぁ、そうだな。」

 

「 それっておかしくないかい?」

 

長門は改めて輸送艦隊をみた。確かに速吸を殿にすえ、その前を護衛艦が航行している。これはおかしいのだ。本来輸送艦を護衛する際には、輸送艦を輪形陣の中央に添える。その方が弾が当たりにくくなるからだ。しかし輸送艦隊は速吸を殿にしている。守らなければならない輸送艦を。

 

「 確かにおかしいな。これでは輸送艦を守るのが

難しくなるはずだ。だがしかし……何故弾が当たら

ないのだ?速吸が殿にあることと何か関係がある

のか?」

 

時雨は大きく頷いた。

 

「 殿にいるから速いんだよ。僕の予想では、

残りの5隻で速吸を引いているんだと思うんだ。

足の速い駆逐艦や軽巡が五隻も同時に引っ張って

くれたら三十ノットは簡単に出せるんじゃない

かな。だから長門にあわせて航行している僕達は

距離を詰められないんだと思う」

 

長門は遥か先を進む輸送艦隊に向けて畏怖の念を抱いた。それと同時に、この作戦を指揮しているであろう鎮守府の男に、底知れない何かがあると悟った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

大黒神島の提督は徐々に悪化していく戦況を苦虫を噛み潰したような顔で見ていた。

 

ー裏をかいて連合艦隊で出撃したと言うのに……裏の裏をかかれたということか……このままでは数で勝る敵の主力部隊と砲撃戦になる……そうなればこちらは相当苦しくなる……ー

 

彼は分からなかった。どこから見破られていて、どこからが彼の術中なのかが。彼にとって連合艦隊で出撃することは見透かされていたのか……

 

「 司令官、今は悩むより行動した方が速い。

反省はあとでもできるがこの演習はこれ切りだ。

今は出来ることをするべきだ。」

 

そんな提督の心中を見透かすように、秘書艦の那智はいつもの厳しい口調で、しかし優しさのある声音で言った。彼はハッとした。もう同じ過ちは犯さないと誓ったはずなのに、それをもう一度繰り返そうとしていた。勝負は、演習は、まだ終わっていない。

 

「 長門!俺だ!第二艦隊に輸送艦隊を追わせろ!

第一艦隊は速度を落として戦闘準備!

蒼龍飛龍は敵主力部隊の偵察を行ってくれ!

見つけ次第攻撃隊を発艦、主力部隊を一隻でも

多く減らせ!減らせなくても、時間は稼げるはず

だ。敵の主力部隊が輸送部隊と合流する前に

こちらの舞台を整えろ!」

 

言い終わると提督は通信機を下ろした。そして、那智の方を振り返って笑った。その笑みは余裕や油断から来るものではなく、覚悟を決めた人間が浮かべる、最も美しいそれだった。




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