提督。それは異世界から来た高校生   作:屋守 竜

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あんまりにも不定期すぎてごめんなさい……
見続けてくださる方がいる限りは続きます


拝啓 日いづる国

「ヤハリ来タカ……主力ガ来タゾ!砲雷撃戦用意!」

 

進撃して来た金剛たちを見つけた深海棲艦は輪形陣をとった。その移動はとても素早く、手負いの深海棲艦のそれとは思えないほど機敏だ。指揮官であるヲ級を取り囲むように輪形陣が組まれ、陣形の前方に戦艦を配置している。空母を守りつつも戦艦の攻撃力も生かす良い布陣だ。残ったありったけの艦載機を放つと、ヲ級は一人嘯いた。

 

「我々ハ滅ビナイ。オマエタチモマタ海ノ藻屑ダ。」

 

______________________

 

練度の高い艦娘側の砲撃は少しずつではあるが、確かに深海棲艦達に損傷を与えていった。しかし、深海棲艦側も猛攻から逃げ切った実力者。輪形陣で空母を守りながら戦艦や重巡、駆逐艦までもが艦娘にダメージを与えていった。

 

「キリがないネー!」

 

「これは不幸だわ……撃っても撃っても引き剥がせない。」

 

なかなか隙が作り出せない。戦艦や重巡の主砲はどうしても発射までに時間がかかる。それをついてすぐに陣形を立て直される。安全距離から撃つだけでは撃破はできない。金剛はそう悟った。

 

「青葉、摩耶!すぐに着いてくるネー!突っ込むヨー!」

 

「は!!おいマジかよ「青葉、了解です!」って……しゃあねえなあ!」

 

砲撃だけで隙を作れないのなら、高速で近づいて無理やり陣形を崩せばいい。 空母の周辺を固めているのが軽巡や駆逐艦である以上、肉薄する大型艦を止め切るのは難しい。ただ、自分たちもタダでは済まない。駄菓子自分たちが削らなければ夜戦部隊がより苦しくなる。個々でできるだけのことをしなければならない。金剛は覚悟を決めていた。

 

「いっくヨー!沈みたくない艦はbye!退きなサイ!」

 

とてつもない速さと殺気と共に金剛たちが肉薄する。しかし、深海棲艦たちが退く気配などない。それなら諸共吹き飛ばして……

 

「!!!そんな!わざわざ盾になりにいくなんて!」

 

そう。空母を狙った金剛と青葉の砲弾は当たらなかった。いや、当たりはした。空母の前に立ちはだかり盾となった駆逐艦に。

 

「……艦娘ドモ……攻撃ハ終ワリカ?」

 

「!!!」

 

空母が口を開いた、その時だった。甲高い切り裂き音が響き渡った。

 

「頭上!敵機!気をつけろ!」

 

黒い粒が猛スピードで降り注いでくる。黒い粒が爆撃機だとはっきりとわかる高さになった時、金剛は強い衝撃を受けて気を失った。

 

______________________

 

「間にあってください……速く!」

 

30ノットしか出せない自分が悔しい。速く、速く、速く、速く!こうしている間にもお姉様たちは苦戦を強いられ、傷ついている。榛名が視野狭窄になってることなんて、とうに分かってる。それでも、速く!

 

その願いが届いたのか、すぐに彼女たちは敵艦隊に接敵した。

 

「金剛お姉様!」

 

榛名の声の先、金剛は摩耶と青葉に抱えられながら敵戦艦の猛攻をくぐり抜けている。

 

「勝手は榛名が……許しません!!」

 

敵戦艦との間に割って入る。絶対に通さない。そんな意志と怒りのこもった砲弾は戦艦の1隻を貫き、膝をつかせる。

 

「これでトドメです!」

 

「サセン!」

 

もう1隻の敵戦艦は同胞に向かう砲弾をはじき飛ばした。それと同時に、自身の主砲から弾を浴びせかける。

 

「くっっ……榛名はまだ……戦えます!」

 

「チッ……沈メ!」

 

いまいましそうに榛名を睨みつけた戦艦が2度目の斉射を浴びせかけ……ようとしたその時だった。

 

「榛名さん!右!」

 

陽炎の声に反射的に右に動く。その瞬間、水中の白い槍が敵戦艦めがけて突き進んで行った。白い槍は敵戦艦の腹に突き刺さった。

 

とてつもない爆音とは裏腹に敵戦艦たちは声すら残すことなく海の底へと消えていった。

 

「良かった!間に合った……って大丈夫ですか!」

 

陽炎と不知火が駆け寄ってくる。榛名は既に大破寸前だったが、彼女にはそれよりも大切なことがあった。

 

「こ、金剛お姉様は……」

 

「……大破です。今は扶桑さんと摩耶さんが曳航して鎮守府へ戻っています。」

 

「……そうですか……榛名も大丈夫じゃないので……

提督への報告を……お願いします。」

 

そう言い残すと、榛名は気が抜けたように陽炎達にもたれかかった。

 

_______________________

 

「金剛、榛名が大破、青葉、摩耶も中破か……

ドックの準備を至急!こちらからも護衛を出してくれ」

 

「わかったわ。ただ、もう練度の高い艦はほとんど残ってないから、編成は任せてもらってもいい?」

 

「構わない。道中の護衛はもちろんだが、曳航することになるかもしれないからな。そのつもりで頼む。」

 

「ええ。伝えておくわ。」

 

そういうと天津風は慌ただしく出ていった。

 

「……手酷くやられたものだ。事前偵察が不十分だった。敵の残存兵力は決して矮小じゃない。あとは夜戦に任せるしかないな……」

 

そう言うと提督は静かに通信機に手を伸ばした。

 

_______________

 

太平洋である四国沖の波は高い。鎮守府のある呉は瀬戸内海に面しているため、波は極めて穏やかだった。しし、彼女達の前にはそんな違いは些細なものだった。

第一水雷戦隊の旗艦を務めた阿武隈。

第三水雷戦隊の旗艦を務め、多くの夜戦に参加した川内。

第二水雷戦隊の旗艦を務めた霞。

第3次ソロモン海戦で活躍した暁。

幾度の損傷を乗り越えて緒戦で活躍した響。

奇跡の駆逐艦、雪風。

 

鎮守府の最大の夜戦戦力がここに揃っていた。練度も気合いも天運も、全てを揃えた水雷戦隊は静かに闇夜を突き進む。

 

1915、想定時刻よりも15分ほど遅れて傷ついた深海棲艦が彼女達の潜むエリアに到達した。

 

「突撃してください!!」

 

旗艦の一言と共に暁と川内は最大戦速で駆け抜けながら探照灯を照射し、深海棲艦達を浮かび上がらせる。

深海棲艦達は息を着く暇もなく、探照灯に気を取られているうちに魚雷が命中。静かに沈んでいった。

 

_______________________

 

「なーんか、呆気なかったね。もっと夜戦、したかったのに。」

 

「えっ……もう帰って休みたいんですケド……ほら、暁ちゃんも眠そうだし……」

 

「あっ、暁は一人前のレディだから、眠くなんてないんだから!」

 

「でもさっきからずっと欠伸を噛み殺しているんだけどね」

「そっ、そんなことないわよ!!」

 

空母と小型艦ばかりが残った敵艦隊が相手だったとは言っても、誰一人被弾せずに帰ってこれるなんて思ってもみなかった。本当は帰投するまではきっちりと警戒しないと行けないんだけど……今日くらいは駆逐艦のみんなにはのびのびとさせてあげたい。

 

「見てください!きれーな朝日ですよ!」

 

雪風の指さす先には、私たちを包み込むように暖かい色の朝日がのぞいていた。夜を乗り越えたことを称えるように、新しい一日が良いものであることを祈るように。本当に綺麗な朝日だった。

 




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