「 私達は艦娘、と呼ばれる存在です。
深海棲艦から海を守ることの出来る、
唯一の存在と言われています。」
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「 何のこと?って顔をしているわね。
詳しいことはこのファイルに書いてあるから、
これを読んで頂戴 」
そう言って加賀さんはそこそこ分厚い、高校の物理で使っていたくらいの厚さのファイルを渡してくれた。加賀さんの指が触れる。
白い……細くて、でも健康的な指だ。思わずドキッとしてしまう。
「 ああっ、すみません……」
「……気にすることは無いわ。」
「 提督、宜しいですか?」
「 ああっ、ごめん 」
加賀さんとのやり取りに気を取られて大淀さんのことを忘れてた……
「 ファイルな、ファイル……」
深海棲艦だったな……5年ほど前から現れて 世界中の海を支配した正体不明の艦隊…… うーん……前見たアルペジオとの差が分からないな……
ええと……艦娘、艦娘……と……あった。深海棲艦の出現後に現れた、ありし日の艦の魂を持つ存在。最新の兵器でも対抗出来ない深海棲艦に対して対抗出来る唯一の存在……か。
「 つまり、君達がこの海の守り手である訳か。
凄いんだな……」
「 蜜に言えばそうではありません。」
加賀さんは今までの声音をいっそう厳しいものにした。
「 私達は既に、海を失っています。
今、 私達は、海を取り返す立場なのよ。」
加賀さんはこれまであまり表情を出さなかったがこの時、とても悔しそうな表情がその端正な顔に浮かんでいた。
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「 提督、ここが提督の自室になります。」
大淀さんが開けたドアの向こうには、畳が敷かれた、そこそこ広々とした和室があった。と言っても、机とベッド、台所、後は洗面台とトイレがあるくらいで、ものは無かった。
「 提督のお荷物は、明日届くことになっています。
明日のヒトマルマルマルに正門に届きますので」
「 ありがとうな」
荷物って何だ?何も持ってきてないんだが……まあいいか。
「 さて、まだ案内が残っていますので、急ぎま
しょう。」
「 この後何かあるのか?」
「 もちろんです。ここの皆さんに着任の挨拶を
していただきます。ヒトマルマルマルからです
から……あと30分程ですね……
急ぎましょう。」
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「ここが工廠です。私達の装備を開発したり、
艦娘を新しく建造することが出来ます。」
「 ん?艦娘を建造ってどういうこと何だ?
加賀さんも大淀さんも、ぶっちゃけ人にしか
見えないんだけど。」
それは装備を開発することと何か違うのか?
「 と言われましても……確かに艦娘が生まれる
ので、何とも……」
そういうものらしい。
「その他に解体というものもありますが……」
「 解体された艦娘はどうなるんだ?」
「 知らないですね」
大淀さんは首を振った。
「 加賀さんは?」
「私もよく知らないわね。解体される艦は
基本いないものだから。」
まぁ海を取り返すための戦力を、そう簡単には解体しないだろうな。
「!」
「……‼」
「?!!」
……………………………………………………
「 なあ、さっきからこっちを見てるアレが
気になるんだけど。」
そう、なんかちっこい人みたいなのがさっきからこっちを窺っているのだ。 何か言っているようだったが、よく分からない。
「あぁ、あれは妖精さんですよ。」
………………………………は?
「私達の艤装や艦娘の建造は、彼女たちが
やってくれるわ。ただし、どちらも何を作って
くれるのかは、ランダム、と言うより彼女たちの
気分次第ね。」
そう言って加賀さんは、懐から1枚の紙を取り出した。数字が沢山書き込まれている。
「 これは……資材の備蓄表だな……
燃料は分かるが……鋼材、弾薬はわかるが……
ボーキサイトは適当過ぎやしないか?」
「 今までに支障が出たことはないわね。」
「ならいいんだがな。あとこの開発資材とか、
高速修復剤とかって何なんだ?」
「 開発資材は、開発や建造をする時に資源と
一緒に渡す、なんて言えばいいのかしら……
代金みたいなものよ。
高速修復剤は、そのまま。艦娘が傷付いたときに
使えば、たちどころに傷が癒えるわ……」
「 これらはあんまり数が無いみたいだな。
大切に扱わないと」
「 開発資材や高速修復剤は、主に任務を達成した
時に、大本営から配給されます。他にも、ごく希に
遠征に行った子達が拾って来ることもありますが」
「 建造や開発の際にはしっかりと身なりを
整えてから来てください。
妖精さんの機嫌を損ねるわけにはいきませんから」
つまるところ風呂に入って着替えてこいという事か。なかなか厳しいな。
なんておもっていたとこで、さっきから時計を気にしていた大淀さんが呼びかけてくれた。
「 あっ!もう少しでヒトマルマルマルですね。
では行きましょうか、提督。」
……忘れてました。
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