提督。それは異世界から来た高校生   作:屋守 竜

6 / 31
お気に入り追加されている方、
本当にありがとうございます!
励みになります!


提督と夕陽

鎮守府内の廊下は、全面板張り。

 

そのため、靴の音がよく響く。

 

「 はわわっ、司令官さんなのです!」

 

「 これは声をかけるべきだね」

 

「 なんて声をかけようかしら」

 

「 私に任せてちょうだい!」

 

あまり天井が高くないからか、そこに居た駆逐艦

 

の子達の会話もよく響いた。

 

これは……俺から声をかけた方がいいかな?

 

と思った矢先。

 

「 司令官、こんにちは!少しお話しましょ!」

 

栗色の短い髪に八重歯、腕まくり。

 

そしてちっこい。元気。そんな子が走って来た。

 

生前はこんな子が妹に欲しいなと思って…ゴホン

 

それに続いて同じ位の子が3人ぴょこぴょこと。

 

「 司令官さん、ご機嫌ようです」

 

「 ご機嫌よう、司令官 」

 

「ご機嫌ようなのです。」

たしか、もらった資料にここに所属する艦娘の

 

一覧があった。その中で、たしか第六駆逐隊と

 

紹介されていた。電、雷、暁、響だったな。

 

「 こんにちは、どうしたんだ?」

 

「 新任の司令官だからね。どんな人なのか知って

 

おこうと思ってね」

 

そう言って口を開いたのは、ほかの3人と雰囲気が

 

違う、流れるような銀髪の少女だった。

 

そのクールな雰囲気が、その幼い容姿も相まって、

 

妖精のような美しさを醸し出している。

 

「 君が響……だよね。」

 

「 そうだよ。響だよ。その活躍ぶりから、

 

不死鳥の通り名もあるよ。」

 

「 ……響だけズルいわ。暁も司令官とお話

 

したい!」

 

こちらは黒髪のしゃんとした少女、暁。

 

記憶が正しけれは、同じ特型駆逐艦だったはず。

 

「 暁、だよね。宜しく。」

 

そう言ってかがんで目線を合わせる。

 

上から見下ろすのは良くないからな。

 

しかし

 

「 ええ、暁よ!でも、子供扱いしないで!

 

暁は立派なレディなんだから!」

 

!?

 

「 はわわっ!電もお話したいのです!」

 

電と名乗った少女 もとい幼女は、雷とよく似た

 

顔立ちだったが、大人しくて気弱そうだった。

 

それにしても、はわわって……可愛い。

 

「 雷も忘れないでよね!」

 

きゃいきゃい。幼稚園ですか?ここ。

 

「 まあまあ、1人ずつ頼むよ」

 

「 それじゃぁ私からいくよ。」

 

と響。

 

「 そんな!響ずるいわよ!」

 

「 雷ちゃんは少し黙るのです。」

 

電が雷の口を塞ぐ。意外に気が強いのか?

 

「 司令官はこの鎮守府をどうしていきたいと

 

思ってるんだい?あんまり挨拶の時触れなかった

 

だろう。個人的に聞いておきたかったんだ。」

 

俺は少し考える。アレ?どうしたいんだ?俺?

 

よく分からないままここに来たし、なあ。

 

「 まだあまり考えてないな。

 

逆にさ、君達はどうして欲しい?」

 

「 暁は消灯時間をもう少し遅くして欲しいわ!

 

レディだもの。夜更かし位するわ!」

 

うーん、確か消灯は 寮によって違ったよな……

 

駆逐艦だから確か……10時だったな……

 

改て暁を見る。ちょこん。

 

「 大人のレディにも、睡眠は大切だぞ。

 

睡眠は身長を伸ばすし、肌も綺麗にしてくれる」

 

「 そ、そうよね。暁早めに寝ることにするわ!」

 

何たるチョロさ……いや、素直さ……かわゆす。

 

「 他に無いか?」

 

「 司令官、いっぱい私を頼ってくれても

 

いいのよ!遠征の時は呼んでね!」

 

「あぁ、分かった。頼むよ」

 

「 はわわっ!司令官さん!」

 

「ん?どうした?」

 

「 いい鎮守府にしてくださいなのです!」

 

「もちろんだよ。君達も、頑張ってな!」

 

「「「「(`・ω・´)ゝ」」」」

 

4人が去ったあと、廊下には俺ひとりが残った。

 

俺のスクリーンには、彼女たちの敬礼が映って

 

いた。あんな小さい子達まで

 

戦っているのだ。

 

俺は廊下の天井を見つめた。俺に何が出来るのか。

 

艦娘とは何なのか。深海棲艦とは何なのか。

 

何をしてやれるのか。

 

この戦いを終わらせられるのか。

 

………………………………………………

 

いや、雷が言っていたな。

 

「 私を頼ってもいいのよ!」って。

 

そう、誰かを頼ってもいいのだ。

 

そうしてこの戦いを終わらせていけばいい。

 

いつの間にか陽は傾いてきて、窓から差し込む。

 

そして廊下を茜色に染め上げた。

 

そう言えば昔、家の近くに、夕陽の綺麗な場所が

 

あったっけ……ここから見る夕陽も、それに劣らず

 

綺麗だ。夕陽は常に明日を見ていて、俺たちを優しく

 

包み込んでくれる。

 

この日、俺はその夕陽に誓った。

 

必ず、皆守りきる、と。

 

皆が笑顔で、夕陽を見に行ける、その日まで。

 




夏休みが終わります……
こんな夕日を見る季節がやってきますね。
これからもご愛顧宜しく御願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。