今回のお話しは皆さん大好きなATM(アテム)さんのお話しです。遊戯君は残念ながら登場しません。
そして、色々と詰め込んだせいか異常に長い上に表現がくどいです。デュエルはおまけ程度の物を付けときました。楽しんでいただければこれ幸いです。
読んでくれている方がいるかは知りませんが、ナルトの方はもう暫くお待ちください。
武藤遊戯。神のカードと呼称される三幻神≪オシリスの天空竜≫≪オベリスクの巨神兵≫≪ラーの翼神竜≫の三枚を所持するとともにそれらを自在に操り対峙する相手の悉くを退けた男の名である。
並みの人間であれば扱いの難しいそれらを専用のサポートカードすらデッキに組み込まず、一試合に必ずと言っていいほどに三体全てを場に並べることが出来る人物は彼以外には存在しないだろう。
そんな彼にはある秘密が存在している。秘密と言っても別にイカサマをしているという訳ではなく、彼の精神が少し特殊だと言うだけの話しだが。
少し、オカルト染みた与太話と嗤われそうな話ではあるのだが、しかしてこれは彼と彼の仲間達にとっては大事な、とても大切なもう一人の彼のお話しだ。
三千年前のエジプト、そこでとある出来事が起きた。王朝に六神官の一人と盗賊が謀反を引き起こしたのである。
方法は、至ってシンプル。現代におけるデュエルモンスターズの力を現実世界で行使、使役することが出来た古代エジプトの多くの住人はその身に魔物(カー)、あるいは精霊(カア)を宿していた。これを扱い、王朝へと攻勢に出たのである。
当時、魔物をその身に宿した者は悪行に手を染めることが多く、その強大な力を無視できない王朝は特殊な方法で石板(ウェジュ)にそれらを封じることにしていたのだ。(後にこの石板をペガサス・J・クロフォードが発見、デュエルモンスターズの原画となった。)王(ファラオ)を護るために残った五人の神官たちはこの石板を用いて謀反人達を迎撃しようとするも敢え無く敗北を期した。
盗賊と神官の力は凄まじく、王朝は滅びの危機に迫っていた。そこに、十八代目であるファラオが決断を下した。その身と魂。そして記憶を捧げ敵対者の繰り出した≪大邪神≫を自身諸とも封印する事でエジプト、ひいては世界が護られたのである。
三千年後の事、つまり現代の事だ。武藤双六。武藤遊戯の祖父にあたる人物の事だが。彼がまだ若かった頃の話しだ。王家の谷は、ルクソール西岸の枯れ谷の奥深く。エジプト王家の埋葬地へと向かった。双六氏の目的は≪闇のゲーム≫をするためだった。
彼は往年ゲーム好きであった。カードから始まりチェス、カジノ果ては裏賭博に至るまでそれはそれは徹頭徹尾ゲームに人生を掛けて来たと言っても過言ではないほどにゲームを愛していた。ゲームに殺されるのであれば本望であるとも語るほどにだ。
彼と墓荒らしは王墓へと侵入、そこで闇のゲームと呼称される本当の意味を知る事となる。闇のゲームとは参加者の命を賭したゲームなのだ。勝者には栄光が与えられ、敗者には罰、若しくは死が待っている。
功を焦った墓荒らしはゲームに敗れた。双六氏は墓荒らしに銃で肩を撃ち抜かれたものの闇のゲーム自体には勝利することが出来、見事栄光と戦利品である≪千年錐(千年パズル)≫を持ち帰る事となる。
それから年月が過ぎ、双六氏の齢が七十に差し掛かったあたりの事だ。孫である武藤遊戯。彼が双六氏の経営している店番をしている際に埃掛った千年錐(千年パズル)を発見、双六氏から譲り受ける。
紆余曲折ありながらもバラバラになっていた千年錐(千年パズル)組み上げた遊戯は祈った。≪どんな時でも絶対に裏切らない友人が欲しい≫と。その結果なのかは定かではないが彼の精神にある人物の魂を宿す事となったのは事実でありまた、彼の心の支えと成ったのは確かな事である。
その人物を遊戯は兄の様に慕い、もう一人のボクと呼んで大層懐いた。この頃から気弱だった遊戯は段々と彼の後を追うかのように次第に強く成ろうと努力をする事になる。
千年錐(千年パズル)を完成させる際に起きた出来事のおかげで遊戯には友人が出来た。
少し荒っぽく、しかしながら妹思いで友達が危機ならば自分の身を投げ打つ覚悟がある勇敢な少年と、これまた荒っぽく、そして勇敢な少年と同じくらいに正義感を持った少年。お転婆で将来をニューヨークでダンサーをしたいと夢見る少女。彼らは友人であるとともに仲間であった。苦楽を共にして数々の難題を互いに励まし、協力しながら≪絆≫の力でそれらを乗り越えた。
友人はライバルへと変わり、対等な存在だと認め合うが為に競い合った。時は進み、ライバルは次第に増えていき大舞台へと移行した。
競う者達。優劣を決めるという事は当然の事ではあるが、脱落するものも存在する。そんな彼らの意志を継ぐべく負けられない戦いを挑み続けた。
数多くのライバルと戦い、蹴落とし、勝ち上がる遊戯。親友である勇敢な少年は惜しくも敗退してしまったが、彼の有様をしかと胸に刻み込み大舞台最後の決戦へと繰り出した。
対峙する相手は因縁深い人物であった。嘗て、双六氏が友人から受け取った大切なカードである≪青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)≫を無情にも引き裂いた男がその人物であった。彼は自身の家の力を用い世界に四枚しか存在しないそのカード三枚を手中に収め、デュエルモンスターズのルールの一つである。同名カードはデッキに三枚まで入れても良いというルールを世界でブルーアイズを扱える者は自身のみだと主張したいがために傲慢にもその様な愚考を実行に移してしまったのだ。
当初はそんな卑劣極まりない男ではあったが、彼にもそんな事をしてしまったそれ相応の理由は存在していた。とは言え、どれ程の理由があれどその様な行為は断じてしてはいけないのだが。
もう一人のボクである遊戯と対峙するうちに段々と彼の心が開いていった。たった二人の家族である弟と巨大な会社を経営するその手腕は途轍もない重責が圧し掛かるものだ。彼は彼自身として存在するために己を律し、常に弱音を吐かず凛として威風堂々を体現するかのように頂点に君臨し続けた。
神をも恐れぬその姿はまさしく覇者と云えるだろう。遊戯との決着を付けんがために男は自身の全てを掛けた戦いを挑む。対する遊戯も男の変化を快く思っており、対等なライバルで有り続けるために全力で真っ向からソレを受ける。
結果として遊戯の勝利であった。あと少し、と云うところまで追いつめた男だったが惜しくも遊戯の方が一歩上を行った結果である。
斯くして大舞台は幕を降ろし、世界に武藤遊戯の名を刻み込むに至った。
記憶。本来の主人格である遊戯がもう一人のボクと呼ぶ人物には記憶がなかった。否、より正確に言うのであれば遊戯達と出会う以前の記憶が無かったと言った方が適切か。
彼は己が何者であるのかを知りたかった。何故自身は記憶を喪ってしまったのか。どうして、自身には自前の肉体が存在していないのか。ありとあらゆる疑問が絶えず頭の中をぐるぐると廻っていた。
そんなある日の事だ。エジプトから≪墓守の一族≫を名乗る人物と出会った。彼らが云うには遊戯が所持する神のカードと千年錐(千年パズル)が記憶の鍵となっている可能性があると云う。彼らを信用し件の鍵を使用する為、扉にあたる石板が丁度この童実野町の美術館に来ている事を告げられた遊戯達はすぐさま向かい、もう一人の遊戯の記憶を取り戻すために三千年前のエジプトへと意識を飛ばす事となる。
目を覚ましたもう一人の遊戯は自身がエジプト王(ファラオ)であった事に大層驚愕した。それもその筈、武藤遊戯の裏人格として数年を過ごした自身が王族である等と、質の悪い冗談としか思えなかったのだ。
その後は歴史をなぞるかのように時が進む。盗賊が王宮に押し入り、王宮を守護する六神官が対処しようとするも賊の持つ魔物(カー)が強力無比の化け物だったために敗北を期すこととなる。しかしそこで遊戯は三幻神が一柱≪オベリスクの巨神兵≫を呼び出し此れを捻じ伏せる。這う這うの体で逃げる賊と神の招来に歓喜する神官達の姿がそこにあった。
遊戯の過去。それは役割を演じるロールプレイングゲームであった。無論、唯のゲーム等ではない。≪闇のゲーム≫だ。それも己が命と世界を賭けたデスゲームである。彼の≪本当の名前≫を取り戻すことが出来れば遊戯の勝ち。しかし、取り戻すことが出来なければ破滅の未来が待ち受けている事になる。
対峙するは、遊戯と同じ様な存在を身に宿すクラスメイトの少年。彼もまた≪千年アイテム≫の保有者にして裏人格は先述した盗賊をその身に乗っ取られる形で都合の良いように扱われていた。
戦いは熾烈を極めた。盗賊が駆る魔物は神を下した事により更に力を得、通常の精霊では太刀打ちできない存在と化していたためである。加えて、七つある千年アイテムが盗賊側に渡ってしまい災厄の大邪神が蘇ってしまったのだ。
ただでさえ盗賊の操る魔物が強力である上に邪神までもが蘇る最悪の自体。しかして遊戯並びに神官らはその絶望的と云っても過言ではない状況下に於いても誰一人として屈しようとはせず最終局面へと移行していく。
その最中記憶の世界へと入り込むことが出来た主人格の遊戯とその仲間達一行は裏人格であるもう一人の遊戯の本来の名前を探していた。王墓、ソコに本当の名前が刻み込まれていると同行者である墓守の者から聞かされ墓内の最深部へと足早に駆ける。
道を阻む罠。盗賊の分霊。遊戯は仲間と共に彼自身の力でそれらを乗り越え終に彼の真の名にたどり着く。
大邪神の暴虐に晒され次々と倒れていく仲間達、そんな彼らの思いを無駄にしないためにも遊戯は立ち上がり大邪神と戦う。……が、使役する精霊の力の差が開き過ぎ遊戯は膝を地に着ける事になる。
倒れていく身体。挫けそうになる心。寸での所で支える者が現れた。遊戯に似た少年だ。彼の相棒にして最も信頼するパートナーであり、もう一人の自分と呼んで自身を兄のごとく慕ってくれる少年。
大邪神から遊戯を護ろうと現世から来た少年たちは彼の前に整然として並び、立ちはだかった。デュエルモンスターズを用いて彼らのエースである黒衣の魔導士、真紅の瞳を持つ黒龍を呼び覚ますと同時敵である大邪神へと総攻撃を仕掛けた。
結果として、彼らのエースモンスターを以ってしても大邪神は倒れることはなかった。それどころか全員纏めて冥府へと送ってやると大邪神は狂笑を上げながら最大の攻撃を仕掛けるべく異形の腕を遊戯達へと向けてソレを放った。
一陣の風が遊戯達の脇を通り抜ける。ソレは大邪神の攻撃から身を挺して護る為に飛び出した仮面の男(墓守の同行者)であった。彼は少年たちに遊戯の本当の名を伝えろと残し、その身に攻撃を受け消失する。
≪アテム≫ソレが武藤遊戯の、千年錐(千年パズル)に封印された彼の本当の名前。ヒエログリフで描かれていたために遊戯達は読むことが出来なかったが、文字の形のみは覚えていた。ソレをアテムが持つカルトゥーシュ(首飾り)に刻むことで真実の名を告げることが可能になったのである。
――――封印が解かれた。同時に遊戯の持つデュエルディスクから三幻神のカードが飛び出し、宙に浮かび上がる。再び招来する三柱の神。しかし以前とは違い王の名の封印が解かれたアテムは三幻神を束ねることによりその真の姿を現せた。
大邪神が闇であるとするのならば神は当然対極に位置する存在。それ即ち光という事になるのだろう。束ねられた神々は金色(こんじき)の光に包まれた女神へと姿を変える。
光の創造神。ソレが三幻神の合わさった真なる姿。白金色の機械的ともとれる神々しくも冷たく、そして暖かな光に包まれた女神は一瞬にして闇(大邪神)を焼き払った。
呆気の無い物であった。拮抗も、足掻きも無く。ただ、ソレが当然の事であるかのように実にあっさりと滅してしまったのだから喜びよりも驚愕の感情が湧き出てくることは仕様のないことであろう。
ゲームに勝利したアテム。記憶の世界から現世へと戻った彼らは最後の試練へと向かう。場所はエジプト、冥界の神殿。
最初で最後の武藤遊戯と武藤遊戯(アテム)の戦いが始まる。…………遠く、前を走り続ける彼の背を追い続けた少年は彼を越えるべく己の全力を尽くす。
賽は投げられた。後に残るのは後悔か、それとも……。
武藤遊戯にとってアテムという存在は憧れであった。彼は往年引っ込み思案な性格であり、苛めを受けていた時期もあった。そんな彼だからこそ自身に絶対の自信を持ちソレに似合った実力を持ち合わせるアテムの有様は羨ましく、そして輝かしいものと遊戯の目には映っていた。
常に自身の数歩先を走り続けるアテム。細く険しい道を必死になって追いかける自分。届きそうで、しかし寸での所で勢いよく走り去ってしまう。遊戯にとってアテムの背中は遠かった。どれ程努力をしても届かないのではないかと考えたことは一度や二度では済まない。
そんな彼との最初で最後の本気の勝負。遊戯は武者震いを我慢しきれなかった。自身が勝てば、アテムは未来(来世)へと進む。逆に負けてしまえば彼は此処に留まるのだ。……正直に云って遊戯は迷っていた。彼を慕う人物が自身以外にも存在したことが原因だった。
真崎杏子(まざきあんず)遊戯の幼馴染みにして遊戯が想いを寄せる少女であった。彼女は遊戯に恋慕の情を抱いていた。しかしてソレは、武藤遊戯本人に向けられた想いではなく遊戯の内に存在する≪アテム≫に向けた感情であった。
人の心に臆病なほどに敏感な遊戯は彼女の気持ちを察していた。叶わぬ恋。しかし、自身が負けアテムがこの世界に残ればその恋は成就するかもしれない。と無益で余計な考えが脳裏を過る。
けれど。それはやはり駄目だろう。杏子やアテムに対して不誠実で失礼な事であるし、増してや手を抜いてアテムとは戦いたくはない。彼は自身の目標であり、壁で有り、追いつき、越えたいと願い続けたチャンスが漸く廻って来たのだ。
――――勝ちたい。どれだけ彼に追いつけたのか、試したい。
純粋な想いと彼に残っていて欲しい想いと。彼に先へと進んでいて欲しい想いが遊戯の中で合わせ混ざる。想いを込め、彼との決闘(デュエル)の為自身が持てる最高のデッキを創り上げる。
闘い(たたかい)の儀。アテムを本来存在するはずの冥界へと送り出す為の最後の試練。
ウジャト眼から光が放たれ遊戯を照らす。一つだった影が二つに別れ、光が収まると遊戯が二人、対峙して存在していた。
――――決闘(デュエル)。
アテムは開始早々に三幻神全てをフィールドに呼び出す。圧倒的な展開力、しかし遊戯は防戦に回らず、神の持つ特殊能力を逆手に取り神々を撃破する。
その後、遊戯と共に歩んできたモンスター達による一進一退の攻防が始まる。
徐々に終わりに近づくデュエル。互いのライフは同数の200。ここでアテムが逆転のカードを使用できなければ、遊戯の勝利が確定する。
遊戯が発動させた≪天よりの宝札≫のカード効果によりドローした五枚のカードの内から一枚を抜き取りデュエルディスクに叩きつけるアテム。
使用したるは≪死者蘇生≫効果を発動しオシリスを蘇生させ、勝利を確信するアテム。……が、ここで遊戯が発動していたカードの封印が解き放たれる。
≪封印の黄金棺≫この棺の中に封じられたカードは互いに使用できなくなるという効果を持っている。遊戯が封じたカードは当然、≪死者蘇生≫のカードであった。
死者の蘇生を禁ずる。深読みに成ってしまうが、ソレはアテムとの決別を意味すると同時に、死者の魂が現世に留まっていてはならない。というメッセージとも受け取ることが出来る。
アテムの死者蘇生の発動は不発。効果は処理されない。つまりは、オシリスの蘇生は成されなかった。
後は語るまでも無いだろう。遊戯がアテムとの決着を付け、アテムは冥界の扉を潜り、本来あるべき場所へと帰って行った。ただ、それだけの話しだ。
それから、一年が経過する。童実野高校を卒業した遊戯は旅へと出ることを決意し、世界を廻った。
その最中、ペガサス・J・クロフォードから呼び出しが掛る。何でも、至急一年前の闘いの儀を行ったエジプト王家の谷まで来て欲しいとお呼びが掛かったのだった。
用件は不明であったが、急ぎ空港へと向かいエジプトへと発つ遊戯。着いた先に待ちかねた様子のペガサスが遊戯を迎え入れる。
彼の話しを聞くと冥界の神殿を再発掘している最中、ペガサスの経営するインダストリアルイリュージョン社でカードデザイナーをしている女性の息子が行方不明になり、捜索していた所その少年を目撃したという証言をする作業員の信じられない話しを聞き、ソレを実際に行った結果一枚の巨大な石板を発見し、意識を失った少年も同時にそこで発見されたのだ。
作業員の俄かには信じられない話しを簡単に説明すると、行方不明になった少年が独り言を呟きながら墓内のとある石板に触れるとまるで石板など無いかのようにすり抜けて、そのまま奥へと進んで行ってしまったのだそうだ。何故、少年が意識を失っていたのかは不明だが、武藤遊戯を呼べと言ったのはその少年だと云う話しだ。
「はじめまして」そう言って差し出された右手を握り返し、何故自身を呼び寄せたのかと少年を問い詰める。
少年は、自身の身に起こった話しを遊戯に一言一句正直に話し始める。
母親の仕事を見学している最中に誰かの声を繰り返し、何度も聞いた少年はソレが気になり、原因を突き止めてやろうと声がする方向へと歩いたそうだ。
声が明確に近くなった場所はエジプト王家の墓内。ここから段々と声が聞き取れるようになってきたのだそうだ。
声が云うには、相棒に逢いたい。危険を知らせなければならない。とひたすらに誰にともなく救援信号の如く同じことを繰り返し発していた。
正義感は人並み程度には持っていると自負する少年は、その声の主をどうにかして相棒とやらに会わせてやろうと思案した。結果、少年は入り口を巧妙に石板でカムフラージュにし隠した部屋にたどり着く。
そこには一枚の巨大な石板が安置されていた。後光が差し、鷹の仮面を被った人型の絵画が鎮座していた。思わず、その壮大さに驚きと嘆息をして石板に触れた。
すると、少年の意識が途切れ、再び気が付くと一面真っ暗な場所に漂っていた。暫くして、件の謎の声の主が姿を現した。
その人物の姿に驚く少年。なぜならば、姿を現した人物がかの有名な武藤遊戯に瓜二つでありエジプト衣装を身に纏っていたが為だ。
混乱する頭をどうにか宥めすかして遊戯?と会話を始めた。彼の話しを聞くと相棒、つまりは武藤遊戯にどうしても会わなければならない事。そして、世界に何れ崩壊の危機が迫る事を伝えなければならないと語る遊戯。
幽霊の与太話だと否定することも一考に有ったが、彼の真剣な表情と真摯な態度。それと神々しさに気圧され、彼の望みを叶えるべく遊戯を呼びつけたのだという。
遊戯は少年の話しを聞き、居ても立っても居られなく成るほどに感情が爆発した。もう一人のボクが呼んでいる。早く行かなくちゃと一人焦る遊戯。
少年も青ざめた表情と歓喜の表情を同時に浮かべる遊戯に何かを感じ取ったのか、遊戯を石板の安置された場所までの案内を買って出る。
再び墓内。巨大石板が安置された場所には既にペガサスを始めとした作業員達が集結していた。
案内をしてくれた少年は着いた瞬間に母親に見つかり、見咎められ説教を受けていた。そんな少年に感謝と謝罪を目線と心の中で送り、巨大石板に目を向ける。
そこで、遊戯の両の瞳が大きく開かれることとなる。石板に描かれていたソレは細部こそ違えど、嘗てアテムの記憶の世界で登場した光の創造神であった。
よろよろとゆっくりとした歩調で石板の前までたどり着くと遊戯は恐る恐る、石板に手を触れた。
「久しぶりだな、相棒」そんな、懐かしむかのように、慈愛に満ち溢れた笑顔を浮かべるアテムが彼の前に薄らと姿を見せた。
アテムが冥界への扉を潜るとその先で光の創造神が待ち受けていた。彼女は彼に予言を告げ、彼の少なからぬ未練を晴らすが為に再び現世へと送り返す様に取り計らったそうな。
しかし、千年錐(千年パズル)を含む七つの千年アイテムは全て崩落に巻き込まれ、器として固定すべき存在がない事が発覚する。
なければこれから創るしかないと光の創造神たる御力を使用し、彼女の分霊として彼女の欠片を埋め込んだ石板に彼の魂を収める。
その後は、少年が話した通り約一年の間、発掘の時を待ち望み周囲に声を投げかけ続けたという訳である。
光の創造神は何れ、自身の石板がカードとなる事を予見しその精霊としてアテムを宛がった。当然創造神の予見通り、彼女がカード化される事になり、その所持者が武藤遊戯に成る事は自明の理であった。
彼女のカードが再現されることにより、再び三幻神のカードもペガサスによって描かれることとなる。しかしながら、神の持つ特殊能力が大幅に弱体化したことは予想外の自体であったが。
これも、冥界の神殿同様恐らく自身たちを扱う事の出来るファラオの役目が終わったことに起因しているのだろうと予想を付けた。
斯くして、武藤遊戯はアテムという掛け替えの無い存在と三幻神を再び取り戻し、新たなる力を手に入れた。
時間が進む。
遊戯とアテムの橋渡し役と成った少年の名は小波遊人と云った。彼の両親は有名なイラストデザイナーとプロデュエリストであった。絵に描いた様な暖かな三人家族で彼らを知る者から羨ましがられる位には幸せな家庭であった。
遊戯は彼らをたびたび尋ね、遊人や彼の父である遊一との未だ公開されていない≪新しい≫デュエルに胸躍らせた。
噂を聞きつけた彼の友人やライバルも入り浸る様になり、より一層賑やかになっていく小波家。
新概念である特殊召喚。ソレを考案したのが小波和美。詰まる所遊人の母親であった。彼女はインダストリアルイリュージョン社に勤務しており、ペガサスも一目置く程のセンスと発想力を併せ備えている。
また、アテムの器と成っている≪光の創造神 ホルアクティ≫は彼女がイラストレーターとして描いたモノだ。
まだまだ、新概念を正式に発表することはできないが試験的に小波家では使用することが可能であるためにいち早く環境に慣れておきたい遊戯とアテムは≪特別な日≫を除きほぼ毎日と言って過言ではないほどにカードと睨めっこをしている。
更に時が流れて小波遊人のデュエルアカデミア本校入試試験後。
「いやぁ、それにしても珍しい精霊が憑いてたっスね?」
「ん?嗚呼、彼の事か。そうだな確かにここいらでは見たことがない精霊だったな」
「拾った時にちらっと見たっスけど≪ユベル≫ってカード名だったっス」
「ユベル……新しいカードか、一度手合せを願いたいな」
「本当に遊戯さんはデュエル好きっスよね。頭の中がデュエルで埋め尽くされてるんじゃないかってくらいデュエル脳っス」
「なっ!遊人だって俺と変わらないくらいにデュエル馬鹿じゃないか」
「心外っス!オレがデュエル馬鹿なら遊戯さんは……」
気心の知れた二人は周りに人がいるにも拘らず大きな声で互いの悪口を交し合う。そこで、遊人が遊戯の弱みを思い出したかのように意地の悪い笑みを浮かべた。
「そう言えば、今日はどうして≪遊戯さん≫が表に出ているっスか?もしかして……杏子さんとデートの約束でもしてるんスかねぇ?」
「な、ななななにを言っているのか分からないなぁ。遊人君一体全体どうしたんだい?」
「口調が崩れてるっスよ遊戯さん。ソレに、別に隠さなくったってもう皆知ってるっスよ?」
上ずった声に、額から流れる汗。誰が見ても動揺を隠しきれていない遊戯はアタフタとしながら否定するも完全に照れ隠しであることがバレバレである。
「いや、だから。遊戯さんと杏子さんが……」
小波が遊戯に止めを刺そうとした所で近くの公園から悲鳴が上がる。女性の声だ。それも、先ほどから話題に上がっている。遊戯と親しい女性。真崎杏子の声だった。
「杏子ッ!」と叫び一目散に最速の速度で駆ける遊戯。普段素直に成れない彼はここぞという時に普段の冷静な姿をかなぐり捨てるのだ。
「全く、本当に素直じゃないっスね」
やれやれと首を振り、自身も知らない中ではない彼女の身に何があったのかと急ぎ公園へと足を運ぶ。
「杏子ッ!無事かッ!?」
人垣を掻き分け、問題が起きていると思われる中心へとたどり着いた遊戯。そんな遊戯に安堵した杏子は一つ深呼吸をして遊戯に事情を説明する。
曰く、杏子が遊戯とのデートの約束していた広場にある時計台へと向かう最中≪ナンパ≫に絡まれてしまったのだそうな。ソレを止めようと勇気を出して盾になる様にして杏子の前に小学生位の小柄な少年がデュエルを申し込んだそうだ。
ここまでは良かった。しかし、相手は二人。提案してきたルールはタッグデュエル。勇敢にも立ち上がった少年とともにデュエルディスクを借りてデュエルをする杏子。
しかし、相手が悪かった。対峙する相手はどうやら昔大会でベスト8に残る程度の実力を持っていたらしかった。以前よりはデュエルを経験したとは言え未だ素人から脱却していない杏子は少年の足を引っ張ってしまう。
結果。敗北を期すこととなる。見た目がチンピラだからと云って油断した事は事実。アンティールールだと云って少年からデッキを奪うチンピラ。
これで問題ないよな?と杏子の肩に手を掛けるもう一人のチンピラ。そこで杏子が悲鳴を上げ、急ぎ遊戯が颯爽と登場したという訳だ。
遊戯は苛立ちに苛立っていた。ソレはもう、突如として休火山が爆発寸前の活火山に変わるくらいには激怒していた。そこへのんきにやってきた遊人はある程度の事情を察した。と同時に、嗚呼。またかと呆れとも諦めともとれる表情を浮かべる。
「オイ、デュエルしろよ。俺が勝ったら杏子とその子のデッキを返せ」
デュエルディスクを掲げ、チンピラにデュエルをしろと催促する遊戯。アノ武藤遊戯の登場。ソレに湧く野次馬達。デュエルを申し込まれたチンピラ達は周囲の雰囲気が変わった事に気付くも、変わらず強気な態度を崩さない。
「ハッ、俺達がどうしてテメェとデュエルしなけりゃなんねぇんだよ?」
「そうだぜ、もうデュエルは終わりだ。俺達は此れからソコの可愛い娘ちゃんとお楽しみ何だよぉ……げへへ」
欲望が透けて見える男の気味の悪いねっとりとした視線を受けその身を震わせる杏子。その姿を見た遊戯の怒りのボルテージは振り切ってもなお止まらない。
「ッ!……条件は貴様達に決めさせてやる。お前らが勝てば、此れをくれてやる」
デッキから三幻神のカードを取り出し、チンピラに魅せつける。更に湧く野次馬と少しはやる気になったのか舌なめずりをするチンピラ。
「仕方ねぇなぁ……よし、良いだろう。特別だデュエルしてやるよ」
「んだんだ、可愛い娘ちゃんはコイツに勝ってからのお楽しみにするぞぉ」
「そうだな……条件はタッグデュエル、KC(海馬コーポレーション)が最近指定した≪タッグフォースルール≫をベースとする。そして追加条件としてお前らが≪バトルフェイズに入らない事≫をプラスするぜ。アンタ、≪デュエルキング≫ならそれくらいの事は出来るよなぁ?」
「嗚呼、それで良いんだな?分かった。それでいこう」
「何だ。詰まらねぇもっと動揺してくれても良いんだぜぇ?」
「御託は良い。さっさと始めろ」
「とは言ってもよぉ……テメェのタッグのパートナーが見当たらねぇぞ?」
「オイ、いつまで野次馬に混ざっているつもりだ。……遊人、早く来い」
野次馬と一体になって眺めていた事に気が付いていた遊戯は怒りで口元を引き攣らせながら静かに小波の名を呼ぶ。
「えー、でもどうせ遊戯さんだけでも勝てる相手っスよね?じゃあオレ要らないんじゃないかなぁって……ハイ、スンマセンっス」
やりたくないなぁとぼやきながらノロノロと遊戯の隣に並ぶ小波。やる気満々の遊戯とだらけきっている遊人。対照的な彼らを見てチンピラはゲラゲラと汚い笑い声を上げる。
「遊人。やる気を出さないと後で≪アレ≫殺(や)るからな?」
「ハイっス!殺る気超出て来たっスよ!早くデュエル開始しましょうっス!」
「テメェもルールは知ってんだろうな?テメェらどちらも≪バトルフェイズ≫に入る事はできねぇんだぞ?よくもまぁこんな消化試合に参加する気に成るもんだなぁ」
「御託は良いってさっきから云ってるっス、早く始めるっスよ!」
『デュエルッ!』
チンピラA&B LP8000
小波&武藤ペア LP8000
「先行は俺からだ、ドローッ!」
チンピラA 手札5→6
「うっし、手札から≪ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者-≫を攻撃表示で召喚ッ!続けて専用魔法カード≪ドラゴンを呼ぶ笛≫を発動するぜぇ!手札のドラゴン族モンスターを二体特殊召喚ッ!」
≪ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者-≫
効果モンスター
星4/闇属性/魔法使い族/攻1200/守1100
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
フィールド上のドラゴン族モンスターを
魔法・罠・効果モンスターの効果の対象にできない。
≪ドラゴンを呼ぶ笛≫
通常魔法
フィールド上に「ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者-」が
存在する場合、手札からドラゴン族モンスターを2体まで特殊召喚する。
龍の頭骨を被ったマント姿の魔法使いがカードから実体化する。その男が懐から金色の龍を模った笛を吹き始めるとチンピラが持つ手札に異変が起こり、その二枚のカードをフィールドへと誘う。
現れたのは全身を蒼で彩られた細身の西洋のドラゴン。≪エビルナイト・ドラゴン≫そしてもう一体。エビルナイトとは対照的などっしりとした重量級の三本角が特徴的な≪トライホーン・ドラゴン≫が早々にして現れる。
≪エビルナイト・ドラゴン≫
通常モンスター
星7/闇属性/ドラゴン族/攻2350/守2400
≪トライホーン・ドラゴン≫
通常モンスター
星8/闇属性/ドラゴン族/攻2850/守2350
「まだまだぁッ!手札から≪強欲な壺≫を発動!デッキから二枚ドローっ!」
チンピラA 手札1→3
≪強欲な壺≫
通常魔法
自分のデッキからカードを2枚ドローする。
「くははッ!もう一枚だぁ!≪ドラゴンを呼ぶ笛≫を発動ッ!≪ラビードラゴン≫≪エメラルド・ドラゴン≫を特殊召喚ッ!」
≪ラビードラゴン≫
通常モンスター
星8/光属性/ドラゴン族/攻2950/守2900
≪エメラルド・ドラゴン≫
通常モンスター
星6/風属性/ドラゴン族/攻2400/守1400
再び、マント姿の龍魔導士は慣れた手つきで笛を吹く。現れるはかのブルーアイズには若干劣るものの、その攻撃力の高さは早々越えられない白の龍。そしてもう一体は、かの有名なレッドアイズと同等の力を持ちながらにしてその名を示すかのようにエメラルドグリーンで染まったドラゴン。
「オイオイ、どうしたよ?まさかこの程度でビビっちまったりはしてねぇよなぁ?デュエルキングさんよぉ?」
嘲笑い、見下し、勝手に失望するチンピラ。そんな彼に遊戯は憐れみの情を抱きつつ、口を阿呆の様にして呆れた表情を浮かべる遊人にくすりと笑いを零す。
「チッ、先行はバトルフェイズに移行できねぇ……ターンエンドだ」
チンピラA 手札0
場 ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者- エビルナイト トライホーン ラビー エメラルド・ドラゴン
伏せカード0
KC社から公表されたタッグフォースルール、ソレはチームを組んだプレイヤー同士のLP(ライフポイント)を共有し0になった時点で勝敗が決まるという普通のシングルデュエルとは違った味方の足を引っ張らない様にすることが極めて重要に成ってくるデュエル。
フィールドは互いに共有。モンスター、トラップマジックはそれぞれシングルと同じく五枚。そして今回の場合の順番は敵→味方→敵→味方→敵……とループする。
「はぁ……オレのターン、ドローっス」
小波遊人 手札5→6
「手札からマジックカード≪強欲な壺≫を発動させるっス。二枚ドローして≪溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム≫二体を相手フィールド上のモンスターを生贄にして特殊召喚するっス。続けて≪トーチ・ゴーレム≫を相手フィールドに特殊召喚。この際にオレのフィールド上にトーチトークンを二体特殊召喚するっス」
≪溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム≫
効果モンスター
星8/炎属性/悪魔族/攻3000/守2500
このカードは通常召喚できない。
相手フィールド上のモンスター2体をリリースし、
手札から相手フィールド上に特殊召喚できる。
自分のスタンバイフェイズ毎に、自分は1000ポイントダメージを受ける。
このカードを特殊召喚するターン、自分は通常召喚できない。
≪トーチ・ゴーレム≫
効果モンスター
星8/闇属性/悪魔族/攻3000/守 300
このカードは通常召喚できない。
このカードを手札から出す場合、自分フィールド上に「トーチトークン」
(悪魔族・闇・星1・攻/守0)を2体攻撃表示で特殊召喚し、
相手フィールド上にこのカードを特殊召喚しなければならない。
このカードを特殊召喚する場合、このターン通常召喚はできない。
ドラゴン達を溶岩の波が襲う。溶かされ、ドロドロに成っていくドラゴンからコポコポと気泡が立ち始め次第にソレは檻を胸にぶら下げた炎の魔神と成ってチンピラのフィールド上に現れる。
溶岩の波のおかげで出来た場所が突如としてひび割れ、その中から灰色の巨人が這い出して来る。ソレは遊人のフィールドでも小規模ではあるが起こっていた。灰色の巨人をミニマムサイズにしたゴーレムが二体這い出してきたのだ。
チンピラA&B
場 ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者- ラヴァ・ゴーレム×2 トーチゴーレム
遊人&遊戯
場 トーチトークン(攻)×2
「オイオイ、テメェ一体全体どういうつもりだぁ?オレのモンスターを減らすかと思えばそうでもねぇみたいだし……嘗めてんのか?」
「煩いっス、プレイを続行。カードを四枚セットしターンを終了するっス」
遊人 手札0
場 トーチトークン(攻)×2
伏せカード4枚
「なんだか解らないけどチャンス何だなぁ!ドローッ!」
チンピラB 手札5→6
「よし、手札から……」
「待つっス!メインフェイズに入る前にコイツらの効果を発動させて貰うっスよ!≪溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム≫の効果発動ッ!更にチェーンしてトラップ発動!≪覇者の一括≫効果により相手はこのターンバトルフェイズを行えないっス!そして、ラヴァ・ゴーレム二体の効果処理で2000のダメージを受けて貰うっス!」
チンピラA&B LP8000−1000×2→6000
≪覇者の一括≫
通常罠
相手スタンバイフェイズで発動する事ができる。
発動ターン相手はバトルフェイズを行う事ができない。
「くぅー、仕方がない≪電動刃虫(チェーンソー・インセクト)≫を召喚ッ!≪一角獣のホーン≫を電動刃虫に装備して≪愚鈍の斧≫をラヴァ・ゴーレムに装備!カードを一枚セットしてターンエンドぉ!」
突き出た口が電動鋸に似た昆虫は機械的なフォルムをしており、威嚇をするように武器である口を高速回転させる。
≪電動刃虫≫ATK2400+700→3100
≪ラヴァ・ゴーレム≫ATK3000+1000→4000
≪電動刃虫(チェーンソー・インセクト)≫
効果モンスター
星4/地属性/昆虫族/攻2400/守 0
このカードが戦闘を行った場合、ダメージステップ終了時に
相手プレイヤーはカード1枚をドローする。
≪一角獣のホーン≫
装備魔法
装備モンスターの攻撃力・守備力は700ポイントアップする。
このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、このカードをデッキの一番上に戻す。
≪愚鈍の斧≫
装備魔法
装備モンスターの攻撃力は1000ポイントアップし、効果は無効化される。
また、自分のスタンバイフェイズ毎に、
装備モンスターのコントローラーに500ポイントダメージを与える。
チンピラA&B LP6000
場 ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者- ラヴァ・ゴーレム×2 トーチゴーレム 電動刃虫
伏せカード1枚
装備カード2枚 一角獣のホーン 愚鈍の斧
「エンドフェイズにリバースカードを発動させるっス!≪サイクロン≫でその伏せカードを破壊してもらうっス!」
「どうして、お前は俺の邪魔ばかりするかなぁッ!?ターンエンドッ!」
≪サイクロン≫
速攻魔法
フィールド上の魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。
チンピラA&B
伏せカード1→0
静かに、黙してして居た遊戯が動く。デュエルディスクに手を持って行き、一閃。まるで居合でもするかのように勢い良くカードを引き抜いた。
遊戯 手札5→6
「来たか……先ずはリバースカードを発動させる。永続トラップ≪洗脳解除≫発動。遊人のカードたちを返してもらうぞ」
≪洗脳解除≫
永続罠
このカードがフィールド上に存在する限り、自分と相手の
フィールド上に存在する全てのモンスターのコントロールは、
元々の持ち主に戻る。
チンピラA&B
場 ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者- 電動刃虫
遊人&遊戯
場 トーチトークン(攻)×2 ラヴァ・ゴーレム×2 トーチゴーレム
伏せカード1
溶岩魔神は地を這りながら、灰色の巨人は軽やかな動きで自身の主である遊戯の下へと舞い戻る。
「ハッ、忘れてんじゃあねぇだろうな?テメェらは≪バトルフェイズ≫に入ることができねぇんだぜ?態々ダメージソースを持って行くなんてとんだマゾ野郎だなぁテメェはよぉ……くははっ」
「何を勘違いしている?このターンでお前たちを倒すと云っているんだ。これはその為の布石、元よりルールを破るつもりなど毛頭ないさ」
「ハァ?攻撃宣言すら出来ないくせに俺達を倒すだぁ?寝言は寝て言うもんだぜぇ、デュエルキングさんよぉ?」
「もう、語るまでもない。実際に魅せてやるよ。本日、世界初公開だ。よくその腐った眼に焼き付けておけ……場の三体のモンスターを生贄に捧げ、≪ラーの翼神竜≫を召喚ッ!」
≪ラーの翼神竜≫
効果モンスター
星10/神属性/幻神獣族/攻 ?/守 ?
このカードは特殊召喚できない。
このカードを通常召喚する場合、自分フィールド上の
モンスター3体をリリースして召喚しなければならない。
このカードの召喚は無効化されない。
このカードが召喚に成功した時、このカード以外の
魔法・罠・効果モンスターの効果は発動できない。
このカードが召喚に成功した時、ライフポイントを
100ポイントになるように払う事で、
このカードの攻撃力・守備力は払った数値分アップする。
また、1000ライフポイントを払う事で
フィールド上のモンスター1体を選択して破壊する。
太陽。金色の球体が空からゆっくりと降りてくる。ソレは呼び出されたことにより鼓動を開始し始め、本来の姿へと形を変える。鷹だ。金色の神々しい鷹が遊戯の眼前に舞い降りる。
「続けて、手札よりマジックカードを発動。≪ワン・フォー・ワン≫効果によりモンスターカードを墓地に送り、デッキから≪レベル・スティーラー≫を特殊召喚。此れで、再び三体の生贄が揃った。≪二重召喚(デュアルサモン)≫を発動し、三体のモンスターを生贄に捧げる。現れよ≪オベリスクの巨神兵≫」
≪ワン・フォー・ワン≫
通常魔法
手札からモンスター1体を墓地へ送って発動できる。
手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する。
≪レベル・スティーラー≫
効果モンスター
星1/闇属性/昆虫族/攻 600/守 0
このカードが墓地に存在する場合、
自分フィールド上のレベル5以上のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターのレベルを1つ下げ、
このカードを墓地から特殊召喚する。
このカードはアドバンス召喚以外のためにはリリースできない。
≪二重召喚(デュアルサモン)≫
通常魔法
このターン自分は通常召喚を2回まで行う事ができる。
≪オベリスクの巨神兵≫
効果モンスター
星10/神属性/幻神獣族/攻4000/守4000
このカードを通常召喚する場合、自分フィールド上の
モンスター3体をリリースして召喚しなければならない。
このカードの召喚は無効化されない。
このカードが召喚に成功した時、魔法・罠・効果モンスターの効果は発動できない。
このカードは魔法・罠・効果モンスターの効果の対象にできない。
このカードは特殊召喚した場合エンドフェイズ時に墓地へ送られる。
自分フィールド上のモンスター2体をリリースする事で、
相手フィールド上のモンスターを全て破壊する。
この効果を発動する場合、このターンこのカードは攻撃宣言できない。
大地が割れ、蒼の巨神兵がその姿を現す。対峙する者を圧倒する体躯。巨大な身体に見合う筋肉質な肉体。まさしく巨神兵という名を体現している。
「そして、最後のリバースカードを発動させる。≪死者蘇生≫カード効果は言わずとも解るだろう。墓地より、≪オシリスの天空竜≫を特殊召喚させる」
≪オシリスの天空竜≫
効果モンスター
星10/神属性/幻神獣族/攻 ?/守 ?
このカードを通常召喚する場合、自分フィールド上の
モンスター3体をリリースして召喚しなければならない。
このカードの召喚は無効化されない。
このカードが召喚に成功した時、魔法・罠・効果モンスターの効果は発動できない。
このカードは特殊召喚した場合エンドフェイズ時に墓地へ送られる。
このカードの攻撃力・守備力は自分の手札の数×1000ポイントアップする。
相手モンスターが攻撃表示で召喚・特殊召喚された時、
そのモンスターの攻撃力を2000ポイントダウンさせ、
攻撃力が0になった場合そのモンスターを破壊する。
遥か上空から紅と黒の空の王者が現れる。長い身体をとぐろ巻きにして鎮座するオシリス。
「う、嘘だ。あり得ない。何故、そんなに楽々と重量モンスターをぽんぽんと出せるッ!?」
「デッキを信頼し、仲間を想う心が有ればこそだ。……今、此処に三体の神が揃った。三幻神を束ね、その力を解き放て……≪光の創造神 ホルアクティ≫ッッッ!」
≪光の創造神 ホルアクティ≫
効果モンスター
星12/神属性/創造神族/攻 ?/守 ?
このカードは通常召喚できない。
自分フィールド上の、元々のカード名が「オシリスの天空竜」
「オベリスクの巨神兵」「ラーの翼神竜」となるモンスターを
それぞれ1体ずつリリースした場合のみ特殊召喚できる。
このカードの特殊召喚は無効化されない。
このカードを特殊召喚したプレイヤーはデュエルに勝利する。
三体の神が一つに成る。眩い黄金の光が辺りを包み込んだ。顕現するは白金の女神。彼女は両の腕を敵対者へと翳し、嘗てと同じように焼き払った。
「……≪光の創造神 ホルアクティ≫は召喚された時点で勝利が決まる絶対の特殊勝利ルールだ」
「ま、負けた。この俺が?バトルフェイズすら行われず……ただ、一方的に。」
有利すぎる条件からの敗北、その衝撃に放心するチンピラ。余りに気の毒なその姿に野次馬から歓声がかかる。
「凄かったぞーアンタも!」
「あの武藤遊戯に神のカードを使わせたんだ、十二分に頑張ったよ!」
励ましの言葉が胸に突き刺さり、今までの自身が途轍もなく醜くそして、情けなく感じた男達。杏子と少年に謝罪をすると遊戯に向けて礼を云った。
「ありがとう。アンタのおかげで大切なことを思い出せたよ。俺達ももう一度始めからやり直してみることにするよ」
「嗚呼、今度は仲間とデッキがアンタの信頼に応えてくれるさ。頑張りな」
「そうだと良いな。コイツともう一度向き合って見ることにするよ。それじゃあ、あばよ」
遊戯から背を向け歩き去っていく男たちは憑き物が取れたかの様に以前よりも清々しい表情を浮かべながら人ごみの中へと消えていった。
「はぁ……疲れた。此れ一体何回目っスかね?オレは二桁行ってから数えるのを辞めたせいで正確な数字を覚えてねぇんスけど……」
「ん?26回目位じゃあなかったか?」
「26回も同じようなことしてたらいい加減にして欲しいと思っても仕方がないっスよね?」
「む、何だその杏子が≪ナンパ≫に絡まれると面倒な事になるみたいな言いぐさは?」
「事実っスよね?ソレ。……まぁ、それはそうとして無事でよかったっスよ杏子さん。それと君も」
労いの言葉を掛けつつ男たちから取り戻したデッキを手渡す。
「どうも」とぶっきら棒に返しながらに受け取る野球帽を目深に被った少年に既視感を覚えながら、杏子さんの様子を見る……見ることを辞めた。そりゃあ、彼氏(遊戯)とラブラブ甘々な桃色空間を創り上げていたら見たくなくなるだろう。特に独り身なら尚更だ。野次馬が冷やかしを入れるも当人たちには聞こえておらず、野球帽の少年は興味津々な表情を帽子で隠しながらチラチラと見ていた。
何だこれ、だからやりたくなかったんっスよ……本当に素直じゃないっス遊戯さん。普段からそうしていれば…………いややっぱりさっきの台詞はキャンセルで。
あんなのが会うたびに続くとかやってらんねぇっスよ。……さて、バカップルはもう大丈夫だろうから馬に蹴られぬ内に今度こそ帰るっス。