こんなの常識外れだ!でもそれが「テイルズ学園」 作:シラハネ
ピオニー学園長の急な提案の午後の教室。
1年3組の担任、ジェイド先生が話し出す。
「さて、文化祭の出し物を決めましょうか」
「何で学園長はあんなにいい加減なんだよ……」
「それでこその学園長ですから」
「誇らしげに言うことじゃねえよ!」
早速ロイドがジェイド先生に突っ込む。
文化祭の発表がされたのは午前。常識では考えられないことだ。
「2、3年生はもう出し物を決めて準備も始めていますよ」
「マジかよ!?」
「1年以上この学園で生活したのだから、並大抵のことはもう気にしないとのことです」
「文化祭をいきなり行うって決定は並大抵のことじゃないぞ!?」
ルークも負けじと突っ込む。別にロイドと勝負をしているわけではないのだが。
「過去にどんなことがあったんだ?」
「ハロルド先生の実験で性別が変わったり、体が小さくなったり。
ピオニー学園長は去年は準備期間2日で体育祭を行いましたね」
「この学園、まともな先生の方が少なくないか!?」
ロイドはこの学園の教室陣に呆れる。すると、出し物を考えていたジュードが発言する。
「出し物か……。定番のお化け屋敷なんてどうかな?」
「お、お化けなんて非科学的なものいないわよ!」
「自分達で演じるんだから関係ないよね?」
「……とにかく反対!絶対に反対よ!」
ジュード案、リタの猛反対により不採用。
「それなら、喫茶店なんてどうだ?」
「チェスター君、それナイスアイデア~。
俺様が店員をやればもう大繁盛間違いなしだぜ~」
「ゼロス、俺もいるんだぜ。【色男】の称号を持つロニ様がな」
スケベ2人はチェスターの案に大賛成のようだ。
因みにロニに、【色男】という称号はないです。
「バカ2人は放置しましょう。しかし、喫茶店は良いかもしれませんね」
「ルドガーがいるからな」
「料理や飲み物に問題はないもんね」
ミラとレイアの話を聞いてルドガーは頬を赤らめる。
「アタシも手伝うわよ」
「先生!喫茶店は止めよう!」
「そうですね」
アーチェが発言した瞬間、チェスターがすぐさま廃案要求をする。
ジェイド先生もさすがに、病院送りが出てはいけないと判断したようだ。
「え~、俺様ガッカリ」
「ゼロス、アーチェの料理を食べるのですか?」
「……遠慮します」
ゼロスも命は惜しいようだ。
「じゃあさ、演劇は?」
「と言いますと?」
カイルの提案にジェイド先生が耳を傾ける。
「このクラス、個性的な人が揃ってるからどうだろうって」
「ふむ、悪くはないですね。皆さん、どうですか?」
「別にいいんじゃないかな」
カイルの提案にシンクが賛成する。
「うん、面白そうだね」
「よし!やろうぜ、演劇」
ジュードとロイドも賛成して、他の生徒も賛成していく。
「では、このクラスは演劇ということで決定にします」
「皆、頑張ろうぜ!」
『おおっ!』
1年3組の文化祭の出し物は演劇に決まった。
「ではルーク、この書類を生徒会長まで提出してきて下さい」
「何の書類だ?」
「文化祭のこのクラスの出し物についての書類です」
「いつの間に作ったんだよ?」
「カイルの案にシンクが賛成した時に作り始めて先ほど完成しました」
「作るの早過ぎじゃね?」
ルークの指摘通りだが、ジェイド先生は特に気にしていない。
他の生徒も無関心で、この程度のことでは驚かないようだ。
「それじゃ、行ってくるよ」
そう言ってルークは教室から出て行く。そして生徒会室。
「失礼します……。って何だこの空気!?」
「うるせえな。静かにしろ」
「ユーリ!ごめんね。気にしなくていいから」
生徒会で書記のフレンがルークに謝る。
今の生徒会室は、副会長のユーリがいかにも不機嫌だというオーラを
教室に放ちながら仕事をしている。ルークが叫ぶのも無理はない。
「それで、何か用事があったんじゃないのかい?」
「あ……クラスの出し物が決まったので書類を提出しに来ました」
「ありがとう。確かに受け取ったよ」
フレンは書類を受け取りユーリの机に置く。
その瞬間、ユーリの負のオーラがまた膨れ上がる。
それを見たルークはこれ以上関わりたくなかったのだろう。
挨拶をして生徒会室を出て行った。
「フレン、これは嫌がらせか?」
「普段サボってたんだから因果応報じゃないかな」
「ドジっちまった……」
「戦闘不能ボイスは必要ないから」
何とも言えない会話が繰り広げられる。
「だいたい、君は書類に2種類の印鑑を押すだけじゃないか。
僕は全ての書類の点検をするのが仕事なんだぞ」
「その書類の枚数が多いんだろうが!
控えにも会長印と副会長印を押してんだ!もう200は押したぞ!」
「僕は文字しか見てないんだ。印鑑よりずっと大変だよ」
フレンの最後の一言にユーリは納得がいかず、ある提案をする。
「そこまで言うなら仕事を交換してみようぜ」
「時間の無駄だよ。ユーリのことだから4、5枚で飽きて適当になるさ」
「……このまま続けるか」
ユーリは否定出来る自信がなく仕事に戻る。
すると会長のリッドが生徒会室に戻って来る。
「おっ、ちゃんとやってるな」
「会長、仕事は終わったんですか?」
「ああ。だから散歩に行って……」
リッドが言い終わる前にユーリとフレンが素早く動く。
「行くぜ、フレン!」
「ああ!」
「ちょっ……お前ら何を」
「「はああぁぁ!!」」
「決める!見せてやろうぜ!」
「「貫け!武神双天破!」」
「そこまでするか!?ぐわあぁ!」
ユーリとフレンは協力秘奥義をリッドにぶつける。
「逃がしませんよ、会長」
「まだまだ働いてもらうからな」
その後、3人は一生懸命働いていた。
1人が逃げようとしたら、残り2人が止める形だったらしいが。
フレンはずっと止める側だったが。
ここで再び場面は変わり、1年3組の教室。
「行ってきたぞ」
「おっ!お疲れ、ルーク!」
「よそ見してていいの、ロイド?蒼破刃!」
「うおっ!?」
「ぐふっ!」
カイルが放った風の刃がルークに直撃する。
因みに2人とも真剣ではなく木刀を持っている。
真剣だったら銃刀法違反なので当然だが。
「何やってんだよお前ら!」
「「演劇の主人公は俺がやる!」」
「ジャンケンでいいじゃねえか!あと、教室で技使うな!」
ルークの叫びも届かず、2人の争いはヒートアップしていく。
「魔神剣!」
「当たらないよ」
「痛っ!」
ロイドの放った衝撃波の1つが、偶然カイルの後ろにいたリタに当たる。
「悪い、リ……タ?」
「万象を為しえる根源たる力……」
「皆、逃げろー!」
ルークが叫び生徒は教室の外に飛び出す。
しかし、ロイドとカイルは教室から出してもらえない。
「太古に刻まれしその記憶!我が呼び声に応え今此処に蘇れ!」
「ドア開けてよ!」
「俺達を閉じ込めるな!」
「自業自得だ!」
ルークの一言には異様な説得力があった。
おそらく最初に巻き添えを受けたからだろう。
「エンシェントカタストロフィ!」
「「ぎゃあぁ!!」」
これだけの騒動にも関わらず、教室が壊れないのは謎である。
「そういえば、演劇は何をやるんだ?」
「桃太郎」
「童話かよ!」
シンクの返答にルークは思い切り突っ込む。
主人公争いの過激さから、もっと派手なものだと思っていたのだろう。
「因みに、第2候補は浦島太郎だったよ」
「第3候補は?」
「金太郎」
「太郎にこだわりでもあるのか!?」
「最終候補は田〇太郎」
「誰だよ!てか、それ何だ!?伏せ字してまでやりたいのか!?」
「コ〇コ〇コミックで連載していた漫画」
「それ、演劇したかったのか!?」
「どうでもいいけど、演劇が桃太郎って決まった時から桃が食べたいと思ってるよ」
「本当にどうでもいいな!夕食に出るのを祈ってろ!」
ルーク怒涛の突っ込み。お疲れ様である。そして、シンクがボケるのも中々珍しい。
「とりあえず教室入ろうぜ。静かになったしよ」
「そうだね。慣れないボケ役は大変だよ」
「無理してボケる必要ねーよ!」
息を切らしながらルークは教室の戸を開ける。
「岩斬滅砕陣!」
「魔神連牙斬!」
「げふっ!」
教室に入った直後、岩の破片と、衝撃波がルークを直撃する。
「さっきはよくも閉じ込めてくれたな、ルーク」
「おかげで酷い目にあったよ」
「事の発端はお前らだろうが!」
反論は聞く耳持たないという勢いで2人はルークに襲い掛かる。
さすがのルークも堪忍袋の尾が切れたようだ。
「もうどうなろうが知ったことじゃねえ!こうなったら暴れてやるぜ!」
「やってやる!」
「勝ち残った1人が演劇の主役だ!」
3人は木刀を構え、戦闘を開始する。その様子にクラスメイトは呆れ果てている。
「何でこうなるかな~」
「若気の至りってやつだろ」
「うわっ!チェスター、高齢者みたい」
「あんだと!?」
「頭と一緒で中身も衰え始めてるのね~」
「体も中身も成長してねえ奴に言われたかねえよ」
「何よ!」
「何だよ!」
なぜか別の所でも喧嘩が始まってしまった。
とは言っても、アーチェとチェスターの喧嘩は日常茶飯事なのだが。
「こんな調子で演劇なんて出来るのかな……」
「まあ何とかなるんじゃないの~」
レイアの呟きにパスカルが気楽そうに答える。
「とりあえず、あのバカ3人を止めるぞ」
「じゃ、アッシュ君よろしく~」
「ふざけるな!」
「あれあれ~?ひょっとして、アッシュ君ビビっちゃってる?」
「そんな訳あるか!」
「それならさっさと止めてきなよ」
ゼロスの挑発にアッシュは乗ってしまい、自ら逃げ道を失う。
それを見逃さずシンクが追撃の言葉を放つ。
言い逃れ出来ないアッシュは、渋々3人の戦闘のど真ん中に立つ。
「お前たち、少し落ち着け」
「邪魔をするなアッシュ!」
「そこをどけ!」
「主人公は俺がやるんだ!」
3人は全く話を聞こうとしない。それによってアッシュがブチ切れる。
「いい加減にしやがれ!周りのことを少しは考えろ!」
「「「うるさい!黙れ!」」」
説得も上手くいかず、ますますヒートアップする主人公争い。
その様子にアッシュも我慢の限界が訪れたようだ。
「もう泣いても許してやらねえ……。徹底的に叩き潰してやる!」
「やれるもんならやってみろ!」
止めるはずのアッシュもなぜか参戦してしまう。
「何やってるのよアッシュは」
「止める側だったのにね・・・」
マルタとカノンノも呆れ果てる。
教室に入ろうとは誰1人思わず、皆が廊下で待機している。
「こんな時にジェイド先生はどこ行ったんだよ?」
「用事が出来たって帰ったよ」
「何だと!?」
「ロニ寝てたからね。知らないのも当然だよ」
そこまで大袈裟に驚く必要もないが、何とも間の悪いことだろうか。
「そろそろ終わらないかな~。この勝負」
「終わらせてもいいならやるわよ?」
「じゃよろしくね~、リタ」
飽きた様子のパスカルを見たリタがこの戦闘に終止符を打つようだ。
教室に入って行く。
「どうしたんだよリタ?」
「危ないから出てってよ」
「天光満つる所に我はあり……」
一瞬戦闘を中断したが、すぐに戦いに戻ったため、4人は詠唱が聞こえていない。
「黄泉の門開く所に汝あり……」
「何かマナが集まってないか?」
ロイドが異変に気が付き、4人は戦闘を中断する。
「出でよ!神の雷!」
「ヤバい!3人とも、教室から出るんだ!」
「リタ、落ち着いて!」
ロイドとカイルが説得するが全く無意味。リタは止める気配を見せない
「これで終わりよ!インディグネイション!」
『ぎゃあぁぁ!!』
神の雷が教室に落とされ、戦闘は強制終了となった。
安全を確認した生徒たちが入って来る。
「リタ、お疲れ~」
「それにしても、この学校の設備ってどうなってるの?」
ジュードが疑問が持つがそれは当然である。
あれだけ激しく暴れていたにも関わらず、教室は無傷。
机や椅子も散らかってはいるが破損した物は1つもないのだ。
「そういうことは気にしたら負けだよ、ジュード」
「うん、意味がわからないかな」
シンクの返答にジュードは冷ややかに突っ込む。
「結局、主人公はどうなるのだ?」
「「「俺だ!」」」
「俺は元々やる気はない」
ミラの問いにアッシュは3人とは違う答えだった。
「リタが決めたら~?」
「何でよ?」
「この戦闘終わらせたのリタだもん」
パスカルの提案にリタは乗り気ではない。
しかし、候補の3人はそれで構わないという表情なので、リタは渋々決める。
「……じゃ、ルークが主人公」
「「何でだよ?」」
当然、ロイドとカイルは納得がいかず質問する。
「最初の争いがなかったら、こんな騒ぎにならなかったからよ。自業自得」
「「そんなぁ~」」
2人はうなだれる。色々あったが主人公はルークに決まった。
最初は止める側だったのに何とも不思議なことだ。
「お前ら派手にやったな~」
「ピオニー学園長?何で騒動を知ってるんだ?」
「全教室に監視カメラがあるからな。ちゃんと記録もあるぜ」
ロニの問いにピオニー学園長が答えた瞬間、クラス全員が凍り付く。
先程の騒ぎがジェイド先生に知られたら、お仕置きは確定だからだ。
「その映像、ジェイド先生に見せるんですか?」
「さすがに今回は暴れすぎだからな。当然見せるぞ」
「……見逃してくれませんか?」
「自業自得だな。諦めろ」
カイルが見逃すよう要求したが、ピオニー学園長でも今回は見逃せないらしい。
翌日、映像を見たジェイド先生によるお説教と、秘奥義がお見舞いされた。
「結局、主人公は誰になったのですか?」
「「「俺だ!」」」
「誰なのですか?」
「「ルークです」」
ふざけたロイドとカイルだが、
ジェイド先生がマナを集中させていたので正直に答え直した。
「それでは、適当に頑張っていきましょうか」
こうして、1年3組の文化祭が幕を開けた。
ロイド「いよいよ本格的に文化祭が始まったな」
ルーク「何で俺がツッコミ役に……」
ロイド「アビス本編で、ボケのアッシュ、ツッコミのルークで有名だったじゃないか」
ルーク「そんなの知らねえけど!?て言うか、何でお前がアビスのこと知ってんの!?」
ロイド「察してくれ。大人の事情なんだ」
ルーク「お前まだ未成年だろ!」
ロイド「まあ、ツッコミ役頑張ってくれよ」
カノンノ「文化祭編はあと、2話か3話で終了の予定みたいだよ」
マルタ「それじゃあ、あとしばらくはルークがツッコミ役なんだね」
カノンノ「今までツッコミキャラって誰だったの?」
マルタ「固定はされてないけど、強いて言うならシンクだと思うよ」
カノンノ「そうだったんだ」
ルーク「ツッコミって大変なんだな」
シンク「アビス本編で散々ツッコミをしてるのに何を今さら」
ルーク「俺はそういう立ち位置だったのか……」
シンク「大丈夫だよ。文化祭が終わってもルークは多分ツッコミ役になるから」
ルーク「全く大丈夫じゃねえんだけど!?」
シンク「目指せ!ツッコミの王!」
ルーク「目指さねえよ!」
カノンノ・マルタ「「次回もよろしくね!」」
ルーク・シンク・ロイド『(勝手に終わらされた……)』