こんなの常識外れだ!でもそれが「テイルズ学園」   作:シラハネ

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あとがきにお知らせがあります。


第12話

過激な主人公争いの翌日。ある者は台詞を覚え、

またある者は舞台の道具を作り、着々と文化祭に向けて準備をしている。

 

「ガイ、桃太郎って主人公だよな?」

「当然だろ。何言ってるんだ、ルーク」

「何で台詞が少ないんだ?多分500文字もないぞ」

 

ルークは台詞の少なさに驚く。

主人公なのだから、もっと出番が欲しいということだろう。

 

「大丈夫だ。本番はアドリブを加えるって、シンクが言ってたぜ」

「加えること分かってるなら最初から台本に書けよ……」

「アドリブを初めから知られてたら面白くないから嫌なんだとさ」

「個人の気持ちに振り回される主人公があってたまるか!」

 

ルークは今回も激しく突っ込む。そして台本を床にたたき付ける。

 

「おっ、メンコの練習か?」

「お前までボケるな!何で今メンコの練習すんだよ!」

「冗談だよ。まあ、本番はルークの主人公の技量が試されるってとこだな」

「俺、普通に演劇するだけでいいんだけど!?」

「無事に終わったら、【ツッコミキング】って称号をやるよ」

「いらねえよ!」

 

どうやら、1年3組のメンバーは普通に演劇をするつもりはないようだ。

 

「なあルーク、【ツッコミキング】の称号、いらないならくれないか?」

「やるよ!主人公の座は譲らないけど称号なら今すぐやるよ!」

「一応、この小説の主人公は俺、ロイド・アーヴィングなんだけどな」

「演劇の方だよ!」

 

さすがに突っ込みすぎたのか、言い終わるとルークは肩で息をし始める。

 

「悪い。少し休憩する」

「まだ何もしてないじゃないか」

「ツッコミに疲れたんだよ!」

 

そう言ってからルークは座り込み、クラスを見渡す。

すると、ものすごく小さい作り物の桃が視界に入る。

気になったルークは、それを作っていたカノンノの元に向かう。

 

「カノンノ、この桃は何だ?」

「練習で作ったの。上手く出来てるでしょ?」

「そうだな。異常に小さいけどいい出来だな。」

 

ルークの指摘通り、桃は異常に小さい。縦横とも約20㎝くらいしかないのだ。

 

「大丈夫だよ。これは練習で作っただけだから。本番で使う桃の設計図、見せようか?」

「ああ、頼むよ」

「はーい」

 

カノンノは自分の机に向かう。

そして、1枚の紙を取り出してから、ルークの元に戻って来る。

 

「はい、どーぞ」

「どれどれ……って、でかっ!桃太郎どんだけ入れる気だよ!?」

 

桃の設計図は、先程の小さいのとは対称的で異常に大きかった。

縦横のサイズがともに5mの設計だったのだ。

 

「やっぱり大きすぎたかな?」

「ああ、この大きさなら5人入っても余裕だぞ」

「うーん、じゃあ50㎝の方がよかったのかな」

「中間の大きさにしようって発送はないのか!?」

「それなら、縦横2000mmくらいでいいかな?」

「……ああ、いいんじゃないか?2mくらいだし」

 

2mもまだ少し大きい気はするが、疲れのためか適当に流した。

5mよりはマシなのだろう。

休むつもりが逆に疲れたルークだった。

再びクラスを見渡す。すると、アーチェとチェスターが何か話している。

 

「ちょっとちょっと!何でアタシがお婆さん役なわけ!?」

「適任だったんじゃないのか?」

「喧嘩売ってんの?」

「アーチェ、ちょっと来て下さい」

 

いつも通りに一触即発というところで、ジェイド先生がアーチェを廊下に呼び出す。

 

「お婆さん役、納得がいきませんか?」

「当たり前でしょ」

「引き受けてくれたならば、今学期の理科の評点を5にしようと思ったのですが……」

「仕方ないわね~。やってあげるわよ」

「ありがとうございます」

 

成績に釣られたアーチェ、最初の不満そうな顔とは真逆の顔で教室に戻って来る。

 

「何だよ。やる気になったのか?」

「頑張っていくわよ~」

「何があったんだ?」

 

アーチェの一変した態度に戸惑っているチェスターに、シンクが話し掛ける。

 

「チェスター、予想してると思うけど、お爺さん役よろしくね」

「何でだよ!?予想なんて全くしてないぞ!」

「読みが甘かったね。まあ、頑張ってね」

「ふざけんな!」

 

チェスターの文句を全く聞き入れず、シンクは別の生徒の所に行ってしまった。

 

「チェスター、頑張りなさいよ~?適任みたいだし」

「やってられっか!俺は降りるぞ!」

「チェスター、ちょっといいですか?」

 

先程のアーチェ同様に、チェスターもジェイド先生に廊下に呼び出される。

 

「何だよ?俺は絶対にやらねえぞ」

「残念です。もし引き受けてくれたならば、今学期の理科の評点を……」

「評点を?」

「1にしようと思ったのですが」

「絶対にやらねえよ!その条件でやる奴なんていねえよ!」

 

チェスターすごく正論。

この条件ならば、100に聞いても引き受ける人は誰1人いないだろう。

 

「それでは、引き受けないと評点を1にします」

「脅迫じゃねえか!」

「あなたに選択肢はありませんよ?」

「どっちを選んでも評点は1だもんな!」

 

アーチェの時とは全く逆の態度のジェイド先生。

おそらく、チェスターを弄って楽しんでいるのだろう。

 

「あなたは絶対に適任だと思っていたのですが」

「……何でだよ?」

「デコのハゲ具合がピッタリじゃないですか」

「「その発言、取り消しやがれ!」」

「アッシュ、どこから沸いて出たのです?」

「人をゴキブリみたいに言うんじゃねえ」

 

ジェイド先生の発言にアッシュも反発。

教室にいたにも関わらず、デコハゲには敏感に反応する。普通に凄い。

 

「とりあえず、俺は教室に戻るぞ」

「あなたを呼び出した覚えはありませんが?」

「戻るぞ?」

「構いませんよ」

「本当に戻るからな?」

「ご自由にどうぞ」

「いいんだな?」

「エナジーブラスト!」

「ぐふっ!」

 

中々戻ろうとしないアッシュをジェイド先生は強引に教室に戻す。

 

「さてチェスター、お爺さん役お願いしますね」

「さっきから断ってるだろうが!」

「狩りの腕、料理、他にも色々と適任な部分があっての推薦だったのですが?」

「……そうか」

「アーチェを抑止する能力も評価しているのですが」

「ああ」

「演劇が成功したら理科の評点に加味しようと考えていたのですが……」

「仕方ねえ。やってやるよ」

「ありがとうございます」

 

ジェイド先生の褒め言葉にチェスターはお爺さん役を承諾する。

先程までの険悪な空気が嘘のようだ。チェスターは教室に戻る。

 

「アーチェ、頑張っていくぞ」

「何?どうしちゃったの?」

「何でもねえよ」

「(ジェイド先生、あの2人に何を言ったんだ?)」

 

2人のやる気の姿勢にルークは少し驚いたが、すぐにジェイド先生の仕業と気が付く。

その直後、ルドガーがルークに話し掛ける。

 

「疲れてるみたいだな、ルーク」

「クラスにこんなにもツッコミ所があるなんて思ってなかったぜ」

「ハハハ……」

 

ルークの返答にルドガーは苦笑いで答える。

 

「ルドガー、ちょっとこっち手伝ってよ」

「分かった。じゃあ頑張れ、ルーク」

 

ジュードに呼ばれ、ルドガーはルークの元から去る。

 

「ルーク、ちょっと来てくれ」

 

ロイドに呼ばれ、ルークも移動する。

 

「どうしたんだよ?」

「真面目な質問だからな?決してボケじゃないからな?だから、怒らずに聞いてくれ」

「何かあったのか?」

「アーチェ、ジェイド先生、マルタ、誰のきびだんごを食べる?」

「レイディアント・ハウルと、ロスト・フォン・ドライブ、どっちがいいか答えなロイド」

 

きびだんごの料理人にまともなのが1人もいない。ルークも命は惜しいのでロイドを脅す。

 

「まずは理由を聞いてくれよ、ルーク」

「……何でそんな人選なんだよ?」

 

ルークはロイドの話を聞こうと耳を傾ける。

 

「最初はアーチェの予定だったんだ」

「最初の時点で明らかに人選ミスだな」

「仕方ないだろ。お婆さん役がアーチェなんだから」

 

きびだんごを作るのはお婆さん役の人だ。

その点ではロイドは間違っていないだろう。

 

「アーチェは仕方ないとしとく。で、何で他の2人が候補になったんだよ?」

「くじ引きで決まったんだよ」

「1回引いてもいいか?」

「もちろん構わないぜ」

 

ルークはくじの入っている箱に手を入れる。そして、1枚を取り出す。

 

「えっと……ナタリアだな」

 

完全にハズレくじである。

もう1回!と、ルークは再び箱に手を入れ、紙を取り出す。

 

「フレン先輩……」

「ルーク、くじ運悪いな~」

「……ロイド、箱の中を見るぞ?」

 

ロイドの返答を待たず、ルークは箱の中の紙を全て出す。

それと同時に、ロイドの顔が青ざめていく。

 

「リフィル先生、ハロルド先生……」

 

箱の中は、まともな料理人の名前が1人もいなかった。

全員が料理に関しては、危険な人ばかりだ。

安全なきびだんごが作られるとは考えにくい。

 

「ロイド、これはどういうことだ?」

「どうせなら派手な舞台にしようと思ってな」

「きびだんごを食べるのは俺だぞ?他人事だと思いやがって……」

「実際、他人事だしな」

「響け!集え!全てを滅する刃と化せ!ロスト・フォン・ドライブ!」

「ぎゃあぁぁ!!」

 

ルークも我慢の限界が訪れ、全身全霊を込めて秘奥義を放つ。

 

「親友に秘奥義を放つのかよ……」

「親友に嫌がらせをした奴の言うことか?」

「ルーク、俺の分も生きろよ……」

「お前のせいで1週間後に生きてられるか不安なんだけど!?」

 

今回のルークは本当に多忙だ。何せ、台詞のほとんどがツッコミだ。

 

「ルーク、桃太郎って何で一刀両断されずに産まれたんだ?」

「……お婆さんが器用だったんじゃないのか?」

「今回のお婆さん役はアーチェだぜ?」

「主人公役、譲ろうか?ロイド」

「それじゃ頑張ってくれよ、ルーク」

 

ロイドは言うだけ言ってから、その場を素早く立ち去る

ルークは演劇が終わった時に、生きているか果てしなく不安になった。

そして、偶然近くにいたカイルに話し掛ける。

 

「カイル、主人公役を譲ろうと思うんだけど」

「アーチェに両断されたくないから断るよ」

「そうなると決まったわけじゃねえよ!」

「とりあえず頑張ってね、ルーク」

 

カイルに譲ること失敗。どうしようか迷っていると、ガイが寄って来る。

 

「ルーク、ちょっといいか?」

「どうしたんだよ、ガイ」

「お前の服のサイズを測りたいんだ。来てくれ」

「(もう引き返せないな……)」

「ん?どうしたんだよ?」

「いや、何でない。行こうぜ」

 

ルークは覚悟を決めたようだ。ガイと一緒に採寸をしているロニの元に向かう。

 

「おっ、来たなルーク」

「頼むよ、ロニ」

 

ルークが頼むと、ロニはメジャーを使って素早く採寸を始める。

 

「……Sじゃないな」

「当たり前だろ。何言ってんだよ?」

「やっぱりMか」

「小さいだろ」

「いや、性格のことだ」

「性格かよ!?メジャーとか使ってた時間は何だったんだよ!?」

「あれはブラフだ」

「意味が分からねえよ!」

 

どこに行ってもツッコミに回るルーク、

お疲れ様である。確かに性格はSではないが。

 

「悪い、冗談だよ。Mってのは器の大きさだ」

「どっちにしろ嫌だよ!」

「待てよ……。器ならSか?」

「ふざけんなよ?」

 

ルークの鬼のような表情を見て、ロニは真面目に採寸をする。

そして測り終わると、1枚の紙をルークに渡す。

 

「サイズは書いておいたぜ。後はロイドに渡してくれ」

「分かった」

 

ルークは早速ロイドの所に行く。

 

「おっ!採寸は終わったのか?」

「さっき秘奥義受けたのに元気だな」

「父さんと比べたら、ずっとマシだからな」

「お前、クラトス先生からどんな仕打ち受けてんの!?」

「寮生活になる前は、

寝坊したらジャッジメント、遅刻したら帰宅後に秘奥義とか、そんな感じだったな」

 

ロイドの話を聞いてルークは遠い目になる。

 

「まあいいや。紙を渡してもらってもいいか?」

「ああ、よろしくな」

「任せとけ!思い切りダサ……カッコイイデザインにするからよ!」

「今ダサいって言いかけたよな!?」

「ナンノコトデショウカ?」

「棒読みだな、おい」

 

ふざけてはいるが、ロイドもやる時はしっかりする人物だ。

その点はルークもしっかり理解している。

 

「そういえば、シンクが今回の演劇を結構仕切ってるよな」

「アイツは副監督兼ナレーターだからな。因みに総監督はジェイド先生な」

「そういうことだったのか」

「他にも色々あるけど、ルークはクラスで最下層だぜ」

「何で!?」

「主人公だからだろ?」

「さも当然のように言うな!主人公の扱い酷くね!?」

 

いつの間に階級制度のようなものが出来たのだろうか。

至る所でルークはツッコミの才能を発揮している。

 

「ルーク、【ツッコミプリンス】の称号はお前のものだな」

「欲しいって一言も言ってないぞ!?そして、キングじゃなくプリンスかよ!」

「プリンスはキングの一歩手前だな。キングは演劇を成功したら無事に獲得だ」

「いや、別にいらねえけど!?」

 

ルークは【ツッコミプリンス】の称号を手に入れた。

 

そんなこんなで日は過ぎ、1週間はあっという間に経った。

ツッコミに振り回されたルークだが、練習は全員が真面目に行った。

いよいよ次回は文化祭だ。

 




ユーリ「ボケ役が多すぎだろ、1年3組……」

フレン「ルークも災難だよね」

ユーリ「シンクがツッコミ放棄したから、1人で全部ツッコミ入れてるもんな」

フレン「文化祭編では、ルークがほぼ全てのツッコミを請け負うらしいよ」

ユーリ「ご苦労なこった」

フレン「文化祭編はある意味ルークが主役だしね」

ユーリ「ルーク、頑張れよ~」

フレン「文化祭が終わるのは次回か、次々回になるよ」

ユーリ「ああ。そろそろ新キャラが出て来てもいい頃だしな」

フレン「新キャラとの交友で、1話使うかどうかで終わりが決まるみたいだよ」

ユーリ「文化祭での新キャラのリクエストをされても、悪いが受け付けないからな」

フレン「代わりに、文化祭終了後に登場させる新キャラのリクエストを行うよ」

ユーリ「詳しいことは、活動報告に掲載しておくからそれを見てくれ」

フレン「それじゃ、今回はこれで終わりにするよ」

ユーリ・フレン「「次回もよろしく!!」」
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