こんなの常識外れだ!でもそれが「テイルズ学園」   作:シラハネ

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またしても更新が遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。
不定期更新になってしまっていますが、目標はあくまで月1話です。

それでは第16話です。


第16話

いつもと変わらず、平和なテイルズ学園。

停学になってもおかしくないくらい騒いでいる彼らも、一応は学生だ。

そこで、今回は彼らの1日の授業の様子を覗いてみよう。

 

「今日の数学も疲れたよな」

「飯も食ったし、あとは体育だけか」

「今さらだけど、本当に偏った時間割だよな」

 

会話をしているのは、ロイドとゼロスだ。時間割に関しては、第2話を参照である。

 

「それにしてもロイド君、俺様ってすごい久しぶりの登場じゃない?」

「俺に言われてもなぁ…」

「ゼロスさんの登場回数が少ない訳はですね……」

 

突如現れたのは藤林すず。忍者である。

 

「理由を知ってるのか?」

「はい」

「てゆーか、何で知ってるのよ?」

「だって私、忍者ですから」

「「(どういうことだ?)」」

 

言葉通りの意味である。忍者は万能なのだ。……多分。

 

「ゼロスさんの登場回数が少ないのは、本人に問題があるからです」

「ちょっとそれどういう意味よ。容姿は完璧。学力も充分な俺様に何の問題があるのよ?」

「その点は問題ありません。惚れはしませんが」

「俺様落ち込むよ?」

 

ゼロスは同情を求める顔をするが、すずは気にせず話し続ける。

 

「ゼロスさんは喋らせると、耳に迷惑です」

「俺様が喧しいのが原因な訳?」

「そういうことです」

 

2人が話していると、ロイドが意見を述べる。

 

「ゼロスって、黙っていればカッコイイのにな」

「はい。惚れはしませんが」

「すずちゃん。俺様に恨みでもあるの?」

「人気投票で順位が高いことなんて気にしていませんよ」

「ロイド君だって高いじゃんかのよ」

「だって主人公ですから」

「うわーん!俺様ぐれてやる!」

 

すずに言いたい放題言われたゼロス。さすがに少しは同情しよう。

 

「とりあえず、グラウンドに行こうぜ」

「そうだね」

 

ルークとシンクが話していると、ロイドが声を出す。

 

「ゼロスに構ってやらなくていいのか?」

「子供じゃあるまいし」

「いいんじゃねぇか?関わったら後々面倒になりそうだし」

 

シンクとルークは平然と答える。

 

「3人とも早く」

「俺様と同じで、出番がなかったアルヴィン先生が待ってるぜ」

「(立ち直り早いな)」

「自分で言って悲しくない?」

「ほっとけ!」

 

カイルとゼロスが3人に声を掛ける。そして、シンクが冷静にゼロスに突っ込む。

他愛のない会話をしながら皆、グラウンドに集合する。

待っていたのは……

 

「ぶるあぁぁ!!」

『何でアンタが!?』

 

バルバトス先生だった。生徒一同、一斉に突っ込む。

 

「全員いるな?」

「アルヴィン先生。今日は何をするんですか」

「ソフトボール。3組と4組で勝負な」

 

カノンノの問いに、アルヴィン先生が答える。

因みに、この学園の体育の授業は、男女混合である。

 

「バルバトス先生は何で……?」

「球審だあぁ!」

『(ピッチャーとキャッチャーやりたくないなぁ……)』

 

バルバトス先生のプレッシャーが最も感じる場所。それはピッチャーとキャッチャーだ。

何せ、ピッチャーなら正面に、キャッチャーなら背後にいるからだ。

 

「途中交替はありなんでしょ?」

「もちろんだ」

「技や術の使用は?」

「相手に放つのは禁止だが、それ以外は許可する。

だが、怪我人を出したら、そいつは使用を禁止にする」

「了解だよ」

 

シンクの問いにアルヴィン先生が坦々と答える。

 

「試合に出なかった生徒の評価はどうなるんですか?」

「ちゃんと応援してれば、問題ないさ」

「試合に出たけど、あまり活躍出来なかった場合は?」

「一生懸命やってれば問題ない。心配するな」

 

エリーゼ、レイアの問いに答えるアルヴィン先生。それにしても、何と甘い評価だろうか。

質問も終わり、各クラスはポジション決めを始める。

 

「さて、ポジションをどうするか」

「センターは私にお任せください」

「ショートは僕がやるよ」

「なら、俺がセカンドをやろう」

 

すず、シンク、ガイがそれぞれ名乗りを上げ、ポジションが決まっていく。

3組が決めている一方、4組も順調にポジションを決めた。

そして……

 

3組                4組

 

1番 レフト ルドガー       1番 ライト エミル

2番 セカンド ガイ        2番 セカンド コハク

3番 ライト カノンノ       3番 サード プレセア

4番 サード ロニ         4番 センター クレス

5番 ファースト ゼロス      5番 ショート アッシュ

6番 ピッチャー ロイド      6番 ファースト セネル

7番 ショート シンク       7番 キャッチャー ヴェイグ

8番 キャッチャー ルーク     8番 ピッチャー シング

9番 センター すず        9番 レフト コレット

 

 

と、なったのたが……

 

「ちょっ……!どうしてアッシュが4組側なのさ!」

 

ジュードが疑問の声を発する。アッシュは3組の生徒。4組では決してない。

 

「ナタリアいる所に、アッシュあり。だ」

『(それってストーカー……)』

 

全員が心の中で突っ込む。

 

「アッシュ。頑張って下さいませ」

「任せろナタリア。勝利をプレゼントしてやる」

「アッシュ……」

「ナタリア……」

『(2人だけの世界を作らないでくれるかなぁ……)』

 

2人のバカップルぷりに、全員が呆れ果てる。

 

「先生、良いんですか?」

「良いんじゃねーか?面白そうだしよ」

 

カノンノの問いにアルヴィンは飄々と答える。

先生が認めた以上、反論の余地はなかった。

 

「始めるぞぉ!整列しろぉ!」

 

バルバトス先生の掛け声がグラウンドに響き渡る。そして、両クラスの生徒が整列する。

 

「アッシュ。そっちに移ったこと、後悔させてあげるよ」

「フン。俺がいなくなった時点で、お前たちの敗北は決定してるがな」

 

シンクとアッシュの間で火花が飛び散る。

 

「礼をしろぉ!!」

『お願いします!』

 

いよいよ試合開始だ。

 

ジャンケンの結果、先攻は3組になった。

 

「俺がトップバッターで、本当に良かったのか?」

「はい。技が使用可能ならば、トップバッターはルドガーさん以外考えられません」

「……ああ、あの技か」

 

すずの考えが分かったルドガー。バッターボックスに向かう。

4組のピッチャーは、今回が初登場のシングだ。

 

「トップバッターは3組の編入生だね。俺はシング・メテオライト。よろしく!」

「ルドガー・ウィル・クルスニクだ。お手柔らかにな」

「プレイボールだあぁ!!」

 

お互いに自己紹介をした後、バルバトス先生の声が響き渡る。

 

「それっ!」

 

シングの初球。ルドガーは見送る。スピードはそこそこ出ていた。

 

「(中々速いな……)」

 

続く2球目もルドガーは見送り、ツーストライクと追い込まれる。

 

「振らないと当たらないよ」

「分かってるさ」

 

3球目。ストライクゾーンに入っており、ルドガーはバットを振った。

結果はボテボテのサードゴロ。だが、

 

「ルドガー!走れ!」

「舞斑雪!」

 

そう。

特技で出塁を狙ったのだ。エクシリア2で、この技にお世話になった人も多いはずだ。

 

「すずの狙いはこれだったのか」

「はい。あの技なら出塁はほぼ確実です」

 

すずの狙いは悪くない。現にルドガーは一瞬で1塁に到達しようとしていた。

しかし、打球の場所が悪かった。

 

ドン!!

 

突如、轟音がグラウンドに響き渡る。

 

「アウト!」

「今の音は……?」

 

3組のメンバーは音のした方向を見る。

すると、ファーストを守っているセネルが涙目になっている。

 

「プレセア、もう少し手加減してくれ……」

「すみません。ギリギリでしたので」

 

サードの方向を見ると、ピンクの髪をツインテールにした少女が話している。

 

「そういえば、サードはプレセアだったな」

「もう少しちゃんと指示をするべきでした……」

 

ロイドの呟きに、すずは反省したように答える。

 

「今の送球は彼女が……?」

「ああ。女子だけど、腕力は男子以上だ」

「手、大丈夫か?」

「大丈夫だが……、なるべくサードには転がさないでくれ」

 

ルドガーの問いに、セネルは痛みを我慢して答える。

さすがに、プレセアの送球は何度も捕りたくはないようだ。

 

「済まない。出塁出来なかった」

「気にするな。まだ始まったばかりだ。楽しくいこうぜ」

「……ああ!」

 

ガイが笑顔で励ます。爽やかさが溢れる笑顔に、ルドガーも元気になる。

 

「(3塁がダメなら、狙いは1.2塁間だな)」

「ガイ、いくよ!」

「いつでもいいぜ」

「それっ!」

「せいっ!」

 

シングの初球を、ガイは華麗な流し打ちで1.2塁間に打ち返す。狙い通りだった。

しかし……

 

「砕心脚!」

「何だと!?」

「アウト!」

 

コハクが、蹴りで1塁のセネルにボールを送ったのだ。

因みに、蹴ったボールのスピードはかなり出ていた。

 

「コハク、距離近いんだから加減しろよ……」

「ゴメン。必死だったから」

 

この行動に、ガイは少し納得がいかないようだ。

 

「審判。ボールを蹴るなんていいのか?」

「いいんじゃねぇか?野手でボールを蹴ったらダメなんてルールないしよ」

「確かにそうだが……」

「バルバトス先生。判定は?」

「アウトだぁ!!」

「……分かりました」

 

鬼の形相で答えるバルバトス先生。迫力に負け、ガイは引き下がる。

そして、次のバッターのカノンノが打席に入る。

 

「いくよ、カノンノ」

「うん!」

「そりゃっ!」

「旋桜花!」

「セネル!」

 

痛烈な当たりだったが、セネルがダイレクトでキャッチ。ファーストライナーだった。

 

「(誰かファースト代わってくれ……)」

 

セネルの切実な思い。手が痛くて仕方ないようだ。

とにかく、これでスリーアウト。次は4組の攻撃だ。

 

「エミル、頑張って!」

「(マルタ、僕4組なのに……)」

「フン、バカップルが」

『(お前が言うな)』

 

現在は敵同士。だが、それでもマルタは彼氏のエミルを応援するようだ。

その行動にアッシュが呟くが、4組一同、一斉に突っ込む。

バカップルはアッシュも同じである。

 

「いくぜ、エミル!」

「お手柔らかにね、ロイド」

「それっ!」

 

3組のピッチャーはロイドだ。

初球をエミルは見送る。

 

「ちょっとロイド!手加減しなさいよ!」

「無理言うなよ、マルタ~」

 

エミルがマルタを宥め、ロイドは2球目を投げる。結果はボールで、3球目。

 

「これならどうだ!」

「えいっ!」

 

痛烈な当たりが、ショートとサードの間を抜けていった。つまり、ヒットだ。

 

「エミル!ナイスバッティング!」

「よくやった、エミル」

 

マルタとアッシュが褒め言葉を送り、それにエミルは赤面しつつも手を挙げ応える。

 

「よーし。私も続かないと!」

 

次のバッター、コハクが打席に入る。

 

「ロイド、打たせてこい!」

「おう!いくぜ~」

 

ガイにしっかりと返事をしてから、コハクに1球目を投げる。

 

「ストライクゥ!!」

 

1球目はストライク。続く2球目もストライク。

次にストライクならバッターアウトだ。

 

「(守備で蹴りは大丈夫だった。それなら……!)」

 

コハクが構えたのを確認してから、ロイドは三球目を投げる。

 

「(ナイスコース!)」

「砕心脚!」

「「またかよ!」」

 

二回目となる、コハクの蹴り技。ロイドとルークが同時に突っ込む。

しかし、打球はノーバウンドでロニがキャッチしていた。サードライナーである。

 

「ロニ、ナイスキャッチ!」

「サードは任せときな!」

 

ロイドが褒め、ロニはそれに答える。気落ちしながら、ベンチに戻るコハク。

その直後、男子生徒が叫びながらグラウンドにやって来る。

 

「てめえっ!コハクに何しやがる!」

『(誰だ?)』

「俺はヒスイ・ハーツ。コハクの兄貴だ」

 

皆の心の中での問いにヒスイが答えられたのかは、謎である。

名乗って直後、ヒスイはロイドに近寄る。その表情は怒りに満ちていた。

 

「おい。コハクにボールをぶつけるとはいい度胸してんなぁ」

「えっと……あれはコハクが自分でやったことで、俺のせいってわけじゃ……」

「てめぇ!コハクが悪いって言うのか!」

「砕心脚!」

「ぐおっ!」

 

ロイドに突っかかるヒスイに、本日3回目。コハクの強烈な蹴りが炸裂する。

 

「お兄ちゃん、何でここにいるのかな?」

「コ、コハク、これには訳があってだな」

「私の授業が体育だから、私がケガをしないかずっと見ていたんでしょ?」

「(ギクッ)」

「そして、私にボールが当たったから授業を抜け出して来たんでしょ?」

「(ギクギクッ)」

 

コハクに指摘され、ヒスイの表情に焦りが現れる。図星のようだ。

 

「ヒスイって人、すごい妹思いだね」

「て言うより、ただのシスコンじゃないかな……」

「ねえ。今って授業中だよね?」

「そういえばそうだったね」

「……あ」

 

エミルとマルタは、ヒスイの印象について呆れながら話す。

すると、何かに気づいたようにコレットが2人に話しかける。

その直後、校舎からグラウンドにやって来る金髪の女性にエミルが気が付く。

そして、ヒスイに話しかける。

 

「えっと、ヒスイさん。今すぐ教室に戻ったほうが……」

「あ?」

「ディバインセイバー!」

「ぎゃあぁぁ!」

「遅かった……」

 

突然の攻撃に反応出来るはずもなく、ヒスイは倒れる。

攻撃をしたのは、2年の数学を担当しているリグレット先生である。

 

「いい度胸だな、ヒスイ・ハーツ。私の授業を抜け出すとは」

「こ、これにはその……深い訳が」

「言い訳は必要ない。今すぐ教室に戻れば許してやろう」

「わ、分かりました!おい、赤毛のピッチャー!今回は見逃して――」

「プリズム・バレット!」

「ぎゃあぁぁ!」

「今すぐと言っただろう。馬鹿者」

 

指示に従わなかったヒスイに、リグレット先生は容赦なく秘奥義を放つ。

瀕死の状態で授業に集中できるとは思えないが、

リグレット先生はヒスイを引きずって歩き出す。

 

「アルヴィン先生、騒がしくしてすまなかった」

「いや、気にしてないさ。それよりもその兄さん、保健室に連れてってやれよ?」

「前向きに検討しよう」

 

保健室に連れていく気はほとんどなかったリグレット先生。授業第一のようだ。

2人は校舎の方に戻って行き、体育の授業も再開される。

4組の攻撃。1アウト1塁から試合再開だ。コハクの次の打者はプレセアである。

 

「ロイドさん、本気でいきます」

「へっ。打てるもんなら……打ってみな!」

「まさかのど真ん中かよ!」

 

意図して投げたど真ん中。ルークが驚きの声を発する。

甘々の球をプレセアは見逃さない。

 

「獅吼滅龍閃!」

「死ぬって!」

 

プレセアの強烈な打球は、猛スピードでロニの顔面の数ミリ横を飛んでいき、

そのままの勢いで外野の壁を破壊した。

当たっていたら、間違いなく保健室行きだろう。

 

「ホームランだぁ!」

「くっそぉ!」

「ど真ん中なら打たれるに決まってるだろ!」

 

壁を壊してスタンドに入った場合、ホームランになるかは不明だ。

だが、今回はホームランという判定らしい。

悔しがるロイドに、ルークが当然の反応を示す。

そして、次のバッターのクレスが打席に入る。

 

「悪いけど、一気に勝負を決めさせてもらうよ」

「そう上手くはいかないぜ」

「いくぜ、クレス!」

 

一瞬で立ち直ったロイド。クレスに1球目を投げる。

 

「もらった!」

 

低めのいい球だったが、クレスは難なくセンターに打ち返す。

ホームランになる角度でボールは飛んでいく。

 

「よし!2者連続ホームランだ!」

「忍法、飯綱落とし!」

「なっ……!」

「すず、ナイスキャッチ!」

 

完全にホームランと思われた打球は、すずが5メートル近く跳躍してキャッチ。

アウトになった。さすがは忍者と言うべきか。

 

「ゴメン。任せたよ、アッシュ」

「気にするな。試合が終わったわけではない」

 

クレスを励ましてから、アッシュは打席に立つ。

 

「4組に寝返ったこと、後悔させてやるぜ、アッシュ!」

「やれるもんならやってみな」

 

ロイドに言い返してから、ボールに集中するかと思われたが、

アッシュはルークに声を掛ける。

 

「おい屑。どこに構えてやがる」

「腹部に当てようかなって」

「ふざけんな!正々堂々戦いやがれ!」

「何言ってんだよ。これも作戦の内だぜ」

「そんな汚え作戦、一瞬で無意味だと教えてやる!」

 

ルークの挑発に乗ってしまったアッシュ。ボール球に手を出して三球三振。

ストライクコースには1球も来てなかった。

アッシュの性格を上手く利用したルークの作戦勝ちだ。

これでスリーアウト。攻守交替である。

 

「この回はロニからだね」

「ああ、派手に暴れてくるぜ」

 

シンクの言葉にロニは笑顔で答える。そして、打席に立つ。

さらに、バットをバックスクリーンに向け、ホームラン予告をする。

 

「打たせはしないよ!それっ!」

「もらったぜ!放墜鐘!」

 

シングの初球をロニは完璧に捉えた。結果は予告通りのホームランになった

グラウンドを1周し、チームメイトの元にロニが帰って来る。

 

「すごいよロニ!」

「ああ!やるな!」

「ふっ……そんなに褒めるな」

 

カイルやガイが褒め称える。今、チームのムードは非常に良い。

次のゼロスも、自然と調子は上がっている。

 

「もう打たせないよ。てりゃっ!」

「甘いぜシング君」

 

力が入りすぎたシングの球をゼロスは見逃さない。

華麗な右方向への流し打ちでヒットを打つ。

これで完全に勢いに乗った3組。続くロイド、シンクもヒットを打ち満塁になる。

そして、ルークが打席に入る。

 

「(ティアにかっこ悪いとこは見せられねえ……!)」

 

ルークは彼女にいいところを見せようと張り切るが、それは失敗だった。

肩に力が入ってしまい、あっという間にツーストライクまで追い込まれる。

気落ちするルーク。その様子を見て、ティアが声を掛ける。

 

「ルーク、自分に出来ることをすれば良いのよ。気負う必要はないわ」

「ティア……」

「……頑張って」

『(ああ……バカップルがもう1つ生まれたよ)』

 

2人の世界を作るルークとティア。その様子を見ていた全員が呆れる。

 

「三振する覚悟は出来た?ルーク」

「台詞が微妙に悪役みたいだぞ、シング」

「そういう雰囲気にした方がいいかと思って。3球目、いくよ!」

「こい!」

 

シングは3球目を投げる。

 

「うおおぉぉ!」

 

ルークは全力でバットを振る。結果はライトへの犠牲フライだった。

 

「ナイスバッティングだったぞ、ルーク」

 

ヒットにはならなかったが、1打点の活躍となった。

そのことをガイが褒める。

 

「ティアにいいとこ見せれてよかったね」

「……おう」

 

カノンノの言葉にルークは赤面しながら答える。

少し恥ずかしかったのか。ルークはすずに話しかける。

 

「すず。このままガンガンいこうぜ」

「話題を上手く変えましましたね」

「べ、別に俺は……」

「冗談です。逆転といきましょうか」

 

冗談を言いながら、すずは打席に向かう。

勝ち越しのチャンス、このまま逆転といきたいところだ。

 

「シングさん。逆転させてもらいます」

「させないよ!」

 

シングのすずに対する初球。高めに甘く入ってしまい、それをすずは見逃さず、

小柄ながらも、鋭いスイングでレフト方向に運んだ。

偶然吹いていた風もあり、ホームランになってもおかしくない打球だった。

しかし……

 

「させないよ~」

「……無念です」

「おいおい。飛ぶなんてありかよ!?」

「さすがコレット!」

 

天使化したコレットが飛んでボールを捕ったのだ。

さすがに皆驚きを隠せないようだ。ロイドだけは褒めていたが。

 

「ロイド!2塁まで戻って!」

「えっ?」

「ゴメンね、ロイド」

 

シンクの叫びも空しく、ロイドが戻りきる前にコレットは飛んできて自ら

2塁ベースを踏んだ。ダブルプレーである。

攻守交替のため、ロイドはグローブを取りにベンチに戻る。

 

「まさかホームランの打球が捕られるなんてな」

「はい。さすがに予想外でした」

『(最初の守備で同じようなことやってるんだけどな)』

 

すずの呟きに、クラス一同突っ込む。

何はともあれ、次は4組の攻撃である。

 

「セネル、手は大丈夫なのか?」

「正直痛いが、我慢するさ」

 

ルークの問いかけに強がるセネルだが、痛いものはやはり痛い。

力が入らず、ピッチャーフライに終わった。

 

「次はヴェイグか」

「よろしく頼む」

 

ヴェイグへの1球目。コースは甘くなかったがヴェイグには作戦があった。

 

「絶氷刃!」

「おい!?ボールを凍らせるなよ!」

「問題ない。俺が1塁に着くころに溶けるように凍らせた」

「ふざけんな!」

 

その作戦とはボールを凍らせることだった。普通であればピッチャーゴロだったが、

凍ったボールを持つことが出来ず、内野安打となった。

 

「先生、いいのかよ?」

「面白いからあり」

 

アルヴィン先生は、面白ければ何でもありのようだ。

 

「よーし。ピッチングでの借りを返してやる。汚名挽回させてもらうよ」

「汚名を挽回してどうするんだよ。それを言うなら名誉返上だろ」

『汚名返上、名誉挽回!!』

 

シングとロイドの典型的な間違い発言に、全員が突っ込む。

 

「……いくぜ、シング!」

「いつでもいいぞ!」

『(誤魔化したな)』

 

シングとロイドは、強引に体育の授業に戻る。その様子にまた全員が突っ込む。

ロイドの投げた1球目はボールとなり2球目。

詰まりながらもセカンドの頭上を越えていきヒットになった。

そして、ラストバッターのコレットが打席に入る。

 

「コレット、さっきの借りを返させてもらうぜ!」

「負けないよ~、ロイド」

 

真剣勝負。そういう空気だったが、シンクがロイドに尋ねる。

 

「ロイド。汚名?」

「挽回!」

「返上だよ」

 

本日2回目の同じ間違い。さすがにこれは恥ずかしい。

 

「いくぜ、コレット」

 

恥ずかしさを必死に抑えて、ロイドはボールを投げる。

 

「えいっ!」

 

コレットはフルスイングをするが、当たった場所が悪く、ショート正面のゴロ。

さらに、シンクとガイは華麗な連携でダブルプレーにした。

 

「ナイス、2人とも!」

「上手くいったね、ガイ」

「ああ。上出来だな」

 

試合はこの後、均衡状態に入った。両チーム、ファインプレーが光り、

2対2のまま、速いテンポで最終回を迎えた。

 

「ツーアウト満塁か……」

「最後のチャンスですね。ロイドさん、任せました」

「おう!ルークみたいに、彼女にカッコいいとこを見せてやるぜ!」

 

張り切るロイド。しかし、シンクが鬼の質問をする。

 

「ロイド、名誉?」

「……返上!」

「挽回だよ……」

 

2度あることは3度ある。質問の言葉こそ変わっていたが同じ間違いには変わりない。

ロイドの恥ずかしさメーターは、上限を超えていることだろう。

その証拠にロイドの顔は真っ赤になっている。

 

「ピッチャー交代だ。ヴェイグ、よろしく頼む」

「任せておけ」

 

4組。アッシュの指示により、守備の交代のようだ。

シングとヴェイグがそれぞれポジションを代わる。

 

「誰がピッチャーでも同じだぜ。今の俺は汚名挽回に燃えてるからな!」

「汚名は返上だよ!いい加減覚えろ!」

 

同じ間違いにシンクが全力で突っ込む。怒りたくなる気持ちも分からなくはない。

 

「ロイド、いくぞ」

「お、おう」

 

ヴェイグの初球。コースは真ん中。

 

「もらった!」

 

ロイドは完全に捉えたつもりだった。

しかし、ボールは不規則に揺れて落ち、空振りになった。

 

「な、何だ、今の球……!」

「2球目、いくぞ」

 

続く2球目、3球目も不規則に揺れて落ち、3球3振。

満塁だったが、得点には至らなかった。

 

「ヴェイグすげーな!どうやって投げたんだ?」

「ボールを少し凍らせただけだ」

『…………反則投球じゃないか!』

 

ロイドの問いに、ヴェイグはあっさり答える。

そしてその答えに、全員が全力で突っ込む。

 

「ボールを凍らせたらいけないというルールはない」

「普通はできないからルールブックに載せる必要がないんだよ!」

「俺は俺に出来ることをしただけだ」

「ヴェイグ、面白いから許す」

 

納得がいかない様子だったシンクだったが、アルヴィン先生の一言で一蹴。

 

ピンチの後にチャンスありと言うが、その後の4組の攻撃は三者凡退。

引き分けだが、時間が無いので整列する。

 

「いや~。面白かったぜ」

「まあ楽しんだよね」

「ハチャメチャだったけどな」

「けど、少し物足りないよな」

「結果は引き分けだからな」

 

アルヴィン先生の感想に、シンクとルークが答える。

だが、一部の生徒は納得がいかないようでロイドとガイが思いを話す。

それを見ていたバルバトス先生が叫ぶ。

 

「貴様らぁ!引き分けのまま終わってもいいのかぁ!」

「納得はできないけど、授業は終わったしなぁ……」

「やる気があれば、時間など関係なぁい!!」

 

バルバトス先生の話で、皆やる気になったようだ。

 

「延長戦、いく?」

「白黒はっきりつけてやろうじゃねえか」

 

シンクとアッシュの間で意見が纏まった。延長戦をするようだ。

 

「それじゃ勝ちにいこうか」

『もちろん!』

「お前ら、やるぞ」

『おう!』

 

3組、4組、共に気合を入れなおす。

 

「仕方ねえなぁ。担任には俺から言っといてやるよ。思う存分やるといいさ」

『ありがとうございます!』

「試合再開だぁ!」

 

こうして延長戦は行われた。

今日も、テイルズ学園の生徒は皆元気いっぱいだ。

 




Δプレセア・コンバティール
1年4組の女子生徒。小柄だが、男子顔負けの腕力を持っている。
基本的に無口だが、人見知りいうわけではない。笑うことも普通にある。
肉球が大好きで、リーガル教頭と「肉球友の会」を結成している。

Δセネル・クーリッジ
1年4組の男子生徒。休日は時々、マリントルーパーの仕事をしている。
顔の模様はその証。言葉で説明することが少なく、無愛想と誤解されることも。
しかし、根は優しい。水泳と格闘術が得意。

Δヴェイグ・リュングベル
1年4組の生徒。口数が少ない上にあまり笑わないため、
冷たいという印象を与えてしまうが、実は熱い性格。氷を操ることが出来る。
ピーチパイが大好物。

Δシング・メテオライト
1年4組の生徒。明るく元気な性格。しかし、デリカシーに欠ける言動を
とることも多々ある。だが、間違いを認め反省できる素直さを持っている。
何事にも全力で取り組むが、勉強は苦手。

Δコハク・ハーツ
1年4組の生徒。何事にも物怖じしない明るい性格の持ち主。
華奢に見えるが、鍛え抜かれた足技は凶器そのものであるという噂がある。
大のミソ好きで、常にマイミソを携帯している。

Δヒスイ・ハーツ
2年5組の生徒。荒っぽい言動をしているが、実は熱血漢。
妹のコハクのことを何よりも大事に思っており、呆れるほど過保護。
コハクに何かあれば、世界の裏側でも一瞬で現れるという噂まで立っている。



シンク「ここまで読んでくれてありがとう。そして、更新がおそくなってゴメンね」

ヒスイ「約2か月半か。またずいぶん間が空いたな」

シング「次回こそは1ヶ月以内に出せるといいけど……」

ヒスイ「期待しないで待つとするか」

シング「……さも当たり前のようにいるけど、誰だっけ?」

ヒスイ「俺だよ!初登場で酷い目に遭ったヒスイ・ハーツだよ!」

シング「ああ。授業を抜け出してリグレットから制裁を受けた先輩か」

ヒスイ「くそっ!あの暴力教師、少しは加減しやがれってんだ!」

リグレット「ほう。随分な言いようだな。ヒスイ・ハーツ」

ヒスイ「うげっ……!」

リグレット「シンク。この男を借りるぞ」

シンク「ほどほどにしときなよ。おばさん」

リグレット「よし。お前は殺す」

シンク「無理だね。やれるもんならやってみな」

ロイド「またやってるよ……」

コレット「実弾は使わないでほしいな」

ロイド「そこは問題じゃないだろ……って!実弾!?」

コレット「ロイド、危ない!」

ロイド「うおっ!?」←銃弾が頬を掠った

コレット「大丈夫?」

ロイド「……もう終わろうぜ。命がいくつあっても足りないぜ」

コレット「それじゃ、終わろっか」

ロイド・コレット「「次回もよろしくお願いします!!」」
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