こんなの常識外れだ!でもそれが「テイルズ学園」   作:シラハネ

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第3話

心地良い朝の陽ざしが差し込む1年3組の教室。時刻は8時20分。

朝のHRが始まる20分前だが生徒の半数がすでに登校している。

担任のジェイド先生もなぜか早めに教室に来ている。

 

「なあシンク。ジェイド先生、今日は何でこんなに早く教室に来てるんだ?」

「僕が知るわけないだろ……。気になるなら直接聞けばいいじゃないか」

 

ルークがシンクに尋ねるがジェイド本人に聞くよう言う。クラスの生徒も

早く聞けよという感じの目でルークを見ている。そんなクラスの生徒の思いを

感じ取ったのだろう。ルークはジェイドに質問する。

 

「ジェイド先生」

「ん。どうかしましたか、ルーク」

「いや、そんなに大したことじゃねえんだけど」

「そうですか。では答える必要もありませんね」

「え!?いや……」

「大したことではないのでしょう?」

「いや、その……。大したことあるので質問に答えt」

「おやおや。先ほどは嘘をついていたのですか?」

「う……」

『(ルーク、頑張れ)』

 

クラスの生徒は黙ってルークとジェイドのやり取りを見ていた。

明らかにルークが苛められているが誰も助けようとはしない。

皆巻き添えはお断りということだ。

 

「先生、嘘をついて悪かった。反省するから質問に」

「なぜ私が教室に早く来ているのか?という質問でしたらお断りです」

「……もういいです」

 

ルークは黒いオーラを出しながら自分の席に座る。

さすがにかわいそうに思ったのかガイがルークの席に行く。

ちなみにルークの席は窓際から2列目、前から2番目の場所だ。

 

「ガイ様華麗に参上!ルーク、あんまり気にするな。ジェイド先生が鬼畜なのは

中等部の時からよく知ってるだろ。元気出せって」

「ああ……。なんでジェイド先生あんなに性格悪いんだろうな……」

「ルーク。もし、もしもだぞ。ジェイド先生が優しくて鬼畜じゃなかったらどう思う?」

「……。すっげー怖いな……」

「そうだろ?だからジェイド先生=性悪ってなるんだ。

性格に文句言ってたらこれから1年間過ごしていけないぜ」

「……そうだな。ガイ、ありがとう」

 

ガイがものすごく酷いことを言っているが本人は全く気にしていない。

しかしクラスの生徒はルークたち2人から距離をとっている。

なぜならルークの席は教卓に近い。ジェイドに会話が聞こえてないはずがないのだ。

しかしガイは気にせず話を続ける。

 

「それになルーク、ジェイド先生にもいいところはあるはずだぜ」

「ふーん。例えば?」

「えっとだな。……悪い。浮かんでこねえ」

「そうですか~。では教えてあげましょう」

「「え゛!?」」

 

2人の会話に突如ジェイドが加わる。笑顔を浮かべているジェイドを見て

ルークとガイの表情は青ざめていく。

 

「ガイ、どうする!?俺まだ死にたくねえぞ!」

「俺だって死にたくねえよ!だけど……諦めるしかねえよ……」

「お二人とも、少し廊下に出ましょうか」

「……ジェイド先生。頼むから死に土産に一つだけ教えてくれ」

「仕方ないですね。わかりました。なぜ私が朝早くから教室にいたかですね?」

「ああ」

「確かに俺も知りたいな」

 

ルークとガイはジェイドから制裁を受ける覚悟を決めたようである。

しかしその前に朝からの疑問はどうしても解決したいようである。

ルークの頼みをジェイドは渋々受け入れ話し出す。

クラスの生徒も答えを知ろうとジェイドの話を聞き始める。

 

「ではルーク、今日は何曜日でしたか?」

「は?水曜日だけど……」

「はい。水曜日です。ではガイ、今日の時間割は?」

「……1~4は理科で5、6が家庭だが」

「その通りです。つまり午前中は全て私の授業です」

「それと何か関係があるのか?」

 

ジェイドが話をするが言いたいことがわからないためガイが尋ねる。

 

「本日の授業は化学の予定なんですが……」

「……まさか?」

「おや、ガイは気づいたようですね。はい、想像している通りです。

皆さんには授業で何も問題のない実験をしてもらうのですが、それですと私は退屈なのですよ。

なので私は私で実験をするつもりなのですが……」

「……被験者は?」

「もちろん私のクラスから選出します♪」

『ふざけんなぁぁ!!』

 

ジェイドのとんでもない発言にクラス全員が全力で突っ込む。

 

「なんで教師が授業を半分放棄して実験しようとすんだよ!?」

「教師が授業を退屈なんて言ったらダメだろ!?」

「ていうか私たち実験するのにほっておいていいの!?」

「その前に生徒を被験者にすんじゃねえ!!」

 

上からルーク、ガイ、カノンノ、アッシュが突っ込む。

 

「先生の実験て絶対に危険じゃん!」

「大丈夫だ。お前の料理よりは……。いや、いい勝負だな」

「なんですって!!」

「なんだよ?お前の料理を食った奴が1週間意識不明になったことがあっただろーが」

「うるっさいわねー!あれは美味しすぎて倒れたに決まってんでしょ!」

「不味くて卒倒したに決まってんだろ。お前の料理の下手さはギネス級だからな」

「うるさい!頭に栄養がいかないから髪が残念なことになってるのよ!」

「なっ……。それは関係ないだろうが!」

「かわいそうよね~。高1ですでに毛根の劣化が始まってるんだから」

「てめえ……。そういうお前だって中2の頃から成長してねえだろ!この幼児体型!」

 

なぜかアーチェとチェスターは痴話喧嘩を始めてしまっているが、

ジェイドは気にも留めず話を続ける。

 

「大丈夫ですよ。今回の実験は遅刻した生徒を被験者にしますから」

「じゃあ、すでに登校している生徒は安心してもいいのか?」

「はい。問題ありません」

「(いや、生徒を被験者にする時点で問題大有りなんだけど……)」

 

ジェイドにシンクが心の中で突っ込む。

 

「というわけですが、ルーク、疑問は解決できましたか?」

「とりあえず生徒を被験者にしようとしていることは十分理解できた」

「嫌ですね~。人聞きの悪い言い方をしないでください」

「じゃあ他にも何か理由があるのか?」

 

ガイがジェイドに尋ねる。

 

「もちろんです。いいですか?

入学式から今日までの2週間、このクラスは遅刻者0の日が1日もないんです。

これはさすがに見過ごせません。しかし、注意しただけで遅刻が無くなるはずがない。

それならば、もう絶対に遅刻はしない!

と思えるほどの何かをしたらいい。というわけです」

「それで被験者にするってことか?」

「はい。毎朝術を放つのも面倒ですから。

私が今日早いのは遅刻かどうかはっきりと見極めるためです。

駆け込みもどれくらいいるのか確認しておきたいですしね」

 

このクラスは遅刻者が毎日いる。そのため毎朝ジェイドが術をぶっ放すのだ。

ちなみに広範囲の術ばかり放つためクラスの生徒は巻き添えを受けている。

生徒も遅刻者に注意するが改善されていないのが現状だ。

 

「あれっ?ジェイド先生がい……」

「おやロイド、おはようございます」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなs(以下省略)」

 

この物語の主人公ロイドが登校してきたのだが、

ジェイドを見た瞬間土下座してひたすら謝りだす。

さすがのジェイドも少し引き気味だ。そんなロイドにシンクが尋ねる。

 

「ちょっ……。どうしたのさロイド!?」

「いやだって俺遅刻しちまっただろ。だから謝らないと……」

「まだ8時35分だよ?」

「……ホントだ。じゃあ何でジェイド先生がいるんだ?」

 

ロイドの質問にシンクが答える。

 

「マジかよ……。遅刻も駆け込みもしねえでよかったぜ」

「あと来てないのは・・・カイルとロニだね」

「さて私の実験の被験者はどちらになるのでしょうね♪」

 

クラスの生徒は遅刻候補2人の心配をしているが、ジェイドは遅刻を心待ちにしている。

 

 

ここで場面は少し変わって学園の1階の廊下。

ちなみに1年3組は6階である。

 

「おいカイル急げ!遅刻しちまうぞ!」

「誰のせいだと思ってるんだよ!だいたい何でロニが俺の部屋で寝てたんだよ!?」

「お前の幸せそうな寝顔見てたら俺も寝ちまったんだよ!」

「じゃあ何しに部屋に来たんだよ!?」

「もちろんお前が寝坊して遅刻しないように起こしに行ったんだよ!

「それでロニが寝坊して遅刻しそうになったら意味ないじゃんか!」

 

廊下を急いで走っているのはカイルと今回が初登場、

カイルの親友の銀髪の男子生徒ロニだ。クラスはカイルと同じ1年3組だ。

ロニは普段は遅刻などしないのだが、

カイルを起こそうという親切心の元に行動した結果、遅刻しそうになっている。

そして2人のダッシュもむなしく朝のHRを告げるチャイムが鳴る。

 

「チッ!鳴っちまったか!」

「どうしようロニ。今までは遅刻が1人だったけど2人はまずいよ!」

「まあ落ち着けカイル。いいか?どれだけ急いでも遅刻は遅刻だ。

だがな、2人の遅刻者がいると少し違うんだ」

「どういうことだよ?」

「遅刻者が2人いる。それは1人目の遅刻者は甘く見てもらえるってことだ。

2人いるなら遅かった方に普通は怒るからな。

そしてこれは当然だが、急いできましたアピールは人数に関係なく大事だ。

少しは許してもらえるからな」

「ふむふむ」

「ということは、遅刻者の1人目になり、

同時に急いできましたアピールをすれば1人目は安全というわけだ」

 

ロニが無茶苦茶なことを言っているが気にしてはいけない。

カイルはロニの話をしっかりと聞いている。

 

「でもさロニ、それって安全なのは俺たちのうちどっちか1人だよね?」

「ああ。そしてその権利は……」

「権利は?」

「早い者勝ちだ!」

「あっ!?ずるいぞロニ!」

 

ロニは1人走り出す。親友を見捨てて自分が助かる道を選んだのだ。

カイルも慌てて追いかけるが追いつかない。普通ならカイルの方が速いはずだが

なかなか追いつけない。何とも不思議なことだ。するとカイルが・・・

 

「蒼破刃!」

「うおっ!?カイル危ねーだろ!」

「蒼破刃!蒼破刃!蒼破刃!蒼破刃!蒼破刃!蒼破刃!蒼破刃!蒼破刃!」

「いてて!カイル落ち着け!」

「俺はなんとしてもジェイド先生の制裁から必ず逃れるんだ!」

「くそっ!術は詠唱する暇がない……。なんで俺の技は飛び道具系がないんだ!」

「岩斬滅砕陣!岩斬滅砕陣!岩斬滅砕陣!岩斬滅砕陣!岩斬滅砕陣!岩斬滅砕陣!」

 

カイルは遠距離からでも届く技でロニを攻撃する。

しかしロニには遠距離用の技がないため避けることしかできない。

 

「(まてよ……。この勝負は教室に早く駈け込んだら勝ちだ。

カイルを攻撃して足止めする必要はない。そして俺の技には……!)」

「蒼破刃!岩斬滅砕陣!岩斬滅砕陣!岩斬滅砕陣!絶破滅焼撃!」

「ぐはっ!……悪いなカイル。この勝負、俺の勝ちだぁ!」

「くそっ!まだ立てるのか。さすがD2で無駄に体力が多いだけあるねロニ!」

 

秘奥義まで親友に放つカイル。しかしロニもカイルの猛攻に耐え勝利宣言をする。

そしてロニはスピリッツブラスター状態になる。

 

「カイル!これは先に教室に駆け込んだ者が勝利する!

そして俺には特攻向きの技がたくさんある!」

「はっ!しまった!」

「割破爆走撃!割破爆走撃!割破爆走撃!割破爆走撃!割破爆走撃!割破爆走撃!」

「くそっ!」

 

ロニは技を使って階段を上ったり廊下を駆け抜けたりしている。

ハッキリ言うとすごく迷惑だ。カイルも必死に追いかけるが追いつかない。

そしてロニはついに自分の教室にたどり着く。

 

「悪いなカイル。俺の……勝ちだぁ!空破特攻弾!」

「俺は、英雄にはなれないのか……!」

 

ロニは高々に叫び教室に飛び込む

 

 

ここで場面はまた少し変わり1年3組の教室。

ロニが飛び込む1、2分前。時刻は8時45分。

 

「ジェイド先生。そろそろHR始めましょうよ」

「やれやれ。仕方ないですね」

「結局、どっちを被験者にするんだ?」

「両方です♪」

『(さすが陰険鬼畜教師)』

 

カノンノの一言でジェイドはHRを始める。ロイドの問いにジェイドは笑顔で答える。

そしてその答えにクラスが心の中で突っ込む。

 

「とりあえずHRを始めます。ではルーク、号令を」

「いいけど、なんで俺なんだ?」

「気分です♪」

「……。それじゃき「悪いなカイル。俺の・・・勝ちだぁ!空破特攻弾!」

……はぁぁぁ!!??」

 

ジェイドの指示に渋々了承しルークは号令をしようとする。

すると教室のドアをぶっ壊してロニが叫びながら教室に入ってくる。

ジェイドに技を当てながら……。ロニは顔が青ざめている。

 

「ロニ、いい度胸をしていますね。遅刻した挙句、教師に暴行行為とは」

 

完全に怒っているジェイドを見てロニはドアの方を向く。

 

「我が道突き進む!スパイラルドライバー!」

「すいません!遅刻……うわぁぁぁぁ!!」

 

逃げようとしたのだが突如現れたカイルと衝突してしまう。

ジェイドは2人に歩み寄りカイルに問い始める。

 

「カイル。なぜあなた達は遅刻したのですか?」

「俺が起きたらなぜかロニが俺の部屋で寝ていたんです。

ロニを起こしていたら遅刻する時間になってしまいました」

「つまりロニが全部悪いということですね?」

「はい!!!俺は悪くねぇっ!」

「それ俺のセリフ!」

 

カイルはジェイドの問いに元気よく答える。朝のことを根に持っていたのだろう。

ルークがカイルの発言に突っ込んでいるが気にしてはいけない。

 

「ルーク、ガイ。朝のことは不問にします」

「「本当か!?」」

「はい。2人とも被験者候補でしたが被験者はたった今決まりました」

「「被験者?何のことだ?」」

 

カイルとロニは訳が分からす入口に近い席のアッシュに尋ねる。

そしてアッシュが事情を話す。

 

「そんなことになっていたのか。助かったぜ」

「ロニ、なぜ安心しているのですか?」

「いやぁ、だって被験者は当然カイルなんだろ?」

「何を寝ぼけたことを。被験者はあなたです」

「……はい?」

「もう一度言います。被験者はあなたです」

 

安心していたロニに制裁宣告が下されるがロニは納得いかないようである

 

「いやいや!遅刻者が2人なら遅刻者の1人目になり、

同時に急いできましたアピールをすれば1人目は安全なんじゃ……?」

「そんなことあるわけないでしょう?遅刻は遅刻です」

「何だと!」

「ましてや教師への暴力行為もしたのですから……。覚悟はよろしいですね?」

 

ロニの言い分はジェイドに一蹴される。

 

「では皆さん化学室に移動しましょう」

『(ロニ、お前のことは絶対に忘れない……と思う)』

 

生徒はロニが生きて帰ってこないと思ったようだ。

 

そして化学室で授業は行われた。

1時間目は平和だったが、2、3、4時間目は

ジェイドの実験で隣の化学準備室からロニの悲鳴がずっと聞こえる中での授業になった。

そして5、6時間目は家庭で調理実習だったのだが、

××料理人であるアーチェが料理とは呼べないものを作ってしまった。

処理に困っているとなぜかジェイドが現れ、

保健室で休んでいるロニにお見舞いとして持っていったのだが保健室からは断末魔が聞こえた。

 

「ねえロイド」

「何だカイル」

「ジェイド先生は絶対に怒らせちゃ駄目だね」

「ああ……」

 

この事件によってジェイド先生は怒らせてはいけないことが暗黙のルールとなった。

そしてクラスの遅刻は無くなったとか……。

 




Δテイルズ学園の校舎
7階建て。6、7階は1年生の教室。4、5階は2年生。1、2階は3年生の
教室がある。廊下はそれなりに長いため掃除が大変。各授業で使う教室は3階にある。

Δ化学室
3階にある。主に理科系の授業で使われる。

Δ化学準備室
3階にある。薬品など危険な物が保管されている。
そのため生徒は先生から許可を得ない限りは立ち入り禁止。

Δロニ・デュナミス
1年3組の生徒。スケベ仲間なのかチェスターとは気が合う。
カイルとは家が近所なため兄弟同様に育ってきた。
運動はそこそこ出来るが勉強は下の上。
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