こんなの常識外れだ!でもそれが「テイルズ学園」 作:シラハネ
「……なあジェイド」
「何ですか学園長?」
ここはテイルズ学園の学園長室。今ここにいるのは学園長のピオニーと
1年3組の担任、陰険鬼畜教師のジェイド、そして5、6匹のブウサギがいる。
ちなみにこのブウサギは全てピオニーのペットだ。
「いやお前じゃなくて可愛い方のジェイドだ」
「人の名前を勝手に使わないでくださいとあれほど言ったじゃないですか」
ジェイドは自分の名前を使うことを50回ほど拒否しているのだがピオニーは無視して
ブウサギの一匹に≪ジェイド≫という名前を付けている。
「まあいいじゃねえか。固い事言うなって」
「ふぅ……。そんなことより何の用で私を呼んだのです?」
「さあ……。何で呼んだんだっけ?」
ピオニーの発言を聞いた瞬間ジェイドは術の詠唱を始める。
「無数の流星よ、彼の地より来たれ!メテオス……」
「だーーー!待て待て待て!!」
「何ですか?用もなく呼び出されたのです。学園長室を壊すくらい構わないでしょう?」
「いいわけあるか!相変わらず冗談の通じない奴だなお前は!」
「それでなぜ私を呼んだのです?」
ジェイドは早く要件を言ってほしいようである。ちなみに今は昼休み。
ジェイドはまだ昼食を食べていないので少しご機嫌ななめのようだ。
「今日の午後の授業の予定を全学年変更して全校集会にする!」
「また突然ですね。なぜ急にそうしようと?」
「3人の新任の教師と講師を1人紹介しないといけないからな」
「新任の教師や講師など私は聞いていませんが?」
「そりゃそうだろ。今初めて言ったからな。
それから、編入生が5人来るけど全員お前のクラスにしといたからな」
ピオニーは涼しい顔で答える。もう少しバランスを考えましょうよ。
「それで学園長、いつその教師たちの就任を決めたのです?
編入生は以前聞いて知っていましたが」
「今日の朝に電話で決めたぞ。4件一気に来てさすがに少し驚いたけどな」
「そうですか。ちなみに他の先生方はこのことを知っているのですか?」
「ああ。お前が最後だ。これで全員に伝えた」
朝にピオニーが勝手に決めたことはどうでもいいらしい。
おそらく慣れているのだろう。
「ふう……。これでは人事担当の方の立場がありませんね」
「そんな奴いたか?」
「確かモースがそうだったはずですが」
「ああ。あいつなら首にしたぞ」
「それはまた。なぜです?」
「校舎に俺の悪口を落書きしたからだ。教師陣からの評価もよくなかったしな」
「なるほど。学園長にしてはまともな判断ですね」
「俺はいつだってまともだ!」
気まぐれで教師を雇ったりしたり、授業を急に変更する人はまともではないです。
そしてモース哀れ。ちなみにモースは二度と出てきません。
「まあそういうわけで俺はこのことを生徒会の連中に伝えなきゃならん。
司会をしてもらうからな。そういうわけで放送はお前に任せた」
「わかりました」
「まてよ……。おいジェイド、放送で生徒会の奴らをここに来るように言って……」
「ここのブウサギを全て丸焼きにしましょうか?」
「さて!生徒会の奴らに話をしてくるか!」
「やれやれ……」
2人は学園長室を後にしてそれぞれの目的地に向かって行った。
場面は変わって1年3組。
今は昼休みなので生徒たちは友達同士集まって昼食を食べている。
「なあ2人とも……モグモグ……知ってるか?」
「ロイド、食うか喋るか……モグモグ……どっちかに……モグモグ……しろよ」
「ルーク、君もどっちかにしなよ」
シンクが突っ込む。
「それでロイド、何が言いたかったのさ?」
シンクがロイドに尋ねるとロイドは手を前に出している。
呑み込むまで待てということらしい。
「……ふう。今日このクラスに編入生が来るって知ってるか?」
「編入生?」
「初耳だね」
「やっぱり2人とも知らないか」
「ロイド、どういうことか説明してくれよ」
編入生が来ることは2人とも知らないらしい。
「いや、3限目が終わってから携帯を見たら父さんからメールが届いてたんだよ。
それでそのメールに編入生が来るから仲良くしろってあったんだよ」
「変な話だね。
編入生なんて僕たちは知らないし、クラトスさんが学校の事情を知っているのも妙だね」
「そうだよな。なあロイドそのメール見てもいいか」
「ああ、いいぜ」
そう言ってロイドはルークに携帯を手渡す。
そしてルークはメールを読み始める。
「今日テイルズ学園に編入生が来るだろう。仲良くしろよ。
そして今日の午後は予定が変更になるだろう。何があっても騒ぐんじゃないぞ。
それでは今後も学園生活を楽しんでくれ」
メールを読み終わりシンクが声を出す。
「やっぱり変だね。クラトスさんが学校のことをこんなに知ってるなんて」
「そうなんだよ。父さん機械は苦手だからハッキングはありえないし・・・」
「この学園に就職してたりしてな!」
ルークがさりげなく言った一言に2人は固まる。
「どうしたんだよ2人とも。さっきのは冗談だぜ?」
「「……」」
「お、おい」
「なあシンク……」
「その可能性は高そうだね」
ピンポンパンポーン
2人が答えを見つけたように話していると校内放送がかかる。
「全校生徒に連絡します。今日の午後は学園長の独断で全校集会となりました。
5限目が始まるまでに第1体育館に集合してください。
あ、文句は学園長に行ってくださいね。以上です」
放送が終わりロイドとシンクは顔を見合わせる。
「タイミング良すぎじゃね?」
「ルークの冗談が現実になりそうだね」
「あ、父さんからメールが」
ロイドは携帯を見る。そしてため息をつく。
「どうしたんだよロイド?」
ルークの問いかけにロイドは無言で携帯を手渡す。
「何々……。あぁもうすぐ我がすばらしき息子ロイドに会える……。
今日は人生最高の日だ!!学園長に感謝しないといかんな!
もうすぐだぞロイド!!待っていろ!」
「ロイド……」
「何も言わないでくれ……」
メールの内容で落ち込むロイドをシンクが励まそうとしたが逆効果のようだ。
「とりあえず体育館に行こうぜ」
「ああ……」
「そうだね」
3人は体育館に向かう。他の生徒も文句を言いながら体育館に向かって行く。
また場面は変わって体育館。
すでにほとんどの生徒が集まっている。
遅刻した生徒にはジェイド先生が容赦なく制裁を与えていた。
そしてピオニーが壇上に立つ
「そんじゃ今から全校集会を始めるぜ。それにしても、お前らずいぶん不機嫌そうな
顔してるな~。何かあったのか?」
『(アンタのせいだよ……)』
「まあ俺には関係ない!」
『(関係あるわ!!)』
「司会は生徒会の連中に任せてあるから俺はお役御免だ。
そんじゃ後はよろしくな~」
生徒は心の中で盛大に突っ込みを入れていたがピオニーは特に悪びれる様子もなく
生徒会にバトンタッチする。
そして赤い髪の生徒が壇上に上がる。
「生徒会長のリッド・ハーシェルだ。えっと……俺こういうの苦手なんだよな……。
だから副会長にバトンタッチするわ」
それを聞いた瞬間、緑の髪のおかっぱ頭の女子生徒と青色の髪をポニーテールにした
男子生徒がリッドに不満を言っていたがリッドは気にせず壇上を後にする。
すると次は長い黒髪の男子生徒が壇上に上がる。
「あー、副会長のユーリ・ローウェルだ。……フレン、来てくれ」
ユーリは突然フレンを呼ぶ。フレンはわけが分からないという顔をしているが
とりあえず壇上に上がる。
「こいつはフレン・シーフォ。生徒会の書記だ」
「フレン・シーフォです。それでユーリ、何で僕を?」
「バトンタッチ。後は任せた」
「えっ!?ユーリちょっと待ってくれ!」
「頑張れよ~」
『(いいのかこれ)』
ユーリは自分が座っていた場所に戻っていく。
そして生徒は呆れ果てている。
さすがにこれ以上グダグダにするわけにもいかないのでフレンは司会をし始める。
「それじゃ全校集会を始めるよ。新任の教師の紹介しかすることはないんだけどね。
それでは先生方どうぞ出てきてください」
フレンがそう言うと4人の男性が舞台袖から出てくる。
「え~。野郎ばっかで花が全くないじゃないの~。俺様ガッカリ……」
「エナジーブラスト!!」
「げふっ!」
無駄口をたたいたゼロスにジェイドが制裁を下す。
一同唖然としていたがフレンがいち早く我に返り司会を再開する。
そして生徒から見て右側から順に新任の教師たちは自己紹介をし始める。
「クラトス・アウリオンだ。担当科目は社会で主に現代社会を教える。
これからよろしく頼む」
クラトスが話し終えた後ロイドは予想が当たったという感じで少しげんなりしていた。
しかし実の父親のめでたい日であることに変わりはないので素直に拍手をする。
そしてそれを見たクラトスがすごく喜びたいのを我慢していたのは全くの余談である。
「本名はアルフレド・ヴィント・スヴェント。けど、アルヴィンって呼んでくれ。
そっちの方が慣れてるんでな。担当科目は体育だ。まあよろしくな」
アルヴィンの自己紹介が終わりフレンが次に進める。
「ローエン・J・イルベルトといいます。担当科目は家庭です。
皆さんよろしくお願いします」
3人目、ローエンも自己紹介が終わりいよいよ最後の1人となる。
「ユリウス・ウィル・クルスニクだ。技術を担当させてもらう。どうでもいいが
好物はトマトだ。これからよろしく頼むよ」
最後の1人、ユリウスの自己紹介も終わりフレンは司会を終え壇上から降りる。
ちなみにトマトと聞いたとき、ロイドとクラトスが表情を曇らせたのを
ジェイドがしっかり見ていたのは全くの余談だ。
「さてと、教師の紹介は終わっちまったし特にすることもないな……。
よし!今回はこれにて解散だ!教室で待機しててくれ」
ピオニーが締めくくり生徒は教室に戻り始める。不満を抱えている生徒もいるが
文句を言うとジェイド先生から制裁が下されることは明白なので
誰も言おうとしなかった。
再び1年3組の教室。
担任のジェイド先生が来て生徒たちは席に着く。
「さて、本来なら今からは6限目の授業なのですが」
「授業はしないんでしょ?その証拠にアンタが来てるし」
「察しがいいですねシンク。その通りです。正解したご褒美でもあげましょうか?」
「いらないよ」
「私が作った飲み物でもあげようと思ったのですが……」
「絶対にいらないから」
『(絶対に実験する気だったな)』
ジェイドが作ったと聞いた瞬間シンクは全力で否定する。
生徒の心の突っ込み通りジェイドは実験するつもりだったのだろう。
「まあ冗談はさておき、この時間は編入生の紹介をします。
皆さん、入ってきてください」
ジェイドがそう言うと5人の生徒が入ってくる。
「では自己紹介をしてください」
生徒から見て左側から順に編入生たちは自己紹介を始める。
「ジュード・マティスです。将来の夢は医者になることです。
これからよろしくお願いします」
ジュードが自己紹介をするとクラスは拍手をする。
そして拍手が鳴りやむと次の生徒が自己紹介を始める。
「ルドガー・ウィル・クルスニク。特技は料理とバク転だ。これからよろしく」
ルドガーは自己紹介を終えてから得意だというバク転をする。
クラスはそれを見て盛り上がり始める。そんな空気の中3人目が挨拶を始める。
「レイア・ロランドです。皆と仲良くできたらいいなと思っています!よろしくね!」
レイアの自己紹介が終わるとゼロスがさっそくナンパをしていたがジェイド先生が
容赦なく制裁を下していた。
そして制裁が終わると同時に4人目が自己紹介を始める。
「エリーゼ・ルタスです。仲良くしてくださいね」
「僕はティポだよ~。よろしくね~」
エリーゼが持っていたぬいぐるみのティポも自己紹介をする。
クラスはぬいぐるみが喋ったことに少し驚いてはいたが学園長のきまぐれなど
予想外の出来事には慣れているのですぐに受け入れる。
ゼロスは当然ながらナンパをしたがティポが噛みつきあえなく失敗。
そして最後の1人が自己紹介を始める。
「ミラ・マクスウェルだ。よろしく頼むよ」
短いが最後の1人、ミラも自己紹介を終え全員がそろって礼をする。
そしてクラス全員が拍手で5人を迎える。
ゼロスはミラにもナンパをしていたが
問答無用でジェイド先生から制裁が下されたのは言うまでもない。
「さてと、これ以上は特にすることもありませんので授業は終わりにします。
誰でもいいのですがルーク、号令を」
「……起立、気を付け、礼!」
ルークが渋々号令をして解散となる。
すると教室の扉が開きピオニーが入ってくる。
「ジェイド、授業は終わったのか?」
「ええ、たった今終わりましたが」
「よし!今から学園長室に来い!」
「まだHRが終わっていませんが?」
「そんなのしてもしなくても同じだ。早く来いよ~」
そう言ってピオニーは教室を出て行く。
「というわけで今日のHRはなしとなります。では皆さん御機嫌よう♪」
生徒たちは何も言うことが出来ずジェイドが教室から出て行くのを見届ける。
そして編入生の5人は集まりレイアが近くの席のルークに話しかける。
「ねえ赤い髪の人」
「何だ……。って赤い髪の人!?」
「ちょっとレイア!?失礼だよ!」
「だってまだ名前知らないんだもん」
「あ、そっか。俺はルーク・フォン・ファブレ。ルークでいいぜ。よろしくな」
「ねえルーク、先生があんな適当でいいの?」
「よくはねえけど、もう慣れちまったからな。気にしてたらこの学園でやっていけないぜ?」
「そうなんだ……」
レイアの疑問はすごく当然のことだがルークはすでに慣れてしまったらしい。
慣れというものは恐ろしいものだ。
そして5人はこの学園に来たことを少しだけ後悔したのである。
Δクラトス・アウリオン
ロイドの父親。傭兵業から一転してテイルズ学園の教師に就任。社会を担当。
ムスコンではあるが公私混合をしないよう心掛けている。達成できるかは不明。
相変わらずトマトは大の苦手。
Δアルヴィン
テイルズ学園の新任教師。教師になる前は傭兵をやっていたのでクラトスとは顔見知り。体育を担当。剣と銃の扱いに長けており体育でも剣術を教えることとなる。
テイルズ学園に来た理由はクラトスに誘われたから。
Δローエン・J・イルベルト
テイルズ学園の講師となったご老人。担当は家庭科。しかし幅広い知識を
持ち合わせており他の教科も教えることができるほど。冗談も言ったりするお茶目な人。
62歳だがまだまだ若い者には負けませんとのこと。執事の経験あり。
Δユリウス・ウィル・クルスニク
テイルズ学園の新任教師で技術を担当。編入生、ルドガーの兄。
責任感が強く真面目な性格。トマト料理が大好物でルドガーが作ったものが特に好き。
双剣の扱いにも長けている器用な人。
Δルドガー・ウィル・クルスニク
テイルズ学園の編入生。ユリウスの弟。特技は料理とバク転。バク転はともかく
料理の腕は相当なものでプロに匹敵するほど。今は全寮制で寮に入ったが
ユリウスと共に暮らしていた時は家事を全て担当しており基本何でもできる。
Δジュード・マティス
テイルズ学園の編入生。将来の夢は医者になること。器用で何事も要領よくこなす。
また超が付くほどのお節介な面も持っている。しかしそれは彼がすごく優しいことを
裏付けている。護身用に格闘術を体得している。
Δミラ・マクスウェル
テイルズ学園の編入生。冷静沈着な性格。自分の行動に一切の迷いが無く、
一度決めたら最後まで何があっても貫き通す。しかしかなり天然な一面もあり
素直な性格。また、食べることが好きでかなりの大食いでもある。
Δレイア・ロランド
編入生。とにかく明るく元気な生徒で裏表がない性格。ジュードとは幼馴染で
彼に淡い恋心を抱いている。運動は得意だが勉強は苦手。家族は宿屋を経営。
目標は学園の生徒全員と仲良くなること。
Δエリーゼ・ルタス
編入生。少し内気な性格。ぬいぐるみのティポは大事な友達であり相棒。
高度な治癒術が使える。成績は優秀だが運動は苦手とのこと。
ミラ同様食べることが好きで基本的に何でも食べる。
Δティポ
エリーゼがいつも所持している喋るぬいぐるみ。伸びたり膨らんだりする。
自分の意志で動くこともできる。毒舌な一面あり。