こんなの常識外れだ!でもそれが「テイルズ学園」 作:シラハネ
「君ってやっぱりバカだね」
「う……」
冒頭からいきなりバカにされていているのはこの物語の主人公、ロイドである。
まあこの物語に主人公の必要性はほとんどないのだが。
「じゃあ何で主人公という設定を作ったんだ!?」
何となく必要だと思ったからだよ。ていうか、地の文に突っ込まないで!
「はい、すいませんでした……」
「ロイド、病院行ったら?いきなり天井に叫んだり謝ったりするなんて重症だよ」
主人公設定を作った理由は特にありません。本当に何となくです。
ちなみに冒頭からロイドをバカにしたり突っ込みを入れたりしているのはシンクだ。
さて、では本題に戻るとしよう。
なぜロイドがバカにされているのかというと、話は冒頭から30分ほど前ことである。
1年3組の教室。
編入生が来たその日の放課後、ロイドはルークにある提案をする。
「なあルーク、編入生たちの歓迎会をしないか?」
「何で俺に言うんだ?」
「ルークの家を会場に使わせてもらえないかと思ってさ」
「ゼロスの家じゃ駄目なのか?あっちも相当でかいぜ?」
「ゼロスのことだから野郎は帰れって言いそうな気がするんだよ」
「……言いそうだな。というよりほぼ確実に言うだろうな」
2人ともゼロスに対して何気なく酷いことを言っているが気にしてはいけない。
「ルーク、家使わせてもらっても良いか?」
「良いぜ。寮に戻ったら母上に言っておくよ」
「ありがとな」
「じゃあメンバーはロイドに任せてもいいか?」
「ああ、任せてくれ!」
会話が終わりロイドはメンバーを集めるためにクラスの生徒に声をかける。
まず最初に声をかけるのは親友のシンクだ。
「なあシンク、編入生たちの歓迎会をする予定なんだけど参加するか?」
「普通なら断るだろうけどこの物語では僕はアビス本編ほど捻くれていないからね。
参加させてもらうよ」
シンクは参加するようだ。ていうかシンク、本編とか言わないで!
世界観おかしくなるから!
「冗談はさておきロイド、その歓迎会はいつ、どこでやる予定なのさ?」
「土曜日、つまり明後日にルークの家でやる予定だぜ」
「それなら外出届けがいるね。もう貰ったの?」
「いや、まだメンバーが全然決まってないんだ。
だから決めてから明日まとめて貰おうと考えてるぜ」
「なるほどね。とりあえず歓迎会の主役になる編入生たちを誘おうか」
「そうだな」
話しがまとまりロイドは教室を出ようとする。
すると仮面をしているにも関わらずシンクの表情には訳がわからないという思いが
はっきりと出ている。しかしロイドは全く気がついていない。
「ねえロイド」
「ん、どうした?」
ロイドが教室のドアを開けた瞬間にシンクはロイドを呼び止める。すると・・・
「うわっ!」
「うおっ!」
教室のドアを開けた時に誰かとぶつかってこけるというベタな展開にロイドは遭遇する。
「ロイド、あまりにもベタすぎじゃない?」
「そんなこと言われても……」
「ジュード大丈夫か?」
「うん、僕は大丈夫。ありがとうルドガー」
「ゴメンなジュード」
「ううん、こちらこそ」
互いに謝りあう。2人ともケガはしていないようだ。
「それじゃ2人とも、また明日な。シンク行こうぜ」
「は?」
「だから、編入生を見つけに行こうぜ」
「……は?」
ロイドは編入生を捜しに行こうと張り切っているがシンクは意味不明という感じだ。
だがそれは当然だろう。捜している人物の少なくとも2人は目の前にいるのだから。
「ロイド、どこに何をしに行くの?」
「編入生たちを歓迎会に誘いに行くんじゃないのか?」
「目の前にいるけど?」
「え?」
「それに他の編入生たちも皆教室にいるけど?」
「……え?」
シンクに指摘されてロイドは教室を見渡す。
目の前にはジュードとルドガーの2人が。そして他の編入生3人も教室で談笑している。
「君ってやっぱりバカだよね」
「う……」
冒頭でいきなりロイドがバカ扱いされていたのはこういうわけである。
シンクがバカと言うのも当然だろう。
「えっと……」
「2人とも悪かったね」
「別に構わないよ。それで僕たちに何か用事?」
「君たち編入生の歓迎会をしようと思ってるんだ。参加してもらえるかい?」
この気まずい空気の中、シンクは何事もなかったかのように質問する。普通にすごい。
「もちろんいいよ。ルドガーも参加するでしょ?」
「ああ」
「そういえば2人ともどこに行ってたんだ?」
ショックから立ち直ったロイドは2人に尋ねる。
「調理室だよ。ルドガーが料理部の見学をしたいって言ったからね。
まあ僕は付き添いだけどね」
「ルドガーって料理するんだ?」
「ああ。趣味なんだ」
「ルドガーの料理の腕は確かだよ。プロにも匹敵するんじゃないかな」
「本当かい?それはすごいね」
シンクが感心しているとジュードがルドガーに1つの提案を持ち掛ける。
「そうだ!ねえルドガー、せっかくだから歓迎会で料理を作ってみたら?」
「えっ?」
「だから、歓迎会で料理を作るんだよ。ルドガーの料理は絶品だし
皆にも食べてもらうべきだよ。2人とも、駄目かな?」
「僕は別に構わないよ。ロイドは?」
「俺ももちろんオッケーだぜ。むしろ作ってくれって頼みたかったぐらいだぜ!」
「というわけでルドガー、料理を作ってもらっても構わないかい?」
「ああ。楽しみにしててくれ」
「歓迎会の詳しい内容は明日教えるね」
「うん、わかった。それじゃ2人ともまた明日ね」
「おう!また明日な!」
話しがまとまったことでジュードたちは鞄を持って少し早いが教室を後にする。
編入生なので荷解きがあるのだろう。
次にロイドはレイアとエリーゼの編入生の女子2人に声をかける。
「なあ2人とも。明後日にルークの家で編入生5人の歓迎会をしようと思ってるんだ。
参加してもらえるか?」
「私はもちろんオッケーだよ。むしろ歓迎会をしてもらえてお礼を言いたいくらいだよ」
「私も参加したいです」
「僕もいるよー!」
「もちろん大歓迎だぜ!」
ロイドの歓迎会の誘いにレイアとエリーゼ、ティポも参加すると答える。
「そういえばあなたの名前知らないな。何て名前なの?」
「言われてみればまだ自己紹介してなかったな。
俺はロイド。ロイド・アーヴィング。よろしくな!」
「ロイドだね、よろしく!」
「よろしくお願いします」
「よろしくねー!」
ロイドが自己紹介をして3人ともすぐに馴染む。
もう1人の女子の編入生、ミラにはシンクが声をかけている。
先ほどまではミラも編入生2人と談笑していたのだが今は窓の近くにいるからだ。
「ミラさんだよね。僕はシンク。明後日にルークの家で
君たちの歓迎会をしようと計画してるんだ。参加してもらえるかい?」
「もちろん構わない。だが2つ頼みがある」
「何だい?」
「食事をたくさん作ってもらえるように頼んでくれ」
「ルークに伝えておくよ。もう1つは?」
「私の事は呼び捨てで構わない。気軽にミラと呼んでくれ」
「わかったよ、ミラ。それじゃ僕はルークに食事の件を相談してくるよ」
「ああ、よろしく頼む」
会話が終わりシンクはルークの元に行く。ミラの頼みの1つを相談するためだ。
「ルーク、食事をたくさん作ってもらってくれるかい?」
「そりゃ食事は用意させるけど・・・たくさん?」
「ミラって編入生の頼みだよ。それに彼女、相当食べるような気がするんだ」
「分かった。頼んどくよ」
シンクの予想は見事に的中するのだがそれは次回に。
「シンク、2人とも参加するみたいだぜ」
「分かった。ミラも参加するみたいから編入生は全員参加だね」
「よし!じゃあ次は他の皆にも声をかけに行こうぜ」
「了解」
そう話し合ってから2人は教室を出ていく。もちろん他の生徒を誘うためだ。
そしてほとんどのメンバーを誘い終わってからロイドがシンクに話しかける。
「もう6時50分か。けっこう時間がかかっちまったな」
「まあ、放課後は皆自由に過ごすからね。仕方ないんじゃない?」
「それもそうだな」
「とりあえず、寮に戻ろうよ。もうすぐ門限の7時だしね」
「そうするか。学園中を歩き回って疲れたしな。それに校則違反だけは絶対駄目だ」
この学園の校則で寮には7時に戻るよう決められている。もし違反したら
ジェイド先生のお仕置きがあるので生徒たちはこれをしっかり守っているのである。
2人が話しているとロイドの携帯の着信音が鳴り響く。
「お、ルークからメールだ」
「ルークは何て?」
「えっと……。母上に言ったら喜んでオッケーしてくれたぜ。
土曜日を楽しみにしてる。だとよ」
「了解」
「あとは外出届をもらいに行くだけだな」
「それはさすがに明日にしようか」
時間が時間なので外出届は明日と決まり2人は歩き出す。
しかし少し歩いたところでシンクが立ち止まる。
「どうしたんだよシンク?早く寮に戻ろうぜ」
「あのさロイド。何で携帯で皆にメールを送らなかったの?」
「……え?」
「編入生はともかく、どうして歓迎会のことをメールで伝えなかったの?」
「……あ」
シンクの言い分はすごくご尤もだ。メールが使えるならそうした方がすごく楽だ。
無駄に学園内を探し回るよりずっと良い。
「君って本当にバカだよね」
「返す言葉もございません。……って気づいてたなら早く言えよ!」
「さあ早く寮に戻ろうか」
「あっ!ちょっと待てよシンク!」
立場が危うくなったのでシンクはさっさと歩きだす。そしてロイドはそれを追いかける。
そして2人は門限ギリギリで寮に到着した。
ジェイド先生は寮の前で詠唱をしていたが2人がギリギリ間に合ったことで仕方なく
詠唱を止め、お仕置きをできずに残念に思ったとか。さすが陰険鬼畜教師である。
そして翌日の放課後
「じゃあ僕とロイドは皆の外出届をもらってくるよ」
「おう。よろしくな」
シンクとロイドは教室を出ていく。
そしてその間にルークが明日のことを教えるのだ。ちなみにロイドとシンクは
昨日の夜にすでに教えてもらっている。
「そんじゃ明日のことを簡単に説明するぜ。明日は正午に家に集合な」
「えっと僕たちはどうやって行けばいいかな?君の家知らないんだけど・・・」
ジュードの問いは当然のものだ。編入してまだ2日目なのだから。
「編入生の5人は俺とロイドが案内するぜ。それ以外で知らない奴は言ってくれ」
ルークの問いに答えた生徒はいない。どうやら皆知ってるようだ。
「よし。それじゃ編入生の5人は11時に学園の正面玄関に集合な」
「わかった」
ルドガーが返事をし他の4人も了承する。
「じゃあ明日の正午な。皆遅刻するなよ」
ルークがそう言ってから解散となる。すると突如放送が鳴る。
ピンポンパンポーン
「1年3組、ルドガー・ウィル・クルスニク。職員室のジェイドの元まで
来てください。繰り返します。……」
放送をかけたのは担任のジェイド先生だ。
「ルドガー、何かやらかしたのか?」
「いや、記憶にないな」
「まあ行けば分かるだろ。早く言った方が身のためだぜ。遅かったら何されるか……」
ルークの忠告を聞きルドガーは少し身震いする。そして急いで職員室に向かう。
そして職員室
「おや、早かったですね」
「何か問題でも起こしましたっけ、俺」
「いえいえ。何も起こしていませんよ」
「じゃあ何で俺を?」
「ロイドの好物を教えて差し上げようと思いまして。明日は料理を振る舞うのでしょう?」
「どうして知っているんだ?」
「ロイドとシンクが外出届を提出しに来た際に知ったのですよ。つい先ほどのことです。
その時にロイドが貴方の料理を食べることを非常に楽しみにしていたのですよ」
「そういうことか。それでどうして俺にロイドの好物を教えようと?」
「どうせ料理を作るのなら相手の好物を作るべきでしょう」
「それもそうか。それでロイドの好物は?」
「それはですね……」
「わかった。先生ありがとう」
「いえいえ、明日は楽しんできてくださいね」
「はい!」
元気よく答えてルドガーは職員室を後にする。
その後ジェイド先生は怪しい笑みを浮かべる。いったい何と教えたのだろうか。
するとその様子を見かけたクラトス先生がジェイド先生に声をかける。
「どうしたというのだ?」
「いえいえ、何でもありませんよ。そういえば貴方はご存じなのですか?」
「何のことだ?」
「明日ロイドはルークの家で編入生の歓迎会を行うようですよ」
「そうか。……何だと?」
「おや、口が滑ってしまいました」
「ジェイド殿、情報提供感謝する」
そう言ってクラトスは職員室を出ていく。
それを見たジェイドはまたもや怪しい笑みを浮かべる。時間帯は夕暮れ。
ジェイドの掛けている眼鏡が怪しく光る。
果たしてロイドたちによる編入生たちの歓迎会はどうなるのだろうか。
次回に続く
Δ外出届
生徒が学園から出る際に必ず提出しなければならないもの。
提出先は担任の先生。もし無断外出をしたら停学になる。
これは生徒が学園内にいるかを確認するためのものなので非常に重要。
Δ門限
テイルズ学園の門限。19時までに生徒は寮に戻らなければならない。
寮監は男子がジェイド先生。女子はリフィル先生。もし違反した場合は
厳しいお仕置きがある。どんなお仕置きかは皆さんのご想像にお任せします。