織田信奈の野望〜乱世に迷いし少年〜(再掲版)   作:ただのふわにゃん

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超絶お久です。
FGOとツイッターにのめり込んでいました。



やるべき事

武田信玄と上杉謙信が和睦をしたとの伝えがあり、信奈は良晴と光秀、そして長門と僅かな兵を残し美濃へと急行した。そしてその翌日光秀らと共に京の守備に任された長門は義元が今も長門の直属の部下や小姓らを相手に「おーほほほほほ!」と高笑いを挙げながら鞠を生まれてくる時代を間違えたのではと本気で考えるレベルのキックを披露している清水寺内にて敵が攻めてきた際に対応出来るように光秀とその辺りの相談をする為に光秀を探したが

「は………堺へ行った?」

「はい、信奈さまと相良良晴がお忍びで堺に行かれたらしいので、供回りもつけないらしいのでお二人の護衛をと………」

 

長門は体裁上は織田の人質であったのだ。その長門が自由に動けすぎるのもよろしくは無い。そのために信奈は朝廷との橋渡し役であり、長門とも親交のあった光秀を見張り役を兼ねての護衛の筈だった。

織田軍は僅かな兵を残して美濃へととんぼ返りをしているが今川幕府設立の為に御所から提示された条件としての十二貫万文を手に入れる為に二人で堺に行っていた。しかしまさか光秀までがお忍びで堺に資金繰りを兼ねたデートをしている二人をお忍びでつけるとは思ってもいなかった。

はぁ、と溜息をつきがっくりと肩を落とした長門を光秀から伝言を受けた高次がおろおろとしながら声を掛ける。

「な、長門さま………」

「全く、どいつもこいつも俺を一人にして、これならば何の為の人質か………いっそこのまま」

「あはは………流石にそれは不味いのでは………誰かの耳に入ってしまえば………「………梅の耳には入った………」………うっひゃあ⁉︎」

高次の真後ろから長門の小姓兼忍びである梅が天井からぶら下がって降り、驚いた拍子に見事な横っ飛びを披露した挙句、着地に失敗して顔面から地面を迎えてしまったのだった。

「………松永弾正からの書状です………」

「お、おう、御苦労だった………」

その光景を割とドン引きしながら梅からの書状を受け取り中身を確認した。そして中身から目を離すと、

「よし、これから大和へ行ってくる。梅、準備をしろ」

「………もう万端です………」

「ええ⁉︎ 大和って言うことは………松永弾正殿に?」

「ああ、降伏したからといって奴の事だ、この事をいち早く察知して馬鹿を起こすかもしれん。その前に釘を刺しておこうと思ってな」

「で、でしたら私も………」

「ただでさえ十兵衛殿がいないって言うのにお前までいなくなったら兵を纏める者が本格的にいなくなる。本来は十兵衛殿がいるものだとばかりに思っていたからな。頼めるのがお前しかいなくてな」

「はい………ではお気をつけて」

「ああ、それと高次、ちょっと用意して貰いたいものがあってだな………」

「はい?」

 

 

大和国、多聞山城、三好三人衆から離反した松永弾正久秀が大和国の支配者足らんと権威を示す為に築いた平山城であり城内にて多聞天を祀っていることからその名を拝したとも言われる城である。

しかしその城を下から見上げる長門は城そのものに立ち込める邪気のようなものを肌で感じ取っていた。

(これはまた………本来の歴史とは違う城だろうな。松永弾正本人も女だったりしてな、ハハッ、まさか………)

城門に馬を進めると当然の事に城門の兵に進路を遮られた。

「待て、何者だ」

「織田軍、緋村家が三男、緋村長門である。松永弾正どのに御目通り願う」

「おお、緋村どのか、殿からは丁重に持て成せとのお達しがありもうした。ではこちらへ」

「梅、馬は任せたぞ」

「………はい………」

馬から降りると長門は馬を馬に預け、多聞山城の兵に続き城内にと入っていく。

 

長門が城に通され広間で正座をして城主の到来を待つ。外観だけではなく、場内も異様な雰囲気を肌で感じる程の違和感を放っていた。

松永弾正久秀。乱世の奸雄と謳われる程の傑物なのだ一体どのような人物なのか。

謁見の間に案内された長門の目の前に現れたその人、松永久秀に長門は目を奪われた。露出度の高い衣服から艶やかな褐色肌が露わになっており、胸元の起伏は女性のそれであった。

「緋村三郎長門と申します」

「うふふふ、そんなに畏まらずとも、我らは共に織田に降った者同士、同じ家臣ですわよ」

「大和一国の主と私を同等に語るのは些かどうかと………」

うふふふ、と含みを持たせた笑みがここまで似合う人間とあったことの無い長門はその妖艶さも相まって脂汗が頬を伝った。かつて三好氏と共に前将軍足利義輝をその座から追い出し、畿内で権威を振るっていた三好氏を出しぬき対立した松永弾正である。長門も謀には自信を持ってはいるが、目の前の極悪人を前にその場数の違いを否応に見せられていた。

この時、長門は確信した。この毒婦は確実に何かを企んでいると、それも織田にとって危険な毒を。

既に腹の探り合いは始まっており、長門は決して隙を見せぬ様、泰然と構え、彼女の一挙手一投足に全神経を集中させていた。

「うふふふ、貴方とは馬が合いそうですわ。ですが、本題に入らなくて? 独断で、それも主に黙って私に接近するなんて、何を企んでいるの?」

「ッ‼︎」

まさかいきなり切り崩しに掛かってくるとは想像出来なかった。

「何を仰りますか私はあくまで名代です。私の腹など覗いても………」

「そうですか、主に黙って私の元を訪ねるお人ですもの、何か思惑があると疑って然るべきでしょう」

やはりお見通しであった。今回の謁見に関して、信奈の指示などではなく全て長門の独断によって行われており、その事については梅にしか話していなかった。

当初の目的ではあわよくば信奈の名前を騙って松永弾正を動かそうと考えていた。松永弾正がそれを読めず従うのならばその程度の者と飼い殺しにして何処かで切り捨てる算段もあったがそうは甘くはなかった。

(相手を舐めすぎだよな………仕方がないいわゆるプランBってやつだな)

ふう、と息を吐く。彼女の不気味さが薄れたわけでは無いが、何故か少し肩の荷が下りた気がした。

「………それは失礼いたした。 松永弾正殿が仰る通りこれは私の独断。 貴女に言わねばならないことがあったので」

「私に何を?」

そして長門は事の本題を切り出す。

それは、久秀すらも本気で驚いた話であった。

 

摂津、和泉、河内の境目に位置する堺。この町は「会合衆」と呼ばれる豪商たちが支配する町で独立した権力を持つ完全中立の町である。信奈と良晴は関白の近衛に与えられた無理難題を切り抜ける為、この堺を訪れていた。

「ほらサル、ちゃんとふーふーしなさいよ」

「なんで俺が………自分ですればいいだろ?」

「あんた、私の丁稚のサルでしょ? 」

堺での二人は他の家臣がいないこともあり、主に信奈の態度が普段より柔らかい者であった。アツアツのたこ焼きを仲良く食べる様はもしこの場に勝家がいれば涙ながらに発狂し、良晴を問答無用に斬り伏せているだろう。

良晴はこの時代にたこ焼きがあることに面を食らったが、見た目も味も元の世界と遜色のない出来に安心をしていた。

「ん、なかなか悪くないわね。このたこ焼きっていうの」

この堺に来てからの信奈の年相応の少女の笑顔と奔放さに良晴は心を揺れ動かされっぱなしであった。

(なんだよ………今日の信奈は、いつもと全然違うじゃねぇかなんだって、結構かわい………いやいやそれはないよな)

信奈のギャップに思考の七割ほどを使用していたこともあってか、良晴は二人の後を追ってこの堺に来た優秀な後輩の存在を察知できなかった。

「信奈様、相良先輩、こんな所で何をしているのですか」

「えぇぇぇ⁉︎ 十兵衛ちゃん?」

「じゅ十兵衛⁉︎」

ラブストーリーは突然の終演を迎え、織田の新参で出来る後輩の光秀が京を抜け出して二人の前に立っていた。

「お、俺たちは堺で金の工面をしようと………っていうか十兵衛ちゃんはここにいて大丈夫なのか?」

「十兵衛、あ、あんたこそなんでいるのよ! 京の守備はどうしたのよ」

良晴も信奈も突然の光秀の登場に慌てて距離を取り、誤魔化すように光秀がここにいる事に話題を変える。

「京には長門殿もいますし、問題ないのです。彼なら一人でも全く問題ないのですよ」

「いや、あいつの監視どうするんだよ………」

「え?」

「は?」

「「「………」」」

三人のしばらくの沈黙の後、光秀は問題ないと押し切り、美少女の用心棒として信奈達に同行することになった。

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