艦隊これくしょん~提督はご先祖様?~   作:サウス零

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お待たせしました。第三話、あの四姉妹を始めとした艦娘との出会い……

そして、いつの間にか彼女はヒロイン化?


3・熱烈のDiamond

艦娘達との対面を果たした翌日。光一は刀真から教えられた場所に向かっていた。

 

その場所は鎮守府の重要施設でもある『工廠』である。

 

ここでは艦娘それぞれの専用装備を開発、建造が行われるのであった。

 

時間は午前の8時過ぎ、光一はその場所を目指して歩いていたのだが…

 

「迷った……」

 

言葉通り彼は迷ってしまった。

 

「確か、あの通路を左に曲がってその先を右に向かって……んがあぁぁぁ!!!」

 

「あら、隊長さんおはようございます~」

 

頭を掻きむしりながら大声をあげている所に誰かがやってきた。

 

「おはよ…。ん、如月か?」

 

如月であった。

 

「何をしているんですか?」

 

「ああ、今から工廠って所に行くんだけど……」

 

「工廠って、この先は間宮さんのお店ですけど? 工廠は全くの反対の方向ですよ?」

 

「えっ、マジで!?」

 

その時、光一の腹部から音が聞こえてきた。

 

「ぬお! そういえばまだ朝飯食ってねーんだった…」

 

「うふふっ、それなら先にお食事をご一緒にしませんか? お店で睦月ちゃんたちと待ち合わせをしているので…」

 

「お、おう…そうさせてもらうぜ、それに飯食べれる所を聞くの忘れてたし…」

 

「それでは、行きましょう♪」

 

こうして、如月のおかげで光一は朝食を食べれることが出来、工廠の案内をしてもらう事になった…。

 

 

 

 

 

『熱烈のDiamond』

 

 

 

 

 

如月が案内してくれた工廠の前に立つ光一、ドアを開けて工廠の中に入り、歩いていると…

 

「おはようございます、提督!」

 

緑色のリボンでポニーテールにオレンジ色の作業服を着た少女が声をかける。

 

「お、おはよう…」

 

「あれ、服装が違う……という事は、あなたがあの隊長さんですね?」

 

「ま、まあな……ええっと」

 

「私は、兵装実験軽巡の夕張です。主にこの工廠で兵装実験のデータを取得して、更なる艤装の開発をしています。」

 

「俺は天翔光一、あんまり堅苦しいのいらねえから、気軽に話してくれ」

 

「わかったわ。そうさせてもらうわね」

 

「それで、俺のガントレットはどこにある?」

 

「こっちよ。今明石さんが最後のチェックをしている所、ついて来て」

 

 

夕張に連れられ、光一は工廠の奥へと歩いていく…

 

「如月ちゃんを助けてくれて本当にありがとうね……」

 

「ん?どういう意味だ?」

 

「私、如月ちゃんの所属している艦隊の旗艦なの、あの時如月ちゃんがいなくなっていたのに気付かなくて……」

 

「そう言えば、俺はあの時に深海の飛行機を蹴り飛ばして、気絶したんだよな…。どうやって俺を運んだんだ?」

 

「如月ちゃんから聞いた話だと、気絶したあなたの通信機を使って指令室に連絡したんですって、自分の通信機が故障していたから無我夢中で…」

 

「……そうか、まあ、俺もこうして助けられたんだ。良しとしようぜ!」

 

「ええ…そうね、さあ、着いたわよ」

 

足を止めて、大きなドア開き、中に入るとそこには様々な主砲、魚雷、艦載機などがそれぞれ並び添えられていた。

 

「明石さ~ん!隊長さんが来ましたよ~!」

 

「はいは~い!」

 

カタカタと音を立てながら、一人の女性が顔を出す。

 

「お待ちしておりました。私は工作艦『明石』この工廠の稼働を任されています。」

 

「よろしく。けど、これからは普段通りに話してくれ、隊長なんて形だけだからな。で、早速だけど」

 

「はい、こちらへどうぞ」

 

今度は明石の案内で一つの台の前に立つ、そこには見覚えのあるガントレットと多数多色のMD(ミニディスク)が置かれていた。

 

「傷跡もない、新品同様じゃないか。よく直せたな!?」

 

「ええ、でも私一人では無理でした」

 

「じゃあ、どうやって?」

 

「その妖精さん達から仕組みを教えてもらったんです」

 

「妖精?冗談はよーせ~って……」

 

明石の発言に苦笑を浮かべながら取り出したガントレットを見ると…

 

 

オレガ、オレタチガ、ヨウセイダ!!

 

オツカ~レ!

 

 

ミニマムな人型の生き物がガントレットの周りに浮いていた。

 

「なんかいる!?なんかいるんですけどぉぉぉぉぉ!?!?!?」ハワワ~!?

 

「あっ、やっぱり見えるんですね。」

 

「あはは、提督とリアクションが同じね」

 

それから、光一は返却されたS(サモン)・ガントレットの状態を確認する。

 

明石の言葉どおり、アーマーのダメージは完全に回復されており、エネルギーも満タンだった。

 

「妖精さん曰く、ダメージの負った部分の修復に用量のある各エネルギーを変換使用したとのことです。」

 

「妖精スゲー!!、妖精さんバンノーすぎ!!」

 

まさかの展開に光一は終始驚きっぱなしであった。

 

だが、問題点もすぐに浮き出る。

 

現在使用可能なのが、『アーマー装着』『属性攻撃・地水火風』そして…

 

「フォームチェンジが一つだけか……」

 

「どういう機能なんです?」

 

「文字通りの特殊な武装に替えることが出来る」

 

「いわゆる変身ヒーローのお約束ね?テストしてみる?」

 

「そうだな……」

 

すると、工廠に電話のベル音が響く、明石が電話を取ると誰かと会話を進めている。

 

「わかりました。ではそう伝えておきます、はい、失礼します」

 

受話器を置くと、明石は光一のほうに向く。

 

「天翔隊長、提督がお呼びです。特別任務だそうです」

 

「……ほう、こいつはグッドタイミングだな」

 

光一は使えないディスクを明石達に預け、ガントレットを装備して執務室に向かうのだった。

 

執務室に入ると、そこにいたのは呼び出した刀真、秘書官である長門と陸奥。

 

そして、いささか緊張気味な吹雪と対象的にうろうろとしている艦娘がいた。

 

「よ、この二人も任務のメンバーか?」

 

「そうだよ、それでそっちの状況はどう?」

 

「ひとまず、戦闘に支障はない、後は実戦で深海のやつらに効果があるかどうかってだけだ」

 

「そうか、なら今回の任務はピッタリのようだね」

 

そんな会話を進める中、吹雪はがちがちに固まっていた。

 

「うっ、うっ、うっ…」

 

「おっ、おっ!」

 

「大丈夫よ、どうせすぐそんなに緊張しているのがバカバカしくなるから」

 

「えっ?」

 

陸奥の発言に首をかしげる吹雪に長門は人差し指をおでこに当てて、ため息を入れる。

 

「ねえねえ、それより任務って?」

 

ウサギの耳を思わせる黒いリボンを着け、吹雪とは異なる奇抜な服装を着ている島風が質問する。

 

「少し待て、全員揃ってから説明する」

 

「全員?」

 

「ええ、今回二人は『金剛』を旗艦とする南西諸島方面艦隊に、一時的に配備されるの」

 

「そして、遊撃隊員として天翔隊長にも同行してもらう」

 

「ほう、本当にいきなりだな?」

 

「でも、君としてはその方がやりやすいでしょ? それに艦娘達の戦いぶりを見たいだろうし?」

 

「へっ、ごもっともだ!」

 

「よかった~一時的にか……って、金剛さん!?」

 

吹雪の脳裏に、金剛型の4姉妹が一斉射撃を仕掛ける姿とさらに金剛本人がやたら美化されている横顔が映った。

 

「あの人もかっこよかったな~♪」

 

頬を赤く染めた笑みを浮かべる吹雪。

 

そこへ……

 

 

「テェ~エ~トゥ~クゥゥゥ!!!」

 

ドタドタと廊下から音を立てて誰かがやって来る

 

「やれやれ、噂をすればってやつだね?」

 

「んふ♪」

 

「…」

 

笑みを浮かべる陸奥に長門と刀真は苦笑を浮かべていた。

 

大きく音を立ててドアが開き、巫女服を思わせる装飾を着た少女が入る。

 

 

ソンナソウビデダイジョウブカ?

 

ダイジョウブダ、モンダイナイ!

 

 

「えへ、バーニング…」

 

笑顔を浮かべて少女が突然、飛び込み回転で提督に…

 

 

 

 

「らーぶー!!」グハッ!?

 

 

 

 

 

ラーブー! ドッホー!?

 

 

 

 

 

ラァーフゥ゙ー!!! アジャパー!?

 

 

 

 

 

カミハイッテイル、”コレハゲンソウダ!”

 

 

 

ではなく、一番近くにいた光一に向かって開脚前転でダイビングしたのだった。

 

妙な時間差攻撃を光一が喰らった事は幻想と言っておこう…

 

「ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、テェ~トォ~クゥ~♪……あれ?これは提督じゃなくて…………アナタ、誰デス!?」

 

「今頃かよ!!?」

 

「金剛、僕はこっちだからね…」

 

「Shit!でも次は負けまセン!提督のハートを掴むのは私デース!!」

 

「何なんだコイツは……」

 

凄い気迫で背景が炎に包まれているように見えた。吹雪は唖然として彼女を見ていた。

 

「えっ、えっ?金剛さ、ん?」

 

「むぅぅ……! Oh、youが噂のnewfaceね?」

 

「は、はい。特型駆逐艦の吹雪です!!」

 

「元気のいいGirlね、でも元気の良さなら私だって負けないネ!!」

 

すると、急に景色が変わったような気がした…

 

「金剛型1番艦、英国で生まれた帰国子女、金剛デース!!」

 

ドカーン!

 

「同じく2番艦、恋も戦いも負けません! 比叡です!!」

 

ドカーン!

 

「同じく3番艦、榛名! 全力で、参ります!!」

 

ドカーン!

 

「同じく4番艦、艦隊の頭脳! 霧島!!」

 

ドカーン!

 

「「「我ら、金剛型4姉妹!!」」」

 

「デース!!!」

 

ド!ド!ド!ドカーン!

 

何だろう…単なる自己紹介なのに、やたら特撮の名乗りのようなイメージに見えたのは気のせいだと光一は思いたかった…

 

笑いをこらえる陸奥、長門は呆れ、刀真は苦笑のまま、口が開きっぱなしの吹雪はイメージ金剛の姿にヒビが入る。

 

「全く、何のつもりだ?」

 

「それが、遠征から帰還後の初任務ということで…」

 

「提督にアピールしようと、金剛お姉さまのテンションが上がりまくりでして…」

 

「そもそも、比叡達はいつからここで用意をしていた?」

 

「ああ、それはもちろんこっそり迅速に忍び込んで!!」

 

「なんか見えたけど、君たちだったのね!?」

 

「はぁ…そんなことをするための高速戦艦ではないだろうに…?」

 

ワイワイと話をする長門と金剛型4姉妹を呆然と見てる吹雪に陸奥が近づいて一言…

 

「ほら、緊張するだけ無駄でしょ? これでも、一航戦に並ぶエースなんだけどね」

 

「うっ、うっ、うっ……」

 

だが、吹雪には金剛のイメージを完全崩壊した瞬間だった……

 

 

 

パンパン!!

 

刀真が手を叩いて、話を中断させる。

 

「ハイハイ、おしゃべりはこの辺で、任務の説明をする!」

 

「!!」

 

海洋図を広げて、今回の作戦を説明する。

 

ここからは、先ほどから情報収集を行っていた艦娘『大淀』も加わった。

 

「南西海域に眠る豊富な資源。今後、激化する戦いに備え、何としても押さえておきたいが……」

 

「深海棲艦も狙いが同じのようです。戦艦2隻を中核とした艦隊の接近を確認しました」

 

「これを要撃する為、編成されたのが貴方達よ、理由は……」

 

「現在、南西海域に発生中のスコール…ですね?」

 

「つまり、一航戦のような航空戦力が使えないから…」

 

長門の説明、大淀の入手した情報で、作戦内容を組み立てていく。

 

「そうだ。高速戦艦の機動力をもって敵艦隊を撃滅する……以上、何か質問は?」

 

「ほぅ~……what?」

 

金剛と比叡が何故か首をかしげる。

 

「お前ら……!」

 

「要するに凄い速さで近づいて」

 

「一気にどかーんとやってしまえばいいという事です」

 

「なるほど、わかりやすい!」

 

理解できなかったのか、簡単に内容を説明する霧島と榛名

 

そこへ、金剛は二人に抱き着く。

 

「全く、頼りになる妹達デース!!」

 

「ああっ、いいな、いいな!」

 

「島風ちゃん……この任務どうなっちゃうのかな?」

 

「Hey,ブッキー、ぜかまし~!」

 

今度は吹雪と島風に抱き着く金剛

 

「ぶ、ブッキー!?」

 

「むぅ、私、ぜかましじゃな~い!」

 

いつの間にか付けたあだ名に困惑する吹雪と不満な島風。

 

「心配しなくても、私たちが付いているのでNo problemデス!」

 

またしても、騒ぎ出す中、光一は……

 

「それで、同行する俺の役目は?」

 

「さっきも霧島が言った通り、海域はスコールで航空戦が出来ない。それに変わる目の役をお願いしたい」

 

「OK、空なら俺の領域だ。スコールなんて関係ねぇ!」

 

「後は気まぐれ娘の面倒かな?」

 

そう言いながら、島風を見る斗真。

 

「あいつが?何でだ?」

 

「それは、実際に話したりしたらわかるよ。」

 

「そうかい…」

 

訳アリのような感じなので、これ以上聞くのは止める光一であった。

 

「よし、作戦決行は明日の朝。各自、明日に備えてくれ、では解散!!」

 

 

 

その夜、光一は如月と睦月と話しながら艦娘寮に向かって歩いていた。

 

「ほぇ~隊長さんも一緒に出撃するんですか? でも、隊長さんは海を渡れるんですか?」

 

そう睦月が聞いてくる。彼女は光一のアーマー姿を見ていないので最もな質問をしてきた。

 

「ああっ、俺には専用の装備品がある。如月は見てるんだよな?」

 

「ええ、でもあの時はかなり慌てていたからちゃんとは見ていないんです。確か白い鎧ですよね?」

 

「一概に言えばそうだな。まあ本格的に作戦が始まれば俺も参戦するし、見せる機会もあるはずだ」

 

「そうなんですか、あっ、私達はここで」

 

「明日の作戦、頑張ってくださいね」

 

「おう、お疲れさん」

 

二人が、寮内に入るのを見送って光一は自分の部屋に戻り、明日に備えるのであった……

 

 

 

 

 

 

翌日の朝

 

 

 

「ムッキィィー!?」

 

鎮守府の艦隊発進デッキにて、金剛は怒りの声を上げていた。

 

「どうして、ぜかましーは、いつまで待っても来ないデスカ!?」

 

「今、霧島が指令室に連絡してますから」

 

「ブッキーは何か聞いてないデスカ?」

 

「ほえっ、私ですか?いえ、特別何も……」

 

メンバーの一人、島風がその場にいないのである。

 

そこに、指令室に連絡をしていた霧島が合流した。

 

「お姉さま、大淀さんに確認しました」

 

大淀曰く……

 

間違いなく、任務を忘れて何処かにいる。

 

以前は提督の私室のコタツの中にいたり、軽空母『鳳翔』の所にいたりと自由気ままな艦娘の為、

 

探し出すのは苦労するだろう……

 

「との事です」

 

「島風ちゃんったら……」

 

「そう言えば、隊長さんもここにはいませんね……」

 

すると、向こうから「降ろしてー!」と誰かの叫び声が聞こえる。

 

入ってきたのは、何と光一、右肩には米俵のように担ぎ上げられた島風がいた。

 

「わりぃわりぃ、こいつ連れてくるのに手間取ってな」

 

「お、ろ、し、て、よ~!」

 

「こらこら、そんなに暴れるなって」

 

担いだ手を解くと島風は自分自身で飛びる。

 

「もう!ヒドイよ、かけっこしようって言ったの隊長でしょ!?」

 

「ああ言ったぞ、で、俺の勝ちだからここに連れてきたんだよ、今から任務だってな?」

 

「むぅぅ~!」

 

 

そしてメンバーが集まり、各自の艤装を装着をして海上に出撃していく、最後は光一の番であった。

 

「そう言えば、タイチョーはどうやって私達についてくるのデース?」

 

『まあ、見てろって!!』

 

デッキの中にいる光一が左腕に装着したS・ガントレットのスイッチを入れて、一枚のMDを装填する。

 

《stand-by、Ready!!》

 

「サモンコード……ブレイヴ!!!」

 

上に掲げた拳に光が降下、光一の全身を包み込み、一瞬にして白い鎧が装着。

 

背中に翼を思わせるウイングユニットと二対の砲撃武器が装備されていた。

 

これが、光一の変身した姿『アーマノイド・ヒューマン ロア=アルフォンス』である。

 

「……発進する!!」

 

背中のウイングユニットに粒子が集まり、衝撃音と共に空へと舞いあがった。

 

「す、すごい…」

 

「本当に空を飛んでいる?」

 

「これはびっくりデース…」

 

高度を下げ、飛行するロアの姿にみなが驚いている。

 

ふと辺りを見てみると、波止場の近くで2人の人影を見つける。睦月と如月が手を振っていた。

 

ロアも軽く手を振り返して、金剛達の近くに向かい南西海域へと出撃するのであった……。

 

 

 

 

 

 

南西海域に到着し進行中、そんな中、情報通りに一帯はスコールの雨にさらされていた。

 

「うっぷ、す、すごい雨…」

 

「これでは、確かに航空戦力の投入は無意味、速度に秀でた艦隊が編成されるわけです」

 

雨の影響で視界が悪くなり苦笑を浮かべる一同だが、島風は一人平気そうであり…

 

「みんな、おっそーい!!」

 

そう言って、編成を無視してスピードを上げていく

 

「島風ちゃん、先行しすぎです!」

 

「そうだ、旗艦は金剛お姉さまよ~!」

 

「たいちょう、かけっこしよ。次は負けないよ~!!」

 

急にロアに向かって挑戦状を叩きこんできた。

 

「人の話を聞けぇ!!」

 

「やれやれ…」

 

「ふふっ!」

 

そんなやり取りに、吹雪は思わず笑いをこぼした。

 

「やっと、smileを見せたね、ブッキー?」

 

「えっ?」

 

「雨も滴るイイ艦娘デース! ふふっ、もう提督~触ってもいいけど、時間と場所をわきまえなヨ~!」

 

「何で、自分の話になっているんだ…?」

 

「ふふっ」

 

何故か自分の世界に入り込んでしまった金剛にまた笑いをこぼす吹雪、隣にいるロアは呆れ顔になっていた。

 

すると、アラーム音が響く、霧島のレーダーに何かが探知されたようだ。

 

「水上電探に艦アリ、来ます!!」

 

一同の前方に黒い霧が広がっており、その中から黒い影…深海棲艦が現れた。

 

「比叡、切り込み役は任せたネ!」

 

「任せてください、てぇぇぇい!!」

 

金剛の指示で、比叡の主砲が炸裂。先制攻撃を仕掛けた。

 

だが、距離があったのか命中とは行かず、深海棲艦達の進行は止まらない。

 

「ル級の相手は私達ネ!」

 

「「「了解!」」」

 

「ブッキーとぜかましにタイチョーは駆逐艦の足止めよろしくネ!」

 

「は、はい!!」

 

「はーい。………ぜかましじゃないし…」

 

「そう拗ねるな、行くぞ!!」

 

金剛姉妹は主力の戦艦ル級を、吹雪、島風、ロアはまわりの駆逐艦をと艦隊を二手に分かれた。

 

「撃ちます、Fire!!」

 

金剛が先制の砲撃を放つ、飛んだ弾丸は命中とは行かず、敵戦艦の周辺に水柱が出来上がる。

 

「初弾、夾叉。次はいけます!」

 

「オーケー!!Fire!!」

 

榛名からのナビゲートにもう一度砲撃を仕掛ける金剛。

 

今度は敵戦艦に着弾、動きを抑えることに成功した。

 

「さっすが、お姉さま。私も、行きます!!」

 

姉の攻撃に続いて比叡が砲撃体勢に入る。

 

敵艦隊もやらせないとばかりに砲撃をしてくるが、回避してどんどん近づいていく金剛姉妹達。

 

「すごい……」

 

「これが、艦娘の戦いか……」

 

後方にいた吹雪とロアが思わず見とれてしまう…

 

「連装砲ちゃん、お願~い!!」

 

三体の連装砲型マスコットが飛び出し砲撃を放った。

 

何をかくそう、『連装砲ちゃん』と呼ばれるこれらは島風の艤装なのである。

 

連装砲ちゃん達のかく乱で敵の駆逐艦へと一気に接近する島風、反撃に放った敵駆逐艦の砲撃を回避し、背中の武装を展開した。

 

「五連装酸素魚雷、いっちゃってー!!」

 

背中から名の通り、5本の魚雷が発射され、命中した。

 

《Flame mode》

 

続けて、ロアの背中の武器がスライド展開すると、2対の砲撃銃を構えた。

 

「フレイムカノン、当てる!!」

 

戦艦たちに負けない大きさの砲弾が放たれ、駆逐艦の群を錯乱させる。

 

「レッグガン・ミサイル!!」

 

両脚太もものパーツが展開して小型ミサイルが飛び出し、爆裂させた。

 

まさに艦娘の戦い方に合わせた攻撃である。

 

「私だって。大丈夫!この前は上手く出来たもん! いっけぇぇぇ!!」

 

自分も続いて砲撃を仕掛け、魚雷を放つ。

 

魚雷は敵艦に命中し、水柱を起こした。

 

「やった。これならもっと…!」

 

その結果に思わず吹雪は前に出てしまった。

 

「吹雪ちゃん、前ですぎっ!!」

 

「えっ?きゃあっ!?」

 

それに気づいた比叡が声をかけるが、吹雪に大量の水柱が立ちあがる。

 

「な、何…?」

 

すると、水の音が聞こえ自分の足元を見ると足首まで海に浸かっていく。

 

艤装にダメージが重なり、水上移動の能力がダウンしてしまったのだ。

 

「あっ…ッ!?」

 

目の前には敵戦艦が待ち受けていた。

 

完全に吹雪を狙っている。

 

敵戦艦が砲撃を仕掛けて夾叉弾を起こす、その吹雪をいたぶる姿は獲物を狩る肉食動物のように感じるだろう…

 

止まない砲撃は次々と水柱を起こす、ふと、吹雪の脳裏に自分たちを見送ってくれた睦月と如月の姿を思い出す。

 

その後、夕立や川内3姉妹と所属している仲間たちの姿が浮かび上がった。

 

死の恐怖にかられて、吹雪は膝を海に付けてしまう……

 

「やだ……やだよ……」

 

ついに砲撃は直撃コースに乗ってしまい、吹雪の頭上を狙った。

 

 

 

 

 

 

着弾の瞬間、そこに割り込んできたのは……金剛だ。

 

敵の砲撃弾を拳で明後日の方向へと弾き飛ばしてしまったのだ。

 

「あっ……」

 

吹雪の方に向きを変えて、彼女が無事であるとわかり、ニコリと笑みを浮かべる。

 

「ここはひとまず私達が!」

 

「お姉さまは吹雪ちゃんを!」

 

比叡、榛名、霧島が戦艦の方へと向かい別行動をとる。

 

しゃがみ込んでしまった吹雪、そんな彼女に近づいた瞬間だった……

 

「特型駆逐艦『フブキ』……確認、ハイジョカイシ!!」

 

突如、現れたのは人型の深海棲艦、しかし彼女たちの見慣れている姿とは異なりメカニカルな部分が多くを占めている。

 

まるで機械兵士のように見えた…

 

「ブッキー!!」

 

「金剛さん!?」

 

機械兵士が吹雪に向かって剣で斬り込もうとするが金剛が吹雪に抱き着いて庇う……だが、これで終わりではなかった。

 

「おうっりゃぁぁぁぁぁ!!!」

 

ロアの渾身の蹴りが人型深海棲艦を跳ね飛ばした。

 

「隊長……さん?」

 

「二人とも大丈夫だな……」

 

「ハイ、タイチョーが先に蹴り飛ばしたおかげでそれ以上のダメージはアリマセン…」

 

フェイスカバーが開き、二人に問いかけるロアの表情に金剛と吹雪は戸惑ってしまう…

 

「こいつは……俺が仕留める!!!」

 

ロアが水色のMDを取り出し、左腕のアームパーツに装填する。

 

《Change on Mermaid》

 

ロアのアーマーが形を変えて色合いが蒼色が多く染めあがり、手には大型のランスが握られた。

 

「S級脅威対象、『ロア・アルフォンス』トセッショク……テッタイスル」

 

「逃がすかっ!!」

 

人型深海棲艦が海に潜り金剛と吹雪から逃げ出してしまう、ロアはランスにエネルギーをチャージしてそれを解き放つと、そのまま海に潜る。

 

金剛と吹雪から離れた場所から大きな水柱が起こり、人型深海棲艦が打ち上げられた。

 

そのまま、ランスを構え乱れ突きを仕掛けるロア、その猛攻は出会った時の印象を大きく変えてしまう…

 

「翔雨烈風突!!」

 

一気に振り込んだランスの打撃に人型は別の場所にいる深海棲艦達の所へ弾き飛ばした。

 

そして、金剛と吹雪の元に降下した。

 

「吹雪は俺に任せろ。後は…任せたぜ!」

 

「オーケー。任せるネ♪ 一気に決めマース!」

 

 

金剛が妹たちに合流し反撃の狼煙を上げた。

 

高速戦艦である金剛姉妹の機動性は敵艦隊を圧倒している。

 

榛名が最初に砲撃、霧島が弾着修正の処理、比叡の起こす夾叉弾で、敵戦艦がぶつかり合った。

 

「「「お姉さま!とどめを!!」」」

 

「Burning ラァァァブッ!!!」

 

最後は金剛、渾身の一発が爆発を起こし、敵旗艦を撃沈させた。

 

「こっちも、完了だよ~!」

 

別動隊の駆逐艦を島風が残りを撃沈させ、今回の任務は終了。

 

「Hey!ワタシ達の活躍、見てくれた? 目を離しちゃ、No!なんだからね♪」

 

金剛の決め顔に吹雪は微笑みで返すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

夕方の波止場で光一は一人で夕日を見ていた。

 

「あの人型の迷彩装備は間違いなくアーミータイプだった……どうして、俺達が倒した敵がこの世界に…」

 

「隊長さ~ん!」

 

大声で呼び出したのは如月であった。

 

光一の姿を見つけて、その場に向かって走ってくる。

 

「おう、どうした?」

 

「もう夕食の時間ですよ。あまり遅いと無くなってしまいますから」

 

「そんな時間だったのか、如月は飯食ったのか?」

 

「いいえ、まだですけど…」

 

「なら、一緒に食べに行くか?」

 

「はい、お供します♪」

 

そう言って、光一は如月と並んで食堂に向かう、そんな中……

 

「あの……隊長さん。如月がこんな事を言うのは大きなお世話だと思いますけど……」

 

「ん?」

 

「如月に出来る事があったら、仰ってください……帰ってきた時の隊長さんの顔が何だか怖くて……」

 

彼女は帰還時に出迎えのメンバーにいたのだが、光一は誰とも会話しないで即座に立ち去った為、不安を感じでしまったのだ。

 

その時の事を思い出し、光一は思わず失敗したと顔をしかめる。

 

現れた敵の事を考えるのに夢中で、如月がいるのに気付いてやれなかったのだ。

 

うつむく如月にそっと頭をなでる光一に如月が顔を上げて光一を見た。

 

「あっ」

 

「わりぃ、考え事になるとどうも辺りを見れてないようだ。前に仲間から指摘されてたな……直さないとなこの癖」

 

「そうだったんですか……」

 

「何にしても、今回の任務で色々やらないといけないことが増えた」

 

光一の言葉に更なる不安を感じて如月はおずおずと訊ねる。

 

「……もしかして……ここを出るとか?」

 

「出ていかねぇよ、この場所以上に情報を手にする方法なんてないからな……それに一人でどうにかするには骨が折れるのは確定だ…」

 

「それじゃ……」

 

「事が収まるまではこの鎮守府に世話になる。手助けしてもらえれば助かるんだが……?」

 

そう言いながら、右手を差し出す光一。

 

「はい、お任せください。助けてもらった恩をお返しするためにも!!」

 

差し出された右手を両手で握り、満面の笑みを見せた如月なのであった……

 

 

 

『戦闘能力を失った吹雪の着任』『吹雪を狙う謎の人型深海棲艦』『助けを求める二人の深海棲艦』

 

 

 

(そして、『謎の夢を見た俺そっくりの提督』……この世界に誘われた理由がわかるはずだ…)

 

 

 

光一の新たな戦いが始まる瞬間であった。

 

 

 

NEXT…

 

 

吹雪を狙う謎の人型。

 

その情報を聞いた刀真は予てから考えていた部隊の再編成を前倒しで発動させる。

 

既存の編成メンバーはバラバラとなり新しい部隊へと変わっていく……

 

そんな時、光一は刀真からとんでもない発案を受けるのだった。

 

次回『理想のFleet』

 

 

 

「光一。君だけの『艦隊』作りたくない?」

 

「お前、本気か!?」

 

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