艦隊これくしょん~提督はご先祖様?~   作:サウス零

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やっぱりこうなった…


5・華麗なConvention

今日も鎮守府に朝が来た。

 

そんな清々しい日差しをよそに指令室にいる長門と陸奥が神妙な顔でその場にいた。

 

長門に至っては、席に座り、肘を立てて両手を組んでいる。

 

いわゆるどこかの組織司令官のようなポーズであった。

 

「ついにこの時が来たわね…」

 

「ああっ…」

 

「いいの?」

 

「秘書艦となった以上、この鎮守府に己の全てをささげる覚悟はとうに出来ている…」

 

「貴女はいつもそう……何もかも自分一人で抱えて、そして一人で泣くの……」

 

「それが、艦娘としての私の使命だ……」

 

「本当……不器用なんだから……」

 

 

「……」

 

そんな会話を入り口で聞いていた光一は刀真に聞いてみる。

 

「あのさ、さっきからあの二人……えらく神妙な状況を見せてますけど……何なのアレ?」

 

「まあ、確かに深刻な状況だね。彼女にとっては……はい、これ」

 

ふと手に抱えていた紙束から一枚を渡されて内容を見る光一。

 

「これは?」

 

「彼女たちだけじゃなく、艦娘みんなが真剣になる理由だよ」

 

その内容とは……

 

 

 

 

 

 

 

 

《鎮守府カレー大会 自慢のカレーで優勝を目指せ!!》

 

 

 

 

 

である。

 

「カレー大会?」

 

近日に開催するカレー大会に妙な緊張感を抱えている長門と陸奥。

 

一体この大会に、なんの関係があるのかは、今の光一には全くわからないのであった……

 

 

 

 

 

 

『華麗なConvention』

 

 

 

 

 

「暁達も鎮守府カレー大会に出るわよ!」

 

艦娘達みんなの拠り所、間宮にて軽めの食事をとっている光一はふと奥の席から、そんな声が聞こえてきた。

 

そこにいたのは『暁』『響』『雷』『電』の暁型4姉妹でもある『第六駆逐隊』の面々だった。

 

第七特務機動部隊としては遠征で一緒になって任務をこなす中、いろいろと話をしている。

 

三人とも暁の提案に賛同し、手を重ねて団結の声を上げるが……

 

突然現れた金剛と重巡洋艦『足柄』が混ざり宣戦布告を示していく。

 

二人の宣言に燃えてきた第六駆逐隊は改めて団結の声を上げる。

 

ふと間宮の入り口に何故か長門が様子を窺っているのに光一も気づいてはいなかった。

 

 

 

場所は調理室に移り、カレー作りを始めるのだが…

 

雷が仕切るの事に気に入らず暁と口喧嘩するが、響から作り方を聞かれるが誰一人答えられなかった。

 

すぐさまに図書館で調理方法を調べてカレー作りを始める。

 

まずは順調にジャガイモの皮むきを包丁でする雷。

 

その隣で電も皮をむくが、包丁の刃を入れすぎて小さくなってしまい、涙目になってしまう…

 

玉ねぎを切る暁だが、玉ねぎの汁で目に染みてしまい、こちらも涙目になっていた。

 

ニンジンを切る響だが、誤って指に当たり血を流してしまい、暁達は慌てて救急箱片手に手当をするのだった。

 

 

「さあ、後はこのままよく煮て、具材が柔らかくなるのを待つだけよ」

 

「シンプルイズベストね!」

 

「実にハラショーだ…」

 

「そしてよく煮えたら、一度火を止めて、カレー粉を溶かすのです!」

 

「ま、まだ煮えないのかしら?」

 

「一分も経っていないのです」

 

「もう~そんなに簡単には火は通らないわ」

 

「なら、もっと強い火力で」

 

「でもこれ以上強い火力なんて………あるのです!!」

 

なかなか煮えないと言う暁に、響が強い火力をと言葉から、電が何か心当たりを見つけて移動を開始した。

 

 

 

 

「「「「よいしょっと!」」」」

 

やってきたのはなんと工廠。

 

カレーの入った鍋を置いて、四人が持っているのは高速建造材。

 

見た目が火炎放射器の形をした物で本来は艦の建造に使用される道具だが、彼女たちはこれを使うようだ。

 

「準備完了なのです!」

 

「それじゃ、高速クッキング~開始!!」

 

トリガーを引き、炎が放たれてカレー鍋を炙っていく。

 

さすがは高速というだけあり、あっという間にカレーの具材に火が通るが……

 

「完成なのです、あっ!?」

 

火が通ったのは材料だけではなく鍋自体にも通ってしまい、そこにあるのはただのくず鉄であった。

 

 

「暁が煮えるの待てないからって言うから…」

 

「なっ、あ、暁のせいだって言うの!?」

 

「最初から私に任せておけばよかったのよ!」

 

「何ですって!?」

 

またもや、暁と雷が言い合いを始めてしまう、さらには……

 

「二人とも、悪くないのです、変なことを思いついちゃった電が悪いのです」

 

自分が悪いと自分を責めて泣いてしまう電、もはやカレー作りは続行不可能かと思えたが……

 

ポコッ!

 

ポコッ!

 

ポコッ!

 

響が軽く三人の頭を叩く。

 

「少し落ち着こう…」

 

「「「響(ちゃん)…」」」

 

「第六みんなで、優勝するんだろ?」

 

「そうね、みんなで一人前のレディを目指すんだもんね!」

 

「金剛さんに煽られて、ちょっと熱くなりすぎたかも…」

 

「反省なのです…」

 

響の言葉に暁と雷は言い合いと止めて、電も泣くのをやめた。

 

落ち着いた所で肝心な鍋を見る。

 

「でも、鍋はどうする?これじゃとても代わりが欲しいなんて言えないわ」

 

う~んと悩む一同に、工廠のドアが開く音が聞こえた。

 

その先を見ると……

 

謎の仮面な人影が2人現れる。

 

『シュコー…』と呼吸音が不気味さが漂う……

 

「「「「きゃぁぁぁ!!!!」」」」

 

「ちょ、待ってよ。ほら、私!」

 

「俺もいるぜ~」

 

よく見ると、仮面は溶接作業に使う遮光マスクであり、それをずらして見せた顔は夕張と光一の二人である。

 

「ゆ、夕張さん!」

 

「それに隊長さんも」

 

「も、もう脅かせないでよね!!」

 

「ごめん、ごめん。今隊長さんと装備の開発中だったのよ。みんなも装備開発?魚雷?電探?」

 

そう思って、工廠にいる4人に聞き始める夕張、その隣で光一が不思議そうに見ていた。

 

「お前ら、確かカレー作ってなかったか?なんでわざわざこっちに?」

 

「ええっと、あの…実は……」

 

電が今までのいきさつを説明する。内容を聞いた夕張が得意げな顔になり…

 

「そういう事なら、お姉さんに任せなさい!」

 

「「「「本当!?」」」」

 

「丈夫で熱伝導率の高い、超高性能鍋を作ってあげる。よーし、燃えてきたぁ♪」

 

手持ちのハンマーをクルっと一回転して嬉しそうに言う夕張

 

「なんだろ、何処かの赤い忍者な兄ちゃんが言いそうなテンションだな…」

 

そんな光一のつぶやきに誰も返さず、鍋作りが始まった。

 

ガンッ!ガンッ!ガンッ!ガンッ!

 

工廠にハンマーの打ち込む音が響き渡る。

 

ふと4人は耳を塞いで固まっている姿があった。

 

「何かわからないけど……」

 

「妙にぞわぞわする音なのです…」

 

ガンッ!ガンッ!ガンッ!ガンッ!

 

「さあ、完成よ!」

 

と見せたのは見事な鍋が一つ、キラキラ輝いていた。

 

その鍋に4人は歓喜の声を上げる。

 

「みんなが遠征で運んでくれたボーキサイトをたっぷり使っちゃった。ちょっとやそっとで壊れない最高のアルミ鍋よ♪」

 

「「「「ありがとう!!!!」」」」

 

「いいって、後で感想聞かせてね♪」

 

 

 

 

「美味しいカレーの作り方?」

 

4人は場所を変えて、『間宮』の店主である『間宮』にカレーの美味しく作れるコツを教わりに行った。

 

「そうね。『愛情』という名のスパイスかしら?」

 

「「「「そういうのはいいです!」」」」

 

「い、意外と現実的なのね…」

 

バッサリと断られて思わずたじろぐ間宮。

 

「ちょっと、眉唾だけど…東のポーキボトムサウンドにあるっていう

『幻のボーキサイト』を隠し味に使うとどんな料理も最高になるって聞いたことがあるわ」

 

「「「「うん!」」」」

 

その話を聞いた4人はすぐに行動を開始した。

 

 

 

 

《それで、遠征の許可を取りに来たってわけ?》

 

またまた場所が変わり、ここは出撃ドッグ。

 

4人はそれぞれの立ち位置について艤装の装着していく。

 

「暁の出番ね!見てなさい!」

 

「了解、響出撃する」

 

「雷、出撃しちゃうね!」

 

「電の本気を見るのです!」

 

4人ともすっかり『幻のボーキサイト』を探しに行くつもりである。

 

その様子に光一は呆れ気味に刀真と通信していた。

 

「東の方向は俺もまだ行ってなかったからな、下見がてら付いていく」

 

《了解、怪我が無いように宜しくね》

 

「遠征任務なら、あいつ等の方が先輩だ。問題ないと思うがな?」

 

《確かにね、でもこう言っちゃうのが提督なんだよ、君もいずれわかると思う》

 

「そんなものかね~?」

 

「こらーっ、早くしないと置いていくわよ!!ぷんすか!」

 

「今行くからちょい待てい! ったく…んじゃ通信終わり、行ってくる!」

 

「了解だ。けど帰ってきたら彼女たちの言い訳考えておいてよね」

 

通信を切って、S・ガントレットを装備。アーマーを装着してロアに変身する光一。

 

「言い訳ってなんだよ? まあいいか、ロア・アルフォンス、行くぜ!!」

 

 

 

 

数時間後、遠征任務は終わり帰還した一同だが、主目的である『幻のボーキサイト』は見つからなかった。

 

つまり…

 

 

遠征・・・・・《失敗》

 

 

である。

 

 

「そりゃまあ、幻だものね」

 

「簡単に見つかるわけないのです」

 

「…ボージョモイ」

 

「もうヤダ、やってられな~い! もう止めちゃおうか……」

 

ジタバタと地面と叩く暁の言葉に、みな完全にやる気が無くなってしまった。

 

「努力に恨み、なかりしか」

 

「長門さん…」

 

現れたのは何と長門である。

 

「詳しくは聞くまい…だが、諦めるのか?」

 

長門の言葉に、みなが顔を上げて彼女見る。

 

「それもいいだろう、十分に努力したと胸を張って言えるのならばな……」

 

「そんなの……言えるわけないじゃない!」

 

「そうよね、一度や二度の失敗で諦めちゃ、遠征任務なんて出来ないもの!」

 

「不死鳥のように、何度も立ち上がるまで…!」

 

「幻のボーキサイトは、もういいのです!」

 

「ええ、自分達だけの力で勝つわよ!!」

 

やる気を取り戻し、立ち上がる暁達。

 

長門もその姿に、笑みを浮かべている。

 

 

 

「やれやれ、長門がいいとこ全部持って行ったか」

 

その後ろで、光一がやれやれといった感じで見ていた。

 

「後はあいつらだけでも大丈夫そうだ」

 

「そう……それはよかったわね~」

 

「おう! ……いっ!?」

 

急に声をかけられて、振り返るとそこには……

 

「榛名さんから今日は訓練出来ないって聞いていたら…」

 

「第六駆逐隊とお出かけなんて、ずるい!」

 

「いくら何でもこれはあんまりだよ、隊長…」

 

いつの間にか、光一の隣には如月、島風、時雨の第七特務機動部隊・駆逐艦チームであった。

 

彼女達の言い分通り、光一はその日は第七特務機動部隊の訓練日だったのだが、ドタキャンをしてしまい、

 

榛名に伝言を頼んでいたのだが、理由を詳しく話していなかったので、真相を知った三人はとてもご立腹の様子である。

 

「いや、これは、いろいろ、と流れがあってだな!」

 

「「「言い訳禁止!!!」」」

 

「すんませんでした!!」

 

見事な雷を叩き落とされて光一は謝るしかなかった。

 

「罰として、当日まで僕達のカレー作りを手伝ってよね」

 

「お前達も出るのか?」

 

「正確には島風と如月が、だけどね」

 

「えへへ、一番に申し込んじゃった」

 

「はい、頑張っちゃいますよ」

 

「わかったよ、なら買ってきたこいつらが役に立ちそうだ」

 

「こいつら…?」

 

「何を買ってきたんだい?」

 

「さしずめ、『オレ流のかくし味』ってやつだ」

 

「「「?」」」

 

光一が言う『オレ流のかくし味』とは…?

 

 

 

 

そして、カレー大会開催の日がやってきた。

 

「マイク音量大丈夫? チェック、ワン、ツー……」

 

鎮守府のグラウンドにはキッチンの設備が一式設置され、飾り付けされた観客席には所属する艦娘達が集まってた。

 

「はーい、皆さんお待ちかね~! 鎮守府カレー大会開幕!! 司会実況はわたくし、金剛型四番艦『霧島』! 現場実況は…?」

 

「艦隊のアイドル、那珂ちゃんで~す。それと…、提督そっくりな『艦隊のお兄ちゃん』隊長さんも一緒に実況しちゃうよ~!」

 

マイクを持って司会進行役をするのは霧島と那珂、両者ともマイクを使う事にはかなり手馴れている。

 

しかし、何故か光一まで那珂の隣にいてマイクを持たされていた。

 

「何で、俺はこっちに……?」

 

「だって、隊長さんツッコミ上手なんでしょ?」

 

「誰情報だよそれ!? っていうか『艦隊のお兄ちゃん』ってのは何だ!?」

 

「それじゃ、出場者を紹介しちゃうよ~♪」

 

「ぅお~い!?」

 

光一の疑問は全力でスルーされてしまい、大会出場者の紹介を始める。

 

「バーニングカレー!金剛さんと比叡さん!」

 

「テートクのstomachを掴むのは、わたし達のcurryです!!」

 

「気合!入れて!作ります!!」

 

一組目は金剛と比叡。

 

「五航戦の力を見せつけるために来ました。瑞鶴さんと翔鶴さんです」

 

「瑞鶴にはカレーの女神がついていてくれるんだから!」

 

「一航戦の先輩方に少しでも近づけるようなカレーを作ります」

 

二組目は瑞鶴と翔鶴。

 

「ご飯も深海棲艦もお残しは許さない! 一航戦、赤城さんと加賀さん」

 

「五航戦のカレーなんかと一緒にしないで……」

 

「一航戦、赤城。いただきッ!……作ります…」

 

「今、食べるって言ったよな……言ったよな!?」

 

三組目は赤城と加賀、赤城の一言にツッコミを入れる光一。

 

「『辛きこと島風の如し』島風さんと、『カレーも髪も絶対に傷ませない』如月さんです」

 

「これ以上辛くなっても知らないから!」

 

「あはっ、ますます辛く、美味しく。ねっ?」

 

「いや、辛すぎたら誰も食えねえだろ!ちゃんと作れよ島風~如月~!」

 

「む~わかってるもん!」

 

「大丈夫ですよ。隊長さんカレー、しっかり覚えましたから♪」

 

四組目の島風と如月、前日までカレー作りの特訓をしっかりこなした二人である。

 

「お嫁さんにしたい艦娘ランキング一位の羽黒さんとお嫁に行かせたい艦娘ランキング一位の足柄さん」

 

「カチン! 那珂、ちょっとこ「私が押さえているうちに早く逃げてください、那珂ちゃん!」

 

「一体いつ誰が集計したんだ…そんなランキング?」

 

五組目の羽黒と足柄。謎のランキングに疑問を感じる光一、本当に謎である…

 

「遠征のスペシャリスト、第六駆逐隊。暁さん、響さん、雷さん、電さん」

 

そして、最後に第六駆逐隊、全員の指に多量の包帯が巻かれていた。

 

「どうやら、相当の鍛錬を積んできたようね、いいわ約束通り、相手になってあげる」

 

「イェース、正々堂々勝負ネ!!」

 

宣戦布告してきた足柄と金剛の間に見えない火花が炸裂する。

 

「そして、審査員は世界のビックセブン、怒れる41センチ砲。鎮守府の守護神、長門さん」

 

「さらに、我らが司令官。天翔提督!」

 

「以上のお二人で判定をしてもらいます~」

 

「それではお料理ナンバーワンの名誉をかけて…」

 

「鎮守府カレー大会、スタート!!」

 

那珂と霧島の開催宣言で、各自の調理が開始された。

 

 

 

 

「みんなで頑張って練習したのです」

 

「チームワークなら負けないわ」

 

お米を水で洗う電、野菜の皮むきをする雷。

 

肉を炒める響に、カレー粉を作る暁。

 

それぞれの作業を分かれて進めていく。

 

「ほかのチームはどんな様子かしら?」

 

 

 

まずは金剛姉妹のチーム。

 

「う~ん、全ての具が溶け込んだこの黄金currysoup。優勝はワタシ達で決まりデース!そうしたら……」

 

そう言いながら、妄想タイムに入り体をくねくねさせる金剛。

 

そんな合間に比叡がカレー鍋をのぞき込んで異変に気付く。

 

(このカレー、具が入っていない!?)

 

煮込んでいるカレーに具がないのである。

 

しかし、金剛はイギリス生まれの艦娘なのでカレーのスタイルが異なるのだ。

 

それを知らない比叡は具が入っていないと勘違いをしてしまう…

 

(お姉様に恥をかかせません。こんなこともあろうかと、ええい!!)

 

そう取り出して鍋に入れたのはカレーの材料とは言えないナニが入ってしまうとカレーの色が変色してしまった。

 

もはや、カレーという食べ物でない……

 

さらに比叡は自分のしたことがとんでもない事と知らず姉との合作と嬉しくなる。

 

「それでは、比叡!一緒に味見デース!」

 

「はい、お姉様!」

 

カレーの変化に気付かない金剛は小皿にいれて味見を行うが…

 

「「!!」」

 

顔が十色に変化して、倒れてしまった。

 

「カウント、ワン、ツー、スリー!! お姉様方、まさかまさかのダブルノックダウンです!!」

 

「き、霧島さん?」

 

「おいおい…自分の姉が倒れたのにいいのか?」

 

「ええ、毎度の事なので、問題ありません!」

 

「あ、そう…金剛ペア、選手ダウンのためリタイアです」

 

霧島のテンションに引き気味の那珂と光一であった。

 

 

次は一航戦の赤城と加賀ペア。

 

「栄えある一航戦に小細工なんて必要ないわ、普段通りにやればいいだけ、そうよね赤城さん?」

 

淡々とジャガイモを切ってザルに移していく加賀、そのジャガイモを赤城が取ると……

 

「ふぇふぉのふぉりよ、かふぁふぁん!(ええその通りよ、加賀さん!)」

 

「あっ……」

 

何故がジャガイモを口に入れて頬張る赤城、その姿に見とれて頬を赤くする加賀。

 

しかも、見なかったかのようにジャガイモを切っていくが全て赤城の口に入っていく…

 

「加賀さん、見事なスルーパス!! 今のは赤城さんの行動とスルーした件と食材をパスした件をかけた解説です」

 

「自分で説明しちゃうの!? 霧島さん何かテンション変じゃない!?」

 

「その前に赤城!! 生のジャガイモを食うんじゃねぇぇぇぇ!!!」

 

もはや、実況と言っていいのやらである…

 

観覧席にいる吹雪が岩のように固まっていた。

 

「……」

 

「ふ、吹雪ちゃん、赤城先輩はちょっと補給が大切なだけだよ」

 

「そ、そうそう、戦っている時は凄くカッコいいっぽい!」

 

その様子の変化に気付いた睦月と夕立がフォローするが……

 

「あの食べっぷり……ファー! 私も赤城先輩に食べさせてあげたいよ~♪」キラキラ

 

何故か輝いていた。

 

「「恋だね…(っぽい…)」」

 

「いや、絶対違う!絶対違う!絶対違うだろ!!」

 

「隊長さん、誰にツッコミいれてるの!?」

 

吹雪の発言に反応してツッコミを入れる光一であった…

 

 

 

 

お次は五航戦の翔鶴と瑞鶴の姉妹、二人は順調にカレーを作っていく。

 

「ふふん、一航戦。恐れるに足らずね」

 

「そんなことを言ってはダメよ瑞鶴、五航戦の私達が慢心してはいけないわ」

 

「わかってるって! あっ、翔鶴姉ぇカレー跳ねてる」

 

「えっどこ!?カレーの汚れって落ちにくいのに…」

 

「ほら、ここ、ここ」

 

そう言いながら、翔鶴のスカートをつまんでカレーの部分を示そうとするが……

 

「えっ、待って待ってスカートをあんまり触らないで、ふあ!?」

 

瑞鶴にスカートを引っ張られた影響でそのまま転んでしまう翔鶴。

 

「いたた…」

 

転んだ翔鶴の様子がおかしい、よく見ると瑞鶴の右手には翔鶴のスカートが握らていた。

 

「えっ…?」ウフーン

 

それすなわち……見えました一部が

 

「おや、五航戦ペア、トラブルか?」

 

思わず光一が様子を見に行こうするが、翔鶴が自分の状態に気付いて…

 

「!!……もう何で私ばっかり!?」

 

「待って翔鶴姉ぇ、わざとじゃないって!?」

 

立ち上がって走り出してしまうのだった。

 

「あっ、ありがとうございます、こういうの待ってました!」

 

「霧島さん、声も顔も冷静だけど実はテンションMAXだよね!?」

 

「というか、俺には何が起きたのかサッパリなんだが……そう言えば紐が…」

 

「隊長さん……後でオシオキです…」

 

「ナンデェ!?」

 

やたらと実況に熱が入っている霧島に那珂は置いてきぼり…

 

とばっちりで如月からオシオキ宣言をされる光一であった。

 

 

そして、島風と如月ペアの番。

 

現在はカレールーを溶かして、最後に仕上げに入っていた。

 

「隊長……」

 

お玉でかき混ぜている島風か不意に声をかけてくる。

 

「何だ?」

 

「カレー、トロトロにならない……」

 

「そりゃ、少し冷まさないとトロミは付かないからな…」

 

「……」

 

「水とか氷とか、入れようとするなよ?」

 

「ヲっ!?」

 

「島風ちゃん、ここまで来たら速さはもう必要ないのよ」

 

「むぅ……隊長のイジワル」

 

「なんでだよ!?」

 

ふと、第六駆逐隊の様子を見る光一は…

 

(頑張れよ、暁、響、雷、電)

 

心の中でエールを送るのであった…

 

 

 

 

 

ようやく、全選手のカレーが完成した。

 

途中、足柄が何やらトラブルを起こしかけたが審判役として光一が止めに入り、大事に至らずに済む。

 

そして、刀真と長門による試食タイム。

 

出されたカレーは足柄と羽黒の「辛口カツカレー」に第六駆逐隊の「甘口カレー」

 

そして、第七特務機動部隊の「隊長カレー」

 

後のメンバーはトラブルのせいか完成には至らなかったのである。

 

「では、まずは足柄と羽黒のカレーから頂こう」

 

スプーンでひと口すくい、口に入れる長門だがこころなしか彼女の顔に汗が流れていた。

 

「これは、なかなかの刺激な辛さだね」

 

二口、三口とカレーを食べる刀真。

 

「次は第七特務隊のカレーを……」

 

「ほう、懐かしい感じがするね」

 

「最後に第六駆逐隊のカレーを……」

 

「うんうん」

 

スプーンですくい、口に入れて味を見る長門と一言感想を添える斗真。

 

「さあ、果たして結果は!?」

 

「三つとも、甲乙つけるにはもったいない。とても美味しく頂きました…」

 

そう言いながら、長門とアイコンタクトをとる斗真。

 

「本年度の鎮守府カレー大会の優勝は…………『第六駆逐隊』とする!!」

 

 

 

 

 

 

 

優勝者の名に声援が響くのであった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、刀真と光一、長門と陸奥は司令室に戻り一息ついていたが…

 

長門は、席に座り、肘を立てて両手を組んでいる。

 

開催前の時と同じ姿であった。

 

「お疲れ様」

 

「ああ…」

 

「審査員大変だったでしょ?」

 

「大したことはない……」

 

「よかったわね、これから一年、カレーの日は第六の甘口カレーで」

 

「確かにね、これは重要だ」

 

「ん?何で甘口が重要なんだよ?」

 

陸奥と刀真の言葉に疑問を持つ光一。

 

「ええ、長門ってば辛いのが本当にダメなのよ、ねえ?」

 

「うるさい…」

 

「決め手はそこなのかよ!? それじゃあ何か、やたらとあいつらに付き添っていたのはこの為だったのかよ!?」

 

「あれ? 君もそのつもりであのレシピ教えたんじゃないのかい?」

 

「ねぇよ!! 俺は辛いのは苦手じゃないし」

 

「じゃあ、第七で作ったあのカレーは?」

 

「あれはあの甘口カレーをベースにして俺が辛さを調整したカレーだ」

 

「なるほと、味がよく似ていたわけだね」

 

「さすがは『艦隊のお兄ちゃん』ね♪」

 

「やるね『お兄ちゃん』」

 

 

 

 

「だから、誰だよそんなあだ名つけたのはぁぁぁぁぁ!!?」

 

 

 

 

未だにわからないあだ名に光一が叫んでいる頃…

 

第六駆逐隊の自室では4人が並んで眠っている。

 

ちゃぶ台にあるカレー大会優勝のトロフィーが夕焼けの光を帯びて輝くのであった……

 

 

 

 

NEXT……

 

鎮守府に新たな作戦が通達される。

 

いよいよ、深海棲艦に対して反撃の狼煙を上げるのであった。

 

そして、光一はこの世界にやってきた目的である深海棲艦に関わる重要な出会いをする

 

それがこれからの行動に大きなターニングポイントとなるだろう…

 

 

次回『孤独のAircraft carrier』

 

 

「お前は…」

 

「ヲ?」

 

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