理解出来なかった。
人間が人間を噛んだ、あの男は何をしている気が狂っているのか!?
教師は痛みに耐えきれず、腕を抑え悲鳴を上げながらのたうち回る。
「なんだなんだ」
「今の悲鳴?!」
「何があったんだ!?」
クラスの皆が、窓に集まる。
男は教師を食べていた、腹に顔を埋め、その臓物をぐちゃぐちゃと噛み砕いている。
「あの男、人をくっ、食ってる?!」
「イヤぁぁぁ!!」
状況を把握出来ずに疑問ばかりが起きている。1人は「なんだよあれ!」
と怒りに満ちた声で叫び、もう1人は立ったままでいる者も、
「なに…あれ」
女子クラスメイトの1人が震えながら指を指す、その先は男と同じ様にふらふらと歩いてくる。集団だった。
「逃げないと」
そう誰かが言った。
戸惑い、悲鳴、疑問の怒号が飛び交う中、ハッキリと聞こえた言葉。
恐怖…それでもう埋め尽くされた瞬間であった。
そこは阿鼻叫喚、ダムが決壊したように教室から人が出ていく。
「どうしよう」
分からなかった。ここで逃げた方が良いのか。
脳が正常に判断しない。身体が動かない。
人間は恐怖で動けないと初めて知った。
映画で役者が動けない場面があって演技だからと思っていた事が今、自分の身に起きている、やはり役者は凄いですね。
「おい、ショウちゃんしっかりしろ!」
「ショウ早く逃げましょ!」
身体を揺すられハッと正気に戻る。
「ハッ!俺は何を」
「何しての早く逃げよ!」
手を掴まれ、ジャン達と教室を出た。
廊下を渡り、学校の入口目指して走りだす。
でも、悲しいかな階段に着いたところで男が上がってきた。
離れて見ていたからだろうか、男の姿をちゃんと見ていなかった。
だが、今ハッキリと見た、それと同時に俺は理解した。
なぜ、男が教師を襲ったか。なぜ、食ったのか。
口に血が付いて、変色した肌の所々の皮膚が破れ、呻き声をあげている。その姿はまるで
「ゾンビ」
呻き声をあげながら近づいてくる。
どうしよう、俺達は武器を持っていないどうすれば!
「うそ、ゾンビ!?」
腹をくくるしかないか…2人は怖がるだろうな
手から物が出てくるんだから。
「二人共下がっ「オラ!」
下がって、と言う前にジャンがゾンビ目掛けてブラシで特攻をしていた。ブラシはゾンビの顔面を捉え勢いよく階段から落ちた。
グシャッと不快な音がなり階段を見下ろすとゾンビは頭から血を流しピクリとも動かなくなった。
「大丈夫か、二人共」
「うん、ありがとジャン」
「助かったわ」
「そのブラシどこにあったんだ」
「ロッカーに入ってた」
なるほど、それがあったか。
「それより、あれはなんなんだ」
「ゾンビよ!」
ジャンに大きな声でアーラが言った。
「映画とか出てくるでしょ、あんたゲーム好きなのに分かんないの」
「いや、こいつが家でするのはもっぱらRPGかFPSだ」
「おい、無双ゲームは外せないぞ」
そういう俺はギャルゲーひいては乙女ゲーも嗜む前世からもそうだが少女漫画を見ていたらだんだんゲームもするようになった。
現実で『お前は俺の物だ、だから俺だけに微笑んでくれ』とか引くようなセリフもイケメンにしか許されないと思う。
そんなことより
「なんで二人はそんなに冷静なの」
汗をかきながら二人に振り向き問う。
「ゾンビなら頭を狙えば殺れる」
「アイツらはもう人じゃないんだろ、二人を襲うなら俺は許さない」
oh…俺の友達は初期ステータスの精神力が振り切っていました。