過去と現在と魔法少女と   作:アイリスさん

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時の操手
第31話


***第31話***

 

まだ幼いなのはとフェイトを前にして、二人は顔を見合わせた。

 

《どっ、どうしましょう、アリシアさん》

 

《兎に角、本当の事言うのはきっと不味いよね。過去に干渉とか、タイムパラドックスとか‥‥‥。私の場合は、特に》

 

非常に不味い。偶然に偶然が重なり、今のアリシアが『生存』しているわけであって、そのバランスが少しでも崩れようものなら、途中で亡くなってしまうか、はたまた、生き返った事自体が無かった事にもなりかねない。それに、ヴィヴィオにも影響を及ぼしかねない。オリヴィエが、『ゆりかごの鍵』が存在すると分かれば、聖王のクローンを産み出すという発想そのものが無くなる可能性だってある。自身のプライバシーは一切隠し、何とか元の時間へと戻る方法を見付けなくてはならない。しかし、それはかなり無謀とも言える試みだ。あのプレシアですら不可能だった時間移動をしようと言うのだから、余程の事をしなくてはならない。それこそ管理局へと侵入し、自身の復活の切欠ともなったロストロギアに手を出してでも。

 

「あのっ、渡航証明はお持ちですか?」

 

実を言うと、アリシアはバッグの中に、持っていた。『アリシア・テスタロッサ・ハラオウン』と名の書かれた渡航証明を。名前もそうだが、発行日、その他諸々も見られれば今いるこの時代とは矛盾してしまう。

 

「その‥‥‥持ち合わせてはいません。私達も突然ここに飛ばされまして、何がなんだか」

 

そう言って誤魔化す事にした。まぁ、持ち合わせている事以外は真実なのだが。

 

「それはお困りですよね?詳しくお話を聞きたいので、アースラまでご一緒にお願いします。お二方、お名前は?」

 

アリシアは、なのはの問いに素直に「ハイディ・E‥‥‥」と本当の名前を言い始めたアインハルトの口を塞ぐ。咄嗟に思い浮かんだ、コロナとリオの名を口にした。

 

「コロナ・ティミルです!こっちはリオ・ウェズリーです!」

 

《アインハルト!未来に影響あるかも知れないし、本当の名前は言っちゃ駄目!》

 

《すいません、つい‥‥‥》

 

アインハルトが律儀なのは良いことなのだが、少し融通を効かせる事を覚えて欲しい。しかし、余りにもなのは、フェイトとの距離が近すぎる。どうやって離脱したものか‥‥‥。

 

「じゃあ、こちらへどうぞ」

 

「ど、どうしましょう、アリシアさん」

 

なのはが二人を誘導しようと前に出る。それを見て、またしてもアインハルトが口を滑らせた。フェイトは自身の姉、アリシアという名を聞き、疑問を浮かべる。

 

「アリ‥‥‥シア?」

 

そのフェイトの表情を見て、しまったという表情を浮かべたアインハルト。アリシアから見ても分かるぐらい動揺している。

 

「はっ!?」

 

「もうっ!逃げるよ、アインハルト!」

 

「あ、待ってください!」

 

アインハルトの手を握ったアリシアはなのはとフェイトの不意を突き、目眩ましに虹色の閃光を炸裂させて全力でその場を離脱した。

 

 

***

アースラに戻ったなのはとフェイト。

挙動不審だったあの二人の事が気になっていた。特に、コロナと名乗った、アリシアと呼ばれていた金髪の女性を。

 

「フェイトちゃん、本当に?」

 

「うん。あの紅と碧の瞳の人、私に似てる気がしたんだ」

 

言われてみれば、確かに似ていた。まるで、フェイトを大人にしたような容姿。隣に座るクロノも同意見だったのか、バルディッシュとレイジングハートの録った映像を再三見返している。

 

「確かに声まで似ている。もしかしたらこの人もプロジェクトFに関係しているのかも知れない。プレシアの関係者か、或いは別の所でプロジェクトFはまだ続けられているのか‥‥‥。何れにしても、もう一度会ってみる必要は有りそうだな」

 

「私と、同じ‥‥‥」

 

もしかしたら、フェイトの他にもアリシアのクローンが存在しているのかもしれない。あの容姿なら、フェイトの姉、と言った所か。複雑な表情を浮かべるフェイト。その脇では、ユーノが腕を組んで考え込んでいた。

 

「うーん」

 

「どうしたの?ユーノ君」

 

エイミィの問いに答えるユーノ。ユーノの考えは少し違うようだった。伊達に考古学者ではない。

 

「紅と碧の虹彩異色、虹色の魔力光‥‥‥聖王の血統に出る

特徴なんだけど」

 

「じゃあ、あの人はゆりかごの聖王の子孫ってこと?」

 

フェイトのその問いに答えるだけの証拠はまだない。あくまでも推測。だが、幾つかの状況証拠は、辻褄の合うもの。無理があるとは思いながらも、ユーノは答える。

 

「聖王女オリヴィエは子孫を残さなかったらしいし、まだ分からない。もしかしたらオリヴィエ本人かも知れない。左手はよく分からなかったけど、右手は明らかに義手だったし、甲冑も無限書庫の資料の通りだったし。あの大魔導師プレシアが時間移動の方法を探してアルハザードを目指したくらいだ。聖王女オリヴィエがその方法を見つけていてもおかしくはないよ」

 

そんな折、シグナムから通信が入る。どうやら、あの二人を見つけたようだ。

 

《例の二人を見つけたぞ》

 

オリヴィエならば、まあ良いとして(実際は簡単に片付けて良いわけがない)、もしも、自身と同じアリシアのクローンだったら‥‥‥。フェイトはもっと話してみたかった。アリシアの記憶は転写されているのかとか、母プレシアをどう思うのかとか‥‥‥フェイト自身の事をどう思うのかとか。

 

「シグナム、二人に通信繋いでもらってもいいですか?」

 

《構わんぞ、テスタロッサ。接触してみよう》

 

シグナムは慎重に二人に近づく。

 

 

 

 

「取り合えず、少し休もっか」

 

「そうですね。『武装解除』」

 

そんな事には気が付かないアリシアとアインハルトは、シグナムが近づく中、大人モードを解いてしまう。シグナムに後ろから声をかけられるまで気が付かなかった二人。シグナムの声に思わず振り返った。

 

「すみません。時空管理局です。よろしければ、お話をお聞かせ願えませんで‥‥‥テスタロッサ‥‥‥?」

 

「あ‥‥‥シグナム‥‥‥」

 

少し驚くシグナムを見て、アリシアは思わずその名を呼んでしまう。シグナムがまだ名乗っていないにも関わらず。

 

「何故私を知っている?それに、その姿‥‥‥やはりテスタロッサと関係が?」

 

何故かシグナムの事を知っている目の前のフェイトとソックリな少女。やはり、プロジェクトFが関連している、と考えたシグナムは、再びアースラのフェイトに通信を繋ぐ。

 

《此方シグナムだ。今そちらに映像を送る。やはりどうもテスタロッサと関係があるようだ》

 

(やっぱり、私と同じ‥‥‥)

 

聞きたい事、話したい事がある。フェイトは自分と瓜二つの少女と話すべく、アースラを出る。

 

《シグナム、その人を足止めしていてください!私もそっちに行きます!》

 

一方のアリシアとアインハルトは、再び顔を見合わせる。先程とは違い、表情からは決意が伺える。

 

「ちょっと不味いかも。アインハルト、ここは‥‥‥」

 

「ハイ、アリシアさん。やむを得ません。『武装形態!』」

 

 

「ごめんなさい、シグナム!ライゼ、『セットアップ!』」

 

二人の足元にベルカ式魔法陣が展開。大人モードへと変わる。構えをとった二人は、目の前のシグナムと対峙した。




久々更新。終始ドジッ娘アインハルトの回。
GOD編アイデア被らないように考えるの大変、と作者は言い訳します。

次回はシグナム&フェイトvs.アリシア&アインハルト‥‥‥
アインハルトが足を引っ張る気が(汗)

***
セイン「セインと!」
ウェンディ「ウェンディの!」
セイン・ウェンディ「「突撃インタビュー!」」
セイン「年明けてようやく更新きた」
ウェンディ「長かったッス!」
セイン「ウェンディさ、まだこのコーナー出るの?」
ウェンディ「なっ!?出るに決まってるッスよ!」
セイン「あ、そう‥‥‥んじゃ、今回のゲストこの人」
シャンテ「ちょっと!シスターセイン!その投げやり感何なの!?」
セイン「だって、シャンテでしょ?やる気でないよ」グデー
ウェンディ「あ、シスターシャンテっスか。弄る所特にないッスね。もう帰っても言いっスよ?」
シャンテ「ウェンディまで!?何なの!?この扱い」
セイン「そもそもさぁ、教会抜けてきて平気なの?」
シャンテ「セインだって抜けてきて「いや、ちゃんとした仕事だからね」」
シャンテ「‥‥‥」
ウェンディ「という訳で、シスターシャッハ、こっちっス!」
シャッハ「シャンテ!またですか!貴女という人は!」
シャンテ「‥‥‥‥‥‥ウワーン!!」
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