***第45話***
何とか猛攻を防ぎながら、U-Dの懐へシールド全開のオリヴィエが飛び込む。そのシールドに守られ、後ろに隠れていたトーマが飛び出してディバイダーの刀身を降り下ろし、吠える。
「うぉぉぉぉ!!」
『うっ‥‥‥』
シュテルが捨て身で撃ち込んだ阻害プログラムがまだ効いているらしく、U-Dのシールドにヒビが入っていく。トーマも最後の力を振り絞るが、拮抗していてそれ以上侵攻できない。
『!!』
直後、けたたましい破砕音と共にU-Dのシールドが砕け散る。破ったのは他でもないオリヴィエ。トーマと共にU-Dを押し込みながら、念話で叫ぶ。
《今です!》
‥‥‥が、全員疲労困憊。かれこれもう一時間近く戦っている。身体が思うように動かない。
「『ギガント・シュラーク!!』」
魔力を察し、オリヴィエがトーマを抱えその場を離れる。降り下ろしたヴィータの巨大な一撃がU-Dを捉える。直後、ヴィータはふらつくが側に居たアインハルトに支えられつつも、叫ぶ。
「何やってんだ!攻めろ!」
ヴィータの言葉に反応したシグナムとフェイトの、炎と雷の一閃がU-Dを直撃。U-Dを大きく吹き飛ばす。
と、クラールヴィントが右足を拘束。動きの止まったU-Dにクロノの魔力の剣が降り注ぐ。
「はやて、なのは!」
上空で待機していた、大規模魔法陣を展開しているはやてとなのは。オリヴィエはなのはの元へと飛んでいく。
「アリシアちゃん!」
「なのは‥‥‥私の魔力を」
なのはの元に辿り着いたオリヴィエが、その左手でレイジングハートに触れる。ニコリと微笑んで、残った魔力を注ぎ込む。なのはの頭上の桜色の太陽が一層大きく膨れ上がる。
(これで‥‥‥最後です。一人で良く戦いましたね、U-D)
オリヴィエは微笑んだままU-Dを見つめる。魔力を殆んど使い果たしてアリシアの姿に戻り、フワフワとゆっくり降下していく。
「アリシアさん!」
途中でアインハルトに支えられて、その場ではやて達を見上げる。途中で魔力が切れて落下しそうになって、アインハルトに抱えられる。
「大丈夫ですか、アリシアさん」
「‥‥‥うん。ありがとう、アインハルト」
アリシアが弱々しくも笑顔を向けると、アインハルトの頬が紅く染まる。恥ずかしそうに視線を背けたアインハルトの頭を優しく撫でてやる。
「ア、ア、アリシアさん!?」
「うん、頑張ったね、アインハルト」
顔中真っ赤になったアインハルトに抱かれ(お姫様抱っこ)ながら、再度はやて達を見上げると「行くよ、なのはちゃん!」というはやての合図と共に、魔力が解き放たれる所だった。
「『響け、終焉の笛!ラグナロク!』」
「全力全開!『スターライト・ブレイカー!』」
二つの魔力が解き放たれて、U-Dが光に包まれる。完全に機能停止したU-Dに向かい、ディアーチェが真っ直ぐ飛んでいく。アインハルトの腕の中で、光の中へと消えていくディアーチェの様子を満足気に眺めつつ、アリシアは静かに瞳を閉じた。
***
「‥‥‥‥‥‥う‥‥‥ん?」
アリシアが目覚めると、ベッドの上だった。寝惚けていて事態を理解出来ずに辺りを見回す。
「良かった。目が覚めましたか。ごめんなさい、オリヴィエ」
ベッドの横にある椅子に、U-Dが申し訳無さそうに座っている。
状況を飲み込めずに「えっと‥‥‥」と対応に困っていると、部屋の端で腕を組み壁に寄り掛かっているディアーチェが、「ユーリだ、オリヴィエ」と言葉をかけた。
「ええと、ユーリ?」
「はい、オリヴィエ」
アリシアが無事と分かり、笑顔を見せるユーリ。
「その様子‥‥‥上手くいったようですね」
「はい。ディアーチェや皆さんのお陰です。ありがとうございます、オリヴィエ」
ユーリを1度機能停止まで追い込んで、紫天の書でプログラムを上書き、制御を安定させて再起動する。闇の書事件の時の夜天の魔導書の時と同じやり方である。どうやら成功した事に安堵し、ユーリに笑みを向けるアリシア。
「それで、だ、オリヴィエ。ユーリやアミタとも話し合ったのだが、我らはエルトリアへ行く事にした。これはユーリの意思でもあってな」
ディアーチェの言葉にキョトンとして、「エルトリアに?」と口にしたアリシアに、ユーリが答えるように続ける。
「はい。破壊しか生まないと思っていた私でも役に立てるのなら是非に、と、お願いしたんです。あ、勿論オリヴィエや他の方を、ちゃんと元の時代にお送りしてからですけど」
「そうですか。頑張ってくださいね、ユーリ‥‥‥‥‥‥そうそう、1つだけ、我が儘を聞いて頂けないでしょうか?」
思い出したように話すアリシアに、「何でしょう?」と答えるユーリ。アリシアは瞳を閉じて深呼吸をして、真剣な表情で話し始めた。
***
丁度、アースラの病室でアリシアとユーリがそんな会話を交わしていた頃の、食堂。
「ほっ、ほら、アリシアちゃんとは未来で会える訳やし。な?フェイトちゃん」
「‥‥‥うん」
「そうだよ、フェイトちゃん!アリシアちゃんとはまたすぐ会えるんだし。それに、私やはやてちゃん、クロノ君達だって居るんだよ?一人じゃないよ?」
「‥‥‥うん」
はやてやなのはの必死の励ましにも、生返事。フェイトの心は沈んでいた。
(姉さん‥‥‥嫌だよ、姉さん‥‥‥独りにしないで、姉さん‥‥‥)
闇の書内に囚われた時は、確かに約束したし、自らの意思で夢の中のプレシアやアリシアと別れて現実と向き合う事を選んだ。だが、今回は状況が全く違う。目の前でプレシアとリニスを失い、今度はアリシアまで。当初は『みんなで暮らせる』と淡い期待まで描いていたフェイトにとって、現実はこの上無く残酷なものだった。
「フェイトちゃん、フェイトちゃんには私‥‥‥あ、アリシアちゃん」
なのはが何か言いかけたタイミングで、アインハルトとユーリに付き添われたアリシアが現れる。アリシアはゆっくりとした足取りでフェイトの側まで来て隣に座り、柔らかに微笑む。
「フェイト。フェイトは、独りじゃないよ?」
「でも‥‥‥でも、姉さん」
涙腺が決壊してポロポロと涙を流すフェイトの頭を撫で、我が子をあやすように、静かに優しく、アリシアは語りかける。
「確かにお別れは寂しいし、悲しいよね?でもね、フェイト。人ってみんな、そんな別れを乗り越えなきゃいけないの。それに、私とはまた直ぐ会える。だから、フェイト。泣くのはまだ取っておこう?今は笑って、ね?」
「うん‥‥‥姉さん‥‥‥姉さん‥‥‥」
我慢出来ずに泣きじゃくるフェイトを、アリシアはただ静かに抱き締める。「また、会えるよ」と。そう言い聞かせながら。
***
そして。
「では、皆さん。お世話になりました!」
大きく手を振るアミタと、その隣に笑顔を見せるキリエ。いつも通り腕を組みふんぞり返るディアーチェと、マテリアルの二人とユーリ。
「ちっちゃいアインハルトともお別れかぁ‥‥‥可愛かったのにな‥‥‥」
「もうっ、トーマの馬鹿っ!」
最後まで余計な一言を発して、リリィに鳩尾に肘鉄を食らうトーマ。そんな面子に囲まれて、アインハルトと共に中空を飛行するアリシア。
今にも泣き出しそうな表情で、いつまでも見送るフェイトに後ろ髪を引かれながらも、青々とした空を見上げる。
転移する直前の、リインフォースからの《オリヴィエ‥‥‥》という念話に《必ず伝えます。だから、安心してください》と答え、フォーミュラプレートの光と共にこの時代を後にする。
無事トーマとリリィを元の時代に送り届けた後。次はアリシアとアインハルトの番、という所で、アリシアは静かにその口を開く。
「アインハルト。ちょっとだけ、寄り道しても良いよね?」
「‥‥‥構いません」
その意図を理解して戸惑い、複雑な表情を見せるアインハルト。アリシアをクラウスと会わせてあげたい思いと、クラウスへの嫉妬の狭間で思い悩む彼女の心情は、未だアリシアは気が付いていない。
「では、アミタ、ユーリ。御願いします」
アリシアは深呼吸をして、瞳を閉じる。魔法陣を展開し、再びオリヴィエの姿となる。フォーミュラプレートに包まれたアリシアが瞳を開くと、彼女は真夜中のシュトゥラの王宮の、ある寝室に居た。
(あの時のまま‥‥‥懐かしい)
音を立てないよう静かにベッドの方へと歩く。(一目‥‥‥せめて一目だけ‥‥‥)と思いながら、寝ているクラウスの顔をそっと覗き込む。
瞳を閉じ、無意識に、オリヴィエの唇は吸い込まれるようにクラウスの唇に触れる。
(クラウス‥‥‥)
もっと触れていたかったが、クラウスが微かに動いた事に気付いて、ゆっくりと唇を離す。案の定起きたクラウスは、当然ながら驚いた表情を見せる。それはそうだ。この時代のオリヴィエは、もう既に『ゆりかご』の中なのだから。
「‥‥‥ゆりかごに居る筈!どうやって此処に‥‥‥オリヴィエ!」
「起きてしまったのですね。‥‥‥ごめんなさい」
衝動的にキスをした事が恥ずかしく、思わず視線を逸らせて戸惑う。かといって何時までもそうしている訳にもいかず、視線をクラウスに戻す。
「オリヴィエ、僕は‥‥‥!」
上体だけ起こしたクラウスに抱き寄せられて、強く抱き締められる。
(駄目‥‥‥このまま流されては‥‥‥私は)
想いを伝えに来ただけ。感情にこれ以上流されれば、戻れなくなるかも知れない。抱き付きたい衝動を必死に抑えていたオリヴィエだったが‥‥‥。
(駄目‥‥‥やっぱり、無理です。クラウス‥‥‥私の愛しい、クラウス‥‥‥)
やがて感情に負けて、クラウスの背中に手を回して、静かに、確りと抱き付く。
「愛しています、クラウス。貴方の事は、決して忘れません。ずっと‥‥‥」
抱き付いたクラウスの耳元でそう囁き、ポロポロと涙を流す。
(やっと‥‥‥やっと会えた‥‥‥でも‥‥‥)
クラウスの顔が近付き、唇が重なる。
優しく、しかし濃厚に舌が絡まる。
どのくらいそうしていたかは分からない。唇が離れて、クラウスが語りかける。
「オリヴィエ。もう、何処にも行かないで下さい。愛している。だから‥‥‥」
(クラウス‥‥‥私も‥‥‥私も‥‥‥)
オリヴィエは再び強く抱き付く。クラウスにベッドに押し倒されて、その唇が近付く。オリヴィエもそれを受け入れるように瞳を閉じる。‥‥‥だが。
《‥‥‥アリシアさんっ!!》
それを遮るかのように、アミタの声が頭に響く。ハッと我に返り瞳を開いて、クラウスの手を静かにほどいて身体を起こす。
「駄目、なんです。本当は私だってクラウスと一緒に居たい。けれど、此処には居られない」
ポロポロと涙を流し、「ごめんなさい」と俯くオリヴィエ。
(そうだ。これ以上は‥‥‥。ごめんなさい、クラウス。さようなら、私の愛しい人‥‥‥)
これ以上事が進めば戻れなくなる、と判断したアミタの仕業だろう。足元にフォーミュラプレートが現れて、オリヴィエは光に包まれ始める。
「オリヴィエ!」
「ありがとう。私の愛しい人‥‥‥」
消え入るような声で、涙に濡れながら囁いて、オリヴィエは光の中へ消える。次に気が付いた時は、アミタ達の前に居た。
「‥‥‥アリシアさん!あれほど干渉はしないようにと言って‥‥‥」
「ごめんなさい。ありがとう、アミタ」
もう少しで、戻れなくなる所だった。後少しアミタの念話が遅ければ、感情のままにクラウスを受け入れて、後に退けなくなる所だった。フェイトにあんな事を言っておいても、いざ自分がその状況になれば、この様。決意した筈の心は揺らぎ、危うい所だった。
(後悔は‥‥‥ある。沢山。でも‥‥‥)
嘘になる、というレベルではない。後悔しかないに決まっている。だが‥‥‥。
(ありがとう、クラウス。貴方の事は、忘れません‥‥‥)
戦闘描写は苦手です。今回は特に多数入り乱れての乱闘なので、クライマックスのみです。
クラウスとの最後の別れをラストに、砕け得ぬ闇編は終了。次回からは漸くコロナのターン!
***
セイン「セインと!」
イリヤ「イリヤの!」
セイン・イリヤ「突撃インタビュー!」
セイン「先月は番組お休みしてしまい申し訳ありませんでした」
イリヤ「あの‥‥‥私もうこれレギュラーなの?私、別の漫画のキャラなんだけど」
セイン「いーのいーの。ウェンディだと面倒くさいし」
イリヤ「ウェンディさん、だからあんな‥‥‥」
ウェンディ「んー!んー!」←縛られてステージ外に放置
セイン「さて、今年最後の今回のゲスト!‥‥‥へっ?これ誰!?吸血鬼?」
レミィ「永遠に紅き幼き月、レミリア・スカーレットよ」
セイン「だーかーらー!どうしてこのコーナーは別作品のキャラ出すんだよ!おい、作者!」
レミィ「あら、良いじゃない。私だって作者のSSに出てるんだし(設定だけ)」
イリヤ「あの、二人とも、メタ発言は禁止の方向で‥‥‥」
セイン「まぁ‥‥‥仕方無いか‥‥‥ハァ」