もっと強くなりたい。もっと強くなって、みんなに追い付きたい。そしていつの日か、きっと‥‥‥。
―――コロナ・ティミル―――
魔法少女リリカルなのはVivid、始まります
第46話
***第46話***
「スーっ‥‥‥ハー‥‥‥スーっ‥‥‥ハー‥‥‥」
インターミドルの控え室。頭からタオルを被ったままで瞳を閉じて、コロナは静かに深呼吸を繰り返す。
「スーっ‥‥‥ハー‥‥‥」
6年前の、初めてDSAAに参加した年の事を思い出す。
あの時は善戦はしたものの、結局は敗退。その時の悔しさをバネにして、アリシアと共に此処まで歩んできた。
(負けない‥‥‥負けられない‥‥‥私は‥‥‥あの聖王のたった一人の愛弟子なんだ)
瞳を開き、ブランゼルを握り締める。タオルを取ると控え室の扉が開き、セコンドのアリシアが姿を現す。
「時間だよ。行くよ?コロナ」
「うん、アリシア。勝つよ、絶対」
一方の、会場。ボルテージも最高潮の中、マイクが響く。
《インターミドル、世界大会決勝戦を始めます!先ずは前々回のチャンピオン、言わずと知れたエースオブエースの一人娘、ヴィヴィオ選手の入場です!》
不敵な笑みを浮かべて、ヴィヴィオがセコンドのノーヴェと共に姿を現す。もう大人モードを使う必要も無い、16歳の勇姿。実力もさることながら、そのルックスとスタイルの良さもあって熱狂的なファンは多い。
《さあ、お待たせしました!ディフェンディングチャンピオンの登場!あの伝説のエレミアを継ぐ者!コロナ~・ティミル~!》
大歓声の中、アリシアと共にゆっくりとリングへ進むコロナ。アリシアと向き合い小さく頷いてリングへと上がり、ヴィヴィオに向き合う。
「今年も、私が勝つよ、ヴィヴィオ」
「冗談、今年は勝たせて貰うから!行くよ、コロナ!」
ヴィヴィオが構えたのと同時に、コロナも構える。アリシア‥‥‥聖王仕込みの、エレミアの構え。
《それでは決勝戦、開始です!》
開幕のゴングが鳴り響き、同時に動く二人。ヴィヴィオの拳がコロナの右を掠めたのと同時にコロナに掴まれて、そのままの勢いで投げ飛ばされる。投げられたその先には、詠唱無しで出現したゴーレム、ゴライアスの拳。
「『バスター!』」
そのゴライアスの拳をディバインバスターで吹き飛ばし、顔を蹴ってリングへと戻るヴィヴィオ。コロナはそのヴィヴィオの左腕を取りリングに叩きつけて、そのまま関節技に持ち込もうとする。
だが、そう簡単には行かない。倒された体勢のままヴィヴィオは蹴りを放ち、コロナを引き離す。
「やっぱり強いね、コロナ」
「ヴィヴィオも。でも、負けないよ!」
不敵な笑みの二人。ゴライアスとコロナのコンビネーションに耐えられるのは、今ではもうヴィヴィオ、リオ、アインハルト、それにミウラくらいなものだ。
改めて構え直す二人。固唾を飲んで見守る会場。ヴィヴィオが駆け出して、コロナは魔法陣を展開し始めた‥‥‥‥‥‥。
************
「‥‥‥ん‥‥‥」
カルナージの森の中。アリシアは目を覚ました。まだ寝惚けていて、状況が掴めない。
「‥‥‥‥‥‥あれ?」
思わず声を洩らす。上体を起こそうとして、右の義手が無い事に気付く。
(義手が、無い?あれ‥‥‥?)
漸く頭が動いて来る。徹夜明けでカルナージに来て、森林浴に来て、どうやらそのまま眠ってしまったようだ。隣には、これまたスヤスヤと眠るアインハルト。
(夢‥‥‥か。長い、長い夢‥‥‥)
果たしてあんなリアルな、長い夢が有るのだろうか。バッグの中から時計を引っ張り出して見ると、あれから15分程しか経過していない。
(義手は寝てる間に無くしちゃったのかな‥‥‥またフェイトに怒られちゃう)
フフっ、と微かに笑みを溢して、アリシアは立ち上がる。バッグの中から出てきたライゼを抱いて、アインハルトを起こそうとする。
《ニャア、ニャア!》
「どうしたの?ライゼ」
様子のおかしいライゼ。勝手にモニターを開いて、何処かに通信を繋ぐ。繋いだ先は‥‥‥。
《ん?何や、アリシアちゃん。どうかしたんか?》
「あ、はやて。それがね?ライゼが勝手に‥‥‥」
アリシアにも事態は掴めない。二人の意思に関わらず、ライゼは何やら準備を始めて、ある映像を流し始めた。
《もう、話してもいいのか?‥‥‥‥‥‥お久し振りです、未来の我が主。聖王の力を借りて、貴女へ言葉を》
モニターの向こうの、はやてが固まる。アリシアも同じく。
(‥‥‥‥‥‥え?リインフォース?じゃあ、あれは夢じゃなくて‥‥‥)
アリシアが思いを巡らせている間も、リインフォースの記録は続く。
《知っての通り、そちらの時間では私はとうの昔に消えているのでしょう。私の最期に貴女のお側にいられる保証は有りません。ですから、この場を借りて感謝の言葉を。我が主、貴女が最後の主で、私は世界一幸せな魔導書です。貴女の成長した姿が見られないのが、唯一の心残りです。さぞかし御立派になられている事でしょうね》
はやての瞳から、ポロポロと溢れる涙。《嘘や‥‥‥嘘や‥‥‥リインフォース‥‥‥》と呟くのが精一杯のようだ。
《どうか前を向いて。騎士達と共に、未来を切り開いて行ってください。ありがとうございます、私の大切な、我が主‥‥‥》
そこで記録は終了。涙の止まらないはやてが、弱々しく口を開く。
《アリシアちゃん、これ、どこで‥‥‥》
全てを理解し、アリシアはそれに答える。はやてと同じく、涙に濡れながら。
「ちょっと、リインフォースと話す機会があって」
やはり、夢では無かった。過去に行ってなのは達と共にユーリを救ってきたのも、リニスやプレシアと会ったのも、クラウスと最期の別れをしてきたのも。
隣で漸く目覚めたアインハルトの頭を撫でながら、アリシアははやてに笑顔を向ける。
(ありがとう、リインフォース。貴女のお陰です。ありがとう‥‥‥)
***
それから、みんなの居るロッジに戻った二人。当然ながら、義手を無くした事をフェイトに心配されて。
合流して一休みのあと、アリシアを交えて三度の模擬戦。
当然その後は‥‥‥アリシアによるマンツーマンの模擬戦という名の、エリオに対するお仕置きタイム。
「さってと。エリオ、覚悟は良い?全力でいかないと、怪我じゃ済まないかもよ?」
「いや、待ってアリシア!あれは事故なんだ!決して態とフェイトさんを攻撃した訳じゃ‥‥‥」
その時の事を思い出し、フェイトの顔は真っ赤。相手がエリオとは言え、バリアジャケットを根こそぎひん剥かれたのだ。無理もない。
「あの‥‥‥アリシア、程々にしてあげて‥‥‥」
「駄目だよ、フェイト。フェイトがそれで良くても、私は収まらないの。だから‥‥‥エリオには覚悟してもらわないと。ね?」
笑顔だが、アリシアの殺気はひしひしと伝わってくる。青ざめるエリオを他所に、非情にもなのはが「それじゃ、lady、go!」と開戦の火蓋を切って落とす。
***
その日の夕方。部屋で伸びて、キャロに(膝枕で)看病されているエリオはさておき。
「あの‥‥‥アリシア」
「うん、コロナ、どうだった?」
テラスで椅子に座って話す師弟。
「確かに、前よりは成長できたと思う。でも‥‥‥まだまだ。みんなとの差は、大きいよ‥‥‥」
コロナは切なそうな表情を見せる。悔しさも有るだろうが、今は差の大きさによる辛さの方が大きいようだ。
「そっか。でもね、コロナ。コロナはもっと強くなれる。確かに今はまだ、みんなよりも少し遅いかも知れない。けど、コロナならきっと、みんなに追い付けるし、それ以上にも成れる。もっと、もっと、ね」
コロナの表情が、少し明るくなる。「本当に?」と聞いてきたのに、「うん。私が保証するから」と笑顔で答えるアリシア。
コロナは瞳を閉じてゆっくりと深呼吸をする。そうして瞳を開き、今度は確りとした、決意に満ちた口調で語る。
「じゃあ、明日から、また特訓お願いします、師匠!」
「うん!明日から、頑張ろうね、コロナ。DSAAまでに強くなって、みんなを驚かせてやろうね!」
こうして、二人の特訓はスタートする。将来世界一の座を掴む、その日に向かって。
新年と共に、新章スタート。インターミドル編です。やっとコロナのターンです。
***
セイン「セインと!」
イリヤ「イリヤの!」
セイン・イリヤ「「突撃インタビュー!」」
セイン「新年明けまして」
イリヤ「おめでとうござ‥‥‥」
レミィ「新年明けましておめでとうございます、で良いのかしら?」
イリヤ「私の台詞‥‥‥」
セイン「あ、今回もゲストはレミリアなの?」
レミィ「違うわよ?」
セイン「何?そのさも居るのが当然みたいなリアクションは!?」
霊夢「そうよ、今回は私がゲストだもの」
セイン「もう突っ込まない、もう突っ込まない‥‥‥」
レミィ「何よ、霊夢。貴女は作者のSSにかすってすらいないでしょう?」
霊夢「失礼ね。本当は三作目は私が主役になる筈だったのよ?出たって良いじゃない。そんな事いったら、イリヤの方が関係ないじゃないの!」
イリヤ「へ?私!?」
セイン「突っ込まない‥‥‥もう突っ込まない‥‥‥」