***第58話***
「執務官、大丈夫ですか?」
漸く合流したルネッサに抱き上げられて、ティアナは何とか立ち上がる。シールドが間一髪間に合い、どうにか難を逃れた。
「ありがとう。危なかったけど、なんとか生き延びたわ‥‥‥」
服の大まかな汚れを払い、まだブスブスと鈍い音をたてている残骸を睨む。
「ルネ、あれを回収して急いで鑑識に回して。一刻を争うかも知れない」
「分かりました」
マリアージュだったものの残骸や液体を回収、ルネッサは直ぐに108部隊隊舎へと引き返していく。
(『トレディア』は分からないけど、液体化による自爆と『量機』、『イクス』‥‥‥か。最悪だわ)
偽名等ではない、『冥府の炎王イクスヴェリア』の屍兵器。それが、犯人である事に間違いない。
そうなれば、先日の血文字の意味も何となく見えてくる。険しい表情を見せるティアナの元へ、アリシア達が駆け寄って来る。
「ティアナ、今の爆発は!?」
「‥‥‥最悪よ。冥王の屍兵器マリアージュに間違い無い。言動とあの血文字からして、きっとイクスヴェリアを探してるんだわ。奴等より先に冥王を見付けないと‥‥‥アリシア、頼めるかしら?」
唇を噛んで、アリシアがコクリと頷く。これ以上の犠牲は出せない。況してや、3年前の‥‥‥JS事件の時のような事態を起こさせる訳にはいかない。
「任せて。マリアージュよりも早く、見付けてみせるから」
「頼んだわよ?」
***
その日の、夕方。とある御食事処(JS事件時、はやてとゲンヤが昼食を食べていた和風?料理店)。
「ねえルネ。このまま私の補佐になる気は無い?」
ティアナからの提案に、ルネッサは暫し悩んだあと、静かに答える。
「有り難い提案ですが、遠慮させて頂きます。この事件が終わったら故郷に帰ろうと思っていますので」
「そう、残念ね。貴女のような優秀な人が補佐になってくれると凄く助かるんだけど」
「私など‥‥‥」と謙遜しているルネッサ。今度は何気なく「そう言えば、ルネは何処の出身だっけ?」と訊ねたティアナの言葉に、その表情を曇らせる。
「私は‥‥‥オルセアの紛争地帯で育ちました。両親は内戦で亡くなり、幼い頃から死と隣り合わせでした。そんな私を助けてくれた人が居まして‥‥‥今の私が在るのはその人のお陰です。ですから、故郷に貢献できる事がしたい、と思いまして」
昔を思い出すように、ルネッサは遠い目をして話す。辛い過去を思い出させてしまったと、「ごめんなさいね」と謝るティアナ。
「いえ‥‥‥。執務官、早く捜査に戻りましょう。一刻も早く解決させなくては」
「そうね。早く食べ終えて捜査に戻りましょう」
***
一方のアリシアはと言えば、無限書庫に居た。ユーノからは「禁止エリア以外なら、好きに使ってもらって構わない」と許可を得ている。
(ガレア‥‥‥ガレアは‥‥‥)
検索魔法で該当する資料を漁る。ガレア、イクスヴェリア、マリアージュ。この項目にヒットした書物を、片っ端から調べていく。
(無い、無い、無い‥‥‥。ガレアは一体何処に‥‥‥?いや、冥王が居るのはもしかしたら別の場所?)
検索をイクスヴェリアに絞り、更に捜索。だが、出てくるのは冥王としての話ばかりで肝心のその後の所在は不明。
(不味い‥‥‥このままじゃ‥‥‥マリアージュが『イクス』の手掛かりを掴んだ』と言ったのなら、もう余り時間は‥‥‥)
と、アリシアの目の前に突然モニターが開く。画面に現れたのは、チンク。
《オリヴィエ陛下、宜しいですか?》
「どうしたの?」
チンクが言うには、もう1つのキーワードが分かった、らしい。『トレディア・グラーゼ』。JS事件の際、スカリエッティに合流予定だった活動家らしい。
《詳しい事は‥‥‥その‥‥‥ドクターと一部の者しか‥‥‥》
言い澱んでいるチンクの口振りからして、今は拘置所にいるメンバーに話を聞かないと分からないようだ。
「スカリエッティに会わないと、分からないって事?」
《はい。ですが‥‥‥。私には、自信が有りません。ハッキリと言ってしまえば、ドクターと会うのは‥‥‥自分を保っていられなくなりそうで怖い》
そう言って、チンクは奥歯を噛み締めコートの裾を掴む。心なしか震えているようにも見えるチンクに、アリシアは優しい眼差しを向ける。
「私が、行きます」
《ですがっ‥‥‥》
「大丈夫です。‥‥‥ね?」
首を傾げニコリ、と微笑みを向けて、アリシアは通信を切る。書庫内から出て、外にいたチンクと合流。
向かうのは‥‥‥スカリエッティの居場所。
***
第9無人世界『グリューエン』、その軌道拘置所内。厳重な警備に守られた、第1監房。アリシアとチンクは、目的の場所へ歩みを進めていた。面会の相手が相手なだけにもっと面倒な手続き、時間が掛かるかと思われたが、ハラオウン家と聖王教会という強力な後ろ楯を持つアリシアには、意外にもすんなりと許可が下りた。
「チンクは此処で待ってて。私が話してくるから」
「すみません、オリヴィエ陛下」
チンクを扉の外で待たせ、先へと進む。奥まで歩くと、まるでやる気が無い、ベッドに横になって天井を眺めているだけのスカリエッティが居た。
「オリジナルが面会とは、珍しい‥‥‥‥‥‥Fの残滓達は元気にしているかい?」
アリシアが表情を変える。努めて冷静な顔からは大きくは変わっていないが、その瞳の奥に怒りが籠る。
「その呼び方は止めて下さい。あの子達には、ちゃんとした名前が有ります」
そのアリシアの怒りは意に介していないらしい。スカリエッティはアリシアの言葉には答えず、「チンク達は元気かい?」と聞いてきた。
「‥‥‥‥‥‥みんな、元気にしています」
「‥‥‥そうか」
ほんの僅かに満足気な笑みをみせて、再び天井を眺めボーッとするスカリエッティ。アリシアは意を決し、問う。
「スカリエッティ、貴方に聞きたい事が有ります」
「‥‥‥ワインを、貰えないか?最高級のものを」
突然口を開いたスカリエッティのその言葉に、アリシアの思考が暫し止まった。ただ、その理由を問いただす迄もなく、スカリエッティが話を続ける。
「ドゥーエへの手向けくらい、させてくれないか?」
「‥‥‥意外、ですね」
確かに、あのJS事件からもうすぐ丸3年。あの日は、ドゥーエが死んだ命日でもある。スカリエッティがそんな事に拘るのはアリシアには意外ではあった。
アリシアはワインを用意し、改めてスカリエッティと向き合う。手にしたワインが注がれたグラスを回すスカリエッティは、遠い目をさせつつ一口含んでから話を再開させた。
「意外だったかい?これでも私は自分の作品は大切にする主義なのだよ。捨て駒程度にしか考えていない、レジアスやトレディアと一緒にしないで頂きたいね」
「そのトレディアについて教えて下さい」
アリシアの表情は変わらない。警戒は解かず、スカリエッティを睨んだまま。スカリエッティは微かに笑みを含んだ表情を見せながら、静かに語りだした。
「‥‥‥トレディア・グラーゼ。オルセアの活動家だよ。私達の決起に合流する予定だったのだがね‥‥‥」
***
話を終えて、チンクと合流。「大丈夫でしたか?」と心配してくれたチンクに、アリシアは「うん」と笑顔を向ける。
「大丈夫。トレディアやマリアージュについて聞けたよ。冥王の居場所は分からなかったけど」
スカリエッティによれば、オルセアの活動家であったトレディアは、マリアージュを眠りから覚まさせ、そのコア生み出せる冥王を探しだして、死者の軍勢を作るつもりだったようだ。ただ、トレディア自身がJS事件の1年前に死去。合流出来ずじまいだったらしい。
「成る程、だからドクターは単独で事件を起こしたのですか」
「うん。だから‥‥‥トレディアは居ないけど、同じ事を‥‥‥トレディアの意思を継ごうとしている人物が居る筈なの。司令官のマリアージュを眠りから覚まさせた人物が」
「フム‥‥‥」と考えを巡らすチンク。どのみちミッドに戻り、捜査を再開しなくては進まない。イクスヴェリアの居場所も、マリアージュに先を越される訳にはいかない。
「あんな‥‥‥JS事件みたいな事は二度と起こさせない。早く戻ろう、チンク」
「はい。犯人を、一刻も早く逮捕しなくては」
え?ギンガ?だって、アリシアがスカさんに会わないと、アリシアやること無くなっちゃうでしょ。
何とかイクス編もアニメが終わる前には終われそうです。
***
セイン「セインと!」
イリヤ「イリヤの!」
ウェンディ「突撃インタビューっス!」
セイン「だから、何でお前居るんだよ」
ウェンディ「え?だってアタシもレギュラーっスよ?」
イリヤ「取りあえず‥‥‥進行しようよ」
セイン「まあ、いいや。今日もイクス陛下です」
イクス「あの‥‥‥私‥‥‥」シクシク
イリヤ「あれ?どうしたんですか?」
イクス「歴史ではとんでもない暴君って事になってたんですね」シクシク
セイン「あー、気にしないで下さいよ。ヴィヴィオ達もあたしらも、そんな記述嘘だった事くらい分かりますから」
イクス「ですが‥‥‥アニメも感覚共有してる私の姿の端末出ずに終わりそうですし‥‥‥」シクシク
イリヤ「え?もしかして泣いてる理由ってそっち?」
セイン「あー、確かにアインハルトが笑ったところで終わりそうだよね」
イリヤ「ていうかさ、アニメで放送できるの?温泉でのみんなのあられもない姿とか、フェイトさんがエリオに撃墜された時の姿とか」
セイン「ま、その辺は上手くやるんじゃない?視聴率的には絶対やるだろうしさ」
ウェンディ「‥‥‥あれ?アタシ喋って無いんスけど‥‥‥」