***第61話***
今にも崩れそうな内観。既に炎であちこち退路が塞がれ始めている。逸る気持ちを落ち着かせながら、アリシアは出口の方へと縫うようにして炎を避けながら進む。
(不味い‥‥‥このままでは‥‥‥)
焦りが表情に出てしまっていたのだろう。イクスが不安そうにアリシアを見つめている。
「オリヴィエ‥‥‥やはり貴女一人で逃げてください。私の事は、もう‥‥‥」
「出来ない、と何度も言いました。もう決めたんです。貴女は必ず助ける、と」
‥‥‥と、アリシアはその場に急停止。その腕の中で「ひゃっ」と思わず声をあげたイクスが、息を飲む。
『見付けました。イクスを此方に渡しなさい』
アリシアとイクスの目の前には、数十体のマリアージュ。話している個体は、他のそれよりも体格が大きい。司令官だろうか?
(他に道は無い‥‥‥倒して進むしか無さそうですね)
抱いていたイクスを下ろして、その周りにシールドを展開。「絶対に、動かないでください」と一言残して、一人前方へと出る。
「イクスは‥‥‥渡しません」
アリシアは自身の両手に魔力を纏わせ、目の前のマリアージュの大群と対峙する。
アリシアが構えたと同時に、マリアージュ達が一斉に動き出した。
***
端から見る分には、アリシアの無双と言って間違いない。アリシアの振るう拳の一撃一撃がマリアージュを一体ずつ確実に潰していて、イクスに近付けさせてはいない。。‥‥‥正直、明らかな人型を成しているマリアージュを潰すのは、気分の良いものではない。人間を殺しているのと大差無い、吐き気がするような胸糞悪い気分である。
それでも、アリシアは止まる訳にはいかない。イクスを無事助ける為には、止まれない。
「オリヴィエ!」
突然、イクスが叫ぶ。その声に思わずイクスの方を振り返ると、後方からもマリアージュの大群が向かってきていた。このままだと挟み撃ちになる。
(不味い‥‥‥早くイクスの所へ戻らなくては‥‥‥)
マリアージュを掻き分け、時に破壊しながら、急ぎイクスの元へと向かう。漸く辿り着いた時には、アリシアとイクスは既に周りをぐるりと囲まれていた。
「強行突破しか‥‥‥無さそうですね」
辺りを見回す。上方には大した空間もなく、上には逃げられない。離れないようイクスを抱き締めて、アリシアが意を決し前方を睨んだその時。マリアージュの腕が砲身に変わる。
「クッ‥‥‥」
「駄目です、オリヴィエ!貴女だけでも逃げて!早く!」
アリシアはイクスを無理矢理屈み込ませて、それを守るように上から覆い被さる。直後、ふたりに向かい一斉に砲撃が放たれた。
***
「大丈夫ですか、オリヴィエ」
「‥‥‥大丈夫です。この程度なら」
砲撃はされたが、まだ防げる範囲。この程度の魔力砲なら、聖王の鎧が有れば耐える事はできる。だが、イクスを庇ったままでは、迂闊に身動きは出来ない。
そんな状況で、マリアージュ達は再び砲撃。今度もイクスを守るように覆い被さったアリシアに、先程よりも一層強力な砲撃が降り注ぐ。
(‥‥‥正直、今のは何度もは被弾出来ませんね‥‥‥あの司令官の砲撃でしょうか?)
一際大きな爆発を凌いだアリシア。バリアジャケットももうボロボロだが、どうにか防ぎ切った。『聖王の鎧』が無ければ、バラバラに吹き飛んでいてもおかしくない威力。早急にこの場から脱出する手段を探す必要がある。
「オリヴィエ、逃げて!」
腕の隙間から微かに顔を覗かせていたイクスが、焦り叫ぶ。咄嗟にイクスを抱えたまま前方に身を投げ出したアリシアの左太股に鈍い音が響き、すぐ後に激痛が走る。
(不味い‥‥‥)
反射的に左手でマリアージュを殴り飛ばし、少しだが距離は取った。だが、刀の引き抜かれた太股からは、止めどなく血が溢れてくる。
「オリヴィエ‥‥‥」
傷口を押さえ顔を歪めたアリシアに、心配そうに抱き着くイクス。出血のせいか、次第に呼吸も荒くなっていくアリシアが次の一手を探していると、微かに別の音が聞こえてくる。
(この音‥‥‥‥‥‥)
歯を食い縛り、アリシアは立ち上がる。そのせいで傷口からは更に血が流れて来る。「やめて‥‥‥やめてください、オリヴィエ」と悲痛な表情のイクスを右の義手で抱え、上方へと飛び上がった。
‥‥‥と同時に目の前の壁が崩れ、青い閃光が二人の前を走る。
「うおぉぉぉぉぉ!!」
ウィングロードを真っ直ぐ走り現れたスバル。アリシアの周りに居たマリアージュを勢いのまま蹴散らし、二人を抱える。
「アリシアちゃん、大丈夫?」
「ありがとう。ちょっと油断しちゃった」
ウィングロードの上にイクスを座らせ、アリシアが一旦大人モードを解除する。「その姿は‥‥‥?」と首を傾げたイクスに、「後で説明します」とだけ答え、傷に魔力を集中させる。
「はぁ‥‥‥はぁ‥‥‥はぁ‥‥‥ライゼ、すみません。力を借ります」
ライゼの補助で傷の応急手当を始めたアリシアと、それを呆然として見ているイクスをシールドで覆い、スバルが真っ直ぐ司令官のマリアージュへと突進していく。
「うおぉぉぉ!」
そのスバルに向け、司令官のマリアージュが砲身を構える。先程アリシアの受けた巨大な砲撃がスバルに着弾。大きな爆発が起こる。
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「ノーヴェさんっ!!」
アインハルトは涙目。顔を真っ赤にして頬を膨らませている。服を掴まれているノーヴェは(あっちゃー、言わなきゃ良かったかな?)と思いつつ、「落ち着け、落ち着けって」とアインハルトを宥める。
「そんな事があったなんて聞いてない、だろ?」
「アリシアさんが‥‥‥アリシアさんが‥‥‥」
もう泣き出しそうになっているアインハルト。バツが悪そうに視線を逸らせ、ノーヴェは続きを始める。
「あー、それでその後なんだけど‥‥‥」
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「オリヴィエ!あの方が!」
スバルが吹き飛ばされたと思って慌てふためくイクス。「スバルなら、大丈夫」と、肩で息をしているアリシアは爆心に視線を向ける。
聞こえてきたのは、ローラーの回る音。煙の中から現れたスバルは、身体が所々損傷し金属フレームが剥き出しとなっているが、無事。
「おぉぉぉお!『震動拳ッ!!』」
自身のIS、震動破砕をオリジナルに組み直した一撃。司令官のマリアージュは成す術もなく粉々に吹き飛ぶ。
直後、辺り一帯に火災で発生した爆発が起こる。マリアージュは残らず巻き込まれ、その炎と煙の中からウィングロードが1本伸びてくる。
現れたのは勿論、姿こそボロボロだが意識は確りしているスバル。そのスバルに抱かれ(お姫様抱っこ)ているアリシアと、背中におんぶされているイクス。
「二人とも、遅れてごめん。大丈夫?」
「私は大丈夫ですが、オリヴィエが‥‥‥」
心配そうに覗き込むイクスに、額に汗を浮かべながらもニコリと笑みを向けたアリシア。「大丈夫、です‥‥‥」と答えて、瞳を閉じた。
「オリヴィエ!」
「アリシアちゃん‥‥‥オリヴィエ陛下なら、ちょっと寝てるだけ。大丈夫ですよ。貴女が、イクス陛下ですね?」
***
一方の、地上。ティアナもヴォルツも焦りの色を浮かべていた。
「クソッ!スバルからの通信が切れやがった!」
苛立つヴォルツに「スバルなら、きっと大丈夫です」と冷や汗を流し
口にはしているティアナ。スバルとアリシアの事は、信頼はしている。ただ、目の前の状況は最悪。もう全館炎に包まれていて、いくら二人が普通でなくても危険である。
「ヴォルツ司令、ガーデンのマップを」
「執務官、まさかアンタ‥‥‥」
ティアナの意図を理解し、ヴォルツが判断に迷う。「行かせてください」と決意の眼差しを向けるティアナに折れ、「‥‥‥分かった」と首を縦に振る。
「ナカジマ妹達を補助に付ける。絶対に二人を連れて戻ってこい!」
「はい、司令。必ず」
ティアナは敬礼し、消火活動に当たっていたノーヴェ、ウェンディ、ディエチらと共にマリンガーデンへと突入。スバル達の元へと向かう。
イクス編もあと一話くらいですかね?
どうにかティアナの突入までこぎ着けました。あとはあーしてこーしてあーしたら次の章ですね。
話を聞いているアインハルトは只今「何この可愛い生き物」状態となっております。
***
セイン「セインと!」
イリヤ「イリヤの!」
セイン・イリヤ「「突撃インタビュー!」」
イリヤ「あれ?ウェンディは?」
セイン「あー、だってアイツ今本編出てるし、要らないでしょ?」
イリヤ「うん‥‥‥まあ‥‥‥」
セイン「‥‥‥で、なんだけどさ。今回のゲスト何なの!?誰だよアンタら」
アリス「わっ、私は別に‥‥‥魔理沙の代理で来ただけだし?‥‥‥あ、べっ、別に魔理沙の事がどうとかじゃなくて、頼まれただけなんだからね!///
10032号「なんですかこのツンデレは、とミサカはこのクソウザい金髪人形使いを押し退けつつ存在をアピールします」
イリヤ「‥‥‥」
セイン「おい作者、何だよこれ?」
アリス「え?だって作者の次回作の主役は魔理沙だって聞いたから、私が今の内にアピールしなきゃ、って‥‥‥」
10032号「お前頼まれてねーのに勝手に来ただけじゃねーか、とミサカは只の片思いじゃねーか(笑)と心の中で糞百合金髪を笑いながら見下します。‥‥‥おや?次の主役は私と聞きましたが?」
アリス「ちょっと!口に出してるじゃないの!」
セイン「‥‥‥何?あー、成る程ね」
イリヤ「あ、どっちにするか迷ってるんだね‥‥‥って、待って。こんなに出演してるのに、次回作って私の話じゃないんだ‥‥‥」ガーン