再び集う、因果。
きっともっと上手くやれたのかも知れない。
記憶の彼方の私の我が儘は、平和という名の物と引き換えに、多くの人を‥‥‥悲しませたのかも知れない。今も、まだ、きっと‥‥‥。
ーーアリシア・テスタロッサ・ハラオウンーー
魔法少女リリカルなのはVivid、始まります。
第63話
***第63話***
「悪いね、道場まで貸してもらっちゃって」
「気にしなくて良いよ、私もジーク対策には興味があるしね。それに、アインハルトちゃんの事も気になるし」
ノーヴェとミカヤが、チームナカジマの面々と少し距離を置いて話している。場所は、ミカヤの道場。これからアインハルトの対ジーク戦の特訓をするところ。柔軟体操をしているアインハルト、それを手伝うヴィヴィオを見ながら話す二人。
「やっぱり仮想ジークはコロナちゃんかい?投げ技や関節技は兎も角、戦闘スタイルはソックリだし」
「いや、コロナじゃない。チャンピオンが相手なら、コロナじゃまだ役不足だ。仮想にはならない」
ノーヴェがチラリ、とアリシアに視線を向ける。ストレッチを始めたアリシアに気付き、ミカヤも視線を向ける。
「あの子がやるのかい‥‥‥?」
「まあ、ね」
含みのある笑みを見せているノーヴェ。ミカヤは暫し思考して、アリシアがコロナのセコンドに付いていたのを思い出す。
「じゃあ、まさかコロナちゃんにエレミアのスタイルを教えたのって‥‥‥」
「ああ、アリシアだ」
ノーヴェの答えに更に悩むミカヤ。ヴィクターからコロナの事を『あの子は猿真似等では有りません。何処で覚えたのかは分かりませんが、あれは正真正銘エレミアの技ですわよ』と聞いていただけに、それを教えたのがアリシア、というのがどうにも納得出来ない。アリシアは執務官として有名なフェイトと同じテスタロッサの家系の筈であり、エレミアとの接点はまず見えてこない。そもそも、エレミアの家系が他の者にその技を教えた等という話は知らないし、ジークがアリシアに教えた筈もない。
思慮に耽り悩むミカヤを他所に、向こうのアリシアが立ち上がり、ノーヴェに視線を送ってくる。コクリ、とノーヴェが頷いて、着ていた上着を脱ぐ。
「あの子、右腕が‥‥‥」
普段ミカヤが見ていたアリシアは、長袖だった。故に右腕の事には気付かなかったわけで、この時初めてアリシアの義手に気付く。
驚いた様子のミカヤに、「まあ‥‥‥見てりゃ分かるさ」とアリシアに信頼を寄せているであろうノーヴェの笑み。
***
「じゃ、始めよっか。先ずは、軽くアップから。それから鉄腕対策、投げ技と関節技、それと‥‥‥」
アリシアは話しながら立ち上がる。遠巻きに見ているノーヴェにチラリ、と視線を送る。
《ノーヴェ、ミカヤさんには?》
ノーヴェがコクリ、と頷いて《まあ、大丈夫だろう。後で自分の口で説明してやってくれ》と念話を返してくる。《分かった》と答えて、視線をアインハルトに戻す。
「それじゃあ」
「まっ、待ってください!」
構えようとしたアリシアを、アインハルトが制止する。その表情はなんというか、心配そうな表情。
「アリシアさん、せめてその眼鏡型のデバイスは外してください。万が一、アリシアさんに何かあったら、私は‥‥‥」
ニコリ、と笑みを向けて「大丈夫」と返事を返したアリシアにも、アインハルトは引き下がらない。自身のせいでアリシアに何かあっては堪らないのだろう。「もしも、もしもです。その眼鏡が割れたりでもしたら‥‥‥」と動く様子を見せないアインハルトに折れて、アリシアは久々に外でその眼鏡型デバイスを外す。
「これで‥‥‥いいかな?」
「はい、アリシアさん。‥‥‥やっぱり、綺麗な瞳ですね」
眼鏡に隠れていた、アリシアの紅と碧の虹彩異色の瞳。少し離れ見ているリオとコロナが「ヴィヴィオも同じ瞳なのにね」「ヴィヴィオが言われた所、見たことないよね」と話しているのにヴィヴィオが「アハハ」と苦笑いしているが、アインハルトの目には入っていないらしい。吸い込まれるようにアリシアの瞳を見つめていた後、ハッと気付いてアインハルトの頬は紅くなる。
「それでは、お願いします!」
「うん。頑張ろうね、アインハルト」
アインハルトが構えると同時に、アリシアは魔法陣を展開。虹色の光‥‥‥聖王家の証である『カイゼル・ファルベ』と呼ばれる魔力光に包まれながら、その両腕に嘗てのような鉄腕を纏う。
***
「なっ‥‥‥!?」
思わず声をあげて驚くミカヤ。アリシアの瞳はヴィヴィオと同じ虹彩異色、それに、魔力光もヴィヴィオと同じ虹色。無理もないだろう。
「あっ、あれはどういう事なんだ!?」
勢い余ってノーヴェに掴み掛かるが、肝心のノーヴェは「アタシが軽口で話して良い事じゃないな」と真実は語らない。
「まっ、まさかテスタロッサ家は聖王の血統なのかい!?」
「そういう訳じゃないけど‥‥‥まあ、 少し見てなって」
ノーヴェに促されて視線を戻す。構えたアリシアのそれは、正しくエレミアの構え。ジークと違わぬその動きに、ミカヤは暫し呆気に取られていた。
******
その日の帰り。並んで歩く、アリシアとアインハルト。心なしかアインハルトの頬が紅いのは気のせいではない。
「どう?少しは自信ついた?」
「そこまでは、まだ‥‥‥」
どうやらまだまだ不安の消えないアインハルトの様子に、アリシアはポンッと肩を叩いて励ます。
「まだ試合まで時間も有るし、少しずつ慣れていけば大丈夫だから」
「はっ‥‥‥はい‥‥‥」
肩を抱かれて真っ赤になった、実に分かりやすいアインハルト。暫しそのまま歩いていたアリシアだが、アインハルトのふとした質問に立ち止まる。
「アリシアさん‥‥‥あの‥‥‥その‥‥‥イッ‥‥‥イクス陛下とはどういう関係なんですか?」
全く持って考えもしなかった質問に、アリシアは暫しキョトン、と停止。意味を理解して、クスクスと笑う。
「親友、かな?大切な親友」
「そっ、そうですか‥‥‥」
ホッとしたような、悲しいような。アインハルトはそんな表情。『親友』は兎も角、『大切な』という部分が気になってしまっているようだ。アリシアは再びクスクスと笑って、後ろからアインハルトに抱き付いて囁く。
「勿論、アインハルトも大切な人ですよ。私にとって、大切な‥‥‥」
そのアリシアの言葉に全身真っ赤になって、笑顔で「はい‥‥‥」と答えたアインハルト。アリシアは手を話して柔らかな笑みを向ける。
(大切な人ですよ、アインハルト。私の大切な人の子孫、ですから)
アインハルトには真意は伝わっていないのだろう。『大切な人』と言われたのが余程嬉しかったらしく、その後はずっと笑顔。少し離れ歩いていたヴィヴィオ、リオ、コロナにも分かるくらい。
アリシアは、「アインハルトさん、分かりやすいなぁ」「恋する乙女だよねぇ」と話すコロナとリオの言葉が耳に入っておらず笑顔のアインハルトの手を握り、ぼんやりと夕日を眺め歩く。
(クラウス‥‥‥貴方の子孫は‥‥‥アインハルトは、きっと私が守ってみせます。みんなの幸せを、守ってみせますから)
遅くなりました。ひと月振り更新です。遂に迎えるジーク戦、それに‥‥‥。
アインハルトの想いはどうなることやら。
***
セイン「セインと!」
イリヤ「イリヤの!」
セイン・イリヤ「「突撃インタビュー!」」
セイン「いやー、久々の出番だよね」
イリヤ「凄く、凄く待ったんだよ?」
ウェンディ「それに関して、作者の言い訳を預かってるッス!」
セイン「あ、ウェンディ居たの?」
ウェンディ「相変わらず酷い扱いッス」シクシク
イリヤ「あの、それで?理由は?」
ウェンディ「仕事が忙しくて睡眠不足だった、らしいッス」
セイン「うぉい!嘘つくな!18禁とかほぼ毎日更新してたじゃんか!どういう事だよ、ウェンディ!」
イリヤ「そうだよね‥‥‥18禁‥‥‥」///
ウェンディ「何でアタシが責められてるんスか!悪いのは作者ッス!」
セイン「うるさいっ!お前もついでに過去の反省してろっ!」