過去と現在と魔法少女と   作:アイリスさん

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第69話

***第69話***

 

「まあ‥‥‥事件自体はそんな感じや。もう14年も前の話やね」

 

はやての昔話を静かに聞いていた一同。やはり驚きは隠せないようだ。

 

「『リンディ・ハラオウン提督が解決した』という話は知っていましたが‥‥‥私達が聞いているのとは随分違うのですね」

 

興味深そうに聞いていたヴィクターがそう言うのも無理はない。当時はかなり大袈裟に、センセーショナルに騒がれている。何せ、リンディはその『第1級捜索指定ロストロギア、闇の書』に夫であるクライドの命を奪われた『悲劇のヒロイン』。その彼女が提督を務めるアースラの部隊が解決したのだから、マスコミが飛び付いたのは言うまでもない。今や知らない者は居ない管理局のエースオブエース、高町なのはが幼少期に解決に大いに貢献した事件でもある事から、なのはの武勇伝の一つとして語られている事も要因。

だが、管理局の情報統制の賜物か、八神はやてが当事者として関わっていた事は全く伝わってはいなかった。

 

「うん、まあ、私は最後にほんの少しだけ解決を手伝っただけやからね。今の私が居るのはクロノ提督やなのはちゃん、フェイトちゃん達のお蔭やね」

 

当時を思い出しながら、ニコリ、と笑って見せるはやて。その笑顔には、少しだけ切ないものを感じる。

 

「まあ、私の事はそんな感じや。確かに過去には辛い事もあったんやけど、今は確り前を向いとるつもりや。みんなも仲良くしてれたら嬉しいよ。それじゃ、次は‥‥‥」

 

周りを見渡し、はやてが次の者を指名する前に、イクスが立ち上がる。「では、次は私が」と、その場から一歩前に出て深呼吸をする。

 

「初めての方も、そうでない方も。改めて自己紹介させていただきます。私は‥‥‥イクスヴェリア。曾てベルカに存在していた、ガレアの王家の者です」

 

イマイチ理解出来ていないハリーとジークは兎も角。ヴィクターは『ごく一般的』な理解の仕方をしているようだ。

 

「ガレアの‥‥‥?では、貴女はあの『冥府の炎王』、イクスヴェリアの子孫という訳ですか。それにしても冥王と同じ名とは‥‥‥」

 

そう、当然の勘違いを披露しているヴィクターだが、「いえ、そうではなくて、あの‥‥‥」と言い難そうにしているイクスの態度に「違うのですか?」と尤もな疑問を持つ。戸惑うイクスに助け船を出したのは、はやて。

 

「そうやないんよ。此処にいるその子はな?『冥府の炎王イクスヴェリア陛下』本人なんよ?」

 

ヴィクターが「そうですか、イクスヴェリア陛下本人なのですね‥‥‥」とそこまで発言して止まる。「‥‥‥は?」と力無く発した後、「はぁぁぁあ!?」と何時かのミカヤのような驚きの叫び声をあげた。

 

「本人っ!?本人なのですか!?しっ、しかし余りにも文献の記述と掛け離れて‥‥‥いえ、そもそもどうやって今の時代に!?」

 

そのヴィクターの余りの様子に「あの‥‥‥」と声を掛けようとしはしたものの、文献に有った自らに関する記述と過去の出来事を思い出しシュン、と小さく項垂れてしまったイクス。見兼ねたアリシアがフォローを入れる。

 

「ヴィクトーリア、いいですか?考古学者の私が言うのも変な話なのですが、古い文献は誇張されたり事実とは歪められて書かれていたりします。だから、余り信用は出来ません。それに、此処にいるイクスは断じて文献に有るような暴君ではない、心優しい人物です。それは親友である私が保証します」

 

それで我に返り、漸く落ち着いたヴィクター。イクスの前に歩み寄り、深々と頭を下げる。

 

「取り乱してしまい申し訳ありませんでした。数々の暴言、御詫び申し上げますわ、陛下」

 

「いっ、いえ、雷帝。気にしないでください。結果として私のせいで国が不幸になったのは事実ですから‥‥‥」

 

慌てて気遣い答えたイクスだが、表情は先程よりも沈んでしまっている。無言になってしまった場とイクスの雰囲気を変えようとしたらしく、はやてが話を始めた。

 

「それも、過去の話や。今はその力も封印されとるし、普通の女の子と変わらへんよ。何より、イクス陛下は良い子やし」

 

「そうですわね」と表情を崩すヴィクター。イクスに向かい「もし宜しければ、私とも仲良くして頂けるでしょうか?」と柔らかい笑顔を向ける。

 

「勿論です。宜しくお願い致します、雷帝」

 

「‥‥‥ヴィクトーリア、ですわ。イクス陛下?」

 

「はい」と答えて、やっと笑みを見せるイクス。ヴィヴィオ達もやっと安堵の表情になった。

 

「さて、次は‥‥‥アインハルトちゃんやね」

 

「はい」と、一歩前に出たアインハルト。「ハイディ・アインハルト・ストラトス・イングヴァルト‥‥‥覇王クラウス・イングヴァルトの末裔です」と自己紹介を始めた。クラウスの記憶を受け継いでいる事も。

 

「そう、ですか。覇王クラウスの記憶を‥‥‥それで、クラウスはオリヴィエやエレミアと共にあった、と?」

 

繁繁と眺めてくるヴィクターに、アインハルトは「‥‥‥はい」と少し不安気に答える。

 

「あ、あの‥‥‥」

 

「成る程。貴女にもエレミアの事を聞いておく必要が有りそうですわね」

 

アインハルトからチラリ、とジークに視線を向けたヴィクター。ジークは思い悩んでいる様子だったが、決心して口を開いた。

 

「あの‥‥‥エレミアの事、教えてくれへんやろか?知っておきたい、向き合ってみたいんよ」

 

「‥‥‥はい。知っている範囲でなら」

 

「ありがとうな、ハルにゃん」

 

ジークに『ハルにゃん』と呼ばれて紅くなるアインハルト。理由はまあ、想像はつくのだが‥‥‥流石に恥ずかしかったようだ。誤魔化すように「そうですね‥‥‥」と昔話を始めようとしたアインハルトを、はやてが止める。

 

「ちょう待って。それなら、明日無限書庫に行って詳しく調べよか。エレミアがクラウス達と別れた後の話は分からへんのやろ?」

 

「‥‥‥え?はっ‥‥‥はい」

 

アインハルトは頷き、イクスの隣に座るアリシアの方をチラリ、と見る。そのアリシアが視線に気付いてウィンクしてみせると、アインハルトは更に真っ赤になる。

 

「それなら、ユーノ君に連絡入れとくわ。‥‥‥ちょっと休憩にしようか?」

 

はやてがその場から離れ、部屋の外で何やら誰かと通信している間に、ヴィクターがアインハルトに近付く。

 

「覇王クラウスの記憶があるのですね。成る程、それならジーク戦でのあの作戦も頷けますわね」

 

「‥‥‥あの、それは、その‥‥‥アリシアさんが‥‥‥」

 

少し離れ座っているアリシアが視線を感じて「ん?」と首を傾げる。真っ赤になったままのアインハルトを問い詰めるように両肩に手を置くヴィクター。

 

「また『アリシア』ですか。一体あの子は何者なのですか?」

 

と、丁度そのタイミングではやてが戻ってくる。「ごめんな」と明らかな作り笑いのはやてに違和感を感じつつも、一同は話を再開する。

 

「もう話してもエエよ、アリシアちゃん」

 

「あ、うん、はやて。ええっと、コホン」

 

態とらしく咳払いをして、アリシアは立ち上がる。全員の注目が集まり、1度瞳を閉じてから口を開く。

 

「アリシア・テスタロッサ・ハラオウン。私は‥‥‥オリヴィエ・ゼーゲブレヒトです。有り体な言葉を使うなら『生まれ変り』でしょうか?」

 

一瞬、ヴィクター達は理解出来ずに固まる。ニコリ、と小首を傾げてみせるアリシア。

 

「あ、アリシアさん?それは、どういう意味‥‥‥ですの?」

 

「言葉通りの意味ですよ、雷帝。この時代でいう所の『最後のゆりかごの聖王』、です」

 

尚も固まったままのヴィクターは「アリシアちゃんの言う事は本当なんよ。アリシアちゃんはあの聖王女オリヴィエ。管理局が保証するわ」というはやての言葉を受けて漸くその意味を理解し、本日3度目の驚きの声をあげた。

 

「オリ‥‥‥オリヴィエ!?聖王陛下ですか!?そんな‥‥‥そんな事が‥‥‥!」

 

「ええと‥‥‥はい。黙っていてごめんなさい、ヴィクトーリア」

 

 




そんな訳で、3度驚く雷帝の回。
歴史上の人物が二人も居るのですから、無理も無いですね。
はやてが1度場を離れた理由はまあ、お察しです。

***

セイン「セインと!」

イリヤ「イリヤの!」

御坂妹「突撃インタビューです、とミサカはしたり顔で宣言します」

セイン「あ、まだ居たの?」

御坂妹「前回『乗っ取る』と宣言した筈ですが?とミサカはセインさんの理解力の無さに首を傾げてみせます」

イリヤ「あ、やっぱり隠す気ないんだ‥‥‥」

御坂妹「隠す気?何の事でしょうか?とまあそれは置いて置きます。今日のゲストは‥‥‥おや、居ないようですね。ではごきげんよう」ヒラヒラ

フレ⚫⚫「折角私の出番なのに!ヒドイっ!」

セイン「あ、アンタか。もう作者に突っ込む気すら失せてきた」

⚫⚫ンダ「ちょっと!少しは絡んで‥‥‥って、私のこの名前表記の仕方、悪意を感じるって訳よ!トラウマ思い出すからやめて!」

イリヤ「って言ってるけど‥‥‥やめてあげたら?」

御坂妹「冗談は口だけにしてください。ほぼ決定だったのにミサカから主役を奪いやがったこのクソ貧乳金髪なんてこれで充分です、とミサカは‥‥‥」

セイン「‥‥‥おい、作者、後で楽屋裏まで来いよ?」
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