***第73話***
「ヴィヴィ!」
アリシアは全速力で飛んで行くが、ヴィヴィオを丸飲みしようとしている何かが口を閉じる方が速い。間に合わないと踏んで魔法を展開したところで、ファビアに気付かれたらしい。「邪魔するな!」という声が聞こえ、アリシアの周りが暗闇に包まれて視界が遮られる。
(ブラックカーテン‥‥‥!やっぱり、あの子は魔女‥‥‥クロの‥‥‥)
ミッド式やベルカ式とは全く違う、独特の魔法体系。やはりファビアは魔女の血を‥‥‥クロの引いているに違いない。ヴィヴィオに牙を剥いているという事は、少なくともオリヴィエに良い感情を抱いていないという事だろう。他の面子の姿が見えないのも、恐らくファビアの仕業だろうか。
(私のせいで‥‥‥!)
唇を噛んだアリシアの耳に、「バクンッ」何かが閉じられる音が聞こえてくる。顔をあげ、焦りの表情に変わる。
「ヴィヴィ!!」
変わらず視界は遮られたままだが音の方へと飛び出そうとしたアリシアの耳に、今度は爆発音が飛び込んでくる。暗闇が晴れると、気を失っているヴィヴィオを抱くルーテシアとそれを睨むファビアの姿が見えてきた。
「アリシア、大丈夫?」
「うん。ルールー、ヴィヴィは?」
心配そうなアリシアに、ルーテシアが『大丈夫』とばかりに頷く。どうやら先程の爆発はルーテシアがヴィヴィオを助ける時に放った砲撃のようだ。
降り立ったルーテシアからヴィヴィオを渡されるアリシア。悲しみを帯びた表情で、まだ目を覚まさないヴィヴィオを辛そうに抱きしめ呟く。
「ごめんね、ヴィヴィ‥‥‥ごめんね‥‥‥」
その様子を横目に、ルーテシアは魔法陣を展開。同時に、管理局での自身の身分証を提示して声を張る。
「真名を認証して拘束する‥‥‥随分と古風な技を使うのね。時空管理局嘱託、ルーテシア・アルピーノよ。盗聴、誘拐未遂、一般人への魔法攻撃。これ重罪って分かってる?抵抗は止めて大人しく投降しなさい」
叫ぶと同時に、ルーテシアの放っていた召喚獣である蟲が数匹、彼女の元へと戻ってくる。蟲が運んでいたのは小さな瓶が二つ。中には気を失い閉じ込められているアインハルトとミウラの姿。
それを潤んだ瞳で捉えたアリシアは唇を噛み締める。もうこれ以上は耐えられない。自身の過去の過ちに、今を生きている関係の無い人達を巻き込む事は、これ以上。
「待って、ルールー」
不満そうなファビアと対峙しようとしたルーテシアの手を、アリシアが後ろから引く。その瞳に決意の色を見せるアリシアの意図が分かったルーテシアは少しだけ悩んだあと、手を下ろした。
「構わないけど‥‥‥アリシア、危なそうな時は私も手を出すからね?」
「‥‥‥ありがとう。それからルールー、後ろにイクスが居るの。あの子の事もお願い」
後ろを気にして少し視線を向けたアリシア。その先には、心配そうな顔をしているイクスの姿。
「分かった。イクス陛下とこの二人は任せて。くれぐれも無理はしないでよ?」
「‥‥‥うん」
二人は前後に跳ぶ。ルーテシアは後方、イクスの元へ。アリシアは前方、ファビアの方へと。
***
「イクス陛下、大丈夫ですか?」
「はい。オリヴィエのお陰です。ヴィヴィは?」
「気を失っているだけですよ」
寝かせたヴィヴィオにイクスが歩み寄りその手を握る。ルーテシアは瓶の蓋を開き、閉じ込められていたアインハルトとミウラを解放。二人も寝かせてシールドを張る。
「あの‥‥‥」
切なそうに声を出したイクスの方を振り返るルーテシア。少し寂しそうなイクスに「はい?」と静かに返事をする。
「私は‥‥‥オリヴィエの力にはなれないんでしょうか?やはり私が弱いから‥‥‥」
それをポカン、として聞いていたルーテシアだが、直ぐに笑みをみせて、イクスの言葉を否定する。
「あの子は‥‥‥悩みがあっても全部一人で抱え込んじゃうんです。抱え込んで、全部一人で解決しようとする。大切な人達を巻き込まないように、危険な目に合わせないように、って。昔からそうだった‥‥‥JS事件のあの時から。ううん、きっとあの子がオリヴィエだった時からずっと。だからイクス陛下、貴女が頼りにされていない訳じゃない。寧ろ、とても大切にされていますよ」
「でも‥‥‥」
友である以上、やはりもっと頼って欲しい。魔法では恐らく力になれないだろうが、抱え込んだ悩みなら。ヴィヴィオの手は握ったまま視線を下に向けたイクス。ルーテシアがその頭を優しく撫でる。
「‥‥‥どうしてもっていう時は、無理矢理踏み込んで行っちゃえばいいんです。‥‥‥聖王戦争の時のようにならない為に」
「そう‥‥‥ですね。ありがとう、ルーテシア」
微笑を見せるイクスと、ニコリとそれに笑いかけるルーテシア。二人の空気が少し溶けた丁度その時に、更に後ろから声が聞こえてきた。
「よかった、やっと会えた」
二人が振り返ると、バリアジャケット姿のジークが居た‥‥‥のだが、ルーテシアもイクスも驚いた表情を見せて停止している。何故ならジークの姿はどうみても5~6歳くらいの幼児。ジャケットはブカブカ。来る途中で脱げてしまったのか、ブーツを片方履いていない。
「‥‥‥エレミア!?その姿は一体?」
先に解凍されたイクスが疑問をぶつける。ジークも理由はよくは分かっていないようだ。
「それが、分からへん‥‥‥気付いたら瓶の中に居って‥‥‥脱出したと思うたらこんな姿に‥‥‥」
イクスには、それが古代の魔法という事が直ぐに分かった。使用したのは間違いなくファビアだろう。
「恐らく、あの魔女の子の仕業です。肉体年齢を一時的に10年程戻す魔法でしょう。あの子に解呪してもらうか、暫くすれば元に戻れると思います」
「イクス陛下、ホンマか?良かったぁ。一生このままなんかと思うたわ」
ホッとしてその場に座り込んだジーク。その愛らしい姿に頬を緩めるイクスとは対照的に、険しい視線を前方に向けたのはルーテシア。
(ちょっと待って‥‥‥チャンピオンの歳だからこのくらいで済んでるけど、この魔法アリシアが受けたら‥‥‥最悪肉体が消滅しちゃうんじゃ‥‥‥)
***
「止めて‥‥‥もう止めて、ファビア・クロゼルグ」
魔法陣も展開しない、動こうともしないアリシアは、じっとファビアを見つめる。ただ、相手の方はそれに答えてはくれない。ファビアにとってはアリシアは邪魔者以外の何者でもないらしい。
「お前は‥‥‥知ってる。アリシア・テスタロッサ・ハラオウン、これを見て」
ファビアの使い魔、先程ヴィヴィオを襲ったそれが、アリシアの方に向く。全て分かっているかのようにその瞳をじっと見つめるアリシアに向い、ファビアは少し怒気を孕んで叫ぶ。
「『真名認証、水晶体確認‥‥‥っ!』」
声と同時に、使い魔が巨大化。ヴィヴィオを襲ってきた時と同様、大きな口を開けてアリシアに向かってきて「バクンッ」という音と共に、アリシアを飲み込む。
だが、その使い魔の大きな口の中で爆発音。同時に口が無理矢理開かれて、平然としているアリシアが現れる。
「そんな‥‥‥お前、どうやって‥‥‥」
確かに術中に落ちた筈。ヴィヴィオの時のように、名前の言い間違いもしていない。理解出来ずに狼狽えるファビアに、アリシアは悲しそうに口を開いた。
「アリシア・テスタロッサ・ハラオウン。確かに私の名です。でも‥‥‥魔女の言葉を使うなら、それは私の真名ではない‥‥‥私の真名は‥‥‥『オリヴィエ・ゼーゲブレヒト』だから」
先程の衝撃で眼鏡型デバイスは吹き飛び、紅と碧の虹彩異色の瞳が見える。纏う魔力は『カイゼル・ファルベ』と呼ばれる、ヴィヴィオと同じ虹色。右肩が露出し、それが義手である事が見ただけで分かる。
驚いた様子だったファビアの表情に、怒りとも憎しみとも取れる色が広がっていく。明らかな敵意を含んだ瞳が、アリシアに向けられる。
「嘘を‥‥‥嘘をつくな!!そこのオリヴィエの末裔なら兎も角、関係の無いお前なんかがオリヴィエなんて嘘を!!『姿態編成(シェイプシフト)』」
ヴィヴィオやアインハルトの大人モードのように、ファビアの姿が大人の姿へと変わっていく。敵対する様子を変えないファビアに、アリシアも仕方無く構える。無論オリヴィエ時代と同じ、エレミア仕込みの構え。
それが、更にファビアの逆鱗に触れた。怒りに任せ、ファビアが箒を向ける。
「アリシア・テスタロッサ・ハラオウン!お前は‥‥‥お前だけは許さない!」
本日の『おまいうスレ』はここです。
盗聴、誘拐、一般人への魔法攻撃。JS事件でルールーは全部経験済です。
ルールーの思考から次回は何となく想像出来てしまいますね。ヒントは『前世の実』です。あ、でもこのヒント、私の歳がバレるかも‥‥‥
***
セイン「セインと!」
イリヤ「イリヤの!」
ルビー「おおっ!今回は正統派魔法少女‥‥‥もとい魔女っ娘の回ですね!良いです!良いですね!」
セイン「ファビアの事?‥‥‥またなの?もうドン引きなんだけど」
イリヤ「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!ルビーは今すぐ連れて帰るから!」
ルビー「お二人ともつれないですねぇ。そう言えばイリヤさん、美遊さんが探してましたよ?」
セイン「あぁ、あのイリヤの事好きって娘だっけ?」
ルビー「いえいえ。美遊さんはあくまでも友達としてイリヤさんの事が好きなだけですよ」
イリヤ「そうそう。ちょーっと、ほんのちょーっとだけ友達の定義が狭いだけっていうか‥‥‥」
セイン「あ、そうなの?」
イリヤ「そうなの。いい子なんだよ」
ルビー「そうですよ!美遊さんのメイド姿にムラムラしたイリヤさんがそのまま襲おうとした事もあったりしましたけど、イリヤさんと美遊さんは親友ですからね!」
セイン「‥‥‥え?」
イリヤ「ちょっとぉぉぉお!何でそれ今言うのぉぉぉお!?」
セイン「‥‥‥え?マジなの?」
イリヤ「違っ!違うから!私と美遊はそんなじゃないから!」
ルビー「そうですよセインさん。イリヤさんも美遊さんも好きなのは義理のお兄さんのシロウさんですから!」
イリヤ「そうだよ!私が好きなのはお兄ちゃんなんだから!‥‥‥って、ぎゃああああ!?」///
ルビー「おやおやぁ、遂に認めましたね?」
イリヤ「違う!違うの!違うのぉぉ!」///
セイン「そうなの?てっきりその美遊って子、フェイトさんと同じクレイジーサイコレズかと思ってたんだけど」
ルビー「それも悪くは無いんですけどねぇ。イリヤさんと美遊さん、キスもしてますし」
イリヤ「イヤァァァ!!やめてぇ!!もうやめてぇ!!」
セイン「えぇ‥‥‥」←ドン引き
ルビー「そう言えば、今回はゲストとか居ないんですか?」
セイン「ああ、最初はなんかスーパー北上様が出る予定だった」
ルビー「 重雷装巡洋艦の北上ですか?ああ、艦これのですね。成る程、さっきの『クレイジーサイコレズ』はその為のフラグたったんですね」
セイン「何でもさ、交渉する前に作者が何者かに襲われて病院送りになってさ」
イリヤ「あ、それ犯人って前回の発言からして霊夢さんじゃ」
ルビー「あ、イリヤさん復活したんですね!」
イリヤ「お願いだからルビーはもう喋らないでぇ!!」