俺、踏み台転生者にされました   作:サクサクフェイはや幻想入り

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プロローグ

「パパー、これなーにー?」

 

「ん? お前もまた、なんて物を見つけてくるんだ......」

 

「い、いけないものだった?」

 

娘は俺の言葉に不安そうな表情をするが、俺も大人げないと思い、苦笑しながら頭を撫でる

 

「いや、いけないものじゃないよ。 ただこっちよりも、そうだな......これの方が見ていて面白いはずだ」

 

そう言って、娘が持ってきたディスクを机に置き、違うところから一枚のディスクを取り出す。 これならば娘も楽しめるはずだ、俺とか全カットだからな

 

「これは?」

 

「そうだな、出会いの物語かなー」

 

「パパとママの?」

 

「そうとも言えるし、違うとも言える」

 

「難しくてわかんない」

 

少し怒っているのか、頬を膨らまして不満そうにこちらを見る娘に、笑ってしまいそうになるが、笑わないように気をつけながら娘に促した

 

「そうだろうな、ママに見せてって、お願いしてくるといい」

 

「うん!わかった、パパも一緒に見よう」

 

「わかったから、引っ張るな」

 

元気のいい娘に思わず苦笑する、こういうところは、お母さんに似たのだろう。 俺を引っ張る娘の姿に、そう思わずにはいられなかった

 

「おかーさーんー、これ見せてー」

 

「うーん? これどこから取ってきたのー?」

 

娘の頭を撫でながら聞く、お母さんの顔は笑顔だ、本当に幸せそうだな

 

「パパがこれなら良いって!」

 

「お父さんが?」

 

こちらを見るお母さんが驚いていた、その視線を受け俺は肩をすくめる。 しょうがないだろ、アレを見せるよりはこっちの方がうん万倍ましだ。 言葉には出さないが、視線だけで会話をする

 

「早く見よ!」

 

「あー、うん、わかったちょっと待っててね」

 

「パパはこっち!」

 

お母さんがディスクをセットしている間に、娘に手を引かれソファーに座ると、まるで自分の特等席だ、と言わんばかりに娘は、膝の上に座り、背中を預けてくる

 

「ソファーに座った方が、気持ちいんじゃないのか?」

 

「ここがいい!」

 

娘に笑顔で言われては仕方ない、俺は大人しく椅子役に徹するのだった

 

「珍しいね、貴方がこれを見ようだなんて」

 

「それ見せるよかましだろ」

 

膝の上に座った娘の、邪魔にならないように、隣に座ったお母さんと小声へで話す。 俺が顎で示した方向を見て、驚くお母さん。 まぁ、あのディスクは俺やお母さんにとっては、ね

 

「まだ持ってたんだな」

 

「・・・・・・うん」

 

それっきり俯いて黙ってしまうお母さん、表情は見えないが、たぶん俺の想像している通りだろう。 まだ気にしてるのかコイツは

 

「たく......」

 

「あっ......」

 

頭を撫でると、こちらを向いているようだが、俺は目の前の画面に集中しているためわからない

 

「ほれ始まるみたいだぞ」

 

「うん」

 

さっきより幾分か元気の出た声に、俺はほっとしながら映像を見るのだった

 

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「すごかったね!私もママたちみたいに、あんなふうに派手な魔法撃てるかな!」

 

「頼むから、あんな砲撃飛び交う喧嘩とかはしないでくれよ?」

 

興奮冷めやらぬ、という感じで夕食を食べている娘に、心の底からお願いをする。 本当に娘にあんな風になられたら、死ねる。 主に、見せなかったディスクを見られたときに

 

「それってどういう意味かな?」

 

「イエ、ナンデモ」

 

お母さんの静かな怒気に、俺は口を噤んだ。 これ以上の失言は俺の命に直結する、そう思ったからだ。 夕食も終わり、娘がお風呂に入っている隙を見計らってか、お母さんが話しかけてくる

 

「ねぇ」

 

「ん?」

 

「貴方はさ、どう思ってるの、あの時のこと」

 

新聞から少し目を離し、お母さんの顔を見ると、思いつめたような顔をしていた。 また目線を新聞に戻し、ばれないように小さくため息をつく

 

「またその話か?」

 

「ごめん、でも気になって」

 

「昔のことだ、もう気にしてないさ」

 

「・・・・・・」

 

新聞を通して視線を感じる。 あの時のことは仕方のないこと、その一言で片付けられるはずなのだ、コイツ等は。 責任を感じるのは俺だけでいい、そのはずなのだが。 まぁ、こいつらも当時、いろんな奴らにあることないことふきこまれたからな、それで必要以上に責任感じてるだけだろうけど

 

「パパー、ママー、上がったよー」

 

ちょうどいいタイミングで娘がきたようだ、俺は新聞を置き立ち上がる

 

「それじゃあ、風呂入るかな」

 

「ママと一緒に入らないの?」

 

「そんなこと誰から聞いた」

 

思わず真顔で聞いてしまう。 お母さんは顔を赤くして、うつむいてしまった

 

「え、えっとー......」

 

まずいみたいな顔を見るにたぶんアイツだろう、こんなことを純粋な娘に吹き込むのは

 

「あいつは後でしめる」

 

そう誓いを立てながら、俺は風呂へと向かった

 

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「ふぅ......」

 

風呂につかり、考えるのは当時のこと。 やはりあのディスクが原因だろうか、こんなこと考えるのは。 そう思いながら思い出すのは当時のこと。 神のいたずらで、踏み台転生者として転生させられた、当時のことだ

 

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