俺、踏み台転生者にされました 作:サクサクフェイはや幻想入り
第百一話 密談?
「なのはのことをどうにかしなさいよ」
「話があるからついてこい、って言われてのこのこついてきたらそんな話だとは......」
そう言いながら、俺は出されていた紅茶を飲む。 事の発端は朝、アリサ・バニングスに放課後暇なら付き合ってほしい、ということだった。 まぁ、俺もこの歳で仕事している身だ、そこら辺を解ってこの誘い方なのだろうが。 今日は管理局のほうの仕事もなくOFFだったので、了承したのだが。 あれよあれよと家に招待されこの状態だ。 まぁ、月村すずかのように拉致されないだけましか。 当たり前のことだが、高町なのははこの場に居ない。 まぁ、そのことについて話しているのだから当たり前だ。 と言っても、月村すずか、はやてなどはいるのだが。 件の二人に視線を向ければ、にこにことこちらを見ているだけ。 もっとも、はやては普通にニコニコしているが、月村すずかの方は笑みが深く何を考えているかわからないが。 関係ないことは明後日の方に投げておくとして、紅茶を置きながら答える
「答えはNOだ。 言ったはずだ、もうお前らには積極的にかかわらないと」
「それとこれと話が別でしょ!この頃のなのはを見て、アンタは何も思わないわけ!?」
机に手をついて、こちらを睨みつけてくるアリサ・バニングス。 親友のことを原因の男に丸投げしようとしているくせに、何を言っているのやら。 そう思ったが、俺も同じようなものかとすぐに考え直す。 あの件、記憶を戻して以来高町なのはは暗くなってしまった。 俺に罪悪感を感じているというのもあるのだろうが、記憶を失っていたことが一番ショックだったのだろう。 俺は本人ではないし、それが当たっているとも限らないのだが。 ともかく、あの一件以来高町なのはは変わってしまった。 だが、どこか既視感を覚えるのは何故なのか
「まーまーアリサちゃん、一回落ち着こう?」
「・・・・・・」
依然こちらを睨みつけてくるアリサ・バニングスだが、はやての言葉に腰を下ろす。 それを確認して満足そうに頷き、こちらに話を振ってくるはやて
「まぁ、今のなのはちゃんを見て何を思うかは別として、理樹君のせいやろ、なのはちゃんの今の状況は? なら責任を持って解決するのは理樹君の仕事やと思うんやけど、どうや?」
「・・・・・・その通りだ」
ぐうの音も出ない正論だ。 すべては俺が引き起こしたものだ。 俺が解決するのが筋だ。 あの時、伸ばされた手を取っていれば結果は変わっていたかもしれないが、そんなものは後の祭りだ。 リリィの言っていた通り、逃げていたつけが回ってきたのだ
「それで、どうするつもりなんや?」
スプーンで紅茶を混ぜ、こちらを見つつ紅茶を飲むはやて。 どうすると言われても
「話すしかないだろう? 解決するかどうかは別として」
「まぁ、そうやろうな」
紅茶を静かに置き、その紅茶をじっと見ていたと思ったら、アリサ・バニングスと月村すずかに話しかけるはやて
「ま、こういうことになったみたいやけど、アリサちゃんとすずかちゃん的にはどうや?」
「私は!私は、前のなのはに戻ってくれるならそれでいいわよ...... 今のなのは、見てられないもの」
そう吐き出すアリサ・バニングスの顔は、どこか悔し気だった。 今の高町なのはを見かねて、話しかけたりはしていたアリサ・バニングスだが、その表情は一向に晴れることはなかった。 親友に対して何もできなかったからか、親友というか友達想いなアリサ・バニングスからしたらそれは悔しかっただろう。 しかもその原因に頼らなければならない、なんてことになったら
「私は...... そうだね、前のなのはちゃんに早く戻ってほしいかな」
相変わらず笑顔で表情は読めないが、それは早くしろということなのか。 その二人の答えに、はやてはもう一度満足気にうなづくと、真剣な表情でこちらを向く
「まぁ、理樹君的にはこれまでずっと触れずにいた問題や、今更触れるのにはためらっているんやろうけど、逃げるのだけは許さへんからな?」
「・・・・・・わかってる、分かってるさ」
「ならええわ。 それに、この問題を片付けなきゃ真の解決なんて言えないやろうしな」
「・・・・・・」
真剣な表情でこちらを見られ、思わず目をそらしてしまった。 わかったようなことを...... そう悪態をつきたかったが、ぐっとこらえる。 実際、はやての言っていることは正しい。 ずっと逃げていたのだ、いい加減向き合わねばならない時が来た、それだけの話だ。 そう思って席を立つ
「神木?」
「話は終わっただろう? 帰らせてもらう」
かばんを持ち上げ、はやてたちに背を向ける。 何も言ってこないところを見ると、帰っても問題ないようだ。 それにしても、逃げずに向き合う、か。 アリサ・バニングスのうちを出ながら、考える。 どちらにしろ、先送りにしていた問題が今このタイミングで持ち上がっただけだ。 どういう形であれ、高町なのはとはちゃんと向き合わねばならない。 覚悟がなかったのは、俺のほうなのかもしれないな。 記憶を取り戻す薬を渡した時、俺は高町なのはに問うたけど、向き合う覚悟がなかったのは俺のほうだったのかもしれない。 そう考えると自嘲する、いまさら何をと。 どちらにしろ、ちゃんと向き合わなければならない。 はやてが言ったように、これを解決しなきゃ真の解決とは言えないだろうから