俺、踏み台転生者にされました   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第百三話Ⅱ

アレから数日たち、乗ってきた輸送艇から茶色い空を眺める日課が続いていた。 ここ数日分かったことと言えば、食事をとらなくていいことと自傷行為が全く意味がないということだ。 これも不死身の恩恵、ということだろう。 首を切ろうと刃を当てても、傷すらつかないし、王の財宝から自分に向けて剣を射出しても貫通はしても血も痛みもなく傷口すらない。 ただ、戦闘時にできたかすり傷、それだけは血がにじんでいた。 不死身とは言っていたが、細かい条件があるのか。 わかったのはそれくらいだ。 細かい条件など確かめる気にもならず、俺は輸送艇から空を眺める作業が続いていた。 輸送艇だが、燃料切れだった。 大方、受取人の輸送艇に乗って帰還するか、処理されるかのどっちかだったのだろうが

 

「・・・・・・」

 

静かだ。 探索もしていないのでこの星に生物がいるのかどうかすら知らないが、静かである。 このまま静かにずっと過ごせないかとも思うが、そうもいかないのだろう。 ここ数日感じなかった気配と、足音が聞こえる

 

「神木!」

 

「クロノか......」

 

来たのは予想通りというかなんというか、クロノだった。 息を切らしているところを見ると、相当駆けずり回ったようだった。 それにしても、公式の記録は知らないが俺は事故扱いで行方不明だったはずだ、どうやってここを探し当てたのか?

 

「無事だったのか...... 良かった」

 

「まぁ、数日食事をしていないのが無事に入るならな」

 

「あぁ、いや済まない。 思ったよりも元気そうで安心してな」

 

「別に分かっているさ」

 

クロノの手を借りて、立ち上がる。 数日間ずっと同じ姿勢だったせいか体がバキバキだが、動かすのに特に問題はないようだ。 そんな俺を注意深く見るクロノ。 俺はそれを気にせずに、話しかける

 

「それで、どうしてここが分かったんだ? 事故扱いで、行方不明と聞いたが」

 

「あぁ、そうだが。 君の家族が、まだ生きていると...... いや待て、どうして君が自分のことを、()()()()で処理されたのを知っている? この輸送艇だって、見たところ動きそうにない。 エンジンがかかるかだって定かじゃないのに。 それに、たとえ動いたとして、何かしらを調べようとすれば、こちらで分かっていたはずだ」

 

俺のことを訝し気に見るクロノ。 ふむ...... 今のことから察するに、やはりクロノたちはこの件にはかかわっていないようだ。 いやまぁ、どうでもいいことなのか、それも。 ともかく、俺の生存はサーヴァント達が、か。 パスがつながっているから、生きているのが分かったのだろう。 でもわかるのはそこまで。 とすると、輸送艇の直前の行動を洗って、目星をつけたというところか。 考察はこのくらいにして、クロノの質問に答えないとな

 

「あぁ、俺を運んだ奴から聞いた」

 

「・・・・・・その人たちは?」

 

「ん? あぁ、殺したよ?」

 

「神木、君は...... いや、いい...... 君も空腹やこれまでの疲れもあるだろう、行こう」

 

俺の答えを聞いた瞬間クロノは目を見開いたが、怒るわけでもなく悲しそうに頭を振って俺に背を向ける。 クロノが何を考えているかはわからないが、俺はクロノの後をついて行く

 

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俺は、アースラに極秘に戻された。 流石に俺の件は公にできるはずがない。 局事態では、俺は事故で行方不明扱い。 どこに墜落したのか、またどんな危険性があるかわからないので捜索隊すら出されていないらしい。 そんな中でも、クロノはサーヴァント達の言葉を信じ、俺を探していたそうだ。 今回の件はリンディ提督は許可を出していないらしく、それについて呼び出しを食らっている。 数週間ぶりに訪れたクロノの執務室は、相変わらず綺麗だった。 まぁ、机の上に報告書やらなんやらが載ってはいるが。 そんなクロノの執務室で、俺は数日ぶりにサーヴァント達と再会していた。 まぁ、空気は重いが。 クロノが部屋を出て行く前に俺が腹が減っているだろうということで大量の料理を置いていったが、俺は一口二口しか手を付けていない。 腹も減らないのだ、最早食事する意味もない。 このまま沈黙していてもらちが明かないので、俺から喋ることにする

 

「この前は、すまなかった。 どうも、冷静さを欠いていたみたいだ。 お前たちにあんなことを言うなんて、すまない。 自分のことなのに他人のせいにして、本当にしょうもないな」

 

「マスター殿、それは違います!止めなかった我々も!」

 

「よしてくれハサン。 結局、これは俺自身の責任なんだ。 お前たちにそれを被せる気はない」

 

「違いますマスター、私たちにも!」

 

「・・・・・・」

 

「リリィさん?」

 

同じ問答が繰り返されると思ったが、それを止めたのはリリィだった。 驚いてリリィを見るマシュだが、リリィは俯いていてその表情を見ることができない。 俺はそれに構わず、続ける

 

「それと今回の事は助かった。 あのままだったら、野垂れ死にしてただろうからな」

 

「・・・・・・嘘、ですよね」

 

発言した玉藻の方を見れば俯いていたため表情は分からないが、じゃたは小刻みに震え握りしめた手には水滴がついていた

 

「うそ、ですよねマスター。 私には、分かります...... マスターには、何かしらの呪術、かかってますよね? それが何か、までは分かりませんけど」

 

「・・・・・・」

 

流石というか、なんというか。 考えても見れば、呪いをかけたのは玉藻の大本。 常人にはわからなくてもサーヴァントだし、それに自分の大本がかけたものだ、分かりもするか。 まぁ、分かったところでどうしようもないんだけどな、この呪いは

 

「マスター?」

 

「マスター殿?」

 

マシュは心配そうに俺を見てくる。 ハサンも、なんとなく心配そうに見ているのは分かる。 だが、俺は答えない。 それどころか

 

「・・・・・・話は終わりだ、俺から話すことはもうない。 料理も食べるなら食べてくれ」

 

「マスター!」

 

俺がそう言い切ると、リリィが顔を跳ね上げる。 だが、その瞳は涙にぬれていた

 

「なんで、なんであなたはそうやって一人で抱え込もうとするのですか!私たちはそんなに頼りありませんか!? 家族じゃないんですか!?」

 

こちらを睨みつける勢いで見るリリィ。 その言葉に俺は、()()感じなかった。 あぁ、これはいよいよだな......

 

「・・・・・・すまん」

 

それだけしか言えず、気が付けば俺は一人だった

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