俺、踏み台転生者にされました   作:サクサクフェイはや幻想入り

22 / 111
今回は胸糞悪いというか、フェイトちゃんファンは注意です! 人によってはと言うか、大多数は嫌なんじゃないかなぁ......と思うのですが、いかんせん物語には重要なことなのです、広い心でお読みください


第二十一話 clown and puppeteer

次元震を起こした翌日、俺は学校にも行かずとある場所にタマモとともに来ていた。 時の庭園、フェイト・テスタロッサの母親であるプレシア・テスタロッサがいる場所だ。 何故俺が時の庭園の場所を知っているかと言えば、ハサンにフェイト・テスタロッサを監視させていたからだ。 高町なのはの監視と並行して、監視してもらっていたからだ。 監視させていたといっても、高町なのはが学校行っている間は監視の必要がないので、ハサンが独断で監視をしていただけなのだが。 それが今日の朝実を結んだ。 本来なら学校に行くはずの俺だったのだが、昨日の件でお叱りを受けているうちに時計の針は天辺を超えており、そのまま爆睡しているところにハサンからの念話が入ったのだが。 そしてなぜタマモと一緒に来たのかと言われれば、タマモの宝具が関係するからだ。 水天日光天照八野鎮石、タマモの持つ宝具なのだが魂と生命力を活性化させる効果を持つらしい。 今は一尾だが本来は九尾の狐であり、その力を全開放すれば死者すら蘇らすことができる。 俺もタマモも使いたくはないが、目的のためには仕方ないとタマモを説得、しぶしぶだが許可は取れた。 話はそれたが、俺はある場所を目指して歩いているわけなのだが

 

「迷った......」

 

「だから私は言ったんですよマスター、ペイルの読み込みが終わるまで待ちましょうって」

 

隣のタマモが呆れながら言ってくる。 確かにペイルには内部のスキャン、誤魔化すための映像の加工などをやってもらってはいるが、そのスキャンが長すぎるのだ。 ペイルがいくら高性能だと言っても、こんな広い空間の内部のスキャンが早く終わるはずもなく、数時間かかると言われたので、待ってられないと言わんばかりに歩いているのだが、迷った

 

「ペイル、どんな感じだ?」

 

「最低限のスキャンは終わらせましたので、アリシア・テスタロッサまでのナビゲートを開始します」

 

「流石ペイルですね。 ささマスター、行きましょう」

 

なぜか案内役はペイルなのにタマモに手を引かれ、俺はまた歩き出す。 俺のこの数十分間はなんだったのか、と思うぐらいあっさりついた。 俺は落ち込んでいたのだが、タマモもペイルも気にせずロックを解除していた。 酷くない? 俺のそんな内心は知らずに無情にも開く扉、せっかくペイルがロックを解除したのだから中に入ると、予想通りの光景が

 

「これが......」

 

「はい、プレシア・テスタロッサの娘、アリシア・テスタロッサ本人の死体です」

 

アリシア・テスタロッサ、プレシア・テスタロッサの狂った原因にして、フェイト・テスタロッサの大本。 数十年前に起こった事故の被害者だったか? プレシア・テスタロッサがジュエルシードを集めているのも、すべてこの子を蘇らすため

 

「タマモ、どうだ?」

 

「完全に死んでいますね。 ですが私の力を使えば可能です」

 

「そうか」

 

踏み台ポイントのためとはいえ、人の思いやその目的まで利用するなんて、俺も落ちるところまで落ちたな

 

「マスター」

 

「どうしたタマモ?」

 

なぜかタマモにいきなり抱きしめられる。 いつものようなふざけた感じではなく、俺を心配したように

 

「無理は、しないでください。 いやなら「それは出来ない」っ!?」

 

タマモの言わんとしていることがわかると、俺はその言葉を遮るようにして言葉をかぶせる。 タマモの言わんとしていることはわかる、でも引き返すにはもう遅すぎるのだ。 ならば俺はタマモたちサーヴァント、いや家族を心配させないように道化を演じ続けなければならない。 それにもう少しでポイントはたまるわけだ、この生活もあと少しなのだ、そうすれば...... 俺は、抱きついているタマモをやんわりと離し、頭をなでる

 

「大丈夫だタマモ。 もう少しなんだ、だから力を貸してくれ」

 

「っ......マスターは!マスターは、ずるいです」

 

泣きそうになるのをこらえながらタマモは頷いてくれた。 俺はそれに感謝しながらも、心の中で謝る

 

「ペイル」

 

「プレシア・テスタロッサの位置の特定、およびフェイト・テスタロッサの位置の特定は済んでおります」

 

「そうか、案内頼む」

 

「了解しましたマスター」

 

「行くぞタマモ」

 

「・・・・・・はい」

 

タマモは霊体化して姿を消してもらい、俺は時の庭園を歩く。 これからする最低なことの覚悟を決めながら。 とある扉の前、中からの気配は三人。 どうやら役者はそろってるようだ、なら俺は...... 目の前の扉を開け、中に入る

 

「「っ」」

 

中に入ると注がれる視線、敵意、困惑など俺に対してあまりいい視線ではない。 俺は部屋を見回しある一点で視線を固定する。 アルフに抱きかかえられているフェイト・テスタロッサだ。 俺はすぐに視線をそらし、もう一人の方を見る。 プレシア・テスタロッサだ

 

「貴方は、誰なの?」

 

「我が誰なんていうのはどうでもよかろう? 人形遣いよ?」

 

「・・・・・・」

 

目がより一層細くなる。 その目は敵意なんて生易しいものではなく、憎悪だ。 問答無用で攻撃ではなく、一応話は聞いてくれるようだ。 と言っても、俺が変なことを言えば容赦なく攻撃するんだろうが。 アルフは状況についていけず、呆然としていた

 

「人形をいじめるのにも飽きたか人形遣い」

 

「何を、言ってるのかしら?」

 

「うん? ついに病気が頭にまで回ったか? 一から十まで言わなければわからないとは、それでも過去の大魔導士か? 聞いて呆れる」

 

俺が両手を上げ仰々しく言うと、額に血管が浮かぶ。 ある意味挑発は成功してるみたいだが、これ交渉まで移行できるかが心配だ。 それにあの結界も試したことがあるわけでもないので、そちらも心配だ。 タマモが言うにはそんなに長くはもたないが、大丈夫らしいが......結局いつもの出たとこ勝負、と言うわけだ

 

「まぁよい。 わからないなら言ってやろう、我に感謝するといい!人形とはそこの「黙りなさい!!」うおっ!?」

 

フェイト・テスタロッサを指さそうとして、それはプレシアの放った魔法によって阻まれる。 俺はこけたふりをして、その雷撃を避ける

 

「アルフ、フェイトを連れて下がりなさい」

 

「・・・・・・わかったよ」

 

会話の内容も気になるのだろうが、フェイト・テスタロッサが最優先なのかプレシア・テスタロッサをにらみながら部屋から退室するアルフ。 まぁ一応、第一段階はクリアだ。 問題は、魔法陣を展開して魔力を放っているプレシア・テスタロッサをどう止めるかだ

 

『タマモ、例の結界を頼む』

 

『効果は大丈夫だと思いますが、長いこと展開していれば不審に思うかもしれません、なるべく早めにお願いします』

 

『わかった』

 

タマモが結界を展開してのを確認して、俺はペイルを構える

 

「ペイルライダー、セットアップ」

 

「セットアップ」

 

展開される金色の鎧。 まぶしくて動きづらくて嫌なのだが、攻撃されたらたまったものではないので一応展開しておく。 明らかに警戒を強めるプレシア・テスタロッサ、このまま無言で見合っていても埒が明かないし、時間は有限なのだ話しかけることにする

 

「プレシア・テスタロッサさん、さっきまでの非礼はお詫びします、ですのでまずは魔力の放出をやめてほしいのですが」

 

「どういうつもりなのかしら? いきなりそんな礼儀正しい態度をとっても、怪しいだけよ?」

 

にやりと笑うプレシア・テスタロッサだが、俺もその通りだと思うのでツッコミ入れないでおく。 もともと英雄王みたいな我様けいではないし。 時間もないので簡潔に要件を告げる

 

「こちらも時間がないので簡潔に要件を。 自分にはアリシア・テスタロッサを蘇らせることが出来ます」

 

「待ちなさい!蘇らせるなんてどうやって、それよりもアリシアのことをどこで知ったの!!ごふっ!?」

 

魔力を多く放出しすぎたせいか、プレシア・テスタロッサは喀血していた。 おかげで魔力の放出は止まったし、いいのはいいのだが、流石にこの状況はまずいだろう。 だが今はこのままにしておく、この後の交渉材料でもあるのだ

 

「こちらには時間がありません、余計な詮索は無しにしてもらいたい。 ジュエルシードのような不確定なものに頼らずとも、自分が蘇生しますがどうしますか? そちらにとってはメリットがありすぎると思いますが?」

 

「・・・・・・何が、目的なの?」

 

アリシア・テスタロッサが蘇る、そのことにつられてどうやら話は聞いてく入れるようだ。 ならここから畳み掛けていくだけだ

 

「目的、ですか? 特にないですよ? しいていうなら、ね......」

 

言葉を濁しておく。 ただ未来を知っていて、自分の目的のためにあえて未来を変えなかったのだ、その罪滅ぼしくらいの気持ちしかない。 それはここで言う必要はないし、教える必要もないのだ。 プレシア・テスタロッサはこちらを疑っているようだが、徐々に乗り気に見える

 

「ただそうですね、蘇らせるにあたって聞きたいことが一つあります。 貴女はフェイト・テスタロッサをどう思っているのですか?」

 

「・・・・・・」

 

「彼女は貴女の娘のクローン体だ、愛情を持って接しているのかと思えばああいうふうに鞭で打っている。 なのにもかかわらず廃棄処分などにしない。 クローン体が生きているといっても廃棄処分など貴女の意志でいくらでもできるはずだ、それを何故しないのですか?」

 

黙り込むプレシア・テスタロッサに問いかける。 ずっと気になっていたのだ、刻まれた記憶を見ながら。 失敗作、愛情を注いでいなかったなどいいながらなぜ廃棄しなかったのか。 プレシア・テスタロッサの性格上いくらでも出来たはずだ。 体がいうこと利かないなど昔からだろうし、製作に時間がかかるのもあるかもしれない、でもあの様子だとまるで

 

「まるで貴女はわざと「えぇ、わざとあの子を遠ざけていたわ」

 

疲れたように俯き語りだすプレシア・テスタロッサ。 俺はその話に耳を傾けた

 

「貴方の言う通り、廃棄しようとすればいくらでもあの子を廃棄する機会はあったわ。 でも、出来なかった。 最初のころは、様子を見よう、そのうちにアリシアになるかもしれない、なんて淡い希望をしていたの、でもそうなることはなかった。 私は絶望したわ、そうしてクローン技術の方からは手を引き、アリシアを蘇らせることにした。 ちょうどそのころからかしら、アルハザードについて調べ始めたのも。 そしてアルハザードにわたるためには、高濃度の魔力の結晶体が必要なこともわかった。 そこで魔導士を育てようと思ったのよ、それがフェイト。 リニスを作り出し、一流の魔導士に育て上げることを目的にして。 日々フェイトの成長を聞くたびに私の胸には懐かしい感情が蘇った。 でもそれを見ないふりをしていたわ、だって......」

 

言葉を詰まらせるプレシア・テスタロッサに俺は、その続きの言葉を紡ぐ

 

「褒めてあげたかったんでしょう? フェイト・テスタロッサを。 でもそれをすればアリシア・テスタロッサを忘れてしまうような気がしたから、だから出来なかった」

 

「そうよ......本当に何がしたかったのかしら私は......アリシアを蘇らすと誓って頑張ってきたのに、フェイトが頑張った途端そっちに行ってしまうなんて......」

 

ふとプレシアさんの表情を見てみると、泣き笑いのような疲れたような表情をしていた。 だからだろうか、無意識のうちに言葉が出たのは

 

「・・・・・・後悔してるならやり直せばいい、貴女にはまだ家族がいるのだから」

 

「でもアリシアは! それにフェイトにも酷いことを!」

 

「そんなものやり直せばいいだろ!!アンタにはまだ家族がいる、アリシアは俺が蘇らせてやる!アンタの病気だって俺が治してやる!後悔してるんだろ!? まだ家族がいるんだ、やり直せるに決まってる!!」

 

「貴方、まさか」

 

「そうだよ、俺にはもう元の家族がいない...... でも、あんたは違う。 確かにリニスさんは失ってしまったのかもしれない、でもアリシアは蘇らせられるし、フェイトはまだいる、それにアルフだって。 間違えたってわかってるんだったら、そこからやり直せばいい。 最初はぎこちなくても、ちゃんとやり直せるんだから」

 

「・・・・・・」

 

お互いに無言の時間が過ぎる。 だが俺には言い忘れたことがあるので付け足しておく

 

「確かに俺にはもう元の家族はいない。 でも、新しい家族は出来た。 最初はぎこちなかったけど、今は大切な家族だ」

 

「・・・・・・そう」

 

天井を見上げたプレシア・テスタロッサ、多分俺の話を受けるか受けないか考えているのだろう。 俺はそれを静かに待つ。 それから数分後、こちらを向いたプレシア・テスタロッサは覚悟が決まったのか、強い意志を持った目をこちらに向ける

 

「お願いするわ、アリシアを蘇らせて」

 

「わかった、と言いたいところなのだが条件がある」

 

「条件?」

 

眉をひそめるプレシア、まさかここまで来て条件の話が出るとは思わなかったのだろう、だが簡単に行くはずもないのだ

 

「一つはこのままジュエルシードは集め続けてほしい、フェイト・テスタロッサへの態度は多少軟化させても構わないが、そのままでな。 そしてもう一つはこれにサインをしてほしい」

 

「これは?」

 

俺が渡したのはセルフギアススクロール。 なぜか王の財宝の中に入っていたのだが、ちょうどいいと思い使ったのだ。 内容はアリシア・テスタロッサを蘇らせる条件でプレシア・テスタロッサは今回の取引の内容、それ以外にも取引に関係する内容を誰にも喋ることが出来ないというものだ。 まぁ、俺の方は内容をつけたしてもし蘇らせるのに失敗した場合、自害するという内容も付け足しているのだが。 もちろん誰にもばれないようにすごく小さな文字で書いた。 苦労したけど

 

「セルフギアススクロール。 決して違約不可能な取り決めをする時に使用される、最も容赦ない呪術契約の一つだ。 契約が完了すればいかなる解呪魔法でも解除できない、呪いだ」

 

「そんなものを使ってまでするの?」

 

「俺の覚悟の表れだ。 サインしない限り今回の取引は無しだ」

 

「・・・・・・いいわ。 条件は飲むわ」

 

「契約成立だ」

 

プレシアがサインしたセルフギアススクロール受け取り、丸める。 そして俺は、思い出したように王の財宝から霊薬を取り出しプレシア・テスタロッサに放り投げる

 

「これは?」

 

「プレシアさんを治す薬です。 俺が帰ってから飲んでください」

 

『タマモ結界の解除を』

 

『了解ですマスター』

 

プレシア・テスタロッサが薬をしまうのと同時に、タマモに指示を出し結界を解除する。 俺もバリアジャケットである金色の鎧を解除するのを忘れない。 その時ちょうど回復がし終わったのか、フェイト・テスタロッサとアルフが部屋に入ってきた

 

「母さん!」

 

「フェイト!」

 

「「・・・・・・」」

 

俺の方をちらりと見るプレシアさんに俺は肩をすくめ歩きはじめる

 

「私は少し休むわフェイト。 その少年は放っておきなさい」

 

「クックック......」

 

俺は笑いながらその場を後にする。 その俺の様子とプレシアさんの様子をおかしく思ったのだろう、フェイト・テスタロッサが詰め寄ってくる

 

「母さんに何をした!!」

 

「さてな? ただ契約をしたとだけ言っておこう。 解除不能な契約をな」

 

そう言ってセルフギアススクロールを見せ転送を開始する

 

「ではな」

 

「待て!!」

 

目の前は閃光に包まれ、目を開ければそこは家のリビング、俺は肩の力を抜く

 

「はぁー......」

 

「お疲れ様でしたマスター」

 

タマモがねぎらってくれるが、今の俺はそれどころじゃなかった。 人の思いを踏みにじり、契約をしてしまったことに自己嫌悪をしていた。 だがそんなことも俺には許されない。 あの時、踏み台として生きることを決めた時から、俺は前に進むしかないのだから

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。