俺、踏み台転生者にされました 作:サクサクフェイはや幻想入り
~フェイト視点~
封印したはずのジュエルシードが大量の魔力を放出した出来事があった次の日、私はアルフと一緒に朝から活動拠点であるマンションの屋上に出ていた。 本当は部屋でもいいのだけど、何かあっても嫌だから屋上に出てきているんだけど。 今日は母さんに成果報告のためにいったん帰るのだけど、アルフはどうも乗り気じゃないみたい。 元々アルフは母さんとの仲はお世辞にはいいとは言えない、でも私は二人に仲良くしてほしい、そう思ってる。 そのためには私が早くジュエルシードを集めて、昔の母さんに戻ればきっとアルフも......
「あの人がこれで喜ぶのかねぇ......」
私が思考の渦にはまってると、いつの間にか近づいてきていたアルフは私が持っていた箱を持っていた。 中に入っているのはケーキで、せっかくあそこに帰るのに手ぶらで帰るのもどうかと思って、前に買っておいたのだけど。 正直言って、アルフが言うように母さんが喜ぶかわからないけど
「こういうのは気持ちだと思うから、ね?」
「・・・・・・」
アルフは難しい顔をしていたけど、あまり母さんを待たせるわけにもいかないし、転送を開始することにする。 細かい座標を唱え、場所を
「開け誘いの扉。 時の庭園、テスタロッサの主のもとへ」
閃光に包まれそっと目を閉じる。 ゆっくり目を開けると、数日? 数週間ぶり? なのに懐かしく感じる風景が。 そのまま道を進み、大きな扉の前に
「アルフはここで待ってて」
「わかってるけどさぁ、大丈夫かいフェイト?」
「母さんと会うだけだから大丈夫だよアルフ」
少し背伸びをして心配性なアルフの頭をなで、手に持っていたケーキの箱を受け取る。 ノックをして返事を待つけど、いくら待っても返事がない。 不思議に思って扉を少し開けるけど、中には誰もいなかった。 なので先に中に入り、中央の椅子の近くにあるテーブルに買ってきたケーキを置いておく。 ほどなくして、母さんはきたみたいだ
「フェイト、ジュエルシードの方はどうかしら」
「四つ集まりました」
母さんの方を見てそう言ったのだけど、途端に母さんの目の色が変わる。 そして母さんの持つ杖は変化し、その形状を鞭に変える。 その瞬間私は悟った、今回も母さんを失望させてしまったのだと、今回も期待をお裏切ってしまったのだと。 だからこれから行われる行為も、仕方ないのだと
「っ!!」
「くっ!」
母さんは鞭を振るい、振るわれた鞭は私を傷つける。 これは私がいけないから、母さんを落胆させてばかりの私に相応しい罰なのだと。 どのくらいの時間が経っただろうか、母さんは私に鞭を振るうのをやめ、同時に拘束も解かれる。 私はもうろうとする意識の中、立ち上がろうとする。 母さんにこんな姿見せたらまた落胆されるから。 これ以上落胆させるわけにはいかないから
「フェイト!」
遠くからアルフの声が聞こえる。 待っててって言ったのに、私のせいでごめんねアルフ。 心配かけてごめんね。 私が薄れる意識の中最後に聞いたのは
「貴方は、誰なの?」
「我が誰なんていうのはどうでもよかろう? 人形遣いよ?」
あの変な子の声だった
------
「・・・・・・ここは?」
「目が覚めたんだね!よかったよフェイト」
私が目を覚ますとさっきの居た部屋のすぐ近くの部屋だろうか、ベッドに寝かされていた。 アルフが私が目が覚めたことがわかって抱きついてきたんだけど、少し苦しい。 腕を二、三回たたくとすぐに離してくれた
「ごめんねフェイト、でも短い間とはいえ気を失ってたんだ心配にもなるさ」
「ううん、ありがとうアルフ。 でも気を失ってたってどのくらい?」
「数分てとこかな」
質問をしてすぐに答えてくれるアルフに感謝しつつ、私はその数分前のことを思い出す。 確か母さんとの話が終わる直前に私は気を失いそうになって、それで.......それでそうだ!あの変な子が!
「アルフ、あの変な子は!」
「あの変なガキンチョならプレシアと話してるよ。 フェイトが気を失った後、なんかプレシアの逆鱗に触れるようなことを言ったみたいでね。 攻撃されてたけど間一髪で避けてたよ。 それで私とフェイトはプレシアから部屋から出るように言われてね、この状況ってわけ」
「そう、なんだ」
どうしてここがばれたとかの疑問はあるけど、今は母さんのもとに向かうのが先だ。 急いでベッドから出て、立ち上がる
「そんなに焦らなくても大丈夫だと思うけどね。 よくて半殺し、あの様子だともう終わってることもあり得るだろうし」
「それでも母さんが心配だから、行こうアルフ」
私がその部屋から出て走り始めると、アルフも渋々ついてきてくれた。 幸いそんなに遠い部屋じゃなかったのか、すぐに目的の部屋の前に着く。 軽く深呼吸をして扉を開ける
「母さん!」
「フェイト!」
「「・・・・・・」」
私が中に入ると、二人は無言でこちらを見ていた。 母さんは一瞬変な子の方を見ていたが、変な子は肩をすくめ歩きはじめた
「私は少し休むわフェイト。 その少年は放っておきなさい」
「クックック......」
変な子は私を見ずに笑いながら私の横を通り過ぎて行ったけど、私は母さんに違和感を感じる。 母さんが侵入者を放っておくはずない、それも私やあの二人よりも弱いこの子を。 母さんに何かしたのかもしれない、そう思うと居てもたってもいられず変な子に詰め寄る
「母さんに何をした!!」
「さてな? ただ契約をしたとだけ言っておこう。 解除不能な契約をな」
そう言って変な巻物のようなものを見せてくる。 意味が分からない。 解除不可能な契約? そんなものをこの子が? できるはずがない、出来るはずがないのに、なぜかできている確信があった
「ではな」
「待て!!」
問い詰めようと近寄るのだが、転送は始まってしまい逃がしてしまう。 すぐに追おうとしたけど、バルディッシュも追跡不可能なようだった
「なんだったんだいあのガキンチョ」
「わからない、わからないけど母さんに何かしたのは間違いない」
「あのプレシアにかい? 私には信じられないけど......」
アルフは少し驚いて、信じられないようなものを見てる感じだけど、私には何かをした確信だけはあった
「とりあえず戻ろうフェイト。 プレシアにも報告は終わったんだし」
「・・・・・・うん」
釈然としないまま、私たちは地球に戻ることにした