俺、踏み台転生者にされました 作:サクサクフェイはや幻想入り
2018.5.23 誤字の方修正しました。 報告ありがとうございます
執務官が高町なのは達を送っている間、俺は艦長と二人きりだったが特に話をすることなくお茶を飲んでいた。 何故残されたかわからないが、俺一人だけと言うのが気になった。 あれこれ考えてみるが、結局この後話があるので静かに待つことにした。 若干の居辛さはあるが、目の前の光景を視界に入れないようにすれば気が楽だった。 あのお茶、そもそもお茶と呼べるような代物なのかさえ気になるところなのだが、それを幸せそうな表情で飲んでいる艦長を見なければ
「すみません、お待たせしました艦長」
「いえ、大丈夫よクロノ。 理樹さんも大丈夫よね?」
「・・・・・・」
無言でうなずいておく。 さっきと同じように執務官が艦長の横に座ると、艦長は姿勢をただしこちらを真剣な表情で見る
「貴方に残ってもらったのは他でもないわ、あなたのレアスキルについて」
「レアスキル? なんの話だ?」
とりあえずとぼけてみた。 レアスキルと言うのは、間違いなく王の財宝のことだろう。 今回も使っているし、次元震を観測したのなら、その前後を監視しているはずなので、使ったところを見ていてもおかしくない。 一応地球出身だ、そんなことを知っていてはおかしいのですっとぼけているのだが、どう出るか
「レアスキルと言うのは文字どおりの意味で、希少なスキルのことだ。 君が射出した剣や斧、そのほかにも射出しているがそれはレアスキルだろう?」
やはりばれているようだ。 ならシラを切る必要はない、俺は頷いて肯定する
「やはりそうなのね...... あの射出された剣自体がレアスキルなのかしら?」
「それを語る必要はないであろう? いくらこれから協力関係にあると言っても、自分から手の内を語る必要はあるまい?」
挑発するように笑みを浮かべるが、それに乗ってくることはなく目の前の二人は冷静だ。 流石執務官と艦長職と言ったところか、腹芸は得意らしい。 だが今更態度を改める気もないので、このまま話し合いを続ける
「協力関係だからこそ、ある程度の手の内を明かすことも必要だと思うが?」
「それも確かに一理あるが、あったばかりの人間をすぐに信用するなど馬鹿のやることだ」
「・・・・・・この話はいったんおいておきましょう。 次の話なのだけど、次元震の時の話よ」
「・・・・・・嫁たちに我の勇姿を見せた時の話か」
「・・・・・・」
一瞬反応が遅れたが、不審には思われなかったようだ。 勇姿と言ったところで執務官には睨まれているが、何か言ってくることはない。 予想通りと言えば予想通りだ、次元震の時のことが聞かれるのは。 さて、どう質問してくるか。 頭の中で質問の内容や答えを用意しつつ、相手の出方を見る
「勇姿、と言うよりも無謀よ。 バリアジャケットを着用せず、あの魔力に突っ込んでいったんだもの。 いくら前準備で魔力を放出させても、微々たるものでしかないのだもの」
「何を言っているのだ? 魔力の放出? 我はそんなものはしていないぞ? 我がやったのは、剣を射出して嫁の視線を我に向けただけぞ?」
「あの剣を僕たちが解析していないわけがないだろう。 流石に材質や能力などはわからなかったが、ただ一つ分かったのは、あの剣に魔力を放出させる力があったことだ。 実際、あの剣が近くにないときとある時では、ジュエルシードに内包された魔力に違いがあった」
「偶然であろう? 我にそんな意図はない」
ばれている。 俺が宝具の原点を選んで射出していることが。 苦しい言い訳なのはわかるが、ここでばれるわけにはいかない。 踏み台のポイントは十分集まっているとはいえ、まだ必要だ。 こんなところで躓くわけにはいかない
「偶然? 刺さった数本の剣が全部同じ反応を示しているのにか!」
「クロノ、落ち着きなさい。 偶然、と言い張るなら偶然でもいいです。 では次に、貴方はジュエルシードを素手でつかみ吹き飛ばされました。 なのになんであんなに怪我が少なかったのかしら?」
「・・・・・・」
あくまで冷静な艦長。 やはりばれていたようだ。 あのまま素直に吹き飛ばされて、怪我を負うべきだっただろうか? 今考えても仕方のないことだが、考えてしまう
「反論、あるかしら」
「・・・・・・我の体は頑丈だからな、あの程度の怪我で済んだのだ」
「まだ言うのか!? ならば言ってやる! ジュエルシードを彼らから引き渡してもらうとき、一緒に封印の様子をデータとして貰った。 君はふざけているようだが、被害が拡大しないように気を使って戦闘していただろう!! たとえば神社の時だ!」
俺の襟首をつかみながら、怒る執務官。 どうやら、すべてわかっていたらしい。 それでこの話し合いを設けたなら、最高のタヌキだあの艦長。 俺はあの結界を張り、執務官の話を遮る
「わかった、もういい」
「なにがいいんだ!」
「話すさ、すべて」
「クロノ座りなさい。 それで、話って何かしら?」
「その前に一言、この狸め」
「褒め言葉として受け取っておくわ」
俺の皮肉の利いた一言にも、笑顔で返す艦。 ホントいい性格してる
「それで、何から聞きたいんですか?」
「まずはレアスキルについてかしら? アレは、なんなの?」
「簡単に言えば、異次元に収納してある武器を自由自在に収納、射出できるスキル、でしょうか?」
「あの金色の波紋が門みたいな役割、と言うことでいいのかしら?」
「そういうことになります」
それを聞いて、納得したような難しい顔をしていた。 王の財宝についてはこんなものだと思う。 詳しく説明しろって言われれば、面倒だし、それに長くなる
「一応それで納得しておきましょう」
「なら次の質問だ。 次元震の時に使った剣だが、アレはどういうものなんだ?」
「さっきも言った通り、周りの魔力を放出させるものだ。 ジュエルシードの周りに刺さってるすべてのものが、その効果が付与してあるものだ」
「それ以外にもある、と言うわけね?」
「基本はさっき言ったレアスキルの中に収納されている武器ですからね、効果はいろいろありますよ?」
それを聞いて一気に顔を引きつらせる執務官、そこまでとは思っていなかったらしい。 と言っても、今の俺じゃあ全部使いこなせないし、そもそも機能ロックがかかっているから、高位の宝具は使えない。 王の財宝単体で見れば初見殺しは出来るだろうけど、二回目からは対策されると思う。 俺も結構長く使ってるから調整は出来るけど、それでも達人級と当たれば微妙なところだ
「レアスキルについてはわかりました。 では最後に、貴方の目的は何?」
「・・・・・・」
目的、目的か。 この人たちが信頼できるかと言われれば、答えはYesだ。 原作の記憶から見ても主人公たちとは長い付き合いだし、好感ももてる。 でも、俺の目的を話してしまっていいのだろうか? 内心葛藤していると、話せないことと勘違いしたのか執務官が詰め寄ってくる
「彼らは気がついていないようだが、君は毎回登場するタイミングが良すぎるんだ! 次元震の時や今回の時も、近くで見ててなぜ助けないんだ。 すぐに助けていれば勘違いも......」
「それは違う」
執務官の言葉を遮り、俺は話し始める。 どうやらこの執務官は、こんなどうしようもない俺のことまで気にかけてくれているらしい。 それが執務官からくる義務感なのか、元々の性格なのかはわからないが、俺に真摯に向き合ってくれている。 なら俺も...... それにどうせここまで話したのだ、ここまで来たら変わらないだろう。 俺はある程度ぼかして目的を語ることにした
「俺はわざとそういうふうに行動しているんだ。 突然突拍子もないことを言うが、俺には呪いがかけられてる」
「呪い? また非科学的な......」
「魔法も十分非科学的だと思うが...... ともかく呪いがかけられているんだ。 この呪いを解除するには人に嫌われ、その嫌われた分をポイントとして集計し、一定のポイントがたまれば呪いが解除される」
「「・・・・・・」」
執務官は胡散臭そうに俺のことを見ているが、艦長の方は目で続きを促してくる
「これが目的の一つ目。 そして二つ目に、このジュエルシード事件を無事に終わらせること。 レアスキルとはまた違うんですが、俺はこの先に起こること、つまり未来視と言うんですかね、それがわかります」
「なんだって!? 相当なレアスキルだぞ!?」
「と言っても完璧に未来がわかるわけじゃないし、少しの行動によっても未来は変わる。 俺はそのズレを少なくして、知ってる未来に修正してる。 タイミングの登場が良かったりするのは、先に言った人に嫌われるのもあるが、未来視の通りに未来を進めるためでもある」
「「・・・・・・」」
今度は茫然とする執務官、艦長の方は目を閉じて考え込んでいるようだった。 思ったよりものどが渇いていたので、お茶を飲みのどを潤す
「・・・・・・あなたの目的はわかりました。 ですが、なぜ語ったんですか? 貴方の話によると、人の嫌悪感をポイントとして稼がないといけない、と言うことは監視者がいるのでしょう?」
「その通りです。 ですが、その監視者の目はすでに結界を張ることで誤魔化しています。 先に言えればよかったんですが、勝手に結界をはらしてもらっています、すみません」
「「・・・・・・」」
今度は艦長の方も驚いたようだが、それもそうだろう。 この結界は魔術の方の魔力を使って、探知させないようにしている
「それに、この話が監視者にばれた時点で俺は死んでます」
「え?」
「呪いの効果ですよ。 ポイントをある一定期間中に集めないと死ぬ、それにプラスして第三者にばれた時点で死ぬ。 そういう呪いですから」
「辛く、なかったの?」
「もう慣れました」
顔を伏せる艦長に、膝に置いた手を固く握りしめる執務官。 ホントいい人たちだな、この人たち。 だからこそ、俺は話した
「このことは内密に、誰かにばれて俺も死にたくないので」
「・・・・・・わかったわ」
「それともう一つ。 俺を管理局に所属させてください、このレアスキル役に立つでしょう?」
「それは構わないが......」
「自分から言っておいて条件が一つ。 これから俺が人に嫌なことをしても黙認してほしいんです、やっぱりある程度自由が欲しいですから」
「・・・・・・わかったわ」
悲痛な顔をする艦長から目をそらし、俺は立ち上がる。 そういえば一つ忘れるところだった
「僕の名前は神木理樹です」
「リンディ・ハラオウンよ」
「クロノ・ハラオウンだ」
「これからよろしくお願いします、リンディさん、クロノ」