俺、踏み台転生者にされました   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第二話 始まりの始まり ~なのは視点~

~なのは視点~

 

お母さんは仕事、お兄ちゃんとお姉ちゃんはそのお手伝い、私はまだ小さいからお手伝いも出来なくて、お家で独りぼっちで......気が付いたらお家を出てきてしまっていて、何も考えないで街を歩いてた。 疲れたって思って、近くに公園があったからブランコに座っていたけど、目の前にはサッカーをする私と同じくらいの男の子たち。 でも、どう声を掛ければいいかわからなくて、結局は声を掛けられなくて、いつの間にかサッカーは終わっていてみんな帰っていた。 私も帰らないといけないのに体が動かない、いい子にしてなくちゃいけないのに、これじゃあみんなに心配かけちゃう

 

「あのさ、帰らないの?」

 

いつの間にか下げていた顔をあげると、さっきサッカーをやっていた男の子たちの一人が声を掛けてきた。

 

「え?」

 

帰ったと思っていたから、声を掛けられたのに驚いてそれだけしか返事をできなかった。 すると男の子は焦った様子で聞いてきた

 

「か、帰らないのかなーって」

 

「・・・・・・まだ、帰らない」

 

思っていることと正反対の言葉が出る。 帰らないとみんなが心配するのに、どうして自分はこんなことを言ってるんだろう、自分のことなのによくわからない

 

「でも、もう暗くなってきてるし、お家の人心配しない?」

 

「・・・・・・」

 

いつの間にか夕日は沈み始めていて、辺りは少しずつ暗くなってきていた。 なのに帰るっていう言葉が出ない。 それどころか知らない男の子に心配されて、お家の人と聞いた瞬間に泣きそうになってしまう

 

「飴!食べない!?」

 

「食べる」

 

男の子が焦った様子で飴を近づけてくる。私のせいなのに、なんで焦るのかはわからなかったけど、飴はもらっておいた。 男の子は私が飴をなめ終わるまで、ずっと隣にいてくれた

 

「えっと、落ち着いた?」

 

少し冷静になって考えると、いきなり泣きそうになってしまったのが恥ずかしく、顔を合わせられないので、目を合わせないようにしながら頷く

 

「えっと、帰ろう? 流石に暗くなってきてるし、危ないよ?」

 

私の目の前に来て、手を引いて立たせてくれる。 相変わらず帰らなきゃいけないのは気が重いけど、さっきよりは気分的に落ち着いてきた

 

「お家まで一緒に行くよ!僕この近くだし、男の子だから多少遅れても大丈夫!」

 

強引に、本心ではそう思ってないけど、私の手を引いて歩き出す男の子に私はついて行く

 

「そうだ僕、神木理樹。 君は?」

 

「・・・・・・高町なのは」

 

「なのはちゃんだね!なのはちゃんのお家に行こう!」

 

「・・・・・・うん」

 

いきなり自己紹介したからびっくりしたけど、私も自己紹介をしていなかったことを思い出し、小さい声だったけど、カミキ君には聞こえたみたいだった。 あれだけ帰りたくなかった家なのに、目の前に着けば自然と足が前に出た。 カミキ君の手を離し、別れを告げる

 

「ばいばい」

 

鍵を開けて、明かりのともっていないお家に入る。 寂しいけどそれ以上に

 

「カミキ君の手、温かかったな」

 

そう言ってカミキ君とつないでいた手をじっと見る、そんな自分の行動を不思議に思いながら、お母さんたちが心配しないようにお部屋の電気をつけ始めた

 

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それから私は毎日公園に行った。 お家にいるのは寂しいのもあったけど、それ以上に公園に行けばカミキ君と会えるような気がした。 その予感は当たっていて、カミキ君は毎日公園にいて、私に声を掛けてくれた。 他の男の子にも声を掛けられたけど、カミキ君の後ろに隠れて会話したりもしたし、バドミントンとかでカミキ君と遊んだりもした。 私はいつの間にかカミキ君に家のことを話していた。 お父さんのこと、お店のことや、自分のこと、話してカミキ君の顔を見ると難しい顔をしていた。 でも

 

「僕は迷惑かけてもいいと思うんだ」

 

「で、でも、お母さんもお兄ちゃんもお姉ちゃんも忙しいし」

 

私はいい子でいないといけない、そうしないとお父さんも帰ってこないし、それに私が我慢してればいつか

 

「でもね、話してくれない方が辛いんだって」

 

「え?」

 

どういう意味なのか分からず、思わず聞き返してしまう

 

「僕もね、状況は全く違うけど、同じようなことがあったんだ」

 

カミキ君の話は少し難しくてわからなかったけど、でも

 

「でね、お母さんが泣きながら、話してくれてありがとう、頼ってくれてありがとうって、だからなのはちゃんも、なのはちゃんのお母さんたちと話した方がいいんじゃないかな? て言っても僕のお家の話だけど」

 

そう言ってカミキ君は困ったように笑っていた、でも私はカミキ君のお話を聞いて、迷っていた。 本当に迷惑をかけてもいいのだろうか、この胸にある思いを言ったら、これまで以上に迷惑をかけてしまうんじゃないか。 でも、カミキ君は言ってた、カミキ君のお母さんは話してくれない方が辛いって、もしお母さんが気が付いているなら、私はお母さんを困らせてる、なら

 

「私、私話してみる」

 

「うん、頑張ってね」

 

私は頷いて走って公園を出ようとしたのだけど、運動音痴の私は転んでしまいそうになるけど、カミキ君が急いで助けてくれる

 

「えっと、送ってくね」

 

「お願いします」

 

恥ずかしい。 そう思いながらも、このまま走ったらさっきと同じことになりそうだし、お母さんに余計な心配をかける、だからカミキ君と一緒に行くことにした。 お店まで送ってもらい、扉を開けるのは戸惑ったけど、さっきまでカミキ君とつないで手を見て勇気をもらう。 扉を開けるとお母さんが駆け寄ってくる

 

「なのは? どうしたの?」

 

「お、お母さん! あのね、私、伝えたいことがあるの!」

 

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 次の日公園に行くと、リキ君の姿がなくて早く来ないかなって思っているとリキ君が来たみたいだった

 

「リキくーん!」

 

「え、なのはちゃん!あ、危ない」

 

リキ君が何か言ってるけど、私は嬉しくて聞こえてなかった

 

「あのね、あのね!お母さんたちと話したよ、そしたらね!」

 

「う、うん。 とりあえずベンチに移動しよう?」

 

「お母さんがねごめんなさいって! でも、その後抱きしめてくれたんだ!

それでねそれでね!」

 

「ああ、うん、もう好きに話して......」

 

リキ君が何か言ってたけど、私は昨日のことを細かく説明する。 お母さんに思っていたことを、寂しかったことを、もっと私を見て欲しかったことを。 いろいろお母さんに話した。 途中詰まったりもしたけど、リキ君はわかってくれたらしく、それも嬉しかった

 

「仲直り......ではないね、喧嘩してたわけじゃないし。 もっと仲良くなった、ってことでいいのかな?」

 

「よくわかんないけど、そういうこと!」

 

話がひと段落したところで、私たちはブランコに移動して話していた

 

「よかったねなのはちゃん」

 

「うん!これもリキ君のおかげだよ!」

 

「そうかな? なのはちゃんが選んだことだし」

 

そう言って、また困ったように笑うリキ君。 そんなことは関係ない、リキ君のおかげなのだ

 

「違うよ、リキ君のおかげだもん!」

 

「じゃあどういたしまして」

 

「うん!」

 

少しおかしくなって二人で笑い合う

 

「そう言えばさ、なのはちゃんいつの間にか僕のこと、名前で呼んでるね?」

 

「あ、うん......ダメ、だった?」

 

「ううん、別にダメじゃないよ?」

 

「よかったー、そうだ!私のことは呼び捨てでいいよ!」

 

「えっと、なんで?」

 

意外そうに聞いてくるリキ君、そんなに意外かな?

 

「私も呼び方変えたし、そういう感じで」

 

「いや、いいと思うんだけど......」

 

「なのは!」

 

「・・・・・・なのは」

 

「うん!」

 

何故だろう、なんか胸がポカポカする。 でもなんでリキ君そっぽ向くのかな?

 

「リキ君、遊ぼ!」

 

「うん、今日は何しよっか」

 

そうして、私とリキ君は日が暮れるちょっと前まで遊んだ

 

「あ、もう帰る時間だ」

 

「あれ? 少し早いね」

 

「うん、お母さんたちが今度から早く帰ってきてくれるって言ってたから」

 

「そっか、じゃあまた明日ね!」

 

「うん!」

 

~なのは視点 end~

 

 

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