俺、踏み台転生者にされました 作:サクサクフェイはや幻想入り
まず最初に、踏み台君の解かれた呪いというのはポイント集め。 第三話で言っている、A's終了時までに一定のポイントを集めなければ死ぬ。 というののポイント集めのことです。 ですが、あくまでも解除されたのはポイント集めのことだけなので、死亡に関しては解除されておりません。 よって今の置かれている状況は、他の人に踏み台と言う役割がバレたら死亡、そのほか細かい条件での死亡、一番絶望的なのがA's終了時に死亡が確定、ということです。 まったく、誰ですかねこんなゲスな設定を考えたのは。
茶番はここまでにして、本編どうぞ
もし質問等ございましたら、感想の方にお願いします。 できるだけ答えますので
2018.5.28 誤字修正しました。 報告ありがとうございます
目が覚め、ゆっくりと起き上がり周りを見回す。 ここは間違いなく俺の部屋で、あれは夢だったんじゃないかって思えた。 だが夢じゃない。 口の中は血の味がするし、全身汗で気持ち悪い。 ただそんなくそったれな状況でも、事態は好転した。 握っているカギを見る。 あのよくわからない空間で、英雄王ギルガメッシュにもらった宝物庫のカギ。 王の財宝を出現させその中にカギを突っ込む、するとカギを刺した時のような感覚が伝わってくる。 そこから捻ってみると、何かが変わった
「ペイル」
「宝物庫の中のものを再確認します」
「頼む」
これでAランクまでの宝具の原点が使用可能なはずだ。 全身は気怠いが何とか立ち上がり、脱衣所に向かう。 全身汗のせいで気分は最悪で、とりあえずシャワーだけでも浴びておきたかったのだ。 風呂場の窓を見るとどうやら真夜中のようで、外は暗かった。 シャワーを浴び着替えてリビングで時間を確認すると、午前二時、かなり早い時間だ。 リビングに近づいてくる気配がする、誰かは分からないけど
「マスター?」
「玉藻か?」
ドアから顔を覗かせたのは玉藻で、暗いので表情は分からない。 こんな夜中にどうしたのだろうか、水でも飲みに来たのだろうか?
「どうした?」
「いえ、物音が聞こえたので気になってきたら、という感じですが...... なにかあったんですか、マスター」
「・・・・・・」
玉藻の心配そうな声に驚いたというか、何故わかったんだろうというほうが大きかった。 そのため一瞬反応が遅れてしまったが、何とか答える
「呪いがさ、解けなかったんだ」
「え?」
「最初っから解放する気がなかったんだよ、あのクソ野郎は」
「マスター?」
「・・・・・・」
俺の様子に戸惑っているのか、玉藻は近づいてこない。 そんな俺の様子を見かねてか、ペイルがその後の説明を引き継いでくれた。 俺はそれをソファーにさらに体を沈めながら聞いていた。 聞き終えた玉藻は、静かに俺に近づき、やさしく抱きしめてくれる
「マスター」
「・・・・・・」
玉藻はとても暖かかった。 幾分か沈んでいた心が落ち着くのを感じる。 ふと思い出す、いまだ最後の仕事が残っていたことを。 最後で、とても大切な仕事だ
「玉藻」
「はい、マスター」
俺が呼びかけると離れる玉藻。 俺はソファーから立ち上がり、王の財宝からとある布を出す。 身隠しの布、使用頻度が多いな
「行くぞ」
「はい」
転移魔法を使用する、もちろん行先はアースラだ。 最後の仕事、アリシア・テスタロッサの蘇生だ。 アースラに楽々転移した俺たちは、ペイルの案内に従ってアースラを歩く。 玉藻は霊体化、俺は身隠しの布の効果で特に怪しまれることなく目的の部屋に着く。 部屋の開閉ログを消し証拠も残さない。 部屋の中に入れば、アリシア・テスタロッサは最初と変わることなくカプセルに浮いていた
「玉藻」
「本当によろしいのですか?」
「これは契約の内容でもあるしな、頼む」
「わかりました」
結界を展開する。 魔法を感知させない隠匿魔術、センサー類の反応を消すジャミング、いろいろなものをセットし終え玉藻に向き直る
「令呪を持って命ず、玉藻の前、本来の力をすべて開放しこの少女を救え」
手から消えてなくなるサーヴァントに対する絶対命令権。 その力をもとに、玉藻は真の力を開放する
「はい、マスター」
瞳を閉じ、真の力を開放する玉藻。 魔力は膨れ上がり、膨大な魔力が解放される。 尻尾は増えてはいくが、最初から生えているもの以外はどこか透明だ。 仮想展開ということだろうか。 玉藻自身も、たぶん開放したくないものだろうから仮想展開という形にしたんだろうけど
「ここは我が国、神の国、水は潤い、実り豊かな中津国。 国がうつほに水注ぎ、高天巡り、黄泉巡り、巡り巡りて水天日光。 我が照らす。豊葦原瑞穂国、八尋の輪わに輪をかけて、これぞ九重、天照……!水天日光天照八野鎮石」
収束される魔力、その魔力はアリシア・テスタロッサを包み込む。 水天日光天照八野鎮石おろし、一息つく玉藻。 どうやら成功したようだ。 アリシア・テスタロッサの方はというと、薄く目を開き、そして
「がぼっ!?」
「やば!?」
「みこーん!? 蘇生してすぐに死ぬとか勘弁ですー!?」
溺れかけていた。 いや、この表現も適切ではないのだが。 アリシア・テスタロッサをカプセルから出せばどうなるかわからないからカプセルに入れたまま蘇生をしたが、カプセルは液体で満たされいるわけで、そりゃ目が覚めたら息をする時に液体吸うわな。 玉藻と俺は大急ぎでカプセルを壊し、アリシア・テスタロッサを救出する
「ぜーはー、ぜーはー、ひどい目に、あった......」
「いや、本気ですまん......」
「よくよく考えればわかることですけど、そこまで頭が回っていませんでした」
なんだこれとも思うが、蘇生は成功したようだ。 周りを見回すが服のようなものはない。 王の財宝に何かあっただろうか? 王の財宝を適当に探すと、何故か新品の薄緑のドレスが。 しかも何故か子供サイズ。 ・・・・・・英雄王の趣味? どこかからそんなわけあるか!という声が聞こえたが空耳だろう
「キャスター、これ」
「ドレス、ですか? 私用にしてはサイズが小さいような、それともそういうご趣味なんですか!?」
「ば、か、な、こ、と、言ってないで彼女に着せてやれ」
「痛い、愛が痛いです、マスター!?」
玉藻にドレスを手渡すと馬鹿な答えが返ってきたので、ぐりぐりをしながらそう言うと、渋々といまだ床に手をつきながら、大息をついているアリシア・テスタロッサを着替えさせていた。 なんというか、いろいろと不安だ。 これでプレシアさんとの契約は終わり、関わり合いはなくなる。 これからどうするかを考えようとしたところで、玉藻から声がかかった
「マスター、着替えが終わりましたよ」
「あぁ、すまないキャスター。 さて、初めましてアリシア・テスタロッサ」
「うーん、初めましてか......うん、初めまして神木理樹君」
「・・・・・・」
この返しに俺は警戒せざるを得ない。 玉藻はマスターとしか言ってないため俺のフルネームは知らないはずだ、少なくともアリシア・テスタロッサの前では俺は名乗っていない。 俺が警戒しているのが分かっているのか、アリシア・テスタロッサは苦笑していた
「あはは、まぁ警戒するよね。 でも安心して、ここで起こったことや、お母さんと交わした契約について漏らすことはしないから」
「・・・・・・何を言っている」
「うーん、どうしたら警戒心を解けるかな...... 私が一から説明すればいいだけか。 まず、私は私が死んだことを知ってるよ。 事件の正式名称を知ったのはつい最近だけど、ヒュードラ事件。 その内約は、新型魔力炉の暴走、それに巻き込まれて私は死亡した」
「・・・・・・」
冷静に語っているアリシア・テスタロッサだが、何故そのことを知っている
『玉藻』
『確かに蘇生はしました。 ですがその際に記憶を、蘇生するまでの空白の時間を埋める、なんて芸当できませんよ』
どうやら玉藻ではないようだ。 最初から玉藻だとも思ってもいなかったが、なおもアリシア・テスタロッサの説明は続く。 母親が悲しみ自分の蘇生方法を探していたこと、その過程でフェイト・テスタロッサが生まれたこと。 リニスやアルフのこと。 ジュエルシード収集のこと。 すべて語ったことは実際に起こったことで、まるで自分で見てきたかのように語っていた。 ・・・・・・まるで見てきたかのように?
「まさか...... いや、そんなことが可能なのか?」
「ふふ、わかったみたいだね」
「貴女は魂ともいえる存在で、実際に見てきた。 そうですね、アリシア・テスタロッサ」
「せいかーい、えっと玉藻さん?」
「キャスターとお呼びください。 その名で呼んでいいのはマスターだけです」
「了解!」
何やらもめているようだが、大丈夫なようだ。 しかし、魂とも呼べる存在、幽霊か。 幽霊となり実際に見てきた、というなら説明も付く。 だが厄介だ、俺のやったことをばらされれば今までの苦労は水の泡だ。 ・・・・・・まぁ、もうそのほとんどが意味をなさなくなったけどな。 どうするか考えていたのだが、その問題の本人から声がかかる
「そんなに難しそうな顔をしなくても大丈夫だよ? 私はばらすつもりはないから、なんならセルフギアススクロールだっけ? それで契約してもいい」
真剣な目だった。 俺のことを見てもなお、何故そんなことが言えるのか。 もはや考えるのもバカバカしくなり、その提案を首を振って否定する
「いや、いい...... 実際に俺を見てきて、なんでそんなことを言えるのかなぁ......」
「マスター......」
玉藻の声は悲痛だが、そんなことを気にしている余裕はない。 俺は本当に最低な奴なのに、なぜそんな俺に向かってそんなことが言えるのか。 本当によくわからない
「だって、貴方悪い人じゃないもの」
「は?」
人の大事なものさえ踏みにじり、交渉材料にした俺。 嫌がられているのをわかってなお、それを続ける俺。 どこが悪い人じゃないのか教えてほしい
「確かに貴方がなぜそこまで必死になって嫌われるための演技をしているのか、その理由までは分からないけど、貴方は悪い人じゃない。 お母さんを助けてくれた、フェイトを妹を助けてくれた。 そんな人を私は悪い人だとは思えない」
「・・・・・・違う、それは違う。 俺は未来を知っていながら、それを変えないように立ち回ってきた。 プレシアさんの思いを踏みにじり、大切な君まで交渉材料にした。 フェイト・テスタロッサに悪口を、高町なのはは都合の悪い記憶を封印した、アリサ・バニングスや月村すずかだって、嫌がってるのに言い寄ってる。 そんな俺のどこが!」
最後まで言葉は続かなかった。 その途中で俺はアリシア・テスタロッサに抱きしめられたからだ
「うん、そうだね。 でも、貴方は私も含めて家族を救ってくれた。 タカマチナノハやそのほかの人だって、その理由がかかわってるんでしょ? 確かに貴方がやったことは悪いことかもしれない、でもそれを悔いて反省してる、悪い人だったらそんなこと反省しないよ」
そう言って背中をやさしくたたいてくるアリシア・テスタロッサ。 俺はされるがままだった
「ハッ!!このガキンチョ、何マスターに抱き着いてるんですか!!離れなさい!!」
「おっと!」
玉藻に引き離されるアリシア・テスタロッサ、その顔はなんだか楽しそうだ。 俺はいまだ呆然としていた。 こうやって肯定されることなんてないと思っていたからだ
「さって、話しこんじゃったけどこれからどうすればいいのかな?」
「え?」
「これからだよ、これから」
一瞬何を言っているかわからなかったが、これからか。 そうだな、これからのことを考えなくてはならない
「そうだな。 まずこの部屋には人が訪れることはないだろうからな、ある程度のところまで俺たちが先導するからついてきてくれ。 それからあと誰かに見つかれば、目が覚めて歩いていたとでも言っとけば大丈夫だと思う」
「りょうかーい。 はい!」
「ん?」
手を差し出すから何かと思い首をかしげるが、アリシア・テスタロッサはその反応が気に入らなかったらしく、もう一度手を差し出してきた。 いや、わからんのだけど
「?」
「先導!」
「いやするけど」
「手をつないだほうがいいでしょ!」
「なんで?」
「なんでも!!」
なんかおかしいような気もするが、まぁいいか。 身隠しの布をかぶり、手をつなぐ。 どうも手をつないだぐらいでは、効果が現れないらしい。 いざ部屋を出ようとすると
「あ、そうだ!」
「まだ何かあるのか?」
隣で騒ぐ玉藻をなだめながら、アリシア・テスタロッサに反応する。 いい加減疲れてきた
「自己紹介!ちゃんとやってなかったから。 私アリシア・テスタロッサ!」
「・・・・・・神木理樹」
「よろしく理樹!」
「いきなり下の名前で呼び捨てとは...... まぉあいいけど、人前ではするなよアリシア・テスタロッサ」
「アリシアでいいよ!」
「・・・・・・アリシア」
「おーけー!それじゃあ出発!」
そう言われ部屋を出る。 なんか蘇生してから圧倒されっぱなしだ、正直疲れる。 ブリッジに近くなると流石に気が付いたのか、近くで足音がした。 それを合図に手を離し、転移魔法を発動する。 一瞬で景色は変わり、薄暗い室内に転移する
「疲れたから寝る。 お休み玉藻」
「私も疲れました...... おやすみなさい、マスター」