俺、踏み台転生者にされました   作:サクサクフェイはや幻想入り

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2018.5.20 タイトル話数修正。 ぐぎぎ、なんで五十話だったんだ

2018.5.28 話数修正。 数話分書き溜めの方話数がバグっていまして、もしかしたらこの後も修正されるかもしれません。 ご了承ください。

2018.6.3 話数修正。 またまた書き溜め分の話数がバグってまして、修正しました


第四十八話 Each selection

~玉藻視点~

 

マスターと家に帰ってきた私は少し睡眠をとり、居間へと向かう。 睡眠時間が少ないのはお肌にとって大敵ですが、仕方ないでしょう。 どこかからサーヴァントは睡眠も食事も必要ないだろう、なんてツッコミが聞こえますが聞こえないったら聞こえないのです。 居間に入るとマスター以外の人たちはそろっているようですね、ちょうどよかったです

 

「玉藻さん、おはようございます」

 

「玉藻殿、おはようございます」

 

「おはようございます、玉藻さん」

 

「おはようございます、皆さん。 少しお時間いいですか? 大事な話があります、マスターのことで」

 

私の雰囲気がいつもと違うのが分かったのか、はたまたマスターの話だからなのか分かりませんが、いつもの雰囲気は消え去り真剣な表情で皆さんは私を見つめます。 さて、何から話したものでしょうか? 全部話すのはもちろんですが...... 先に結論から言うのがいいですかね?

 

「まずいきなりですが結論から。 マスターの呪い、つまり踏み台転生者としての活動の呪いは解けませんでした」

 

「・・・・・・玉藻殿、どういうことですか?」

 

「理由については今から説明します」

 

それから私はペイルに聞いたことを皆さんに話しました。 マスターが神に呼ばれ、異空間に行ったこと。 その異空間で呪いが解けるのかと思いきや結局解けず、そのままの状態で帰ってきたこと。 そして、機械のこと

 

「ではあの機械は!」

 

「神が操っていた、そういうことになります」

 

「そんな、こんなことって......」

 

「マスター......」

 

いつもの雰囲気は何処へ行ったのか、今の雰囲気はまるでお通夜のように最悪でした

 

「・・・・・・マスターのことは、しばらくそっとしておいてあげましょう」

 

「ッ!? 何故です、何故ですか玉藻さん!!」

 

掴みかかってくるリリィさん、マスターのことは本当に心配なのはわかります、ですが!

 

「マスターには逆効果だからに決まっているでしょう!!私たちが心配して、マスターがちゃんと相談してくれたことはありましたか?!逆に気を使わせて、本心を隠して、私はもう、そんなマスターを見たくありません......」

 

これは紛れもない私の本心です。 マスターの力になってあげたいのに、マスターは優しすぎるからすべてを背負ってしまいます。 心配をすれば心配をかけないように動き、逆効果になるくらいだったら私はいっそ。 荷物にならないように、見守るしかないじゃないですか...... これは逃げ、なんでしょうかね

 

「玉藻さん...... リリィさん、玉藻さんを離してあげてください。 私はお二人の気持ち痛いほどわかりますから。 みんなそう思ってるはずですから」

 

「すみません玉藻さん、熱くなりました」

 

「いえ、こちらこそすみません」

 

何とも言えない空気の中、離れて謝り合う私とリリィさん

 

「マスターに関しては、いつも通り見守っていましょう。 マスターが相談してくれば、その時に力になってあげましょう」

 

「マシュさんの言う通りですね。 いつものように」

 

そこで話は終わり、各自分かれて行動する。 今はマスターにとって時間が必要でしょうし、みんなが家から出かけたようです。 ですが、私には私にしかできないことをしましょう。 自分の部屋まで行き、瞳を閉じる。 本当は行きたくありませんが、背は腹には代えられません

 

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不意に懐かしい感覚に包まれます。 少し嫌な気分になりながら目を開けると目的の場所についていたようです

 

「フフフ、お前が来るなんて珍しいのぅ」

 

「相変わらず時代錯誤な喋りと、イライラする容姿ですね」

 

目の前には美しい私を大きくしたような、いえ私の本体ともいうべき白面金毛九尾の狐がいる。 性格は私と似ても似つかない冷酷で冷淡で、本当に私とは大違いです!

 

「貴様の考えは大体わかるが、貴様も同じようなものだろうに」

 

「何を言ってるかさっぱりわかりませーん、聞こえませーん」

 

「・・・・・・何を言っても無駄か。 頭の真っピンクの万年発情狐に何を言っても無駄か」

 

「・・・・・・」

 

落ち着け私ー、ここでキレても何の得にもならないし、あいつを助長させるだけだー。 落ち着け私、いつものようにクールに

 

「コホン、用件は分かっているのでしょう?」

 

「ふむ? わからんなぁ」

 

「っ!!」

 

ちょっとペースに乗せられているような気もしますが、まだ大丈夫です。 頑張れ私ー

 

「力を貸してほしいのです、マスターのために」

 

「ふん、やっぱりか面白くもない。 して、何故あのものに我が力を貸す必要があるのだ?」

 

「貴女だってわかっているのでしょう? 今回の件は低級とは言え神がかかわっています、マスターの力だけではどうにもなりません」

 

悲しいことですが、これは純然たる事実です。 いくらあの金ぴかの力があるとはいえアレも神に与えられた力、封じるのも容易いでしょうし。 たぶん、使えなくなるとみて間違いないでしょう。 事実、ペイルもそう言っていましたし

 

「くっくっく、一度や二度人間に裏切られただけでは駄目か? やはり貴様は脳みそがお花畑のようだ」

 

「そんなの今は関係ありません。 たとえマスターが望もうが望まなかろうが...... いえ、マスターはこんなこと望まないでしょうね。 ですが、私がマスターの力になりたいからこうするのです」

 

目の前の、私の元ともいえる、神とも呼べる存在をにらみつける。 確かに私は人間に裏切られた、それこそ数えきれないほどだ。 サーヴァントだからそんな経験山のようにある。 でも、マスターは、あの子だけは違う。 私は胸を張ってそう言い切れる、だから目の前の存在をにらみつける

 

「ふっ...... もう貴様と話すことはない」

 

「ちょ!? 私の話は!!」

 

「ふん」

 

軽く手を振られ、その風圧に吹き飛ばされる。 比喩的な表現ではなく、体が大きいため本当に吹き飛ばされるのだけど

 

「私の話、終わってないんですけどーーー!!」

 

目の前が暗転し、目が覚めるとそこは自分の部屋で

 

「あんの、クソ狐ーーーー!!」

 

~玉藻視点 end~

 

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~白面金毛九尾の狐視点~

 

「ふん」

 

ようやく我の分霊ともいえるものが去り、あたりは静寂に包まれる。 本当にアイツはうるさいものだ。 だが、同時に収穫もあった。 あいつの新しいマスターだ。 どうもほかの神のおもちゃにされているようだが、少し興味がわいた。 あのサーヴァントになっている分霊があそこまで私に大見えを切ったのだ、気にならないはずがない。 少し興味が出た程度でここには呼ばないが、少し過去をのぞき込むくらいならいいだろう。 どうも過去を見てみると、中々に愉快な人生を送っているようだ

 

「ほほぅ、神を殺すか」

 

なかなか面白いことを言うガキだ、ますます興味がわいた

 

「それを我に言えるかどうか」

 

来る対話の時、それはそう遠くない未来だろうと思いつつ目を閉じる。 その時に覚悟を示せるかどうか、見ものだ。 もし覚悟が示せるなら、その時は力を貸してやることもやぶさかではない。 だが、我をがっかりさせればそれ相応の対応をさせてもらう。 なに、普通の人間よりは歯ごたえがありそうだ

 

~白面金毛九尾の狐視点 end~


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