俺、踏み台転生者にされました   作:サクサクフェイはや幻想入り

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2018.5.28 話数修正。 数話分書き溜めの方話数がバグっていまして、もしかしたらこの後も修正されるかもしれません。 ご了承ください。

2018.6.3 話数修正。 またまた書き溜め分の話数がバグってまして、修正しました


第四十九話 傷心

自然に目を覚ます。 部屋の中は真っ暗でカーテンを開けると、外は明るかった。 時計を見れば昼を少し過ぎたくらい。 休日ならまだしも、平日でこの時間は致命的だった。 ・・・・・・どちらにしろ、学校なんて行く気になれないが。 家の中に人の気配はない、気を使ってくれたのか買い物中なだけなのか。 どちらにしろ丁度よかった、一人になりたい気分だったしな。 多少の眠さはあるが、頭を振ることで眠さをとる。 机の上に置いておいたネックレスをとり首にかけ、着替えて下に降りる。 机にはラップがかかったサンドイッチ、脇には書置きが。 今日はゆっくりお休みください、ね。 書置きから察するに、わざと起こさなかったというところか。 ありがたく思いながらサンドイッチを食べ始める

 

「ペイル、王の財宝の方はどうだ」

 

「さすがに数時間やそこらで全て確認し終えるなんてことはできません。 確認の終わったものだけリストアップしますか?」

 

「それで頼む」

 

目の前に浮かび上がるホログラム、効果なども載っているのでチェックしつつサンドイッチを食べ終える。 ペイルに声をかけチェックを一時中断する。 家にいると呪いが解けなかったことを思い出して気が滅入るので、外に出ることにした。 気分転換、とでもいうのだろうか。 学校に連絡されても面倒なので、人目を避けつつ当てもなく歩く。 結局外に出ても考えていることは変わらず、昨日の呪いが解けなかったことだ。 最初からあのクソ野郎は呪いを解く気はなかった、今までは呪いを解くために頑張ってきたがこれからはどうすればいいだろう? 英雄王は俺はさらにあがくと言っていたが、正直言って今の俺にはそんな気力はない。 死にたいわけじゃないが、今までの苦労は水の泡。 やる気がなくなるのも当然だ

 

「いや、こんなんじゃいけないよな」

 

それこそあのクソ野郎の思う壺だ。 今はあの特有な視線を感じはしないが、ここで諦めればそれこそ思う壺だ。 かといって、あのクソ野郎を殺す算段がないのも確かだ。 あのクソ野郎の性格上、たぶん闇の書事件の終了間際に俺に会うはずだ。 気分はどうだとか俺の悔しがるのを見るために。 それまでに殺す算段を、なんて思うが思いつかない。 たぶん、あの空間では王の財宝は使えない。 英雄王からカギはもらったが、もともと特典を付けたのはあのクソ野郎だ。 たぶんあの時、無意識とはいえ発動しようとしたはずだ。 それでもどうにもならなかった。 体も動かせず、出来たことと言えば暴言のみ

 

「いっそ口からナイフでも吐くか?」

 

言って自分で否定する。 無理だろうな。 気が付けば海沿いの公園にたどり着いていた。 俺は欄干に体を預けつつ海を見る。 考えてもいい案は浮かばない、八方ふさがりとはこのことか。 でも

 

「そうだな、今までもそうだった」

 

未来を知っているとはいえ、雑種や俺の介入によってそもそも俺の知っている知識とは違ってきている。 大筋で行けば正史通りだが、細部に関しては手探り状態だった。 これまでより圧倒的に状況は悪い、だが俺は死にたくない。 なら、何を利用してでも自分の生き残るすべを探す。 これまで通りじゃないか、そう、自分に言い聞かせる。 少し気分は上向いたが、それでも気分は晴れない

 

「・・・・・・やめよ」

 

このままではいろいろ考えて死にたくなる、俺はその場を後にする。 当てもなく歩き、ついたのは図書館。 何でこんなところに、なんて思いもしないが中に入る。 普段図書館なんて利用しないが、ここなら頭を空っぽにして本を読めばいい、そう思っていた。 中に入り適当な本を選ぶ、後は読書スペースで本でも読めばいいだけ、そのはずだった。 車いすの少女がいた、普段なら気にしないかもしれない、でも見てしまったのだ届かないながらも本をとろうとする姿を。 自然とその方向に足が向いていた

 

『マスター』

 

『ペイル、どうした?』

 

『いえ...... なんでもありません』

 

変な奴だと思いながら、少女の後ろに立つ。 取ろうとしている本を確認し、後ろから手を伸ばす。 普段ならしない行動、それだけ心が追い詰められていたのか、それとも。 後になって考えれば、もう少し慎重に行動するべきだったとか思わなくもないが。 少なくとも、この時の俺は親切心で本をとった

 

「これでいいの?」

 

「え、あ、はい」

 

本を渡し、その場を去ろうとする。 だが、その背に声がかかる

 

「あの」

 

「なに?」

 

「私、八神はやて言います。 貴方は?」

 

「神木理樹」

 

どこかで聞いたような気がしたが、思い出せなかった。 それなら大したことじゃないだろうと思い、自己紹介をした

 

「取ってくれて、ありがとう」

 

「いいよ、気にしないで」

 

俺はそのまま歩きだし、奥の読書スペースに座った

 

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~はやて視点~

 

その日もいつも通りやった。 朝目が覚めて、朝食を作って、一人で食べて。 それから洗濯や掃除、基本的なことをやったら病院へ。 いつもと同じ。 実際いつもと同じやった、小さなで出会いを除いては。 病院での検査も何時もと同じやったし、検査結果も変わらず。 良くもならないし悪くもならない。 石田先生は心配してくれてるみたいやけど、私はどうとも思わなかった。 良くも悪くもならない体、そのうち緩やかに死んでいくんやろうなって思ってる。 検査を終えて、行ったのは図書館。 ちょうど返さなければいけない本があった。 その本を返却して、新しい本でも借りようかなって思ってた。 前に借りたかったけどなかった本を見つけて、借りようとした。 でも、その本は車いすに乗った私では届くか届かないかの高さにあった。 頑張って取ろうとするけど、少し届かない。 でも、そんな私の状況にはだれも見向きもしなかった。 いつものことや。 でも、その日は違った

 

「これでいいの?」

 

「え、あ、はい」

 

後ろから手が伸びたと思ったら、本を渡してくれる。 同い年くらいの子で、金髪だった。 特に体が悪そうには見えないし、本来なら学校のこの時間、ずる休みかもしれない。 でも、一番気になったのはその子の目。 なぜかわからないけど、無性に気になった。 だから

 

「あの」

 

「なに?」

 

自分でも驚いたけど、声をかけていた。 彼は何とも思ってないのか普通に振り向いた、だけど私はこの後の会話をする準備はできていない。 必死にひねり出したのは

 

「私、八神はやて言います。 貴方は?」

 

自己紹介やった。 人はテンパったりすると天気の話か自己紹介いうてたけど、本当の話やったんやな...... まさか自分で証明するとは思っていなかったけど。 彼は一瞬考えこんでいたけど、普通に自己紹介をしてくれた

 

「神木理樹」

 

「取ってくれて、ありがとう」

 

「いいよ、気にしないで」

 

そう言うと、さっさと行ってしまう。 どうしても彼が、神木君が気になる私はその後をつける。 どうやら奥の読書スペースで本を読むつもりらしかった。 私はその前につき本を開く。 何でこんなに彼が気になるんやろ?

 

~はやて視点 end~

 

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何故か俺の後ろをついてきた八神はやては、俺の目の前に座る。 他にも席はあるはずなのだが、まぁいいか。 気にせずに本を読み始める俺だが、何故かちらちら八神はやてが見てくる。 集中できないわけじゃないが、意味が分からない。 結局、話しかけてくることはなく、俺は本を閉じると立ち上がる

 

「ところで何か用事だった?」

 

「ふぇ?」

 

「いや、本見てる間ずっと見られてたから」

 

「・・・・・・気が付いてたん?」

 

なんか気まずそうに見られるが、一応これでも視線は敏感だからな、気が付かないわけがない。 わざわざそんなことは八神はやて本人には言わないけど

 

「途中からだけど」

 

「ごめんなさい」

 

「気にしてないけど......まぁ、いいや。 そろそろ暗くなってきたから帰るけど、八神はやてさんはどうするの?」

 

「なんでフルネーム?」

 

「癖みたいなものだけど......変?」

 

「いや、まぁええわ。 八神でもはやてでも好きに呼んでええよ? ただしフルネームはなし」

 

「なら八神さんで」

 

「呼び捨てでもええけど、私も帰るよ」

 

そう言って車いすを押し俺の横に並ぶ。 別に帰るなら帰ればいいと思うが、気にしないことにする。 俺はそのまま歩き始め、本を元あったところに返す

 

「借りへんの?」

 

「ただ手に取って読んだだけ、興味があったわけじゃないし」

 

「ふーん」

 

「八神さんは?」

 

「私は借りる、ちょっと待ってて」

 

そう言うと一人で貸し借り所まで向かおうとするが、まぁこれくらいならいいか。 そう思い後ろから車いすを押す

 

「?」

 

「まぁ気にしないで」

 

そう言うと、変な顔をしたと思ったら、微笑んで前を向く。 意味が分からん。 その後貸し借りを終え、出入り口を出る。 外はいい感じに暗くなっている

 

「それじゃあね、八神さん」

 

「またー」

 

奇妙な出会いだったが、八神さんと別れる。 なんか、また会うような気を胸に秘めながら

 

 

 

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