俺、踏み台転生者にされました   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第五十二話 静かに動き出す物語

プレゼントを買ったのはよかったのだが、俺は重大なことに気が付いた。 急な任務が入ったのは別にいい、別にプレゼントを渡せばいいからな。 なのに、こういうときに限って八神さんは図書館に来ない。 もう図書館も閉館時間になり、俺は夕飯の買い物に出ていた。 それにしても何とも間の悪い...... なんか、プレゼントって誕生日の後に渡したら台無しなような気がする。 いや、本当に外せない用事があってとか言うなら別だが。 ううーん、その場合でも前もって用意しとくのが普通だしな。 なんて考え事をしていたのがいけなかったのか、予定よりも時間がかかってしまっていた。 玉藻に怒られることを覚悟して、俺は家へと帰った

 

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それが起こったのは夜、俺はかすかに感じた魔法の反応で起きた

 

「なんだ、こんな夜中に......」

 

時計を見れば、時計の針は短いほうも長いほうもてっぺんに来ており、ちょうど日付が変わったところだった。 ということは、八神さんの誕生日になったわけで、少し申し訳ない気持ちになった。 いまだに続いている魔法の反応に憂鬱になりながら、着替え始める。 流石に放っておいて何かあったら嫌だし、確認するぐらいならと軽い気持ちだった

 

「ペイル、ハサン」

 

「・・・・・・」

 

「ここに」

 

珍しいことにペイルが返事をしない。 それを少しおかしいと思いつつ、こんな夜中に呼びかけに応じてくれたハサンに礼を言う

 

「すまないなこんな夜中に」

 

「いえ、マスター殿の呼びかけに参じたまでです」

 

「ありがとう。 それで、ペイルはどうした?」

 

「・・・・・・マスター、このかすかに感じている魔力、確かめに行くんですか?」

 

「何言ってるんだお前は? 当たり前だろ?」

 

「・・・・・・」

 

それっきり黙ってしまうペイル、俺とハサンは首をかしげながら窓を開けベランダの柵に足をかける

 

「さて、今回はさっきペイルが言ったようにかすかに感じる魔力の調査だ。 もしかしたら管理局の力を借りることになるかもしれないからな」

 

「了解です」

 

「行くぞ」

 

ハサンに声をかけ出発する。 屋根を伝い、時には電柱の上に登ったり。 様々なルートを経て、かすかに感じた魔力に迫っていく。 だが、途中で魔力が感じられなくなってしまう。 だが、あれだけ長く漏らしていたのだ、ペイルによって場所はつかんでいる

 

「ペイル、ナビゲート頼む」

 

「・・・・・・」

 

「ペイル?」

 

いったん止まり、待機状態のネックレスを取り出す。 だが、相変わらず反応はない。 俺とハサンは顔を見合わせ、もう一回ペイルを呼ぶ

 

「ペイルライダー」

 

「・・・・・・マスター、悪いことは言いません戻りましょう」

 

「何を言ってるんだお前は? 魔力を使うやつがいる、しかも今まで感知したことがない反応だぞ? 俺や雑種が原作に介入してるんだ、細部が違ってきてる。 ならその面倒を見るのも、俺の仕事だ」

 

「それによって日常が壊れるとしても、ですか?」

 

「本当に何を言ってる、ペイルライダー」

 

今までこいつはこんななぞかけのようなことを言ってきたことはない。 どっちかと言うと、俺の指示には従って、時には助言をくれるような存在だった。 なのに、なんでこんなことを言うんだ?

 

「ペイル」

 

「・・・・・・ナビゲートを開始します」

 

ようやく開始されたナビゲートに従って進むと、一軒の家に着く。 何の変哲もない二階建ての家だが、どういうことだ? 少し離れたところからハサンと家の様子をうかがう

 

『特に変わったところはないな』

 

『そうですね、普通の二階建てですな。 ですが油断なさらぬように』

 

『それはもちろんだが...... 中の様子が知りたいな、軽く石でも投げるか?』

 

『それだと割れる可能性があります。 私がノックしてきましょう』

 

隣から気配が離れる。 たぶん言った通り、ハサンが窓をノックしに行ったのだろう。 しばらくして、警戒するように窓が開けられる。 ピンク色の髪をした女性が窓を開ける。 だが俺はそれよりも、カーテンを開けたときに見えた知り合いの顔にがくぜんとした

 

「八神、さん」

 

おかしい。 あの子からは魔法の感じがしなかった。 うまく隠すにしても、四六時中隠していたのか? なら、なんでこの前に起こったジュエルシード事件に介入しなかった。 情報がうまくまとまらない

 

「どういう、ことなんだ?」

 

「マスター殿?」

 

俺の様子がおかしいことに気が付いたのか、ハサンが俺を揺らす。 それにより少しは動揺が取れたが、まだ動揺していた。 八神さんがイレギュラー? いや、それなら俺たちに突っかかってきたはずだ。 そうじゃないなら

 

「まさか。 ペイル、お前は知っていて」

 

「・・・・・・」

 

沈黙、つまりは肯定ということだろう。 いや、そもそも八神はやての時点で気が付いていないとおかしかったんだ。 原作、魔法少女リリカルなのはA'sの重要人物。 闇の書の主であり、最後の夜天の主。 そして闇の書が目覚めるのは

 

「六月四日、深夜......」

 

「マスター殿?」

 

俺の雰囲気が変わったことが分かったのか、ハサンは遠慮がちに声をかけてくる。 それに俺は力なく手を上げて答える。 そうか、そういうことだったのか。 ペイルがあの時声をかけてきたのも、俺がどこかで聞いたことがあると思ったのも

 

「ペイル、お前は分かっていたんだな、いつかこうなることを」

 

「・・・・・・すみませんマスター。 違えばいい、そう思って声をかけるのをやめたのですが」

 

「いや、お前の責任じゃない......」

 

俺は屋根から飛び降りる。 ハサンは俺の後ろをついてきているようだ。 そして件の、八神はやての家の前にたどり着く

 

『マスター殿?』

 

『・・・・・・』

 

何故これがここにあるのかはわからない、俺自身も驚いていたがそれを取り出す。 メッセージを添え、ポストへと入れる。 そして、家の方に振り向き

 

「さよなら、八神さん」

 

そう言って走り始める。 ハサンはその後ろをついてきていた

 

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「なにか、あったのか?」

 

「何がだ?」

 

クロノと会うと開口一番でそんなこと言われた。 本当に意味が分からないのだが

 

「いや、疲れたような顔をしているからね」

 

「あー...... 昨日中々寝付けなくてな、遅くまで起きてたから」

 

「はぁ...... 体調管理はしっかりしてくれ」

 

「すまん」

 

クロノに思いっきりため息をつかれた。 本当に呆れられているのか、それとも俺が何かを隠しているのがばれているのか。 たぶん半々かな。 それでもこいつは聞いてこない

 

「気を取り直して、行くぞ」

 

「あぁ」

 

こうして、俺とクロノの任務は始まった

 

 

 

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