俺、踏み台転生者にされました 作:サクサクフェイはや幻想入り
空から探せばリインフォースたちはすぐに見つかった。 結界の反応もあったし、何より封印のために魔法陣が見えたからだ。 俺ははやてに気を使いつつ、そこに近づく。 何やら話しこんでいるようだが、間に合ったようだ
「リインフォース!!」
「我が主......」
どこか気まずそうなリインフォースだが、それも一瞬のことで顔を上げはやてのことをまっすぐ見る。 交差する視線。 それを俺は少し離れたところで見ることにした
「お前が、はやてを連れてきたのか」
「俺は頼まれたから連れてきたにすぎない」
怒り心頭、みたいな目でこちらを見る雑種だが、暑苦しいったらありゃしない。 来るときも思ったが、雪が積もっているということは、昨日からずっと降り続いているということか。 ホワイトクリスマス、まぁ関係ないことだが。 空からの視線を戻せば、相変わらずはやてはリインフォースと視線を交わしていた。 いや、いつの間にか睨みつけていたが。 後、何故か雑種がこちらに来ようとしていた
「愚者の鎖」
「お前!!」
「おいおい、やめとけやめとけ。 あまり動くと儀式が崩れるんだろ?」
王の財宝をセットし、雑種を縛り上げておく。 こいつ、本当に何をするかわからないからな。 そんなくだらないことをしていると、ようやく口を開くはやて
「なに、してるん?」
「・・・・・・封印を。 今は防衛プログラムがありませんが、じきに夜天の書が新たな防衛プログラムを作り始めます。 そうしたら今度は騎士たちも主はやても侵食してしまう。 そうなる前に封印を」
「そんなん私が抑える!だから封印なんてせんでええ!!」
「いいのです、我が主。 仮に今回は抑えられたとしても、次やその次、と繰り返すことになります。 私は、その都度主を危険にさらしたくないのです。 どうか聞き分けを、我が主」
「聞き分け、いうんならリインフォースのほうや!私が主なんや、言うことを聞いて!!」
「いいのですよ、我が主。 私の意志は、騎士たちや貴女の心に残ります。 私は、最後の最後でたくさんのものを貴女にもらえました。 ですから、笑って逝けるのです」
はやての言葉はリインフォースには届かない。 手を出す気はなかったが、アイツが嘘を言っているなら話は別だ。 何が笑って逝けるだ、表面上は笑っているが俺は見逃さなかった。 一瞬だけ、ほんの一瞬だったが泣きそうな表情を。 だから手を出すことにした。 無言で歩き続け、魔法陣の一歩手前まで歩く
「神木理樹」
「よお、管制融合騎。 それとも、リインフォースと呼んだほうがいいか?」
「リインフォースで構わない」
穏やかな笑顔、それが俺をイラつかせる
「ならリインフォース。 俺もお前に聞きたい。 お前はさっき、笑って逝けると言っていたが本当か?」
「あぁ、本当だとも」
その瞬間、俺は魔法陣を踏み、封印の術式を壊す。 こんなことを予想していなかったのか、一同が固まる。 だが、約一人だけ固まってはいなかった
「お前、何してるんだ!!」
「あぁ、うるさいなぁ...... 少し黙ってろよ」
「うぐっ」
口元の王の財宝を展開し、布を巻きつける。 少しきつく締まったかもしれないが、まぁいいだろう。 静かになったことを確認し、リインフォースに向き直る。 そのころには硬直も解け、俺に詰め寄ってくる
「お前は、何を!」
「慌てるなよ。 そんなに封印してほしいんだったら封印してやるが、俺の質問に答えてからにしてもらう」
結界をはり直し、膨大な魔力を開放し、封印の術式をくみ上げる。 完成したのを確認し、俺はリインフォースに向きなおる
「さて、準備は整ったが。 いくつか質問だ。 今回の封印、お前は納得しているのか?」
「何をいまさら!今回の事は私から彼女たちに頼んだことだ!納得していないはず、ない!」
感情的になっているのか、声を荒げるリインフォース。 まぁ、そっちのほうが本音を聞きやすくていいのだが
「はやてに封印のことを告げなかった理由は?」
「主は眠っておられた。 それを起こすのは忍びなかったし、それに......」
「こうなることが目に見えていた、違うか?」
「・・・・・・」
無言の肯定。 リインフォースは俺から視線を逸らす。 はやては俺とリインフォースの話を静かに睨みながら聞いているし。 逆に何も言わないほうが怖いが
「まぁ、いいさ。 もう一回質問だ。 お前は笑って逝けると言っていたが、本当なんだな?」
「なんなんだ!その質問ばかり、私は!」
「お前がさっきしていた表情だよ。 一瞬、ほんの一瞬だったが泣きそうな顔をしていた。 誰かに助けを求めるような、な」
「っ!......」
自分でもそんな表情をしていたと思っていなかったのか、拳を握り俯くリインフォース。 どれくらいそうしていたのかわからないが、俯きながら声をあげるリインフォース
「・・・・・・だったら、どうすればいいんだ。 ゆがめられた基礎構造、最早正常だったころも思い出せないほど、改造されたこの魔導書。 このまま最愛の主と一緒に居れば、私は主を殺してしまう」
ようやく本音を語るリインフォース。 だが、俺はそんな御託を聞きたいわけではない
「俺は聞きたいのはそんなわかりきったことじゃない。 お前がどうしたいかだ」
「そんなもの!そんなもの!!」
俺につかみかかってくるリインフォース。 あぁ、そうだろう。 お前の願いなんてわかりきっている
「主と一緒に居たいに決まっているだろう!!ようやく、ようやくこの本の呪いも一時的とはいえ終わりを迎えた。 だが、私がこのままいればいつか主を殺してしまう...... なら!私は消えるしかないだろう!!」
「・・・・・・」
「私だって消えたくない!騎士たちと、主と一緒に居たい!!だが、そんなことできるはずがない......」
泣きながら心情を吐露するリインフォース
「なら願えよ。 お前のその願いが、真摯なものなら届くかもしれないぞ」
そう言って、王の財宝の一部を開けておく
「私は...... 私は、
「へぇ......」
今回開けた王の財宝が輝き始める。 なるほどな
「喜べリインフォース、お前の願いは叶う」
「なに、を?」
涙にぬれた顔でこちらを見るリインフォースだが、俺はそれに答えない。 だって答える必要もなく、
「リイン、フォース?」
「歪められた基礎構造も、防衛プログラムもすべて正常に戻っている? ユニゾンは出来なくなってしまっているが、それ以外に異常がない?」
「それって......」
誰もが息をのんだ。 それはつまり、リインフォースを