俺、踏み台転生者にされました   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第八十八話

クロノの後をついて中に戻れば、リンディさんやエイミィさんがプレシアさんと喋っていた。 これで全員揃ったわけか。 余計に面倒になりながらクロノの後ろをついて歩く。 そして、クロノが止まり俺も足を止める。 まぁ、予想通り高町なのは達のところのようだ

 

「さて、連れてくるべき人物は連れてきた。 後は君たちで話し合ってくれ。 昨日、魔法は見られてしまったしな、こちらからは何も言わない。 ただし、くれぐれも魔法のことは内密に頼む」

 

「まぁ、それは」

 

「はい」

 

数回しか会っていないはずだが、クロノとアリサ・バニングス達は普通だな。 まぁともかく、クロノは役目を果たしたと言わんばかりに別の輪に入っていく。 こっちの空気も何とかしていってほしいのだが、そこまではどうにかするつもりはないらしい。 話し合いに来たはずだが、雑種やフェイト・テスタロッサは睨んできているし、高町なのはは今回の話の中心のはずだが、こちらをチラチラ見るばかり。 はやては...... まぁ、仕方ないにしても、アリサ・バニングスや月村すずかは誰かが口を開くまで待っている。 非常に重い雰囲気なのだが、話をしないなら帰っていいだろうか? そういうわけにも行かないからこそ、俺がここに居るのだろうが

 

「はぁ...... さっきクロノも言った通り、昨日魔法の使用は見られているんだ、何が聞きたいんだアリサ・バニングス、月村すずか」

 

「前は馴れ馴れしくアリサって呼んでいたのに、今はフルネームなのね。 それも後で聞くけど、まずはなのはや織、、フェイトやアンタがいつから魔法にかかわっていたのかを話してもらおうかしら」

 

「ほら、出番だぞ高町なのは」

 

「わ、私が話すの?」

 

「他に誰がいる、ユーノか? クロノか? 友達だと思っているなら、お前から話すべきだろうに」

 

「う、うん......」

 

妙に落ち込んだ様子の高町なのはだが、俺は気にせずに一歩下がる。 なんで俺がこんな役回りをせねばならないのか。 そう思っていると、悲しくなってくる

 

理樹君が話したほうが早いんやない? ()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「・・・・・・」

 

気を抜いていたところに、はやてからそんな風に言われる。 俺の顔は、苦虫を嚙み潰したよう顔をしているだろう。 本当に嫌なところをついてくる。 俺の記憶を見た影響か、こういうところは容赦ない。 まぁ、仕方ない部分もあるだろう。 いきなり消えたからな、そこら辺を根に持っていても不思議ではない。 だが、それはそうかもしれないが

 

「俺が語って何になるよ。 確かに俺は当事者でもあるが、今聞きたいのは友達がどんな状況に居たか、だろ。 俺が語っても意味はないさ」

 

「ふーん、そんなもんかなぁ......」

 

そう言って俺ははやてから高町なのはに視線を戻す。 今度は誤魔化さなくてもいいからか、つっかえつっかえだがこれまでのことを話していく高町なのは。 その顔は何処か胸のつかえがとれたような顔だった

 

「なのはや織、フェイトは分かった。 でも、アンタは?」

 

高町なのは達の話を聞き理解をした様子のアリサ・バニングスは最後である俺に話を振ってくる。 と言っても最後だ、今の話を聞けば俺がどのような立ち位置だったかわかるはずだ

 

「俺の話は十分雑種やフェイト・テスタロッサから聞いたはずだが?」

 

「うん、そうだね。 でもそれはフェイトちゃんや織君の話だから。 私やアリサちゃんが聞きたいのは、そういう一つの視点じゃなくて神木君がどう感じていたかってことなんだ」

 

月村すずかの言葉に頷くアリサ・バニングス。 二人とも同じ気持ち、と。 まぁ、だからと言って馬鹿正直に話す気持ちはない

 

「俺から話すことは特にない。 雑種やフェイト・テスタロッサが言っていた通りだ」

 

「まーたそう言うこと言うんやな理樹君は」

 

「・・・・・・」

 

呆れた、とでも言いたげな顔で俺の顔を見るはやて。 その様子に月村すずかは気になったのか、探りを入れてくる

 

「前から思ってたけど、やっぱり神木君とはやてちゃんて知り合いだよね?」

 

「違う」

 

「そやで?」

 

俺とはやての答えは真逆だったが、その答えを聞いて月村すずかは笑みを深める。 それと、俺の答えが気に入らなかったのか、はやてがニマニマしながら俺のことを見る

 

「ほっほー、そんなこと言ってもええんやな?」

 

「・・・・・・」

 

なんとなーくだが、この後の展開が読めた俺は高町なのは達に背を向ける

 

「理樹くーん、何帰ろうとしてるんや? お話はこれからやで?」

 

「お前が話すならそれで十分だろ。 お前が話そうと話さなかろうと俺がしでかしたことは消えないんだからな」

 

「ちょっと、待ちなさい。 それはどういう意味よ?」

 

「・・・・・・」

 

俺はその質問に答えず、歩き出そうとする。 したのだが、腕をつかまれる。 それも、凄い力でだ。 引きずって歩いてもいいがそれもそれで面倒なので、振り返る

 

「どこ行こうとしてるの?」

 

「帰るんだよ。 もともと俺は連れてこられただけだしな」

 

「逃がすと思ってるの?」

 

それを笑顔で言ってのける月村すずかに感服ものだが

 

「逆に逃げきれないと思ってるのか?」

 

一触即発、みたいな空気になるが、その空気を払拭したのは意外にも雑種だった

 

「おい、待てよ」

 

「・・・・・・何だよ」

 

「お前のしでかしたこととかどうでもいい、興味もないからな。 だが、今までのことをフェイト達に謝れ」

 

「・・・・・・」

 

俺の今の顔は、はたから見たらとても面白いことになっているだろう。 それくらい衝撃だったのだ

 

「ククク、ハハハハハハ」

 

「何がおかしい!!」

 

思いのほか大声だったため注目を集めてしまったが、まぁいい。 雑種が掴みかかってきたが、それもどうでもいい。 謝れ、謝れと来たか。 このクリスマスパーティーで。 雰囲気が悪くなってきているとはいえ、俺さえいなくなれば元に戻る空気の中で、謝れと来たか。 こいつは本当に空気が読めないらしい。 まぁ、どうでもいいんだけど。 掴みかかってきた雑種の手を振りほどき、関節を極め床に押し倒す

 

「ぐあっ!?」

 

「織!やっぱり、お前は!」

 

「はしゃぐなフェイト・テスタロッサ」

 

流石にこの状況でフェイト・テスタロッサに関節を極めることはできないし、何よりの母親()がいる時点でそんなことをすれば俺の死亡が確定する。 なので、バインドで拘束するだけにとどめた。 まぁ、それでもプレシアさんからは睨まれているのだが

 

「さて、次はお前らだ。 全員武器を下げろ。 特にアサシン、お前は本気で殺そうとしやがって」

 

そうサーヴァントたちに声をかける。 俺が雑種に関節を極めたのはこのためでもある。 まぁ、私怨が混じっていないかと言われれば素直には頷けないが。 一瞬で玉藻とリリィが雑種の真後ろで剣と鏡を振り下ろそうとしていた。 マシュは盾こそ出していないものの、止める素振りはない。 ハサンは俺が関節を極めてるにもかかわらず、その首元にナイフを押し付けようとしていた始末だ。 全員渋々と言った感じで武器を下げる。 ハサンは一度霊体化を解き、ナイフを雑種に見せたうえでまた霊体化した。 まぁ、ハサンなりの警告だろう。 こういうのになれているやつらは何らかの形で対処しようとしていたり傍観していたりしていたが、高町なのは、アリサ・バニングス、月村すずかは何が起こったかわからなかった様子だ

 

「さて雑種、お前のおかげでパーティーがシラけたわけだが。 まぁ、どうでもいいか。 ちょうど良い機会だ、お前の望み通り高町なのは達には謝ろう。 今日は流石に雰囲気的にないから後日にしようと思っていたが」

 

そう言って雑種を愚者の鎖で縛り上げ、改めて高町なのは達に向き直る

 

「神木、アンタ」

 

「このオブジェクトは気にしないでくれ。 ともかく、今まで本当にすまなかった」

 

そう言って、俺は高町なのは、アリサ・バニングス、月村すずか、フェイト・テスタロッサ、はやてに頭を下げた

 




ハハッ、この程度、想定の範囲内だよ! とでも言って笑ってください

いや、本当に焦らしているわけでなく、キリのいいところまで書いたのと、無計画さゆえの話の広がりが、ね?(殴

そんなわけで、ネタバレまで可能な限り一日一本ということで。 俺としても引き延ばしたくて、引き延ばしているわけではないので......

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