俺、踏み台転生者にされました 作:サクサクフェイはや幻想入り
『助けて!ここに危険が、この声が聞こえている人は誰か、たすけ......』
意味不明な念話が途切れる。 全員聞こえていたのか顔を顰めている、いやタマモだけか。 ちなみにここにハサンはいない、ハサンには高町なのはの護衛を頼んでいるので、ここにはいないのだがさっきから念話は届いている
『マスター殿、高町嬢に動きが』
『どこに向かっているかはわかるか?』
『多分動物病院のほうかと』
ハサンとの念話をいったん終わりにし俺は立ち上がる
「行くんですねマスター」
「あぁ、そんなわけで後は頼む」
俺は玄関から外に出ると、ちょうどよく結界が発動されたようだ。 俺はその上から覆うように結界を作る。 この結界は魔術要素も絡んでいるため、魔力の消費はない。 効果は結界内の再生、簡単に言えば壊れたものを直す効果だ、後は簡単に人払いと高度の魔術結界なので、余程のことがない限り魔導士にもばれない。 効果はタマモのお墨付きだ。 転送魔法を起動させ、動物病院の近場の高い建物に転移する。 ちょうど思念体が病院に突っ込むところだった、周りを見回すと高町なのはの姿も。 だが一人役者が足りない
『ペイル』
『結界の方は範囲を伸ばしておきましたのでじきに......いえ反応ありましたこちらに近づいてきます』
どうやら役者は揃ったようだ、ちょうどなのはも思念体に襲われそうになっている、なら
「おい雑種、我が嫁に何をしている」
ちょうど高町なのはの目の前に降りるように計算をして、建物から飛び降りる。 王の財宝から剣を射出し弾幕をはる、だが何もせずただ単調に撃ちだしているためか、思念体には当たらない。 まぁ当てることを狙っているわけでもなし、別によしとする
「神木君? どうして?」
「嫁よ大丈夫か? 怪我などはしていないようだな」
見ていたので怪我をしていないことはわかっているのだが、一応心配しておく
「何かすごい音が......なのは!?」
「なんだ雑種遅れてきたようだが? 肝心なところで役立たずよなぁ!!」
遅れてきた雑種が高町なのはの姿を確認した瞬間駆け寄ってきたが、俺はここぞとばかりに煽る
「まったく、いつもいつも関わるなだの、困っていると言いながら今回の貴様の体たらく、飽きれて物も言えぬぞ?」
「お前に言われる筋合いはない!!」
激昂したように言う雑種だが、俺はそれを見て逆に冷めた。 激昂したいのはこちらなんだけどな、100%お前のせいじゃなくても、数割はお前のせいでこうなっているのにもかかわらずな、俺は思念体に向き直る。 どうやら俺を警戒しているようだが、タダ剣を射出しただけであんなに警戒されても困る
「ふん、勝手に喚いている雑種、アレは俺が倒す!!」
俺のと言うか、この借り物の能力である王の財宝だが、ペイルによると機能にロックがかかっているらしく、今現在使えるのはCランクまでの宝具と一部霊薬などだ。 それでも数は膨大なので射出する分には困らない。 だが思念体も学習してきたようで、段々当たらなくなってきた
「チィ!」
俺は焦ったように演技をし射出する数を増やす。 数を増やすということは被害が拡大するということで、そこら辺を軒並み更地にしていた
「やめるんだ!君のその力はこういう場所の戦いには向かない!!」
「黙れ!俺に命令するな!!」
「ならこうするまでだ!!」
王の財宝射出中は動けないとでも思っているのか、殴りかかって来る雑種、だが俺はそれをあえて受ける
「ぐっ!!」
ど素人が殴った為それほど距離は出ないはずだが、魔法で軽く飛んで距離を伸ばしておく。 まったく、こういうのも役目だからな、嫌な役目だ。 そこから俺はただ見ているだけだった。 高町なのはがジュエルシードを封印するところを、そして
「こういう戦い方はやめて」
瞳の端に涙をためながらなのははその場を後にした
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なのは視点
家を出て向かったのは、昼間に保護したフェレットさんを預けた動物病院へ。 なんであのフェレットさんだと思ったのかわからなかったけど、妙な確信があった。 動物病院の近くまで行くと、突如轟音が響き渡った。 その音に身をすくめるけど、音がしたのは動物病院の方からだった。 いやな予感がして動物病院に向かうと、そこにはフェレットさんと変な物体が。 変な物体はフェレットさんの方に突っ込むけどフェレットさんは避ける。 でも、避けたのはよかったけど結構高く飛んでいたため、私は着地地点に行きキャッチすると
「来てくれたんですね......」
声がした。 どこからと言われれば下の方からだったんだけど、右良し左良し、上下よし。 特に誰もいない、ということは? 胸の方を見るとフェレットさんがいる
「よかった......」
「しゃべった!?」
「えぇ、はい......じゃない、危ない!!」
「え?」
喋ったことに驚いていたけど、フェレットさんの鋭い声に前を見る。 さっきの変な物体が迫ってきていた。 これは避けられない、そう思った。 突然のことに驚いて私の体は動かない、でも
「おい雑種、我が嫁に何をしている」
怒気がはらんだ声が聞こえると同時に、空からいくつもの剣が降り注いだ。 続いて降りてきたのは
「神木君? どうして?」
ここにいるはずのない神木君がいた。 なんで、どうしてとも思うけど、どこか嬉しく思った。 相変わらず自分が分からない、この気持ちは何なんだろう? そんな私の内心とは関係なく、神木君は
「嫁よ大丈夫か? 怪我などはしていないようだな」
いつも通りだった。 そのことにちょっと苦笑するけど
「何かすごい音が......なのは!?」
織君も来たみたいだ。 織君もたぶん声が聞こえてきたのかな? 今は神木君と言い争ってるけど。 話し合いは決裂したのか、神木君が剣の射出を再開した
「すごい......どういうレアスキルなんだろう?」
腕の中でフェレットさんが何か言っているけど、私は別のことが気になっていた
「ねえフェレットさん」
「あ、はいなんでしょうか?」
「あの家って直るの?」
「いえ? っ!?」
フェレットさんも気が付いたのか呆然としていた。 だっていつの間にか周りの家は更地になっていて、たぶんフェレットさんのこの驚き方ってことは
「やめるんだ!君のその力はこういう場所の戦いには向かない!!」
「黙れ!俺に命令するな!!」
フェレットさんはそう言って止めるけど、意地になっているのか神木君はとまらない。 その間にも家は次々に壊れていく、これじゃあ!
「フェレットさん、これを止める方法はないの!?」
「一応あります、これを使ってあの思念体を封印すれば!」
そう言って私に差し出したのは、フェレットさんについていた赤い宝石。 私はそれを受け取る。 この宝石、少し暖かい感じがする
「お願い!私にこれを止める力を貸して!!」
「了解ですマスター」
宝石が喋ったとかそんなことに驚いている暇はない、そんなことよりも早く止めなきゃ。 頭に浮かんできたのは多分この子の名前と呪文、私はそれを唱える
「我、使命を受けし者なり。 契約のもと、その力を解き放て。 風は空に 、星は天に、そして不屈の魂はこの胸に。この手に魔法を!レイジングハート、セットアップ!!」
「初期起動を確認、貴女を守るバリアジャケットと魔法の発動を補佐する杖を想像してください」
レイジングハートの言葉を受けて想像するのは、杖と衣服。 杖は魔法少女っぽく、服は思いつかなかったので聖祥大付属小学校の制服にしておいた。 ピンク色の光が晴れ目を開けて見ると
「え、えぇ、えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
私の姿は想像した通りの姿になっていた。 なにこれ!?
「マスター、呆けている時間はありません、ジュエルシードの封印を」
「はっ!でもジュエルシードって?」
「詳しい説明をしている時間はありませんので簡潔に、あの思念体を動かしているものの名称です」
いつの間にか神木君の攻撃は終わっていて、少し離れたところに倒れながらこちらを見ていた。 そうだ、早く封印しなくちゃ! 神木君が攻撃しなくてもあの思念体っていうのが被害を増やすかもしれないし!
「どうすればいいのレイジングハート!」
「心に浮かんだ呪文を唱えてください、封印はこちらでします」
そう言われて集中する。 心に浮かんだ呪文......
「レイジングハート、お願い!リリカルマジカル、ジュエルシード封印!!」
レイジングハートがピンク色の光の帯で身動きを取れなくして、何故か苦しみだす思念体、次の瞬間青い宝石が宙に浮いていた。 何が起こったんだろう?
「封印は成功だ! あれがジュエルシードです、レイジングハートで触れてください!」
フェレットさんに言われた通りレイジングハートでジュエルシードに触れると、レイジングハートの宝石部分にジュエルシードが吸い込まれていった
「これで終わり?」
「うん」
フェレットさんの言う通り終わったのか、変身が解けてさっきの服装に戻る。 終わったのはいいけどなんだか呆然としてしまう。 遠くからサイレンの音が聞こえる
「なのは行こう、ここにいたら疑われる」
「あ、うん、ちょっと待って」
織君の言葉にハッとなるけど、その前にどうしても言いたいことがあった。
「こういう戦い方はやめて」
私はそう言うとそのままこの場から立ち去った
~なのは視点end~
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「マスター殿」
「ハサンか、なのはの方の護衛は?」
「すぐに戻りますが、よかったのですか?」
「・・・・・・さっさと護衛の方に戻れ」
「了解です」
ハサンが行ったのを確認し仰向けに寝転がる。 街灯も壊したためか星がよく見える
「ペイル」
「今回の行動でポイントもだいぶ溜まりました。 やはり民家を壊すように見せかけて、なのは様を怒らしたことが神的にはよかったのでしょう」
「ふん」
小さく鼻を鳴らし、結界の魔力を多めに注ぐ。 こうすれば再生するスピードも少しは早くなる。 周りを見ると更地ではなくなったとはいえ、壊れた民家がちらほら見受けられる。 再生すると言ってもやはり心が少し痛い。 俺は頭を振り再生を見届けてから結界を消し家に帰ることにした