俺、踏み台転生者にされました 作:サクサクフェイはや幻想入り
昼休み、俺は言われた通りに校舎裏に来ていた。 来たのはいいのだが、呼んだ当の本人はいない。 呼んだのにもかかわらずいないのは失礼な話だと思ったが、元々失礼な奴だということを思い出し納得した。 今朝は俺が朝食を作ったため、弁当は作っていない。 なので、家に適当に合ったパンをかじりつつ雑種が来るのを待つ。 校舎裏ということでさびれており、人気はもちろんベンチもない。 少し行儀は悪いが、校舎に寄りかかりながら食べている。 ほんと、なんでこんな薄暗いところで昼飯を食べなければならないのか。 どうせなら教室で食べればもっと温かいだろうに。 それに朝は晴れていたが、今は曇天。 外は余計に寒い。 なんて、何も考えずに空を見上げていると足音が聞こえる。 数までは分からんが、複数人校舎裏、つまりこちらに近づいてきている。 雑種が人数を連れてくるとは考えられないから、他の奴らかと思い少し警戒する。 が、それは無駄だとすぐに警戒を解く。 やってきたのは雑種で、
「人が昼休み開始から待っていれば、人を連れてこないと話も出来ないのかお前は......」
「・・・・・・喧嘩を売っているのか?」
「事実だろうよ」
今回はこらえたようだが、本当のことだろうに。 今にも殴り掛からんとする雑種だが、それに待ったをかけたのはアリサ・バニングスだった。 本当に苦労人だな
「織はいったん落ち着きなさい。 神木はその喧嘩を売るような態度はやめなさいよ」
「俺は別に!」
「別に喧嘩を売ったわけでもないが...... まぁ、善処しよう」
「こうなることが分かってたから、私たちはついてきたんだけどね......」
「私はもうよそよそしくする必要がないから、理樹をお昼に誘いに来たんだ!」
俺がそう言うと、苦笑しながら答えたのは月村すずか。 まぁ確かに、俺はそんなつもりはないのだが売り言葉に買い言葉。 休み時間の雑種と俺の会話を見るに、何らかの緩衝材は必要だろう。 その役が、この五人、と。 ともかく、アリシアには悪いことをしたな
「もう昼なら食べたからな、悪いことをした」
「全然気にしてないから大丈夫だよ!」
俺とアリシアの会話を羨ましそうに、そして苦しい表情で見ている高町なのは。 意味が分からん。 高町なのはに気が付かないふりをしつつ、話を戻すことにした
「それで? 俺の聞き間違いじゃなければ、俺と戦いたいといっていたような気がするが、正気か?」
「ふざけているのか!!あんなものを見せて同情を誘うつもりだったんだろうが、俺は騙されない。 俺を転生させてくれた神様があんなことをするはずがない!お前がみんなを騙そうとしているのは明白だ!」
「ここまでくると、あの人形どもと同じだな」
「事実だから何も言えないんだろう?」
雑種がどこか勝ち誇ったように言うが、呆れを通り越して感心するというか......
「事実かどうかなんてこの際どうでもいいから置いておくとして、俺がそれをやるメリットは? こうやって距離を置いているのに、そんなことをするメリットが感じられないんだが?」
「それすらも演技、違うか?」
「ちょっと織、それはいくら何でも言いがかりよ」
雑種の様子を見かねてか、アリサ・バニングスが仲裁に入るが調子に乗った雑種は聞く耳を持たず、さらに突飛なことを言い始める
「大体おかしいと思ったんだ。 アリサやすずかだってついこの間まで嫌がっていたのに、今ではこうやってお前に味方している。 お前がなんか能力を使ったんだろう? それであの記憶だって」
「・・・・・・お前の言っていることが仮に、そう仮にだ、正しかったとして、なんで最初からその能力を使わなかった?」
「それは使おうとしても神様が防いでいた」
「ならなんでその能力を使って、ここに居る全員の好感度とかをあげないんだ?」
「流石にお前にも良心というものがあって、それが咎めているからじゃないか?」
「・・・・・・」
まるでお話にならない。
「織君、いくらなんでもそれは私たちにも失礼じゃないかな? 私たちは、私たちに考えて今の神木君に接してるの。 それを能力でどうこうなんて、私たちにも失礼じゃないかな?」
「だからそれすらも能力で......」
「まるでお話にならないね」
「アリシア?」
それまで黙っていたと思ったら、口を開いたアリシア。 その声は冷たく、雑種を見下すように見ていた
「さっきから聞いてれば、神、神、神って、頭おかしいの?」
「か、神木の記憶を見たなら、神の存在は!」
「都合のいい時だけ理樹の記憶に頼るんだね、吐き気がするよ。 流石に幼少期やあの修行の時のことは分からないけど、私が見た範囲で嘘はなかった。 それを信じようともせずに、頭から全否定。 転生者なら見た目の年齢より上でしょ? 少しは考えなかったの?」
「・・・・・・」
ポカンとする雑種だが、アリシアの言い分は正しい。 と言っても、俺自身、はやてが見たといっている記憶を見ていないので何とも言えないのだが
「用件も言わずぐちぐちぐちぐちと、さっさと用件を話したらどうかな? 勝ち負けなんかわかりきったことだけど、勝負をすれば済む話でしょ?」
「あ、アリシア。 織がポカンとしてるから......」
「フェイトもフェイトだよ。 お姉ちゃんとして言うけど、こいつの肩を持った発言はやめたほうがいい、フェイトの評価にもかかわるから」
なんか問題が飛び火したが、あそこは家の問題なので気にしないことにした。 家族の話というのは、部外者が口を出し辛いものだ。 さて、変な空気になってしまったが昼休みもあと少しだ。 用件を再度聞かないとな
「それで? さっきも言ったけど用件は?」
「俺と戦え!今、ここで!」
「え? お前本当の馬鹿じゃないの? 今ここで? 場所を考えろ場所を。 何も関係ない、魔法も使えない一般人を巻き込むつもりか? それに、魔法はこういう魔法技術の発達していない世界じゃ、むやみに使わないことになってるだろ? 民間協力者なんだからそのくらいは知ってると思ったが、そこまで無知だったか...... それに俺たちは学生、これから授業だ」
「そんなのは関係ない、今、ここで!」
デバイスである剣のアクセサリーを構え、今にも変身しそうな雑種を結界を展開しバインドで拘束する
「結界......」
「展開が速い......」
「お前、何仕事増やしてくれてんの? 一応言っておくが、俺は嘱託魔導士の資格持ってるし、事件にもかかわるから逮捕権もあるからな?」
「離せ!」
「いやだよ。 離した時点で、お前俺に向かってくるだろ? そんな危険人物離すわけないだろ?」
そう言って、俺は背を向けその場を離れようとする。 さっきも言ったように、もう少しで予鈴が鳴る。 早退してもいいが、それは手続きが面倒なのでパスだ。 リンディさん達にバレれば、それもそれで面倒だし。 魔法はばれているだろうが
「ま、待って!」
「なんだよ?」
急いでその場を離れようとすれば、背中に声がかかる。 その声の主はフェイト・テスタロッサで、俺を見ていた
「織はどうするつもりだ」
「おいてくよ。 少し、頭でも冷やしてろ」
俺はそう言い残し、雑種たちをその場に置いていく。 まぁ、バインドは予鈴が鳴れば解ける仕組みなんだけどな