感想、評価があれば嬉しいです(`・ω・´)
プロローグ 神の悪戯のせいなのか分からないが、彼は生まれた
彼はとても合理的だ。
合理的に生きている…少なくとも周りから、彼はそう見えている。無意識に、そう生きている。
例えば「勉強」。
勉強とは?と語れば様々だろうが、彼はこう考える。
「積み重ね」だと。
言ってしまえば誰もがそうだ、と言うだろう。誰もが考え付く答えであろう。
しかし、それを幼い頃から気付き、やり続けるのはそう容易い事ではない。
例えば「スポーツ」
彼はこう考える。
「反復」だと。
言ってしまえば誰もが……さっきの繰り返しだが考え付くことだ。
しかしそれを幼い頃から成せるか?と言われれば、そう上手くはいかない。そのスポーツに子供自身が心からのめり込んでいたり、天才肌であれば話は変わってくるのだろうが……彼はそのどちらでも無かった。
言ってしまえば自業自得、持って生まれなかった……そんな戯言で終わるクソな人生。
しかし、
「転生」……最近の流行りであるこれが彼の身に起きたのだ。
前世は病によって35年で幕を閉じ…そして彼は気付くと──幼稚園児になっていた。
彼は自分の身に何が起きたのか理解出来なかった。
時刻は20時。場所はベットの上。
しかし、目に写るは病院の天井ではない。
見渡せばそこは自分の部屋のようで、そばには名前が入った小さな黄色のカバンがあった。
名前は自分の名前が入っている。
これはもしや過去へ意識がタイムスリップしたのか!と思ったが、過去の自分の家にはこんな部屋は無かったのでその考えは消えた。
彼は思い切ってその部屋を出た。
ドアノブに手を掛けるのが少し面倒で、身体が小さいと不便だなぁ…と彼は感じながらも、小さな足で廊下を歩いていく。
すると、階段が見えた。どうやらここは2階だったらしい。
幼稚園の子にいきなり2階の部屋ってのは危なくない?階段から落ちたらどうすんのよ…なんて考えるが、頭脳は大人の彼にはあまり関係ない。
階段を降りると、灯りが漏れているドアがあった。
多分、リビングだろう。テレビの音が聞こえてくる。
そして……両親らしき男と女の笑い声も。
彼は迷った。何もわからないこの状況、いきなり身体が小さくなったこの状況で…あのドアを開けてしまっても良いのだろうか?と。
しかし考えても無意味だと彼は悟る。こんな非現実的な事が起きてる時点で、まともな答えなんて出るわけが無いのだから。
───勇気を振り絞って、彼はドアを開けた。
そして彼は唐突に──泣いた。声を上げず静かに泣いた。
ドアが開いたのに気付いた両親は、座っていたソファから飛び上がるように立ち上がって彼の元へ駆け寄った。
どうしたの!?怖い夢でも見た!?もしかして…階段から落ちた!?でもそんな音聞こえなかったし!だったらなんだろう?あー、どうしよう!いきなり部屋で1人にしたのがいけなかったのかな?でも電気はつけたままにしておいたわよ?だとしたらどうして…………
両親の慌てている中、彼は泣きながら笑った。
突然泣いてしまった理由は2つ。
両親の顔は前世の両親とは別人だ。しかし顔を見た瞬間、これまでのこの子の記憶が脳裏に巡り蘇った。
そこにあった思い出は全てが暖かいものだった。愛に溢れていた。
彼はそれに感動し、同時に
こんなにも愛されていたこの子の人生を、いきなり自分が奪ったように覚えてならなかったからだ。
しかし…泣き疲れた彼は考えを改める。
確かに人生を横取りしたようにも感じだが、この子は奇しくも自分と同じ名前だった。これには何かしら意味があるのだろう。
───ならば出来る事は1つだけだ。
悔いのないように生きよう、今度こそ。
前世の過ちを償う為にも、人生を楽しむ為にも。
それが互いにとって一番良い選択だと信じて。
さっきまで泣いていた彼がくすっと笑うと、両親はポカンとした顔で見つめ…微笑む。
「ねぇ…お父さん、お母さん。あのね…聞いてほしいことがあるんだ」
こうして──神の悪戯せいかは分からないが彼…
そして彼は結果を求め──