やはり彼は合理的に生きている……はずである。   作:空宮平斗

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感想、評価、お気に入りありがとうございます!(恒例)

さて、今回もしっかりまとまったかは分からないですが、楽しんで頂ければ幸いです!

今回はオリ主視点からです。







無知が罪であったとしても、問えばかならず彼は応える。

 

 

 

 

 

俺の家は、ごく一般的な普通の家庭だ。

 

人によっては、もしかしたら普通より少し裕福に思えるかもしれないし、共働きをしているってことを考えれば貧乏と言えるかもしれない。

 

だがそんなのはどうでもいい。

 

 

 

 

 

問題なのは………二週間前ほど前から、家政婦(みたいなの)が二人に増えたことだ。

 

 

 

は?何言ってるか分からない。

 

そうだろうな俺もだ、わけわからん!

 

いや俺は悪くないよ?本当にこれっぽっちも悪くない。だって俺は話が流れるままに任せていただけなんだ!

そうしたらいつのまにかあの人、勝手に隠してる鍵をみつけて家に入って大掃除し始めて…やってること下手したら空き巣じゃん!結果的に空き巣防止になってるから何も言えないけど!

しかも掃除プロ級だし!なんなの?雪ノ下家ってハイスペック製造家なの?あー、俺もハイスペックになりたい!

 

あっ…そういえば笑顔が終わってる時点で無理でした。

 

 

にしても雪ノ下も相当色々出来る子だと思ってたけど、雪ノ下さんそれ超えてくるな!やべーわ!

 

はぁ……雪ノ下さん、すっごい苦手だと思ってたけど、正直…完璧超人って言ってもいいくらいだわ。きっと見直すわよ、的なこと言ってたけど…うん、こりゃ見直さざるをえない。

 

だってもう家事全般、二人がやってくれてるわけだしね!

でもさ…一つ言いたい。

やってくれるのは良いんだけど…ダラける時まで俺の家じゃなくても良いと思うんだ。

 

「姉さんまで一緒にやる必要はないんじゃないかしら?」

「だってー、もう私のやることこれくらいしか無いんだもん」

 

ああ、たしかに。おかげで家はピッカピカ、輝いてるのが分かるくらい。でも掃除終わったら帰っていいんだよ?ほら、自分の家の方が落ち着くっていうし!わざわざここで一緒に勉強やら遊びやらしなくていいと思う!

 

しかも部屋着まで持参して!地味にエロティックなんだよ!意識しないようにしてるけどそう思っちゃうんだよ!

 

「やることないのは、姉さんが本気出し過ぎたのが悪いんじゃない?」

「えー、私のせい?あんだけ言いきっちゃったら本気でやるしかないでしょう」

 

だからって加減を考えろ(マジトーン)

やるペースも、出来の具合もホントに一人でやったとは思えないんだよ。むしろ業者呼んでますって言ってくれた方が納得できる出来なんだ。もう化け物かよ。

 

「だからって……毎日昼休みに早退して本格的な掃除しに来るなんて誰が想像できると思うの?」

「ふっふっふ…驚いた?」

「呆れたのよ」

 

ホントだよ(マジトーン)

驚いたし呆れたよ。ていうかアンタ学校サボってたんかいっ!

 

「雪乃ちゃんひっどいなぁ〜。あっでも、君は驚いてくれたわよね?」

「……………」

「もう無視しないでよぉ〜」

 

無視じゃなくて…言葉が出ないってやつです、はい。

 

「姉さんがしつこいのがいけないんでしょ」

「えー、でも小学生の勉強なんてたかが知れてるでしょ?そんな真面目にやらなくても、鎌ヶ谷くんなら満点間違い無しじゃない」

 

あ、あざっす…。

 

………。

 

べ、別に照れてねぇからな!

 

「前にテストでケアレスミスしたことがあるから、研くん抜かりないのよ」

 

あー、あー、そんなの研くん知らなーい。

 

「それに雪乃ちゃんが確認も兼ねて一緒に勉強してると……ふぅん、お姉さんはそれが理解出来ないのよねぇ」

「理解出来ない?」

「別に雪乃ちゃんじゃなくたっていいじゃない。ここにもう一人いるでしょ、勉強出来るお姉さんが♪」

 

そっか…でもそれじゃあダメなんだよなぁ。

 

「…はぁ…言いませんでしたっけ?うちの先生が作るテストって予想してない問題を出すことが多いんです。教科書にも、ノートにもとってないような問題。例えば口答で言った豆知識とかね。だから同じクラスの雪乃が適任なんです」

「おお、やっと喋ってくれたぁ〜」

 

そのレアものみたいな反応やめい。

 

「……姉さん」

「でも鎌ヶ谷くん、それだったら雪乃ちゃんじゃなくても良いでしょう?ほら、隼人とか」

「冗談言うの好きですね、雪ノ下さん。アイツが俺をどう思ってるかくらい知ってますよ」

 

実はもう存在忘れかけていたけど!誰だっけその葉っぱ?

 

「例えよ、例え。そんな先生の授業なら他の子だって身構えて授業聞いてるはずでしょ?」

「その先生の授業…催眠授業って言われてるんですよ」

 

俺もたまに負けて眠くなる。

その点、雪乃ちゃんスゲーよな。あの授業受けて目が刮目してんだもん。(トッポ感)

 

「ぷっ、あはははっ一人はいるわよねぇ、そんな先生」

 

マジで困ったもんですよ。あの催眠教師の授業、始まって5分も経たないうちにクラスの三分の二が寝てるんだぜ?15分後にはほぼ全滅。あり得ないだろ…くそ、あの教師さえいなけりゃ、こんなに勉強しなくたっていいのに。

満点逃したテストもそのクソ教師のせいだから尚更腹立つ!

 

「…もういいでしょう、姉さん。研くんの邪魔になるわ」

「えぇ〜、そんなことないわよ。ねぇ?」

「邪魔です」

 

あ、サーセン。あのクソ教師への苛立ちが言葉に出ちった。

 

「ありゃりゃ…手厳しいなぁ。仕方ない。なら飲み物持ってきてあげるわ」

「…それなら私がやるわ」

「いいわよ、雪乃ちゃん。勉強頑張ってるんだし…それに、これくらいのポイント稼ぎじゃ鎌ヶ谷くんはどうとも思わないものね?」

 

ポイントって…まさかそういう意味じゃないよね?

 

「何のポイントかは知りませんが、飲み物はありがたいです。紅茶でお願いします」

「雪乃ちゃんは?紅茶でいい?」

「ええ」

「おっけー、任せといて!」

「…あら?そういえば玲那ちゃんは?」

「玲那なら遊びに行ってるよ。あいつは俺と違って、友達作るの上手いからな」

 

まあ、本人いわく…だけど。

 

「そうなの。なんか…寂しいわね」

「大丈夫だ。どうせ今日も早く帰ってくる。雪乃に…それと雪ノ下さんにも懐いてるからな、玲那」

「ホントに玲那ちゃんいい子よねぇ〜。あの子、私の掃除の腕見てコツを教えて欲しいって頼み込んで来たのよ?まだ三年生なのにしっかりしてるわ。それにお兄ちゃん想いだし。それに比べて雪乃ちゃんはお姉ちゃんに対してもう少し優しくしてくれても…」

「姉さん?紅茶淹れてくれるんでしょう楽しみだから早く行ってくれないかしら?」

「聞いた鎌ヶ谷くん!私、お姉ちゃんなのにまるで召使いのように…」

「姉さんが行くって言ったんじゃない」

「言い方ってもんがあるでしょー。ねえねえ、酷いと思わない?」

「俺も紅茶楽しみということにしてるのでさっさと行ってください」

 

雪ノ下さん行く気ねぇだろ。紅茶、紅茶はよ。

 

「うわーん!二人とも意地悪ぅ!後で玲那ちゃんに慰めてもらうんだから!」

 

嘘泣きしながら出て行く人って…ホントにいるんだ。

言っちゃ悪いけど、クサい演技感すげーな。ホントは真剣な顔もちでなんかしてたりして………ねぇな。

 

「はぁ、ごめんなさいね研くん。姉さんが邪魔ばかりして」

「別にいいよ。確かに雪ノ下さんのおかげで家は見違えるほど綺麗になったし、家族も喜んでる。玲那も雪ノ下さんこと好きらしいし…。俺にはメリットしか無いんだから、特に不満はない」

 

もう半分くらい君のお姉ちゃんってより家政婦って思えてきてるくらいだし。

 

「それに…凄い人だと素直に尊敬しているよ。俺にはあんな生き方は出来ない」

「…そうね」

 

あっ、やっぱ雪ノ下ちゃんもそう思う?

 

「本当に凄いよ。あんな厚い仮面みたいな笑顔浮かべて、人に好印象を与えてながら話すことなんて出来ない」

「気付いてたの?普通の人なら分からないのに」

 

分からない?…いやいや!

 

「流石に気付くよ、あの外面をずっと見ていれば」

 

でもマジ怖い、マジ苦手。

雪ノ下さんみたいな本心語らない系ってマジなんなんだろうね?やっぱ心と心がぶつかり合うのが大切だよなぁ。

 

…?今誰か、お前が言うな、とか言った?

 

「ねぇ、研くん…」

「ん?なんだ?」

 

…?どうしてそんなに目をキョロキョロしてるの?え、なに?俺の社会の窓でも開いてた?

 

いやまずチャック無いタイプだったわ。

 

「その……いえ、ここの問題なんだけれど…」

 

……スゲー間が気になるけど、まあいいや。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

こ、紅茶まだですかぁ〜?

あの完璧超人が紅茶淹れるのに15分もかかるなんておかしくないですかね?

もう俺の口は紅茶の口だから、飲みたくて仕方ないんだけど…。うずうずが止まらないんだけど!

 

「雪ノ下さん、遅くないか?」

「…姉さんの事だから、またなにかくだらないことでもしてるんじゃないかしら?」

 

んーあの雪ノ下さんがやるって言っておいて、くだらないことに時間割くかなぁ?

雪ノ下ちゃん…もしかしてお姉さんのこと気にして欲しくないのかな?

 

だかしかし…それでも俺は!紅茶が飲みたい!(明日が欲しい的な)

 

「俺、行ってくるよ。喉乾いたし…」

「わ、わざわざ研くんが行かなくても良いと思うのだけれど?それなら私が行ってきましょうか?」

 

雪ノ下ちゃん、いつもやってくれようとするよね。

 

「いや、いいよ。すぐに戻ってくるし、雪乃は待っててくれ」

「でも……いえ、分かったわ」

 

おお、ホント雪ノ下ちゃん、物分かり良過ぎ。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

「玲那ちゃんは彼に似てとても魅力的だから、貴女らしく素直に生きていれば、すぐに友達が出来るわよ。本当の友達がね」

「陽姉ちゃん……」

 

あれ、玲那帰ってたの?

てか……なんか空気重い…?

 

「でもね、これだけ覚えておいて。アドバイスしたけど、それが全てじゃない。我慢だってたまには必要だし、大人になれば自分らしくない振る舞いが必要になるわ。だから大切なのは玲那ちゃんの意思よ」

「意思…?」

「何をどうしたいかをしっかり決めること。それだけで玲那ちゃんは大丈夫よ」

 

あれぇ?よく状況が分かるような分かんないような感じだけどこれだけは分かるぞ!

 

雪ノ下さんがお姉さんやってる!

 

嘘だろ。しかもすごい良いこと言ってんじゃん!

 

「…ぅうっ…陽姉ぢゃん。ぁ、ありがどぅ……」

「そんな泣くことでもないでしょう?ホントにもう…可愛いんだから」

 

くそぉ、玲那をあそこまで懐柔するとは…!兄として悔しい…けど悩みを聞いてあげてたんだろうから、なにも文句は言えねぇ…。

 

とりあえず話しかけますか。

 

「玲那、どうしたんだ?」

「か、鎌ヶ谷くん?!」

 

なにその浮気現場見られたみたいな反応は。

 

「これはその…私が悪いわけじゃないのよ?」

「…………」

 

そんなあたふたしなくていいじゃん。知ってるよ、アンタが悪いことしてないのは。

 

「そ、その…事情は説明するから…いったん外にでましょう?玲那ちゃんはリビングで座らせておくから」

 

別に外でなくてもいいよ?

いや、雪ノ下さんが外がいいなら出るけどさ。

 

「…先行ってますね」

「ええ。すぐ行くから」

 

………なに焦ってんだろう、あの人。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

雪ノ下さんは懇切丁寧に説明してくれた。玲那が泣いた経緯(いきさつ)を。

 

「………そうですか」

 

俺はそれしか言うことがなかった。

 

だってほとんど分かってたもん。なんも反応しようないもん。

 

「分かってくれるの?」

「ええ。玲那が悩んでいたのは知っていました。ただ…俺が声かけるのは違うと思って見守っていたんです。玲那は素直ですから、パンクしそうになれば雪乃あたりに相談すると思ってたんですが、その相手がたまたま雪ノ下さんだったというだけです。もしもの時は俺がなんとかしよう思っていました」

 

なんとかしようと思ってました…って言ったけど、玲那が悩んでたの友達が出来ないことだったのかぁ。

喧嘩しちゃった、テヘッ☆くらいだ思ってたのに…友達の作り方とか、それはなんとか出来ねぇわ。だって俺に友達って言えるやついないし。

 

あっでも、雪ノ下ちゃんは……あれ、あの子はどう言う扱いになるんだろうか……。

 

「よかった……本気で怒られたらどうしようかと思ったよ」

 

え?そんなこと思ってたの?だから焦ってたのか。

 

でも怒る…ねぇ?

 

「怒る?…俺が雪ノ下さんに怒ったところで、貴女は何も思わないでしょう」

「なんで、そう思うの?」

「貴女にとって俺は歳下です。立場とかそういった些事なことを考えなければ、少なくとも俺は歳下に怒られてショックを受けるとは思えない。あくまで俺は、ですが」

 

俺は、そう思うよ?俺はね?

 

「でも私は、君に怒られたくないよ」

 

なぜに?まさか……いや、ね。

 

「理由を聞いても?まさか俺に嫌われたくないとか、そんなことじゃ」

「そうだよ」

 

…は?

 

「は?」

「私はね、君に嫌われたくない。君のそばに居たい。君を…ずっと見ていたいの」

 

ん?んん?んんん?ちょい待ち。

 

「何言ってるんですか?それじゃあまるで…」

 

告白に聞こえてくるんですが?

 

「ねぇ、鎌ヶ谷くん。私とさ……付き合ってみない?」

 

…マジですか。

 

「…本気ですか」

「うん。私は、鎌ヶ谷 研の恋人になりたいの♪」

 

 

 

えんだぁぁぁぁああああああああ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

いや〜〜。

 

 

 

まいったねこりゃ。

 

 

 

 

うん、いったん落ちけつ。

 

どうしよ…なんかいきなり俺に春が来たようだ。陽乃さんだけに。

 

いや、ふざけていい場合じゃねぇ。俺はまだ小学生だぞ!流石に無理だろ!中身は……まあ、アレだけどさ!

 

こういうのは即決即断!

 

「えーと、それはお断り…」

「理由はなぁに?」

 

あれま怖いわよ、貴女。

なぁーんでそんな人を殺せる目をしてるの?本当に怖くてたまら……いやホント怖いですマジでごめんなさい理由言いますから殺さないで!!

 

「……雪ノ下さん、俺が小学五年って分かって言ってるんですか?3つも離れてるんですよ?」

 

大人であればたった3つと言えるけれど、小学生と中学生の3つの差はあまりに大きい。そうだろう!

 

「分かってるわよ」

 

あっ絶対分かってないやつだ。でもこれじゃあ言って聞かせても無理っぽいな。

 

「はぁ…なら一つ良いですか。どうして俺なんですか?こんなガキじゃなくても、雪ノ下さんほどの美人ならもっと良い男が寄ってくると…」

「び、美人なんて…君に言われると照れるね♪」

 

照れるね♪…じゃねーよ!なに惚けてるんだ!こっちは久々に真剣なんじゃ!

 

「ふざけないでください。真剣に聞いてるんですよ」

「私だって真剣だよ。君の隣にずっといたい、そう思って告白したんだから」

 

……言葉の重みがヤバい。

 

「それともなぁに?私みたいなお姉さんじゃ不満?」

 

え?いや…不満どころか……あれ、考えてみればこの人ほど優良物件いなくね?スタイル容姿スペック将来性…どれとっても最高峰では?

 

んー、でもなぁ。

 

「不満ではないです。雪ノ下さんほど優秀で綺麗な人なら」

「っ!?じゃ、じゃあ…」

「でも、それだけじゃダメなんですよ」

「…なにがダメなの?私ならなんでもしてあげるよ?私には出来ないことの方が少ないんだから。ねぇ、なにがダメなの?」

 

こ、怖い。怖いよ怖い!さっきから怖いしか思ってない!普通こういう時ってもっとアレじゃない?キュンキュンとかズッキュンとかそんな感じにときめくはずでしょ!?

 

なんで恐怖しか感じてないの俺!?

 

「いや、ダメというか……」

 

あまり恥ずかしくて言いたくないんだけど…。

 

「俺は…その、付き合うのなら…結婚することまで考えてしまうんですよ。そう考えた時、雪ノ下さんと恋人から家族になるって考えた時、今の貴女じゃ、たぶんうまくいかない」

「…………」

「雪ノ下さん。俺のことを別に心から好きって思ってませんよね?だいたい、たった二週間の付き合いで俺に好意を抱くとは考えにくいですし」

「鎌ヶ谷くん…君、かなりカッコいい方だと思うけれど?一目惚れってこともあるんじゃない?」

「世辞はいいです。俺が言いたいのは、俺のことが好きで付き合いたいわけじゃないですよね?」

 

やっぱ付き合うなら愛がないと、ね?

え、クサイこと言うなって?馬鹿野郎、女と付き合うなら愛しあってこそだろ!

 

「鎌ヶ谷くん。随分と……つまんないこと言うんだね」

 

ぐふっ!つまんないですと!?しかもなんて冷たい目!

 

「いつもの貴方らしくない。貴方は自分のメリットだけを求める怪物でしょ?なのに好きとか、そんなこと貴方は考えないでしょう?」

 

俺らしくない…?メリットだけ求める怪物…?

 

え、俺って変身できる系の能力持ってたっけ?

 

「意味がよく分からないんですが?」

「鎌ヶ谷くんは合理的で、自分の望むことはどんな手を使っても達成する。邪魔なものは排除する。そういう子でしょ?」

「いや、俺…そんな風に思われてたんですか?」

「実際そうじゃない。雪乃ちゃんも私も役に立ってるからそばに置いているだけ。もし価値がなくなれば追い払うんでしょう?役立たずならいるだけ無駄…そう考えるんでしょう?」

 

ひでぇ…なんだそのクズ野郎は…。サテライトの住人ですか?俺、マーカー無いですけど?

 

「いや、言っている意味が分かりません。俺はそんな非情な性格ではないと思いますけど」

「じゃあ、もし雪乃ちゃんが勉強出来なくなったら、貴方はどうするの?」

 

雪ノ下ちゃんが勉強出来なくなったら?

 

「……別にどうもしませんけど?」

 

逆にどうしろと?

 

「…貴方が雪乃ちゃんに求めてるのは学力だけだよね?」

「よく分かりましたね」

 

まあ、それだけしか求めてなかったし。

 

「なら、勉強出来なくなった雪乃ちゃんは要らなくなるってことじゃない?」

 

要らなく?

 

「まあ、必要はなくなりますね」

 

“それ”が無いならね。

 

「っ!そうよね!それでこそ…」

「でも、俺は別に捨てませんよ?」

「…え?」

「だって俺の物じゃないですもん。捨てるもなにもないじゃないですか」

 

だいたい雪ノ下ちゃんは、両親や玲那とも仲良いんだし。

 

「…そんなの、私が望んだ君じゃない」

 

望んだ?

 

「それは、貴方が押し付けた幻想なのでは?」

「……そっか。そうかもね。貴方には私と似たものを感じただけ…かもね。はぁ…私としたことが目が曇ちゃったのかな」

 

なんか…納得してくれた?

 

「はぁーあ。一気に冷めちゃった。やっぱり告白は無かったことにして」

「はい。それが良いと思います!」

 

よっしゃぁぁああ!!

喜んで良いのか微妙だけど、とりあえず良かった!

 

「最後に聞かせて。もし今の私が貴方のモノになったとして、使えなくなったら…どうするの?」

 

は?雪ノ下さんが俺のモノだとして…か……

 

「当然、決まってるじゃないですか」

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

「はぁーあ。一気に冷めちゃった。やっぱり告白は無かったことにして」

「はい。それが良いと思います!」

 

はぁ…この二週間、無駄に終わっちゃった。

 

合理性の怪物なんて…私が見たかった幻想。

自分の思うがままに、邪魔なものは全て排除して強欲に強引に生きる人を見てみたかった。そしてその姿を見てとれば、自分もそうなれる方法が見つかるはず。そうなれば今抱えている苦痛や重み、責任なんて忘れて自由に生きられる。

 

そんな夢を、理想を、幻を見ていた。

 

彼はそれに近かっただけのただの優秀な子。その言動が、私が見たいと思ったものと重なっていただけ。

期待外れ…いえ、勘違いだったのね。

 

彼が、雪乃ちゃんは自分にとって良い子って言った時、その言い回しがまるで都合が良い“いつでも切り捨てられるモノ”って勝手にそう思っていた。彼は雪乃ちゃんをモノじゃなくて、しっかり一人の女の子だと認識していた。

 

つまり全て…私の思い込み。

 

はぁ…私もまだまだ人を見る目が無いなぁ。

 

あ、そうだ。聞くの忘れてたわ。

 

「最後に聞かせて。もし今の私が貴方のモノになったとして、使えなくなったら…どうするの?」

 

たぶん雪乃ちゃんと同じ答えが返ってくるでしょうけど。

 

「当然、決まってるじゃないですか」

 

 

ほら、やっぱり…。

 

 

「“捨てますよ”。俺が必要だと思って手に入れた所有物が機能を果たせないなら捨てます。だってただのゴミじゃないですか?」

 

…ああ…そうだった。

 

「…ふふっ。あはははははは…そうだったわ。やっぱり私の目は曇ってるどころか、節穴ね。あはは…!」

 

一度、気付いていたじゃない。

なんで忘れていたの?……いや、彼の在り方があまりに自然で忘れていたのかも。

 

人間の狂気なんてまだ見たこともないはずなのに、彼はこれほどまでに狂気じみている。でも普通の感情も感受性もあるから異常だと誰も気付かない。そして彼は家族を大切にしている、愛している…優しい男の子の面もある。

 

彼は人をゴミだと思ってない。

 

でも彼は人をゴミのように捨てられる。

 

それは普通の人なら罪の意識で潰れるもの。

 

もし人間が自分のモノになるということがあって、そのモノが使えなくなれば、躊躇なく無情に彼は捨てることが出来る。奴隷制度なんてあったら、彼の狂気はたやすく目に見えるでしょう。

 

その合理性は倫理も道理も考えてない。まるで悪魔のように、目的に、欲望に忠実。

 

彼のようなありえない表裏一体の二面をもつ人間を私は知りたい。そして叶うならその表裏一体の在り方になりたい。

人生を謳歌しながら、面倒なこと、苦痛に感じるものはその狂気が何も感じずに全て解決する。

それだけの容姿を、能力を、その全てを彼は待っている。そして私も。

 

彼が恋人に好きという感情を求めてるのは、家族想いの人間性が。

彼が時折見せる冷徹な言動は、その悪魔のような合理性が。

 

「ねぇ、やっぱり告白の取り消しを取り消しにしてくれない?」

「え?無理です。ややこしい言い方しても無理ですよ」

 

だよね。

 

「じゃあさ、その代わりにお願いがあるんだけど…」

「……なんですか。内容によりますけど」

「うん。別に大変なことじゃないよ」

 

やっぱり私は君を見ていたい。そばにいたい。隣に立ちたい。

 

「私のことを陽乃って呼んで?私は研って呼ぶから」

「え?それだけ?…別に良いですよ、陽乃さん」

「ダメよ?陽乃って呼んで。話し方もタメ語にして」

「……どうしてですか?」

「私は研と対等でいたいの、ダメ?」

「…まあ、それがいいなら…断る理由もないし。分かったよ、陽乃……んー、呼びづらいな」

「え〜〜」

「なあ?一ついいか?」

「なに?」

「陽乃って雪乃と被るから、陽(ハル)って呼んでいい?」

「あら、いいわね。特別感出てて」

 

なんだか雪乃ちゃんと差をつけられたみたいで嬉しいし。

 

「特別感は別に出してないけど…」

「あっ、あと一つだけ覚えておいて?」

「…なんですか?」

 

もう、そんな嫌そうな顔しないで。

 

「私は必ず、研と家族になって見せるから」

「無理です」

「…そんな風に言われたら私だって傷付くのよ?大丈夫、別に今すぐってわけじゃない」

 

そう、私は焦りすぎていた。だからもう同じ失敗はしない。

 

「研が、いつになったら付き合ってくれる?中学生?高校生?」

「…諦めないのかよ」

「あったり前じゃない!一回で諦めるわけないでしょ。だって今回は本気で好きになったんだもん」

「……高校生、を卒業したらかな」

 

うわぁ、すごく待たせる気ね。

 

「期間長いねぇ…君ってドS?かなりもったいぶるね」

「まあ。正直、諦めてくれって思ってる」

「あはは…正直過ぎるよ。でも…諦めないから」

「……へえ」

 

研に認められるまではね。

 

「研が高校生になったら誘惑しまくって、一刻も早く付き合いたいって思わせてやるからねぇ〜」

「うわぁ…」

「そんな顔しなくてもいいでしょう…研、いつも以上に顔に出してるでしょ」

「……気のせいだろ」

「ホントにぃ〜?」

 

まあ、いっか。待ってなよ。

私を本気にさせたら、研でも大変なんだからね。

 

「覚悟しててね。研でもそう簡単に逃さないから」

「…怖っ」

「私は怖くないよ?可愛いって言いなさい。綺麗でもいいぞ♪」

「怖い怖い。さっきとは別人かよ」

「うーん、あながち間違いじゃないかもね」

 

心が決まったからね。こんなのは初めてだよ。

 

「私は必ず、研を虜にしてやるから♪」

「あっはい……もうどうにでもなれ…」

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

くそぉ、諦めると思ったのに…なんかまた告られた!

 

しかも今回本気度が桁違いなんですけど!怖いんですけど!さっきの落胆からどうしてそんな本気の恋する乙女みたいになってんの?おかしいでしょ!どこでフラグ立てた?もう最近の子はよう分からん!

 

……俺も最近の子だったわ。

 

 

にしても…こんな俺が好きなんてねぇ。本当に変わってる人だ。

 

……はぁ。

ったく、面倒なことになったなぁ。高校生になるのが怖いよ。

 

「はぁ……じゃあ、改めてよろしく、ハル」

「ため息はいらないでしょ?…よろしく、研♪」

 

気付けば、彼女の笑顔から仮面が消えたように思える。あの分厚い仮面がかすかにだが、剥がれていたように見えた。

 

まっ、少しだけ。

 

少しだけなら…認めても、信じてもいいかなっとは…思ったかな。

 

 

雪ノ……いや、ハルならな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無知が罪であったとしても、問えばかならず彼は応える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ハルと陽…書くならどっちが良いのだろうか。

なんだか陽乃ルートぽいですが、ぽいだけです。そうなるかもしれないし、ならないかもしれない…流れ次第ですね。エンドを複数ってのも良いかもしれない。

まだ高校生編にも入ってないので気が早いですけど。

ていうか、オリ主の説明こっちで書くんなら、前回書かなきゃよかった。あとオリ主のツンデレなんて誰得なんだよベジータを真似るんじゃない。


次回でやっと小学生編終わりかなぁ…(´・ω・`)
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