「……そう、分かった」
俺は両親との話を終えると、静かに自室に戻った。
「はぁ……転校ね。そろそろかも…なんて思ってたけど」
前世で色々経験してる分、転校に関して別にショックはない。最近、両親が忙しいのは知っていたから、少し予感はあったのだ。
「でもなぁ…」
これからが楽しくなりそう…なんて思っていたから。
「せめて…タイミングが……」
俺は彼女たちの家に行ったこともないし、連絡先も知らない。そして教えてもいない。俺がもう少し気を回していれば状況は少し変わったのかもしれない。
久々に…本気の後悔をした。
「親友認定…したばっかなんだけど…」
前の時と…少し似てるよなぁ…
……ああ。そっか。そういうことか。
「欲に溺れるな…ってやつか」
なるほど。俺は神様とやらに、とことん嫌われてるらしい。
「だったらもう…」
原点に帰るしかない。努力し続けてやる。
大事なのは結果だけだ。目的を果たすことだけだ。
それさえあれば、二度目の人生を失敗することないはずだから。
◇◆◇◆◇
8日後。
私は姉さんと朝の挨拶を交わし、学校へ登校した。
久しぶりに私の親友に会える。それだけが私の心の中でいっぱいだった。だからだろうか、進む足は自然と早くなる。
結局、いつもより数十分早く到着した。
クラスの雰囲気はいつもと変わらなかった。
そのはずなのに、私には違和感が残った。
教室を見渡した時、なにかが足りないのだ。
その違和感の正体に気づいた時…最悪な予感がした。
だがまだ確証はない。私はすぐにそばにいた人に確認した。
彼はどうしたの…と。
「あ、雪…いや雪ノ下さん。アイツなら一昨日転校したよ」
それを聞いた時、私は携帯につけていた猫をぎゅっと握りしめた。
私は初めて学校を早退した。
◇◆◇◆◇
「そ。情報ありがと隼人…それじゃあね」
雪乃ちゃんの言ってた事は嘘じゃなかったようね。
「姉さん……なにか分かったの?」
「ええ、研は北海道に転校したらしいわ。明確な学校とかは分からないって…」
「…そう」
とても弱々しい返事。
でも仕方ないと思ってしまう。本当なら私もこうだったかもしれない。それでも私が強く在れるのは、姉としての責任感ゆえだと思う。
「姉さん…研くんの家に行ったのよね?なにか無かったの?置き手紙とか…」
「残念ながらなかったわ。まず入れなかったし。周りも何かないか探してみたけど…」
「そう」
もう諦めたように俯いてしまった。
どこかで分かっていた。もし彼がいなくなればこうなるんじゃないかって。私よりも雪乃ちゃんは研の存在を大切にし過ぎていたから。
「なんで…こうなったのかしらね。私は別になにも悪いことしてないのに…」
「雪乃ちゃん……」
そう呼びかけるも、慰める言葉を私は持ち合わせていない。
研なら…なんて言ったのかしらね。
「こんなことになるなら…留学の話なんて断っちゃえば良かったかなぁ…」
そう私が呟いた時、雪乃ちゃんが私を見た。
「そうね。ええ、そうよ。姉さんが日程を変えていてくれたら、こんな事にはならなかったもの」
それには怒りがあった。
「雪乃ちゃん…それって私が悪いってこと?」
「そう言ったのよ。分からなかったかしら?」
明らかな責任転嫁だ。
「そう、よく言えたわね。前まで足踏みしかできなかったくせに」
「姉さんだって変わらないでしょ。冗談ばかり言って、真剣に彼と向き合えずにいたんだから」
怒りが底から燃えるような感覚が脳を支配した。
「だいたい雪乃ちゃんがもう少し早く研と打ち解けていたら、こんなことにはならなかったんじゃない?」
「そんなこと言ったら姉さんだって同じことが言えるじゃない…!」
「私よりも長い付き合いなのに、ほとんど進歩してない貴女の方が悪いわよ」
それを言い切った時、私は激しく後悔した。
一番それを分かってるのは、彼女なのに。
「……確かにそうよね。ごめんなさい」
「雪乃ちゃん…私」
「いえ、良いのよ…事実だもの。私から踏み込めたことなんてほとんどない。それが一番の原因。私がもっと行動していれば…結果は違った。姉さんの留学の話が来たとしても、もう少しいい結末だった。ええ……全部、私の力不足が原因よ」
そう言って、彼女は自分の部屋へ逃げるように走って行った。
「これは…多分長い喧嘩になりそうね……」
醜い姉妹喧嘩。
これだけ醜いと、せっかくもらった白いキツネも力にはなってくれないようだ。
◇◆◇◆◇
全部、私が悪い。力が、勇気が、行動力が…それこそ、研くんとは違ったから。何もなくて、何も出来なかったから。だから私はこんなにも、後悔ばかりが残ったのだ。
結局、私は最初から変わってなかった。何も進歩していなかった。
なら次こそ、変わらなきゃいけない。
研くんのように努力家で、素直で誠実な…強い人になる。
そうすればいつかまた彼に出会った時…胸を張って歩み寄れるはずだから。
「かならずまた出会って、その時は…」
その時は…今度こそ、彼の隣に立ってみせる。
そしてまた悲しみの中で、彼と彼女らは元に戻る。
雪乃の憧れが陽乃から研へ変わり、結局姉妹喧嘩継続になった陽乃の興味が八幡と研の二人になり、研は結局合理的に戻ると。
決めていたこととは言え、サーセン( ˘ω˘ )
終わりに急いだ感じになりました。
このまま書いてるとずっとののほんな三人を書き続けそうだったので。
でも書いてて思った。俺、バットエンド下手だわ。高校編での布石として書いたからバットエンドじゃないけど、にしたって下手だわ。
いいの思いついたら修正を静かに加えるつもりです。