やはり彼は合理的に生きている……はずである。   作:空宮平斗

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え…と。お久しぶりです。(´・∀・`)


繋がりを求めない彼は価値を、プライドを捨てた彼女は繋がりを手にいれた。

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

チラッ………

 

 

テスト「99」

 

 

 

チラッ……………

 

 

テスト「だから99」

 

 

 

 

 

チラッ…チラッ……

 

 

テスト「何度見ても99やで」

 

 

 

 

 

 

 

 

……すぅ

 

 

 

 

 

…嘘だぁぁぁぁあああああああ!!!!

 

 

なんで!なんでさ!いつも通り勉強頑張ったのになんでだよ!

なに?鼻ほじったりとかふざけてたからか?嘘でしょ!嘘だと誰か言ってくれ!

 

あっ…俺友達一人もいねぇんだった。

だいたいコレ心の叫びだから、もし誰か答えてきたら一瞬でホラーに早変わりするわ。

 

え?俺がなに言っているかわからない?

大丈夫、それは正常な証だから問題なし!

 

まあ、んなことはどうでもいい!

 

問題はこのテストよ。何度も何度も他の授業中に見直しても正解にならないんだけど。もちろん間違えてるから正解になるはず無いんだけどさ。今から正解になったら書き直し疑惑が出てくるわ。

 

 

 

……いやだ。いやだよぉ。こんな現実、受け止めたくない。

 

 

なんだ。なにがいけなかったんだ?おふざけで満点逃すフラグ立てたことか?いやあんなのただの冗談だし俺の独り言だし誰も聞いてねぇんだからフラグですら無いだろふざけんなよ愚痴がはち切れんばかりに吐けそうだわチクショー!

 

まあでも、一応学年ではトップだったからそれが唯一の救いといったところかな。

 

はぁ、小学生でもう満点逃すハメになるなんて…せめて高校生まではノーミスで行きたかったのに。

 

……やっぱ前世のクズっぷりが影響してんのかな。

 

いやそんな認められないし、認めたくない。

 

今度こそ薔薇色の人生を送ってやるんだ。

 

「その為にも反省しないとな」

 

まず今回の問題点の1つとして言えるのは、転校早々のテストだったので、直接授業を受けてない範囲があったことだ。

テストでは先生の気分で他校じゃ出ないような問題がたまにある。今回の逃した一点がそれだ。

 

「二の舞はごめんだしな……」

 

悩むものの俺がしなければならないことはすでに分かりきっていた。

でも気が進まない。しかしこれからのことを考えると、今はぐちぐち言ってられない。

 

やっぱ必要だよね。情報って。

 

「…先生のところに行くか」

 

とりあえず俺と同じくらいの学力ある生徒がいるか聞いてみるか。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

あ、いた。

 

でも先生に話しかけんのっていくつになっても緊張するよな。失礼の無いように早く済ませちゃお。

 

まずはワンクッション置いてからの本題、これが会話の基本だよな。うんこれ常識。

(会話のなんたるかを語るぼっち)

 

「先生…」

「ん?ああ、鎌ヶ谷か。どうした?」

「…今日のテスト。俺より上はいましたか?」

「テスト?いや、いなかったぞ。今回のは難しかったからな」

「そうですか……俺に近い人は?」

「うん?さっきもクラスで言っただろう。雪ノ下だ。鎌ヶ谷が99で、雪ノ下は98だ。俺はこんなにも優秀な奴が2人もいて嬉しいぞ」

「そうですかありがとうございます失礼します」

 

「あっおい……せっかく褒めたのに……」

 

 

よし!違和感まったく無く聞いてやったわ!流石やれば出来る子、鎌ヶ谷 研!

 

「雪ノ下か……確か雪ノ下 雪乃だったかな」

 

思うんだけど、他人のフルネームって覚えにくいよな。この子は雪繋がりで覚えやすくて良かったわ。

 

にしても雪ノ下 雪乃……どんな子だっけ?

俺の真後ろの席で、いつも黙ってる優等生って感じなのは分かるけど、それ以外なにもわかんねぇな。

 

「まだ教室にいるよな…?」

 

確か俺が教室に出るときはいたはず。

急いで教室に戻ろ。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

教室に着くと彼女はいた。何か考え込むように席に座っており、他の生徒はほとんど帰っていた。

 

これは絶好のチャンス…!

 

てか、雪ノ下ちゃんってけっこう可愛い子だったのね。まったく顔見てなかったから知らなかったわ。

 

「……………はぁ」

 

なんかため息ついてる?えぇ……声かけ辛いんですけど。やめてくれよそういうの。

…かけるけどさ。

 

 

「雪ノ下」

 

……返事がない。ただの屍のようだ。

いやふざけてる場合じゃねぇから!

 

「……雪ノ下」

 

……返事がない。

 

あれ…?ホントに屍ですか?

 

「…?…雪ノ下?」

 

 

……返事がない。というか微動だにしない。

あの、研くんはね…無視に弱いんだ…なんか泣きたくなってきたよ。

 

いやいや諦めるな俺!多分、そう、声が小さかったんだよ!

 

次は少し大きめにすれば!

 

「おい、雪ノ下!」

「はわぁい!」

 

ええ!そんなに驚くの!?

本当に気づいてなかったのかよ。目の前にずっと立ってたんだけど?

俺ってそんなに影薄いんですかね?

 

「…って……鎌ヶ谷くん?」

 

あ、よかった。一応知っててはくれてるんだ。

 

「そうだ。俺を知ってるなら話は早いな」

 

ここで、前の席の鎌ヶ谷です…なんて自己紹介しなきゃいけないなんて嫌だからな。

 

「それで…話って何かしら?」

 

おお、さっそく本題に行くか。いいね、分かってんじゃん!

 

「ああ、これは雪ノ下にしか言えないんだが……」

「私にしか…?」

 

あ、でも…ここだと場所が悪いか。よし、ここは学生らしく場所を変えるか!

 

「そう。これから一緒にカフェに行こう」

「……え?」

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

カフェに着いて席に座ったまでは良かったものの、俺は思った。

 

そういえば俺って学生は学生でも、小学生だってこと忘れてたわ。

 

やばっ…カフェに一緒に行くのくらい普通かなって思ったけど、小学生だけで店利用するのって違和感しかないんですけど。店員さんが向けてくる目もなんか怪しいんですけど。気のせいだよね?俺の自意識過剰だよね?

 

「…………」

 

ていうか雪ノ下ちゃん道中ずっと無言だったわ。

そりゃそうだよな、いきなりカフェに行こうなんて何言ってんだって感じだよね!いまさら気付いたわ、めんご!

 

「雪ノ下は何飲む?」

「えっ…あ…その…紅茶で…」

「…ダージリンでいいか?」

「ええ、それで」

 

紅茶か。

俺はブラックコーヒーがいいんだけど、小学生にはまだ早いって言われるし、身長伸びないって言われるし俺も同じのにしとこ。

 

呼びボタンを押して、俺は紅茶を二つ注文した。もちろんお金は俺が払うつもりだ。誘ったのは俺だしね。

 

「…その、貴方も紅茶…好きなの?」

「ん…?ああ、まあそうだな」

「そ、そうなの…」

「…………」

「…………」

 

…それだけかいっ!!

なんだよ〜そう言われると続きあると思っちゃうじゃん!

 

いいや、さっさと本題に入ろ。

 

「お前って頭良いんだろ?」

「…なんでそんなこと聞くの?」

 

まあそうなるよね。まあ、それっぽく言えばいいか。

 

「俺って転校したばかりだから、まだ今の学校の勉強の状況が理解しきれてないんだ。先生が聞いたら雪ノ下は勉強出来るって言っていたからな。出来れば教えてもらおうと思って」

「でも鎌ヶ谷くんって、私よりテスト良かったわよね?」

 

は?なんで知っ…ああ、先生から聞いたのかな。

そういえば言ってたな。俺は99で、この子は98って。

 

「ほとんど差なんて無いだろ」

 

一点の差なんて大したことない。満点じゃなければ、俺にとっては意味のないものだ。

だが俺の一言を聞いて、彼女は少し顔をしかめた。

 

「でも私は貴方より下なのよ」

 

もしかして…この子ってめっちゃ負けず嫌いなのか?

 

「俺だって100点取り損ねたんだぞ」

「私だってもちろん100点を取るつもりだったのよ…!いつものように…!」

「いつも?」

「っ…そうよ。私はいつも一番だった。なのに…」

「今回は違ったと?」

「……ええ」

 

おお!この子って、俺と同じくらい勉強頑張ってんだ!すげー、ある意味イカれてんな!いやぁ、声かけて良かったわ。これだけ勉学に勤しむ小学生がいようとは!この子と一緒に勉強すれば、満点とり続けられるんじゃないか?

 

「じゃあさ、俺と一緒に勉強しないか?」

「え……?」

「俺と雪ノ下が一緒にやれば、より確実に満点取れるだろ?」

 

この子なら効率が良いってすぐに察せられるし、これは乗ってくれるだろ。

 

「……嫌よ」

 

……んんんん??

 

「……鎌ヶ谷くんも、葉山くんと同じようなこと言うのね」

 

葉山……?あー、そんな奴がクラスにいたような。

 

「私は…みんなと一緒にって考えが嫌いだわ。完全に否定するつもりもないけれど、なんでも共有することが良いことなんてそんなの間違ってる。一緒に何かをすることは悪ではないけれど正義でもない。だというのに一緒にやることが善いことって思い込んで、押しつけて、取り込もうとして、そこに入ることを拒否すれば、空気を読めないと敵視する。勝手な考えで迫ってきたのはそっちなのに、こちらの考えは都合のいいようにしか受け取らない。そんな偽善者のかたまりよ。貴方の考えもそれと同じようにしか聞こえないわ」

「……………」

「…あっ……鎌ヶ谷くん…その……」

 

 

 

 

 

 

……かつてこれほどまでに語る小学生がいただろうか。

 

いや、いない。はんご。

 

まさか「一緒に勉強しようぜ?」で「集団とは?」みたいな考えを語られるとは思いもよらなかったわ。

なんかホント今日はイベントチックなこと多いな。

 

この子言っていることは言葉足らずだと思うけどすごく理解できる。

でも俺は少し苛立っていた。

自分もその偽善者の一括りにされたことに。

 

「雪ノ下の考えはわかった」

「あ、その、ごめんなさい…勝手なことばかり…」

「いや、雪ノ下の言いたいことも、その気持ちも理解できる。だいたい集団っていうのはエゴの塊。同じ考えを持った集まりなんだから、必然と考え方が偏るだろうし、客観視すればそれは偽善に写るだろう。俺も嫌いだ」

「………」

「だからといって、俺もその偽善者と同類にされるのは我慢ならない」

「…そ、そうよね。ごめんなさい」

「分かってくれればいいんだ。第一、雪ノ下は多分、そういう連中に嫌な目にあわされたんだろう?」

「…わかるの?」

「だって凄い苦しそうな顔してるぞ。誰でも分かる」

「……鎌ヶ谷くん」

 

あ、俺も語りっぽくなった…恥ずかし!

 

「だけど一緒に勉強するの、そんなに嫌だったか?」

「嫌なわけじゃ無いわ」

「理由を聞いても?」

「………強いて言うなら、私のくだらない意地よ」

 

意地ね……。

 

「そうか…」

「ええ。本当に、本当に誘ってくれて嬉しいけれど…」

「意地はすぐに無くせないからな。俺もそうだから仕方ない」

「鎌ヶ谷くんも?」

「ああ。一人で全てやり遂げてやるって考えてた。でも今回しくじって思ったんだ。なにかを犠牲にしないと、我慢しないと今後も同じ失敗をするってな」

 

もう友達なんていらないって思っていた。理由を突き詰めれば、それは俺が傷つきたく無いから。転校すると伝えただけで、一年間の友情が露と消えた。それがトラウマになっていた。

 

それが他人との会話を断ち切っていた理由。簡単に切れる友情なんてむしろ邪魔だ。

 

「犠牲?なにを犠牲にしたの?」

「……俺のくだらない意地だよ」

 

でも人は一人じゃ限界がある。だから俺はもう誰とも関わらないという意地を捨て、傷つく覚悟でこの子に話しかけることにしたんだ。

 

「…そう」

 

そう言って、うつむいて黙り込んでしまった。

 

はぁ、こりゃ失敗かな。

俺に勉強の情報を流してくれるかもって期待したんだけど……そう上手くいかないか。頑張って適当なこといっぱい喋ったのに。なんか気疲れしちゃったなぁ。時間も無駄になったし。

 

お、ちょうど注文した紅茶が来た。

 

コレ飲んだら帰ろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

私が鎌ヶ谷くんに「好意」と「敵意」の両方向けた理由がようやく分かった。

 

私は、私の理想を見ていたのだ。

孤高でありながらも、周囲に認められ、脅かされることのない道を作り出せる彼の生き様に憧れと嫉妬を抱いたのだ。

姉さんとは違う。仮面を巧みに使い分けるのではなく、仮面一つで人を魅了する…それは持って生まれたモノで、私には決して真似できない個性。

 

羨ましい。

私がいくら足掻いても手に入らないもの持っている彼が羨ましい。

 

 

 

だから最初、私は彼を拒絶した。

彼に無理やり「葉山くん」の影を重ねて、溜まっていた怒りとありきたりな言葉を並べて、彼の頼みを断った。そうしなければ私はまた彼に負けたことになるという“意地”で。

 

それがまちがいだった。

彼は私の言い分を非難せず、理解を示してくれた。まるで優しく寄り添うように。

 

私に残ったのは、罪悪感と後悔…そしてくだらない意地だった。

 

素直に「やっぱり一緒に勉強したい」その一言が言えない。

言えば彼は受け入れてくれる。他の連中のように「いまさら何言ってんの」なんてあざ笑ったりしないと分かってるのに。

 

そんな私に、鎌ヶ谷くんは察するかのように言った。

「意地はすぐに無くせないからな。俺もそうだから仕方ない」

彼は続けて言った。変わるためには犠牲が必要だと。

 

そして彼が捨てたのは、私が捨てられない“くだらない意地”だった。

 

「…そう」

 

私の中で衝撃が走った。

今自分は彼に近づける場所にいるんじゃないか、と気付いて。

 

今の彼があるのは意地を捨てたから。

なら私もここで意地を捨てて素直になれれば彼へ一歩踏み出せる…そう思った。

 

「お待たせしました。紅茶になります」

 

気づけば、店員が注文したモノを運んできていた。テーブルに紅茶の香りが漂う。

 

「じゃあ、コレ飲んだら帰るよ」

 

そう言って、鎌ヶ谷くんは紅茶を飲みはじめる。

 

(帰ってしまう…?)

 

ここで話が終われば、多分二度と彼と話す機会は訪れない。それだけははっきりと直感で分かってしまった。

 

「か、鎌ヶ谷くん!」

「っ…!どうした、いきなり声あげて?」

 

言わなくては。

一歩、踏み出さなければ。

 

「私…やっぱり貴方と一緒に勉強したい!」

 

初めて私は…自分の“本音”を見つけてつかみ取った瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

え?この子いきなりどした?

 

やっぱり…一緒に勉強したい?

 

 

 

 

 

 

 

なんだよ〜〜!ならさっさと言えよぉ、もったいぶりやがって〜!

 

「考え、変えてくれたのか?」

「…ええ。私、素直になることしたの。私は鎌ヶ谷くんと一緒に勉強したい」

 

素直……?ああ、まあ素直なのは大事だよね、うん。

 

ちょっと何言ってんのか分かんないけど。

 

「そうか。じゃあ、これからよろしくな」

「…っ!ええ。ええ…!よろしくお願いするわ」

 

すげー都合のいい子だね、雪ノ下ちゃん。うんうん、頑張って喋った甲斐あったよ〜マジで。そんなに勉強したいなんて嬉しいなぁ。

 

ホントに君には“それ”しか求めてないから、気が楽でいいや。

 

こういうのは一人いれば充分だからね。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

「今日はもう5時過ぎだし、明日どうするか話そう」

「ええ、鎌ヶ谷くんがそういうなら私はかまわないわ」

「ありがとう。じゃあ、また明日」

「ええ、また明日」

 

私は意地を張るのをやめたことで、やっと手に入れた。

 

 

 

 

 

 

私の本当の気持ちで、勇気で、行動で…

 

 

……本当の“友人”を得たのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………

 

 

 

こうして繋がりを求めない彼は価値を、プライドを捨てた彼女は繋がりを手にいれた。

 

 

 

 

 





結構な間を開けたうえ、駄文で失礼。
機能使うのめんどくて“”とか多用しててすみません。今のスマホだと機能すごい使いづらいんです。許してくだせぇ…。

原作(うろ覚え)で雪乃は姉から「雪乃ちゃんに自分なんてないでしょ?」って言われてたので、なら小学生の時点でそのコンプレックス消してやろって感じです。
雪乃だって本当にやりたいことを見つけられるんだから!みたいな?
でも何かを消したら消したで、また代わりの違うモノが生まれるのが世の摂理ですよね……なにが生まれるかな?ふふふっ。

てか小学生のテストから、こんな話を書くことになろうとは…
話の筋を通そうとはしてるんですけど、これは通ってるのだろうか?と不安だらけですわ。

次回で雪乃編終わり予定です。
その後ちょっと八幡挟んで、やっと原作って感じです。

感想、評価、出来たらお願いします。(`・ω・´)
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