やはり彼は合理的に生きている……はずである。   作:空宮平斗

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そういえば主人公に妹いたなとおもって書いたら、雪ノ下編が今回で終わらなくなってしまった。嘘ついて申し訳ない。

会話多めにすると、すぐに長くなっちゃう。


こうして彼の大切なものに、雪ノ下 雪乃は救われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日。

 

俺はいつも通り登校し、いつも通り授業をうけ、いつも通り話しかけられても二言でことを済ませていた。なんの変わりばえのない日常。

 

ただ一つ、変化があったとすれば…下校する時に雪ノ下ちゃんに話しかけるようになったことだ。

 

「雪ノ下、昨日の続きいいか?」

 

帰りの会が終わった途端、俺は振り向いて、そう彼女に話しかける。

 

「え…!も、もちろんいいわ」

 

……なんか戸惑ってる?なぜに?なんだか声も小さいし…。

 

まあ、気にすることでもないか。

 

「そうか。なら校門前で待ってる」

「…分かったわ」

 

よぉし!これで俺の勉学に隙はもうないぞ!

 

 

 

 

 

は?ぼっちが隙だろって?

そのネタにはもう飽きたよ!確かに変わらずぼっちだけどよ!

コミュ障じゃなくなったんだから、俺だって成長してるだろ?そうだろ!なぁ!

 

 

 

 

 

………一人で何考えてんだ。なんか虚しくなってきたわ。早く行こ。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

迂闊だったわ…。

忘れていたとも言えるけれど。

 

鎌ヶ谷くん本人は気づいていないかもしれないが、彼は人気者だ。そして彼は誰とも最低限の会話しかしないと知られている。そんな彼が、いきなり私に話しかけるなんて異常なのだ。

 

加えて私は……。

 

「ねぇ、いまの聞いた?鎌ヶ谷くん、アイツに話しかけてたわよ?」

「なんでアイツなんかに!ただ可愛こぶってるだけの勉強しか能のないやつなのに!」

「…明日、どうしよっか?」

「そうだね。いつもより必要なんじゃない?」

「さんせー!調子のってる罰だよね!」

 

 

はぁ……明日がホントに楽しみよ。頭が痛くなってきたわ。

今日は持って帰る私物が少なくて良かった。

 

かさばる荷物は、上靴くらいかしら…。

 

気にしてもしかたないわね。早く、鎌ヶ谷くんのところへ行きましょう。

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

鎌ヶ谷くんは校門に背もたれて待っていた。

彼は携帯を手にしてた。鎌ヶ谷くん、もう待ってるのね。

 

彼が持ってるなら、私もお願いしてみようかしら。

 

「待たせてしまったかしら?」

「…ん?いや。それより早く行こうか。時間が惜しい」

 

熱心ね。素直に凄いと思うわ。本当に敵わないくらいよ。

 

「そうね。それで、どこで勉強するの?」

 

勉強するにしても場所がまだ決まってない。多分、彼のことだから無難にカフェとかかしら?昨日は奢ってもらったけれど、今回は大丈夫なのようにお小遣い持ってきてるから準備は万端よ。

 

「ああ。雪ノ下が良ければ俺の家でやろうと思うんだが」

「か、鎌ヶ谷くんの…いえ…?」

 

想像を二段超えてきた。

も、もう……私を家に招くの?

 

「そ、それは…早すぎるわ」

「ん?なにが?」

「だって…私は女子よ?」

「そうだな。それが?」

「だって異性をいきなり家に誘うなんて」

「……ああ。そういうことか」

 

ほっ……よかった。分かってくれたのね。

いきなり鎌ヶ谷くん家に行くなんて……すぐに心の準備がすぐに出来ないわ。

 

「心配するな。両親はいないけど、妹はいるから」

「……いや、そういうことじゃないのよ?」

「ん??小学生なら異性とでも普通に遊ぶんじゃないのか?」

「誰がそんなことを?」

「昔はそうだったけど?」

「え?昔…?どういうこと?」

「……あっ、すまん。俺の両親が昔はそうだったって言ってたから」

「そ、そう。なるほどね…」

 

私が気にし過ぎてるのかしら……?

クラスの女子たちはこういう話でよく盛り上がっていたから、男子の家に行くのは特別なものだと思っていたのだけれど。

 

まあ、所詮は下衆達の話…ということなのかしら。

 

それなら鎌ヶ谷くんに賛同するほうがいいわね。

 

「分かったわ。なら行きましょう」

「ああ。場所は結構近いから…」

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

徒歩5分で着くなんて…本当に近かったわね。

 

「ただいまー」

「お、お邪魔します…」

 

緊張する。けれど、それより好奇心が勝る。

鎌ヶ谷くんの家の匂い。いい匂いがする。二階建ての一軒家で、玄関から見渡す限り、掃除も行き届いている清潔感ある感じだ。

 

「おかえりー!お兄ちゃん!」

 

奥から女の子の声がした。彼が言っていた妹さんだろう。

タッタッタッ…とこちらに走ってくるのが分かった。

 

「遅かったね!お兄ちゃ…だれ?」

「ただいま、玲那。この人は俺のクラスメイトで雪ノ下って言うんだ。一緒に勉強しようってことになってな」

 

か、可愛いわ…!

セミロングの黒髪、瞳も大きいし…これは将来すごい女性になるわ。それこそ、見た目なら姉さんと張り合えるくらいに。

 

「…雪ノ下 雪乃です。お邪魔するわね、レナさん」

「う、うん。よろしくお願いします、雪ノ下さん」

「ふふっ…礼儀正しいのね」

「あ、ありがとございます」

「ははっよかったな、玲那」

「うん!」

「っ…!?!?」

 

 

 

鎌ヶ谷くんが……笑った?

喜ぶレナさんも可愛かったが、鎌ヶ谷くんの笑顔はそれを遥かに凌駕していた。なんで普段から笑わないのか分からないくらい。いつも笑顔でいれば、いまの3倍はモテると思うのに。

 

いや、彼のことだから…そういうのが鬱陶しくて会話を二言で済ませてるのかもしれないわね。

 

「それじゃあ、雪ノ下。俺の部屋に案内するよ」

「え、ええ。分かったわ」

 

そうよ。私はあくまで勉強をしにきただけなんだから。

 

彼の部屋は二階のつき当たり、部屋はとても整っていた。ゲーム機や漫画などは見当たらない。もしかしたらクローゼットの中にあるのかもしれないが、勉強熱心な彼だから持っていないのだろう。

 

私は彼に言われるがままクッションの上に座り、机に勉強道具を広げた。

 

ただ、気になることが一つ。

 

「えっと…レナさんも一緒に勉強するのかしら?」

「うん!お兄ちゃんと二人きりにはできないから!」

「えっ…そ、そう。お兄さんのこと、大切に思ってるのね」

「うん!」

 

返事は明るくてこの上ないが、なんだかライバル視のようなものが向けられている気がするわ。

 

「悪いな。俺が勉強するとき、よく一緒にしたがるんだ」

「そうなの。ちなみに学年は?」

「レナは2年生だよ!」

「ふふっ、そう。なら中学や、高校も一緒になるのね」

「うん!お父さんとお母さんがそうなれるように毎晩頑張ったって言ってた!」

「玲那…そういうことは家族以外に言っちゃ駄目だぞ」

「うっ…ごめんなさい」

「…………」

 

大丈夫よ、鎌ヶ谷くん。私は聞かなかったことにしたから。

 

「それじゃあ、鎌ヶ谷くん。何からやりましょうか?」

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

ふぅ…結構頑張ったわね。

 

もう18時だから、三時間くらい経ったのかしら。

 

「かなり進んだわね…」

 

やはり鎌ヶ谷くんはすごい。彼の集中力につられて、私もかなり出来た。初めて友人と一緒に勉強してみたが、教えあうというのはとても効果的のようで、レナさんの宿題を教えてあげるというのもいい学びになった。

 

「そうだな。まあ、あの思い出したくないテストの後だし、勉強やれる範囲もぜんぜん広くないからな」

 

思い出したくもないのは私も同じだけれど、鎌ヶ谷くんはよっぽどなのだろう。顔がとても怖いわ…。

 

「雪ノ下さん、ありがと!お兄ちゃんの次に教え方上手だったよ!」

「そう、よかったわ」

「玲那…そうやって人を比べるな。俺はよく見てやってるから、そんなの当たり前だし、お前だって誰かと比べられて違う子の方が良かった、なんて言われたくないだろう?」

「ぅ…ごめんなさい」

「いえ、良いのよ。鎌ヶ谷くんの方が上手なのは、私も思うから」

「えへへ、そうだよね!雪ノ下さん、わかってる!」

「まったく、調子の良い妹なことで」

「うふふっ……」

 

本当に仲が良いのね。私と姉さんとは比べものにならないわ。

 

「あっ、すまん。こんなに付き合わせたのに、お茶も出してなかったな」

「いえ、いいのよ?そろそろ帰る時間だし」

「紅茶飲むくらいの時間はあるだろう?少し待っててくれ」

 

そういうと、彼は一階のリビングへ降りて行った。まったく強引ね。でも時間があるのは事実だし…悪い気はしないわ。

 

「ねぇ、雪ノ下さん」

「うん?なに、レナさん?」

「雪ノ下さんって……お兄ちゃんのこと好きなの?」

「…………え?」

 

…………え?

 

「お兄ちゃんはカッコいいからモテモテなのは確実だと思っていたけど全然女連れてくることなかったから私少し驚いているのそれなのにいきなり連れてきたと思ったら雪ノ下さんみたいな美人さんでどうしようかと思って…」

「ちょっと待って、レナさん。少し落ち着いて」

「あっ、ごめんなさい。なんでもないわ」

 

……なんでもない、は無理があるわ。口調も気のせいか少し大人びてるし…本当に2年生なの?

 

「お兄さんのこと…大好きなのね」

「当たり前でしょ。たった一人の兄よ。それにあんなに優しくて気遣い完璧でかっこよくて勉強もスポーツも万能なんてまるで漫画みたいなお兄様の下に生まれるなんて、こんな奇跡を無駄にできるわけ無いじゃない!」

「お、お兄様…?」

 

どうしましょう…言っている日本語は理解できるのに、内容があまり頭に入ってこないわ。

 

「それで?雪ノ下さんはお兄ちゃんのこと好きなの?」

「別に…」

「ええ!?あんな素晴らしいお兄ちゃんのこと嫌いなの!?」

「いえ、好きよ。でもゆう…」

「えええ!!好きなの!?」

 

なんでしょう、このお決まり感ある面倒なやりとり…。

 

「落ち着いて、レナさん。私は彼を友人として好きだし、尊敬してるだけよ」

「なんだぁ、それならそうと言ってくれれば…」

「さっきからそう言ってるのだけれど」

「……そんなことより」

 

明らかに誤魔化したわね。

 

「どうして、雪ノ下さんはここに来ることになったの?」

「どうしてって……一緒に勉強しようって誘われたからよ?」

「本当に?お兄ちゃんってそうそう友人は作らないの。前の学校でも、お兄ちゃんから聞いたことある友人って一人だけなのよ」

 

前の学校でも……?

 

「でも、本当に誘われただけよ?」

「……怪しい」

「レナさん…私は成績だけが取り柄の女なの。別に、誰かの為に何かをしてあげたいとか考えたこともないような女よ。レナさんの方がよっぽどいい女の子になるわ」

「いい女…!!そ、それほどでもあるかもだけど……」

 

……別にフォローなんて期待してなかったわ。

そんなことないって言って欲しかった訳じゃないわ。

 

……本当よ。

 

『悪い、玲那。ドア開けてくれ』

 

その時、扉越しに鎌ヶ谷くんの声が聞こえた。紅茶を淹れ終わったのだろう。

 

「うん!わかった!」

 

いつのまにかレナさんも明るい女の子に戻っていた。

別に明るく演じなくても充分魅力的なのに、なぜ明るく振舞ってるのかしら…分からないわ。

 

「ありがとう。待たせたな、雪ノ下」

「いえ、レナさんと楽しくおしゃべりしていたから」

「そうか。よかったな玲那、楽しかったか?」

「うん、楽しかった!」

「そうか。ははっ、それは良かった」

 

っ…やはり彼の笑顔はずるい。普段とのギャップだけでなく、そこには学校では見せない兄としての優しさが、あまりにも眩しく、愛おしく見えた。

 

「……そうか。私にはまだ無いもの」

 

そして気づいた。私が彼に憧れを抱いた理由の一つを。

 

彼はなにより家族を大切にしている。だけど今の私には、そこまで想える存在がいない。

 

もし私が彼のような存在に近付きたいのなら、私は自分の大切な存在に気づいて見つけなければならないのかもしれない。

 

「そうだ。この紅茶、結構良いものらしいぞ」

「あら、それは楽しみね」

 

だが私は、今はこの瞬間を噛みしめたいと思う。

 

「レナ、ミルクティーにしてもいい?」

「……ミルクと砂糖持ってくるよ」

「ありがと、お兄ちゃん!」

「レナさん。ハチミツを砂糖の代わりに入れると、なお美味しいと思うわよ」

「ええ!そうなの!………お兄ちゃん?」

「はぁ……分かったよ」

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

「別に、送ってくれなくても大丈夫よ?」

「なに言ってる。夕暮れ時は意外と危ないんだ。それに…送らないと玲那にも面目が立たん」

「レナさんにも?」

「……だってあいつと仲良くしてくれたろう?なら送り迎えくらいしないと、あとで言われるからな」

「うふふっ…鎌ヶ谷くん、本当にレナさんを大切に想ってるのね」

「…当たり前だ。替えの利かないたった一人の妹だ。そりゃ大切にするよ」

 

彼も、レナさんもお互いを大切に想ってる…羨ましいわ。私には想える人も、想ってくれる人もいないから。

 

「そうだ。明日も空いてるか?」

「え…?明日も…?いいのかしら?」

「ああ。玲那も喜ぶだろうし」

「そ、そう?なら明日も」

「うん、そうしてくれると助かる」

 

鎌ヶ谷くんはそういうと少しだけ笑った。

やはり家族の近くだと笑顔をよく見せるのだろうか?

 

だがそんな疑問よりも、私の心は嬉しくてたまらなかった。

今日限りの関係ではないこと。そして私を必要としてくれたことが、本当に嬉しかった。私の価値が認められた、そんな感じがして。

 

 

「それと、俺のことは名前で呼んでくれ」

「…っ!な、なぜかしら…?!」

「…なぜ食い気味?いや…玲那が言っててな。雪ノ下が俺のことを苗字で呼ぶたびに少しビクッとするから俺のことを名前で呼ぶようにしてほしい…らしい。よく分からんけど。お前が嫌なら呼ばなくてもいいが」

「い、いいえ…呼んでもいいなら、呼ばせて欲しいわ」

「そうか…?」

「ええ……け、研くん」

「おう。なら俺も雪乃って呼ぶよ。玲那もそう呼びたいって言っていたし」

「そ、そうなの。私は全然かまわないわ」

 

むしろ大歓迎よ。もし家にいたら嬉しくてベッドにダイブしたいくらいだけれど。

 

「じゃあそろそろ行くか」

「ええ、そうね。研くん」

 

うふふっ……名前呼びか。なんだか良いわね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「雪ノ下…いえ、雪乃さんかぁ……良い人だなぁ」

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

次の日。

 

私は内心、緊張していた。

昨日の楽しかった一件で忘れられていたが、家に帰ればいやでも考えなくてはならない。あの下衆たちがなにをしてくるか、正直不安でならなかった。こればかりは対処できるようになってきても、あまり慣れるものではない。

 

「……もう来てる」

 

下駄箱を見れば、クラスメートの半分以上が来ていた。

 

嘘…まだ8時になったばかりなのに。

 

私は恐る恐る自分の下駄箱を確認する。以前はここにゴミや泥、ひどい時は虫とか入れられていたこともあったが……良かった。問題ないようだ。

持ち帰っていた上靴を履いて、下駄箱に外靴をしまう。

 

……次は教室だ。

急に足取りは重くなった。私が教室に入ったら静まりかえる…みたいなことが多々あった。……はぁ、気分が重いわ。

 

「………?」

 

教室に近づくと、ずいぶん騒がしいことに気づいた。何かあったのかしら?

 

私は静かに教室に入った。

何人かの視線を感じる。だがそれも一瞬のこと。その視線はすぐに別へ向けられる。教室は騒がしいままだ。

 

とりあえず一安心といったところでしょうかね。

 

「おはよう、雪乃」

「え、ええ…おはよう。け、研くん」

 

席に着くと彼が挨拶して来た。

彼が自分から挨拶するの、初めて聞いた気がするわ。彼の声もあまり大きくなかったおかげか周りにも聞こえてないみたいだし…アイツらの話のネタにはならなそうね。

 

……よし。机も異常はないみたいだし、椅子も大丈夫。

 

なんだか……意外と平和に1日を終えられそうな気がするわ。

 

 

……………………

 

……………

 

………

 

 

 

……本当に平和だった。びっくりするぐらい何も無かったわ。

なんだか拍子抜けね…まあ、毎日こうであってくれるなら、私も本意だけれど。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

次の日。その次も、その次の日も。そしてその次の日も、私に何かしてくるものはいなかった。

 

私は学校が終われば研くんの家へ行き、勉強して、レナさんともお喋りして、研くんに送ってもらいながら家へ帰る。休日はたまに玲那さん…いえ、玲那ちゃんに遊びに誘われるようにもなった。

 

 

 

私にとって少し前まではありえないことが、すでに日常に変わりつつあった。

 

 

それと同時に私の心の傷は……研くんと玲那ちゃんに埋められて、癒されていったように思う。

 

 

 

 

私はいつからか、願うようになった。

 

 

 

どうかこの関係がいつまでも続くようにと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

雪ノ下ちゃんと勉強した次の日の朝。

 

俺は珍しく早めの登校をした。別に理由があったわけじゃない。ただなんとなくだ。強いて理由をつけるとすれば、玲那の早起きにつられて俺も早く起きてみたくらいかな。

 

まだ7:30過ぎか……学校開いてないんじゃい?

あれ…?もう開いてる?マジか…先生も暇だなぁ。開けんの早すぎでしょ。前世の俺の小学校なんて開くのはキッカリ8時だったけどなぁ。

 

 

 

ん…?なんか下駄箱…泥臭くね?

 

あれまぁ……俺の上の段の下駄箱に泥入ってるんですけど。うへぇ…汚ねぇ…。

 

ってああ!俺の方にまで泥跳ねてんじゃん!

 

マジかよ!ふざけんてんなぁ〜、誰だよやった奴!

 

とりあえず、近くに用具ロッカーあったから綺麗にしといたけど。ふっ、俺の掃除スキルが無駄に発動しちまったぜ。ついでに上の下駄箱もな。

 

チッ…まあ俺の方に泥が直接入ってた訳じゃねぇし、水に流してやるか。泥だけにな!

 

 

 

 

…………なんにも上手くないや。教室行こ。

 

 

 

 

え……?もう誰か来てんの?

 

「よぉし、泥ぶち込んでやったし。次、どーするぅ?」

「やっぱ、久々に着てない机いじってやろっか?どうせ何したところでアタシたち疑われないし」

「そうだねー!じゃあ油性ペンよーい!」

 

は?おいおいおいおい………お前らかよ、泥詰めたの?

 

それに加えて………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………俺の机に腰掛けるなんて、いい度胸してんなぁ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず静かに写メっとこ。

 

「なぁ、そこの三人」

「……えっ!?鎌ヶ谷くん!?」

「ど、どうしたの?早いね!」

 

んなこたぁいいんだよ。

 

「俺、座れないんだけど?」

「え…?あ、ああ!!ご、ごめんね!」

「そ、それじゃあ」

「し…失礼しましたぁ〜」

 

 

………。うん、これでよし。

 

 

にしてもアイツらかぁ、泥ぶち込んだの。

 

あれって誰の下駄箱だったんだろう?まあ、誰でもいいや。問題なのは、俺にも被害があったってことだ。

 

………そうだな。せっかくだし、男子どもにこの話流してみるかぁ。いつも話しかけてくるやつらいるし、俺がやられたって言ったら効果あるかな?

 

 

…………………………

 

…………………

 

…………

 

 

 

結果。予想以上に効果的だったようです。笑い。

 

まあ、俺に手を出したのが運の尽きだ。自業自得だよ。

 

キリッ…!

 

 

 

 

 

 

あの三人、めっちゃみんなから色々言われてるけど、やっぱやり過ぎだったかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして彼の大切なものに、雪ノ下 雪乃は救われた。

 

 

 

 

 

 

 








気付かぬうちに事を成す。みたいな。

早起きした妹に感謝だね!

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