家の家族は獣耳   作:しらす丸

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どうも皆さんお久しぶりです。気づけば作者を始めてから1周年。気づけばW杯で日本が負け、気づけば九州で大雨。時間が経つのは早いですね。被災した皆様は必ず助かると希望を捨てずに頑張ってください。少しの気晴らしにこれを読んでほしい・・・、なんて冗談は置いておきましょう。




「・・・・・・朝か・・・。」

 

いつもと変わらない朝、けど今日はいつもとは少し違うようだ。

 

「ほらスミレ。朝だぞ。起きろ。」

 

龍牙はその犯人である狐耳を起こす。

 

「ん?、むぅ・・・まだ寝てたいのじゃ・・・。わしは健康第一に考える神でのぉ・・・、しっかり寝ないと健康に悪いのじゃ・・・。」

「健康第一ならこの時間ぐらいに起きることをおすすめするぞ。ほら、早く起きないと朝飯抜きにするぞ。」

「それは困る!。」

 

スミレはガバッと起き上がった。

 

「だったらさっさと起きた起きた。」

「このなぁ?、べっどという素晴らしい寝具がわしを惑わすのじゃあ・・・。」

「はいはい、愛しのオフトゥンってやつと一緒だろ。」

 

因みにこれは父の入れ知恵である。龍牙はスタスタとリビングへ行った。

 

「ま、待つのじゃあ!」

 

それを追うようにスミレも出ていった。

 

「さて、朝飯どうするか。スミレ、なんかリクエストある?」

「ふむ、わしは少し軽めがよいぞ」

「そっか。少しのカルメ焼きね。まってて、すぐ作れるから。」

「まてまてまて!。わしはカルメ焼きなぞ頼んでおらん!。胃に優しいものということじゃ!。」

「ふふっ。冗談だよ。お茶漬けでいいかな?。」

「な、冗談か・・・。わしで遊ぶでない!。」

「ごめんごめん。すぐにお湯沸くから。」

 

少し経ち、お湯が沸いた。龍牙は昨日予め炊いておいたご飯をよそり、茶漬けの元をふりかけ、お湯をかけた。

 

「おまたせスミレ。出来たぞ。」

「すまぬの龍牙。ではいただきます。」

「いただきます。」

 

こうして天野家の1日が始まった。

 

「ところで龍牙よ今日はなにをするのじゃ?。」

「まぁ特には決めてないよ。そうだなぁ・・・。服でも買いに行くか?。」

「服など気にせんでよい。わしはこの着物だけで十分じゃ。」

 

因みにスミレの服は着物である。

 

「いや、流石にずっと着物は不自然だぞ。神とはいえ、自然に社会に溶け込まないといけないんだ。それに普通の服の方がゆったりできるぞ。」

「そ、そうか・・・。わかった。では服を買いに行こう。ご馳走様。」

「ああ。ご馳走様。」

 

龍牙は普段着に着替え、ふと思い出した。

 

「そういえば服買うまでどんなふうに誤魔化せばいかな。もう初夏だし、七五三の季節でもないし・・・。」

「そういえばそうだの。どうするのだ?。」

「うーん。母さんあたりに相談しようかな。」

「ほう、龍牙の母は何かそこに関した職業にでも就いているのか?。」

「いや、父さんには2人秘書がいてね。母さんがその内の1人なんだ。おしゃれにも乏しくないし、同じ女性だからいい服を見つけてくれると思うんだ。」

 

龍牙はスマホで電話をした。

 

「もしもし?。」

『あら龍牙?。久しぶりね、元気にしてた?。』

「うん元気だよ。しっかりご飯も食べてるし。」

『そうなのね、よかったわ。まぁ龍牙だしそこを気にする必要はないかしらね。』

 

母・・・天野双葉(あまのふたば)は電話越しにクスリと笑った。

 

「それで、母さん。少し用があるんだけど。」

『あら、何かしら?。何でも手伝うわ。』

「知り合いの子供を預かってるんだ。それで服を買いたいんだけど、俺じゃサイズとかよく分からないから、母さんに手伝って欲しいんだけど・・・。今大丈夫かな?。」

『それってどうゆうこと!?。・・・まぁ詳しい話は会ってからにしましょう。会社で待ってるわ。』

「分かった。すぐに行くよ。父さんとも会えるかな?。」

『大丈夫よ。そろそろ休憩する(サボる)頃だし。』

 

龍牙はありがとうといい、電話をきった。

 

「龍牙、連絡は済ませたかの?。」

「ああ、大丈夫だ。すぐに行くぞ。」

 

龍牙は普段着に着替え、顔を洗い、歯を磨いた。すると。

 

「龍牙よ、わしの歯ブラシはあるかの?。」

「ちょっと待ってて、確か買い溜めしたやつがあったはず。」

「すまぬの。」

「気にしなくていい。ほら、あったぞ。」

「ありがとうなのじゃ。」

(そっか・・・。もう1人じゃないのか。)

 

改めて、家族が増えたことを確信する龍牙であった。

 

「そろそろかな。よし、出発だスミレ。」

「了解だぞ。」

 

2人は車で両親の会社へと向かった。

 

「しっかし暑いのう・・・。冷房が無ければわしは溶けてしまいそうじゃ。」

「東京は気温自体それなりに暑いだけなんだけど、車が多く通るからね。余計暑く感じるんだ。」

「そうなのか。何だか辛いの、都会というものは。」

「ま、辛いこともあるかな。けど、慣れだよ慣れ。それに涼しい建物も多いし、交通機関なんかは田舎に比べると圧倒的に便利だからね。」

「慣れ。か・・・。お主も疲れておるの。」

「そうかもね。」

 

スミレの一言に龍牙は自虐的な笑いをした。

 

 

 

 

しばらく車を走らせていると、両親の会社が見えてきた。

 

「そろそろ着くぞ。」

「了解じゃ。」

「そういえば名前どうする?。」

「わしはスミレじゃぞ?。」

 

スミレは何をいまさらと言っているかのような顔をした。

 

「一応お前は知り合いの子っていう立ち位置にいるんだ。名前はあっても苗字は必要だろ?。」

「ふむ、そうじゃの・・・。では苗字は狐々耳(ここみ)とするが良い。」

「ここみ?。書き方は?。」

「狐と耳じゃ。」

「安直だな。」

「それでいいのじゃ。」

 

2人はふふっと笑った。




非常に遅くなりましたが。1周年本当にありがとうございます!。皆様のお陰でこの作品が続いていると過言ではありません。今後ともよろしくお願いします!。エタらないように頑張ります!。

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