前回色々ありながら「私には関係ありません」的なことを言って、それから……というお話しを今回はそれをトトリちゃん視点で書かれています。
【*6*】
***アーランドの街・門***
「あっ」
「あれ?」
ちょっとした用があって朝一番から街の外に出ようとお出かけしたんだけど……街と外とを仕切る門の前でミミちゃんを会った。
私の用はあくまでちょっとしたことだったから、普段の冒険みたいに誰かに声をかけて一緒に行く予定はなかった。つまりは、ここでミミちゃんと会うのも本当に偶然なんだけど、こんな朝早くからどうしたんだろう?
「おはよう、ミミちゃん!」
「おはよっ、朝から元気ね」
「あははは、今日はちょっと変な時間から目が冴えちゃってて……そういうミミちゃんは、もしかして今から冒険?」
そう聞くと、ミミちゃんは軽く首を横に振りながら答えた。
「違うわよ。依頼とかじゃなくてちょっと『青の農村』に行くだけ」
「ミミちゃんも? 実は私も用があって行くところだったんだ。一緒に行かない?」
「それは、まぁ……別にいいけど」
少しそっぽむきながらもそう答えたミミちゃんの手を取って、「じゃあ行こ!」って街の外へと歩き出す。
「ちょっ!? そんな引っ張らなくったってついてくわよ!」
―――――――――
***青の農村***
ミミちゃんと色々お喋りをしながら歩いてたら、感覚的にはあっという間についた『青の農村』。
村の中に入ってからも、そのままお喋りして歩いてたんだけど――
「ねえ」
「ん? どうかしたの?」
「もしかして、トトリ
そう聞かれて初めて、私がまだミミちゃんに今日『
けど、ミミちゃんもなんでこのタイミングで聞いてきたんだろう――って思ったけど、ふとあること思い当たった。よくよく考えてみれば、お互いに用があるって言ってるのに、『青の農村』に入ってからも特に何というわけもなく
まぁ、そうじゃなかったとしたら、私が『青の農村』に行くっていったら、大抵マイスさんか『お祭り』かしかないってこと知ってたとか?
とにかく、ミミちゃんの言う通り、私の目的はマイスさんなんだけどね。
「うん。ちょっとマイスさんに用が――」
「まさか本当にマイスさんに!? 用って何? まさかとは思うけど誰かに――いや、トトリに限って……でも……!」
脚を止めズズイッと顔を寄せて声を上げ、私に問いかけ……かと思えば、一人でブツブツ呟き出した。
「とにかく、落ち着いてミミちゃん!」
「あっ……ご、ごめんなさい。少し気が動転しちゃって」
「気が動転」って、特に何があったってわけじゃないはずだけど……? それとも、私が気付かなかっただけで何かあったのかな?
なにはともあれ、とりあえずはミミちゃんからの質問に答えるために、今日『
「私がマイスさんに会いに行くのは、『学校』に用意する『錬金術』の設備と確保できるスペースのことで相談したかったからで、他の科目との兼ね合いとかもあるだろうから、思いついたら早めに聞くに越したことはないから、こうして朝から来たんだよ」
「本当?」
「いや、どうしてウソつかなきゃいけないの?」
「まぁ、それはそうだけど……本当に、変な人に何か言われて来たとかじゃないのよね?」
変なことを随分と念入りに聞いてくるミミちゃん。
「ホントにホントだってば」
「そ、そうよね。……第一、トトリは
ミミちゃんの呟きは断片的には聞こえたけど、それじゃあやっぱり何の話なのかはさっぱり分からない。
考えても仕方ないし、とりあえず気にせずマイスさんの所に――――って、そういえば……
「そういうミミちゃんは、マイスさんに何の用事があるの?」
「わわわ、ワタシィ!? べっ別にいいでしょ、なんだって!」
「ええぇ……? 私にはしつこく聞いてきたのに? ズルいよ、そんなの」
「ズル!? 私が!?」って、そんなところにまでやけに大袈裟に反応するミミちゃん。
これは、私の言ったことそのものがどうっていうよりも、本当にみみちゃんが気が動転してたりする感じなくらい敏感というか過剰というか、そんな感じになってる気がする。しかし、やっぱりその理由はわかりそうもない。
でも、絶対何かあると思うんだよね……
「じー……」
「なっ!?」
「じーっじーっ」
「……っ!?!?」
これまで以上に落ち着きが無い感じになり、目も思いっきりそらして、顔も赤くなっていって――――それでもジーッと見続けたら、勝手に喋りだした。
「あれよっ! 言わないのは、隠したいからとかそういうのじゃなくって……
「ふぅ~ん?」
「な、何よその目はっ!?
「あっ、本当に大したことじゃなかった」
「言うなっ!!」
普段から素材の事とか相談したりとかでマイスさんの好意に甘えちゃってどうこう言えるどころか、むしろ自重したほうがいいのかなって思うべきだろう私が言うのもなんだけど『学校』の一件が本格的に始まって以来、マイスさんの仕事量って言うのははね上がっているように思える。
マイスさん本人は「大丈夫、大丈夫」とばかり言っていまいち|健康状況
とにかく、ミミちゃんのように周りが気にしてあげた方が良いのも確か。そう考えると、用事としては大したことではないけど、大切なことだろうと思うし良いことだとも思う。
……でも、変に気にした分、なんだか損した気分。
というか、なんでそんなことでミミちゃんは
お話に変な熱が入ってて止まってた脚を、またマイスさんの家に向ける。
「まぁ、とりあえず行こっか」
「最初からそうしてればいいのよ、最初から」
「最初に止まったのは、ミミちゃんだったような?」
「うぐっ!?」
―――――――――
***マイスの家***
そんなこんなでたどり着いたマイスさんの家。
出迎えてくれたマイスさんは都合のいいことにそんな立て込んだ用事も無く、私の相談に乗ってくれることになった。
そして、ミミちゃんはといえば、特別大した用事も無かったから、挨拶をしてマイスさんの顔を見たらそのままどこかへ行く……のかと思いきや、そのままマイスさんの家に居座ってた。
それも、お話してる私とマイスさんにわざわざ追加のお茶を淹れてくれたりとか、お昼が近くなると「キッチン借りるわよ」とか言ってマイスさんに代わってお昼ゴハンを作りだしたり……というか、ミミちゃん料理で来たんだ。
うーん? やっぱり今日のミミちゃんはなんだかおかしい気がする。
マイスさんはそう気にしてないみたいだから、私の気のせいなのかなー?
それに――――
「何よ? そんなに睨んできて」
「…………ふんっ! 別に?」
たまたま用事があって来たっていうクーデリアさんに突っかかっていく感じはいつも通りだったし、きっと私の思い過ごしだよね。
「昔からの友好関係……適正年齢……貴族…………!!」
「……いや、ホントに何よ?」
次回、ミミちゃんの心情メイン回に。
おそらくは、過去最高レベルで地の文が多くなるかと思われます。