本編の『ロロナルート』とは異なり、一緒には行かない組なので出発前のお話となっています。
※2019年工事内容※
誤字脱字修正、句読点、行間……
【*2*】
僕を訪ねてきたトトリちゃんから「『塔の悪魔』を倒しに行く」ことを伝えられ、僕はその準備をすることに……。
『塔の悪魔』のことや、それを今後倒しに行くという話は以前に聞いていたので、前々から色々と考えていちおう準備を進めはいた。なので、持っていく武器やアイテムを選別しまとめるのには時間はかからなかった。
準備をサクッと終えた僕は、さっそくトトリちゃんたちとの集合場所である『アランヤ村』に……行くわけではなかった。
出発は明日。僕の手元には『トラベルゲート』があるから『
もちろん、早めに行っていても何も問題は無いんだけど……でも、やっておくべきことが僕にはあった。
それは、遠出をする際に行く前と帰ってからいつもしている「挨拶周り」だ。
――――――――――――
***アーランドの街・広場***
『アーランドの街』の中心部にある広場。中央に噴水があり、ベンチや露店、そしてある意味街の象徴ともいえる『機械』もあるそこは、町の人々にとっては
僕が、そんな広場に立ち寄ったのにはちゃんとした理由がある。
「予定通りなら、今日はこの時間にやってるはずなんだけど……」
そう独り言を呟きながら僕は広場へと踏み込んだ。……とはいえ、そこまで不安感があったりするわけじゃない。
予告があったのであれば、よっぽどの理由が無い限りいきなり休んだりはしないと思うし。それに……
「あっ、やってるやってる」
広場の一角に出来ている人だかりを見つけ、そっちへと歩を進めた。
……まぁ、こういった感じに、やってるなら探し回ったりせずともすぐに見つけられるから、そこまで「見つからない場合」の心配はしなくてもいいのだ。
僕はその人だかりに……観客の人たち混ざって
用があるのは、今、劇をしているリオネラさんだ。となれば、リオネラさんが劇を終えないと僕はどうしようもないのだから、劇が終わるまでの時間は好きにしていいわけで……それなら、目の前でやっている人形劇を観ていくのが一番だと思う。
というわけで、僕はちょうど良くまだ最初のほうらしい人形劇を観るべく、ちょうどいい場所を探し始めた……。
――――――――――――
「――のでした。めでたし、めでたし。……今日の劇はここまでです。ありがとうございましたっ」
最後を締め、丁寧なお辞儀と共に劇の終了を告げるリオネラさん。観客たちからは割れんばかりの盛大な拍手と、それに
他でもない僕も、リオネラさんの人形劇に引き込まれてしまってずいぶんと熱中してしまっていた。今度は、本当に最初の最初から観たいなぁ……。
そういえば、この前リオネラさん
僕がそんなことを考えているうちに、他の観客の人たちは「おひねり」等をリオネラさんに渡し終えたようだった。おのおの移動しだしており、先程までの人だかりはどこへやら、あたりは閑散としはじめていた。
僕はタイミングを見計らって、観客たちがいなくなってようやく一息つけている様子のリオネラさんの元へ行った。
「おつかれさま。リオネラさん、アラーニャ、ホロホロ」
「あっ。マイスくん」
「いらっしゃい。って、終わったんだから、こう言うのはおかしいかしらね」
「まぁ、なんだっていいだろ。んで、観ててくれてただろ? どうよ、オレたちの活躍をよ」
僕が声をかけると、リオネラさんは微笑みを浮かべてコッチを向き、アラーニャとホロホロはいつもの調子で喋ってきた。
ただ、そこでちょっとホロホロの言ったことが気にかかった。
これまでにも感想を聞かれることはあったんだけど……その前に、色々話してからって言うのがいつものパターンだ。だけど、今日はまるで観ていることをわかってたかのような言い方なような気が……?
「もしかして、人形劇の途中で僕を見つけたりしたの?」
「まあな。最初からかどうかは知らねえけど、結構序盤から観てただろ?」
「ほら、二回目の場面転換の後のリオネラのセリフ、ちょっとうわずっちゃってたでしょ? あれ、直前にリオネラがアナタを見つけたからなのよ」
ホロホロに続いて、アラーニャが僕に気付いたタイミングを明確に教えてくれた。どうやら僕の予想通り、途中で観客に
けど、また気になってしまう発言が……。
確かに人形劇の途中に部分部分、なんだか声が裏返ったような時があった。「一見見ただけではわからないけど、何か失敗でもしたのかな?」って思ってたんだけど……アレって、僕を見つけたからああなったらしい。ってことは……
「もしかして、僕、気付かないうちにリオネラさんを驚かせるようなことをしちゃってたかな……?」
「僕のせいで失敗をさせてしまったんじゃ」と、ちょっと心配になってしまい、ついその不安が口に出てしまう。
そんな僕の呟きにリオネラさんは瞬時に反応をしてきた。それも、もの凄い勢いで首を横に振りながら。
「ううんっ! べ、別に驚いたとか、そう言うことじゃなくって……!! だ……だから、そのっ……そんな心配なんてしなくても、マイスくんが悪いんじゃなくって……」
「そうよ? 確かに「全く驚いてなかった」って言っちゃったらウソになっちゃうでしょうけど、本当にほんの少しだけだから気にするほどじゃないわ」
「どっちかっつーと、テンションが上がり過ぎて気合が空回りしちまった、って感じだからな」
「そうなんだ……。って、あれ? 何でテンションが上がったのかはわからないけど、話の流れからしてそれって結局僕のせいなんじゃ……?」
ふと湧いてきた疑問を口にしてみたんだけど、それに対してもリオネラさんは首を横に振ってきた。
「そっ、そそそ……!! そんなことないよっ!? 別に、それは、ええっと……マイスくんが見に来てくれて嬉しかったからとか……だから、その、マイスくんが悪いんじゃなくって……!」
「ええっと……? あ、ありがとう……で、いいのかな?」
ところどころ言葉に詰まったり、逆に妙に早口だったりする部分もあり……また、何故か興奮気味なのか声が裏返ったりしていたので、ちょっと聞き取りにくかったけど…………とりあえず褒められている気がしたので、なんとなくでお礼を言ってしまっていた。
「んで、今日はどうしたんだ? たまたま観に来てくれたってわけじゃなさそうだけどよ」
「えっと、それはね……」
いきなりホロホロに指摘されてちょっと驚いたものの、僕は頷いて明日のことを……『塔の悪魔』とその討伐に行くことを話すのだった……。
――――――――――――
「……というわけで、その『塔の悪魔』を倒しに、トトリちゃんやロロナ、他の皆と一緒に行くことになったんだ」
途中から並んでベンチに座って話していた僕らだったけど、とりあえずは経緯を伝え終えたところで話を切った。
すると、やっぱりと言うべきか、大昔に国単位の勢力で塔に封印されたという『塔の悪魔』の存在に驚いているようで、リオネラさんは「信じられない」といった様子で……でも、僕を
そして、僕がそう感じたのは間違いでは無い事は、リオネラさんの口から出てきた言葉からすぐにわかった。
「マイスくんやロロナちゃんが強いことは、私も知ってるけど……その、大丈夫なの?」
本当ならここで安心させられるようなことを言ってあげるべきなんだろうけど……正直なところ、『塔の悪魔』についてはわからないことだらけで「戦ったら勝てるか?」なんてこともわからないから、「絶対勝てる」とはウソじゃないと言えない。
……となると、僕は何と言えばいいのやら。やっぱりウソは言えないし……。
「うーん……『塔の悪魔』が強いことは間違い無いんだけど、こっちもとっても強いとは思うし……でも、やっぱり『塔の悪魔』は未知数なところが多くて、絶対とは言えないんだよね」
「そう、なんだ……」
「おいおい。そこは嘘でも「僕一人でも倒せる」ってくらいは言えってんだよ」
「それは言い過ぎ。でも、マイスが馬鹿真面目ってことは知ってるけど……確かに、もうちょっと自信のある言葉を聞きたかったわね」
案の定と言うべきかリオネラさんには余計に心配され、ホロホロとアラーニャからはダメ出しを受けてしまう。
「事実」であり、「大丈夫」って言えるようなウソじゃないことといったら何かあったかなぁ……?
……あっ、あれなら、問題無いんじゃ……?
「大丈夫! もしもの時は僕の『魔法』でみんな一瞬で逃げ出せるから!」
「いやまあ、そりゃそうかもしれねぇけど……」
「そう後ろ向きに自信を持たれても、ちょっとコメントし辛いわ……」
「ああ……それもそうかぁ」
冷静に考えれば、すぐにわかることだ。僕としたことが……一旦落ち着いて、冷静にならないとなぁ……。
「はぁ~」と息を吐き、目を
自分では普段通りのつもりでも、『
なら、緊張をほぐせばいいんだろうけど……さて、どうしたものか……。
そう悩んでいると、不意に
当然気になってしまい、反射に近い感じですぐに瞑っていた目を開いたんだけど、そこに見えたのは……
「あわわっ……えと、あっと……!」
顔を真っ赤にして目を泳がせているリオネラさんだった。
ついさっきま僕と並んでベンチに座っていたはずなのに、いつの間にか立ち上がってて座っていた僕の前まで来ていたみたい。……色々考えてて、そっちに集中しすぎてたから気付けなかったのかな?
ちょっと首をかしげながらそう考えていたんだけど……突然、顔をなお真っ赤にしたリオネラさんが「あのっ!」と声をあげた。
「い、今のは、そのっ……! あ……アレなの! 自信が持てて、無事に帰ってこれるようにっていうおまじないっていうか、魔法っていうか……そ、そそういうのだからっ!!」
……一瞬「はて? なんのことだろう?」って思ったけど……おそらく、僕の髪に何かが触れたことの話なんだとなんとなく理解した。それ以外に心当たりが無いって言うのもあったんだけど……。
効果があるかどうかは当然不明だけど、悪い気はしないしなんとなく嬉しかったから、僕は目の前にいるリオネラさんにお礼を言う……そのうれしさからか、自然と笑顔になっているのが自分でもなんとなくわかった。
「そっか。……ありがとう!」
「っ……うん!」
それにしても、おまじないかぁ。てっきりリオネラさんが昔から使っている『魔法』ってものを浮かしたり動かしたりするモノばかりだと思ってたんだけど、こういうのもあるんだなぁ……。
リオネラが何をしたのか……まあ、いわずもがなアレなんですけども。
他のルートじゃあまだまだなのに、一人で勝手に三歩くらい前を行ってしまっているリオネラ。……「髪の上から」とかちょっとへたれてはいますけどね……。