「それでは廊下側から自己紹介をお願いします」
福原先生の指示に従い次々と自己紹介をしていく。
「木下秀吉じゃ、1年間よろしく頼むぞい」
木下秀吉。演劇部所属、双子であり、お姉さんである木下優子さんはAクラスにおり、容姿はそっくりなのだが……
「後、こう見えてわしは男じゃから告白は受けつけんぞ」
「「「「「な、何だって!?」」」」」
秀吉のカミングアウトに教室が揺れた。
「あんな可愛い容姿をしているのに男だと!?」
「バカな!俺は美少女双子姉妹だと思ってたぞ」
「ああ、俺もそう思う」
クラスメイトの言葉を聞いてガックリと肩を落とす秀吉。
女の子に見られるのでよく告白されている。しかも優子さんよりモテる(男限定)のでよく嫉妬と怒りを買ってしまっているので秀吉自身は男に見られる様に努力している。
とりあえず心の中で秀吉にドンマイと言いつつ次の人が自己紹介を始める。
「…………土屋康太。趣味はカメラだ、よろしく」
土屋康太。やや寡黙だが情報処理には誰にも負けないくらいにカメラや機械関連を得意にしている。
まあ、趣味でムッツリーニ商会を開くほど彼の撮影技術は群を抜いているので顧客が絶えない。
逆に撮って欲しいと言ってくる人もいるとか。
実は康太は俺の相棒であり、学園長の依頼をこなす為に情報や映像などで助かっている。
「島田美波です。海外育ちで日本語は話す事は出来ますが読み書きは苦手です。趣味は料理です」
島田美波。ドイツからの帰国子女で去年からこの学園に転校して来た。
彼女は日本語が話す事が出来なくて上手くコミュニケーションが取れず、孤立しているところに俺が手を差し伸べた訳だ。
親しくなる内に島田の良さをわかってくれる人達もおり、孤立する事はなくなったのだが少々難点があった。
事あることに彼女は俺に暴力をふるってくるのだ。
他の女生徒に近付いただけで間接技を仕掛けてくる始末。
俺もある程度は許容していたが度が過ぎた為に堪忍袋の緒がキレて島田を調教もとい教育する事で解決した。
それ以来島田は暴力を振るう事はなくなったのでこちらとしてはありがたい。
っと、次は俺の番か
「吉井明久です。一年間よろしくお願いいたします。趣味は料理です」
とまあ、無難にこなした。
最初でつまづく訳にはいかないし、ボケる必要もない。
さて、次の人が自己紹介を始めようとした時。
「あの……遅れてすみません」
遅れて教室にやって来たのは体調不良で途中退席した、姫路瑞希の姿だった。
そういえば彼女もFクラスだったな……。
Fクラスの視線が集まる中俺は姫路さんの様子を伺う事にした。
どうでしたか?
自己紹介の話にありましたが島田は明久に暴力を振るう事はなくなりました。