…新しいキャラクターを沢山考えまくってます。
第12話 神様、俺達は王都へ向かいます。
リドルトを旅立って数時間。
先日、俺たちが助けた公爵家のお嬢様のリオナの父。…つまり、公爵様から直々に礼をしたいという手紙が届き、俺達は馬車に乗って公爵邸がある、王都へと向かっていた。
だが、驚いた。
「エストって馬車の操縦できたんだな。…意外だ。」
手紙の最後に、『出来る事なら部外者を連れてこないで欲しい。』
と追記されていたので、俺は歩いて行く準備をしていたのだが、エストが馬車を操縦できるというので、俺は魔道具でマップを起動し、ナビをしていた。
「そ、そうですか?小さい頃から父に習っていたので、こうして操縦する事が出来るんです。」
「…エストの家ってもしかして貴族?」
「違いますよ。ウチはただの一般市民です。」
この世界での普通の基準がわからないが、馬の操縦は当たり前に出来る事なのか?…いや、それより。
「少し日が落ちて来たな。…もうそろそろ町が見えてくるはずだぞ?」
王都までは馬車で2日ほどかかるらしく、それまでの道のりで何度か街に立ち寄らないといけない。
…と、街の明かりが見えて来た。
「着いたな。ここが1日目のチェックポイントだ。」
農業の街 ミニシアでは、農業人口が住民の過半数を占めているらしく、ここの農家が作る作物はとても質が良いと評判で、他国からわざわざ仕入れにくる店もある。その質の良さは国王陛下のお墨付きで、王城の料理にも使われている。
「まず宿を探さないとですね。」
と、どこか興奮気味にエストは話す。
こういう長旅は初めてだからこうやって知らない街で宿を探したりするのが楽しいのかもしれない。
…実際俺も、ワクワクしている。
「さてと…それじゃ、宿屋を探し始めようか。」
俺は魔道具から表示されているマップを頼りに宿を探し始めた。
…久しぶりに使った事もあり、改めて思う。この機能はとても便利だ。
「…マップによるとここだな。」
俺達は宿屋に入ると、チェックインを済ませ、食堂へ向かう。…リリーブと比べると少し小さいが、安心感があって心地いい。
食事を済ませた後、俺は少し散歩に出掛ける事にした。
「異世界に来て初めて星空をじっくり見たけど…」
夜空には沢山の星が輝いている。…俺の元居た世界では住宅街で星座の鑑賞なんか出来なかったが。この世界は夜になると殆どの家の明かりが消える。
そのおかげで、星がはっきり過ぎるほどによく見えた。
「朝も良いけど、こうやって夜に散歩したりするのも悪くないかもな。」
翌朝、俺達は早目に朝食をとり、すぐにこの街を出発する事にした。
…そして、街の出口に向かおうとしたその時。大通りの方で人集りが出来ているのに気づいた。
「参ったな…これじゃ進めない。」
「何があったみたいですね。少し、見に行ってみましょうか。」
俺とエストはその人集りに近づき、外の方にいた男の人に事情を聞いた。
…どうやら1人の少女がチンピラに喧嘩を吹っかけたらしく、揉め事になっているのだとか。
どちらにせよここを通りたい俺達は、この騒ぎを鎮めることにした。
「…あんたら、あたしを怒らせたらどうなるか、分かってんのか?」
「はぁ?何馬鹿なこと言ってんだこの嬢ちゃんは。お前の方から喧嘩吹っかけて来たんだろ?」
円の中心では、腰に双剣を携えた少女と、多数のチンピラが睨み合っていた。そして、少女の方は身長140センチくらいだろうか?このまま衝突すれば間違いなくやられてしまうだろう。
「エスト。衛兵さんが何処にいるのかを聞いて、呼んで来てくれないか?俺がその間に喧嘩を鎮めとくから。」
エストは俺の指示に頷くと、街の人に衛兵の駐留所の場所を聞き出し、そこへ向かって走り出した。
…さて、この喧嘩をどうやって止めようか。なるべく武力の行使はしたくないし、取り敢えず話をしてみるか。
「はい、そこまでそこまで。…何こんな街中で騒ぎ起こしてんのさ、あんたらは。」
「あぁ?テメェには関係ねぇーだろ!部外者は邪魔すんじゃねぇ!!」
「悪いけど。俺達は今から王都に行くんだ。だから、そこの道を開けてくれないかな?」
…なんて言っても応じるはずがなく。
「…邪魔だってのが聞こえてねぇのか?兄ちゃん。痛い目見たくなきゃ下がってな。」
チンピラってなんでこうも意地が悪いのだろうか。
俺は次に、少女へ話しかける。
「君も、こんな所で騒ぎを起こされると、結構迷惑だからやめてもらえるかな?」
と、俺が言うと、
「で、でも。あたしは此奴らがが盗みしてるとこ見たから、それで懲らしめてやろうと思って…」
よし、こっちに味方しよう。
『ブラックアウト!』
「ぐあっ!め、目が…何にも見えねぇ!!」
俺が唱えたのは闇属性の魔法。
対象から一定時間、視界を奪う魔法だ。
「どうだ?視界を奪われた感想は。」
…つい、悪役台詞を吐いてしまった。
他のチンピラが唖然としている隙に、俺はもう一つの魔法を。
『ナムネス!』
「がっ!か、体が、痺れて…」
この魔法を食らったチンピラが次々と倒れて行く。
これは無属性の麻痺魔法。
対象を一定時間行動不能にする魔法だ。
「す、凄い。相手に危害を加えないで無力化するなんて…」
当の喧嘩をふっかけた本人は全く手を出せずに呆然と俺の戦いを眺めている。
と、そこへエストが衛兵と共にやって来た。
「げっ、衛兵が来たぞ!早く逃げろ!」
と、残った数名が逃げようとする。
『ホールグラウンド!』
最後に土属性の妨害魔法。瞬時に落とし穴を作り、そこに対象物を落とす。
これも上手く決まり、全てのチンピラを戦闘不能にした。
「ご協力、感謝致します!」
と、衛兵は俺とエスト。そして双剣使いの少女に敬礼。…俺が戦闘不能にしたチンピラ共は全員連行されて行った。
「え、えっと。助けてくれてありがとう!」
と、双剣使いの少女が俺たちに礼をする。
「どういたしまして。…俺は霧島ヒロト。それで、こっちの魔法使いがエストだ。」
俺達が軽く自己紹介をすると、その少女も名前を教えてくれた。
「あたしはイリア。イリア・ミテラストだ。少し前まで、違う街の用心棒をやってたんだ。」
「よ、用心棒!?」
この世界は飲酒の条例が違ってりしてるが、こんなに小さな女の子でも用心棒をできるのか?…まぁでも、用心棒をしていたって事は腕は立つのか。
「まぁ、今度からは気をつけろよ?正義感が強いのは良い事だけど、あんな大勢に1人で挑もうとなんかするのはただの無茶だからな。」
「分かった。…その、ヒロトとエストは王都に向かってるんだよな?」
「そうですよ。…もしかして、王都に用事があるとか?」
エストがそう尋ねると、イリアは。
「別にそういうわけでもないけど…ひとつお願いがあるんだよ。」
そう言って彼女はこう続けた。
「今日のヒロトの戦い方を見て、思ったんだ。この人は私に足りてない物を持ってるって。」
ん?つまりどうゆう事だ?
俺が困惑していると、イリアは何かを決めたように目を開くと、
「あたしを仲間にしてほしい!」
と、大きな声で言い放った。
当の俺は、こんな無垢な表情をした少女に「連れてって!」なんて言われてしまうと弱い訳で…
「…じゃあ、馬車に乗って。」
俺はイリアに素っ気なく言う。
「一緒に行こう、イリアちゃん!」
そしてエストがそう答えると、大きく頷いて、
「是非!…よろしくね!」
と言い、ニッコリと笑った。
この後知ったのだが、彼女はエストと同い年らしい。…体格で人を判断するもんじゃないと言うことを学んだ。
余談:イリアの身長は140㎝位です。
(ヒロトは173㎝。エストは157㎝です。)