「此処がアルカゼニア公国の王都。アイギシュタでございます。」
「此処が…」
王都アイギシュタ。
高い城壁に囲まれたこの街は、その全貌から、『難攻不落のアイギシュタ』とも呼ばれているそうで、王城を中心として、円状に街が広がっているおり、そこには色んな種族が暮らしているという。
俺達が城門を通ろうとすると、数人の警備兵に止められた。
「その馬車、貴方方は外部の方であるな?通行証を提示していただきたい。」
通行証…か。公爵様の話だと封筒を提示すれば通れるらしいけど…
俺は手紙に書いてあった通り、封筒を警備兵に出した。
「なんと、公爵様の御客人であられましたか。これは失礼。さ、どうぞお通り下さい。」
と、警備兵が一礼。
公爵家の力というのは凄い様だ。
「ヒロトー。さっき何したんだ?」
と、イリアが俺の肩をゆする。
…そう言えば、イリアには俺たちが何をしに王都へ行くのか教えて無かったっけ?
「私達は前に公爵様のお嬢様を助けたことがあって…」
とエストが言うとイリアがうんうんと頷く。
「それでお礼をしたいと公爵様から手紙が届いてな。それで公爵様の屋敷に向かって居たって訳だ。」
と、俺が続ける。
イリアは俺達がどうやってお嬢様を助けたのか気になって仕方がないらしく、そこから先はエストに任せることにした。
俺は御者台に移り、馬車を操縦してくれているアリエさんの隣に座る。
「公爵邸までは後どのくらいなんでしょうか?」
「…そうですね。後20分位でしょうか。何せこの街は広いものですから。」
王城を中心に広がるこの街は、三つのエリアに分かれているらしく、一番面積の広い外周が、庶民達が住むエリア。その内側が貴族達の住むエリア。そして、中心にあるのが、王族が住むエリアになっていて、王様の客人などはこのエリアに滞在するそう。
もちろん公爵様が住んでいるのは王様のエリアで、そこまで行くのにそこそこ時間を要するらしい。
「公爵様は一人娘のリオナ様をとても愛でておられましたので、リオナ様の命を救ったともなれば、キリシマ様のパーティーには多大な賞金を贈られるでありましょうね。」
賞金はどうでもいい。…今俺が興味があるのは賞金ではなく、道を歩いている人達だ。
「此処には獣人とかエルフとか色々いるんですね。…何か感動です。」
リドルトの街では見なかったが、此処アイギシュタにはファンタジーでよく見る種族達が暮らしている。
こういうのを見てると、俺は異世界に来たんだなぁーという実感が湧く。
と、同時に3人のお腹がグー…と鳴る。…そういえばまだ飯を食べてなかったなぁ。
「…すいません、何処かでご飯食べてもいいですか?」
「ええ、構いませんよ。」
「あの…これって。」
俺は、近くの飲食店で『ルドーヌ』なる物を頼んだのだが…
「はい?ルドーヌですよ?…キリシマ様?」
「いや、これラーメンでしょ。」
そう、俺の目の前に現れたのはチャーシューが美味そうな醤油ラーメンである。…個人的には味噌ラーメンの方が好みだが。
「ヒロト、食べないのか?じゃあ私が食っちまうぞ?」
と、イリアがジリジリ迫ってくる。
「た、食べるよ。…てか、イリア。お前もう食ったのか?」
ついさっき頼んだはずの料理が、あっという間に消えている。隣ではエストがまだ料理に手を付けていないというのに。
「…まだ食べるの?」
と、俺が聞くとイリアはウンウンと頷く。…食費は大丈夫だろうか。
「美味しかったなぁーあの、ルドーヌって料理はさぁ。」
と、イリアが。どうやらあの料理を気に入ったらしい。
「今度、リリーブの料理人さんに作ってもらいましょうよ!」
と、エストも。
「…味噌が良かったなぁ。」
「「味噌?」」
おっと、心の声が出てしまった。
「あー…何でもない。腹も膨れたことだし、そろそろ出発しないか?」
「ええ、公爵様も貴方方の到着を心待ちにしておられます。」
「イリアも馬車の操縦できたのか?」
御者台に座り、慣れた手つきで馬の操縦を行うイリア。…この世界では馬を操縦できない方がおかしいのだろうか?
「村の用心棒として雇われたときに教えてもらったんだ。」
「へぇー…。そう言えばイリアは用心棒やってた事あるんだっけ?依頼とかってどこから来るんだ?」
用心棒ギルドとかがある訳でも無いだろうし、通りがかって偶然雇われる、とかなのだろうか?
「えっと…用心棒ギルドっていうのがあって、そこに登録してれば依頼を受けれるんだよ。」
あれ?あるんだ、そんなの。
「他にも、メイドギルドとか盗賊ギルドなんてやつもあるぞ。まぁ、あたしは少し前にギルドを脱退したけどな。」
へぇー…あれ?盗賊ギルドって何するためにあるんだろ?
「て事はつまりさ、イリアは冒険者ギルドにも登録してないって事だな?」
「そーだよ。王都にもギルドがあるはずだから、そこで登録するよ。」
王都のギルドかぁ。きっと高ランクの冒険者達が集まってるんだろうな。
まぁ、この前の白獣討伐の件で俺もランクが一気に上がったのだが。
と、そうこうしているうちに二つ目の検問所に差し掛かる。
「この先は貴族達の領域です。此処を抜ければ王族の領域に到着します。」
前の如く、封筒を差し出して通して貰った俺達は貴族の住居地に足を踏み込んでいた。
「もっと!もっと、水属性の魔法について教えてください!」
「そうですね…屋敷の私の部屋にシーヴィル様に貰った書物があるので、それをお見せしますよ。」
「本当ですか!?」
うーん…エストは魔法の事となると人見知り気質を吹っ飛ばすらしい。
でも魔法か…せっかく全属性が使えるんだからもっと覚えてみたいな。
「おお、なんか目茶苦茶でかい門が見えてきたぞー」
「着きましたね。…此処からが、王族の領域です。くれぐれも無礼のないように。」
…俺達は門をくぐると、公爵家へと向かった。
最後雑になってすいません。
(感想いただけると嬉しいです。)